現在、Twitterなどで話題沸騰中の『PUI PUI モルカー』という作品をご存知でしょうか? 本稿では、この作品の魅力や、大ブレイクしている理由、視聴方法などについてまとめてご紹介します。

『PUI PUI モルカー』ってどんな作品?

 『PUI PUI モルカー』は、テレビ東京系にて平日朝7:30より放送中の子ども向けバラエティー番組『きんだーてれび』内で、毎週火曜日に放送されているショートアニメです。2021年1月から3月にかけて全12話を放送予定で、1話分の放送時間は2分40秒。

 モルモットがクルマになった“モルカー”に人間が乗り込み、移動手段として利用するちょっと変わった世界でくり広げられる、ハチャメチャな騒動を描く本作(なぜモルモットがクルマになっているのかはわかりません、そういう世界だと割り切って楽しみましょう)。

 モルカーたちのもふもふでかわいらしい姿かたちは、それだけで強烈に我々の心を惹き付けます。タイヤのようになっている4本足ですが、意外にもドタバタとバタつかせながら走る姿がとってもキュート。レタスやニンジンなどのエサをむしゃむしゃ食べる仕草もたまりません。

 モルカーたちにはそれぞれの気持ちがあり、“ポテト”、“シロモ”、“アビー”など、一匹一匹に違った個性があります。乗っている人間とは関係なく、自分たちの意志で思わぬ行動を起こすこともしばしば。

いまなら最新話に追いつける! 話題沸騰中のパペットアニメ『PUI PUI モルカー』ってなに!?
画像は公式サイトより

 クルマだけど、生き物として行動し、豊かな感情も持っているモルカー。この特徴が、作品世界の魅力につながっているのです。

“ストップモーションアニメ”という制作手法

 モルカーたちはみんなフェルト生地でつくられたぬいぐるみで出来ており、これを少しずつ動かしながら1コマごとにカメラで撮影、連続させることであたかも命を宿して動いているようにみせる“ストップモーションアニメ”という手法で本作は制作されています。

 NHKのマスコットキャラクター『どーもくん』や、Eテレの『ニャッキ!』などでストップモーションアニメに触れたことがある方も多いはず。セルアニメやCGアニメとはまた異なる、“実在する物体が躍動する唯一無二のおもしろさ”を感じられるのがこの手法の魅力です。

 『PUI PUI モルカー』はこのおもしろさを受け継ぐ最新の作品といえます。しかし、いまここまで話題になっている理由は、それだけではありません。

なんでこんなにバズっているの?

 本作が大きな話題になった理由の多くは、期間限定公開中のロングPVを観ていただくと納得できるのではないでしょうか。

 パトカーとのカーチェイスや、ビームによって大破するヘリコプター。そして現れる空飛ぶサメ型ロボット! 本作で巻き起こる騒動は、日常的な些細なものばかりではなく、予想の斜め上を行く展開が目白押しなのです。

 アクションシーンでのカメラワークも、大作アクション映画を彷彿とさせるダイナミックで迫力のある見せかたが徹底されており、目の肥えたアニメファン・映像ファンも思わずうなってしまうデキのよさ。

 これらの展開がかわいらしくて癒やされるモルカーたちによって巻き起こっていくギャップもまたおかしく、観れば観るほど夢中になってしまう中毒性を生んでいます。

いまなら最新話に追いつける! 話題沸騰中のパペットアニメ『PUI PUI モルカー』ってなに!?
画像は公式サイトより

 また、いまのところ作中の騒動は悪い人間たちによって引き起こされており、彼らがモルカーたちのがんばりによって懲らしめられる痛快さ、そんなモルカーたちのがんばりに応えてくれる善良な人間もいることで感じられるほっこり感などで生まれる起伏に富んだ物語展開もTwitter上で議論の的に。

 検索窓に「モルカー 人間」と入力すると「愚か」といった言葉がサジェストされるあたりに注目です。

 これらに、モルカーがクルマであることによる、さまざまな方向性のファンアートの書きやすさなどが組み合わさって、放送開始から2週間も経たずに、爆発的に話題が広まっていったというわけです。

 1話が2分40秒という短さも、気軽に何度も観返したくなる魅力につながっています。

 ネタとしてのフックの強さはもちろん、まず作品としてのクオリティの高さがあるからこその人気であることがご理解いただけたのではないでしょうか?

つくっているのはこんな人

 本作で監督を務めているのは見里朝希氏。テレビアニメの監督は『PUI PUI モルカー』が初めてではありますが、2018年に発表した短編パペットアニメ『マイリトルゴート』が世界的に高く評価されている、新進気鋭のアニメーション監督です。

 見里監督によれば、本作のちょっと毒気のある作風は、「運転中に起きるイライラするようなできごとが、もしもクルマがかわいいモルモットだったら解消されるのではないか?」という発想から来ているのだそう。自己中心的な人間が多く登場するのも納得です(笑)。

 これまでの作品はほとんどひとりで制作してきたという見里監督。しかし全12話の『PUI PUI モルカー』は、おもに4人ほどのスタッフで共同制作を行っているとのこと。

 それでも1日に撮影できるのは多いときでも、完成したアニメとしては4秒~5秒程度だそう。いかにストップモーションアニメという手法が多大な労力が掛かるものであるかがうかがえます。

 ほかにも、モルカー車内の人間を描く方法として写真を用いる“ピクシレーション”という手法を取り入れた理由や、声優にも本物のモルモットを起用したというこだわりなど、見里監督のさらなる制作秘話は、『PUI PUI モルカー』公式サイトのインタビュー放送前配信イベントの動画などでチェックすることができます。

 配信イベントに出演したライムスター宇多丸氏によれば、第8話のアクションシーンがほかの話数にも輪をかけてすごいとのこと。放送が楽しみです。

『PUI PUI モルカー』を視聴するには……?

 すでにYouTubeでの第1話の見逃し配信は終了してしまっている『PUI PUI モルカー』。しかしバンダイチャンネルではいまも第1話の視聴が可能になっています(会員登録は不要)。

 この第1話とYouTubeにて視聴できる第2話を観れば、19日に放送される第3話に追いつくことが可能! もちろん第3話も1週間の見逃し配信が予定されています。このビッグウェーブに乗るならいまが絶好のタイミングです。

※配信情報は2021年1月15日現在のもの。

 バンダイチャンネルの月額会員ならば全話観放題(2021年1月現在)となっているので、本作のために入会してしまってもよいかもしれません。

 なお、本作は1話完結のストーリーになっているので、基本的にどこから視聴をはじめても楽しめます。見逃してしまった話数があっても、気にせずまずは最新話を視聴してみるのも大いにアリ。

『PUI PUI モルカー』第1話(バンダイチャンネル)

 おそらくこれから先も、傑作パペットアニメとして流行り廃りに関わらず名前が挙がるであろう『PUI PUI モルカー』。しかし、爆発的な話題をリアルタイムで楽しめるのはいまだからこそ。ぜひ一度、できれば早いうちに、本作の魅力に触れてみてください。

作品情報

  • タイトル『PUI PUI モルカー』
  • テレビ東京系『きんだーてれび』にて毎週火曜7:30より放送中

スタッフ

  • 原案:見里朝希、シンエイ動画、ジャパングリーンハーツ
  • 監督・脚本:見里朝希
  • 絵コンテ:見里朝希、小野ハナ、佐藤桂
  • アニメーター:いわつき育子、佐藤桂、高野真、見里朝希
  • 美術:いわつき育子、開發道子、佐藤桂、佐藤華音、見里朝希、村松怜那、アトリエKOCKA
  • 音楽:小鷲翔太
  • 音響:野口あきら
  • アニメーション制作:シンエイ動画/ジャパングリーンハーツ
  • 製作:モルカーズ