スクウェア・エニックスよりNintendo Switch/PS5/PS4/XSX|S/XBOne/PC(Steam)向けに2021年3月26日(金)発売予定(Steam版は2021年3月27日午前1時よりダウンロード開始)のアクションゲーム、『バランワンダーワールド』。
新アクションゲームブランド“BALAN COMPANY”が手掛けるこの完全新作のPS5用体験版をいち早く先行体験した担当ライターが、そのプレイから見えた本作のポイントを解説していこう。
※体験版の配信は終了(Steam版の体験版は2021年4月16日午前2時に配信停止)しています。
本作はステージ探索型のまさに“王道”アクション
長らくゲーム業界に身を置いていた筆者にとって、本作のディレクターである中裕司氏とアートディレクターを務める大島直人氏は、まさに“レジェンド”と言っていい存在だ。
この業界にいれば、ふたりが手掛けた代表作である『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズに触れていないわけはないし、『NiGHTS into dreams...』は親指が擦りきれるほどプレイした。『バランワンダーワールド』は、そんなふたりがタッグを組んで作っているタイトルなのだから、そもそも注目しないハズはないわけで。
2020年7月に開発が明らかになってから約半年、待望の体験版を先行プレイする日がやって来た。まず、10分ほどこのゲームに触れ、最初に感じたことを率直に伝えると、「王道の探索型アクションじゃん!」というものだ。
というのも、中氏と大島氏がディレクションするゲームということで、筆者は本作にもスピードという要素が大きく絡んでくるものだと、“ものすごく勝手に”想像していた。『ソニック』は言わずもがな、個人的には『NiGHTS into dreams...』も「アクションゲームの皮をかぶったレースゲーム」と思っているタイプなので、とくにそう思い込んでいた次第。
もちろん先々のステージにはそういった要素が絡んでくるのかもしれないが、体験版をプレイした限り、本作はどっしりと構えた“超王道”とも言えるアクションに感じたのだ。
ゲームの流れをかいつまんで説明すると、本作はステージ探索型のアクションゲームと思ってもらっていい。本作ならではの要素として、ステージごとに入手できるさまざまな“衣装”を切り換えれば、その衣装に応じたアクションが使えるようになるという点だ。
基本的には、ひとつの衣装に対応する衣装独自の特徴的なアクションはひとつになる(ジャンプは除く)。そういった衣装が本作には80種類以上も用意されている。つまり……80種類以上のアクションをプレイヤーは選択できるというわけだ。
主人公は、最大3つの衣装を持った状態でステージを探索することが可能となっている。ステージのあちこちで衣装を収集し、手持ちの衣装を場面に合わせて適切に切り換え、状況にマッチしたアクションを使って敵を倒したり仕掛けを突破していく。そして、最奥部(ボスステージ)にいるボスを目指す……というのが、ステージの流れとなる。
ちなみに、手に入れた衣装はほかのステージにも持ち込むこともできるのがポイント。これをうまく使えば、そのステージ内に用意された衣装では探索できない場所にも行けるようになるのだ。
加えて、新たな場所を探索する際に必要となる衣装は必ずしもひとつとは限らず、“いずれかの衣装があれば先に進める”という形になっているようだ。そういう意味では、衣装のチョイスそのものもパズル的な要素を担っていると言えるだろう。
いろいろな衣装を手に入れながら各ステージを隅々まで探索していくというのが、本作の醍醐味となる。これだけで、いかに『バランワンダーワールド』が正統派かつ王道のアクションゲームと言えるのか、わかっていただけると思う。
ココから伝わる! ふたりのクリエイターの“色”
プレイを進めていくと、「これぞ中裕司テイストだ!」と筆者が感じる部分もあった。たとえば、本作の舞台である“ワンダーワールド”に生息している“ティム”という不思議な生き物は、その最たるものだろう。
ティムは、各ステージを探索する際には主人公についてきて、ちょっとした支援を行ってくれたりする、謎の存在だ。ステージ探索で入手できる“ドロップ”を与えることで、ティムを成長させることもできる。
主人公の拠点となる“ティムズエリア”では、ティムたちが回し車を勝手に回して遊んだりしていて、まるでハムスターを飼うように愛でることもできる。ティムが楽しく過ごせるようにティムズエリアを“ハッピー”にすれば、ティムズエリアが発展するというメリットもあるが、ティムのかわいらしい挙動を見る限り、かなり以前から人工生命的な事象に注目していた中裕司氏らしい部分を感じてしまうのだ。
アートデザイン面から見ても、ティムはもちろん、本作に登場する数々の衣装や敵にいたるまでがポップな雰囲気の愛らしいキャラクターに仕上がっているのは、さすが大島直人氏といった感じ。
とはいえ、各ステージでテーマにしている物語の内容自体は大人でも考えさせられるものになっており、そのバランスの取りかたは絶妙。ゲームの難度も(体験版をプレイした限りだが)衣装の選択さえ間違わなければそこまで高くないので、キッズでも安心して遊ぶことができるだろう。ふたりでの協力プレイが可能なことも考えると、親子二代でのプレイなども想定しているのではないかと推察している。
また、本作は舞台ミュージカルをテーマにしている作品ということもあり、かなり音楽にも力が入っている。そのあたりに注目して遊ぶのも楽しいはず。
あくまでプレイしたのは体験版なので、本編を遊んだらその印象は変わるかもしれないが……現段階での筆者の感想は以上だ。当然ながら体験版は無料で、2021年1月28日より(Steam版は1月29日午前2時より)配信される。少しでも興味がある方は、ぜひその手で触れてみていただきたい。