『サガ』シリーズの元祖を遊べ!
ファミ通.comの編集者&ライターが年末年始のおすすめゲームをひたすら紹介する連載企画。フリーライターの西川くんがおすすめするタイトルは、Nintendo Switchにて配信された『サ・ガ コレクション』です。
【こういう人におすすめ】
- ミリタリー交じりのファンタジーが好き
- 河津神が好き
- ガルガルやろうと いいおんなと どっちがすきだ?
西川くんのオススメゲーム
サ・ガ コレクション
- プラットフォーム:Switch
- 発売日:2020年12月15日
- 発売元:スクウェア・エニックス
- 価格:3100円[税込]
- パッケージ版:なし ※限定版はダウンロードコード封入
- ダウンロード版:なし
- 『サ・ガ コレクション』公式サイト
なんの ようだ!
失礼、武器かアイテムを買いに来たというのに、最低の接客をしてくる『魔界塔士サ・ガ』の店員の挨拶をしてしまいました、西川くんです。
1989年に発売された『魔界塔士サ・ガ』は、僕が幼稚園児のころ、生まれて初めてクリアーしたRPGです。と言っても僕はリアルタイム世代ではありません。僕がクリアーしたときは、すでに世間は『ファイナルファンタジーVII』くらいでにぎわってましたし、ゲームボーイでは『ポケットモンスター』シリーズも発売されていました。そんなとき、いとこのお兄ちゃんが大量に貸してくれたタイトルの中のひとつが、『魔界塔士サ・ガ』でした(余談ですが、生まれて初めて遊んだRPGではないのは、『夢幻の心臓』というPCで発売されたRPGを幼稚園児のころにがんばって遊んでいたためです。クリアーした記憶はない!)。
そんな思い出深い『魔界塔士サ・ガ』を含めた、『サガ』シリーズゲームボーイ3部作を1本にまとめたのが『サ・ガ コレクション』。筆者はe-STORE専売の限定版である『サガ30周年記念BOX【神】』を購入しましたが、3作品とも2~3度はクリアーしたことがあるので、ぶっちゃけゲーム自体は遊ばないつもりだったんですよ。あくまで特典目当て、という感じで。
これがちょっとやり始めたら、懐かしさがありつつも、純粋に楽しくて楽しくて! ちょっと遊ぶつもりが『魔界塔士サ・ガ』はすでにクリアーし、いまは『サ・ガ2 秘宝伝説』を遊んでいる最中です。なぜついつい遊んでしまったのかというと、じつは時代に合わせて遊びやすい機能が盛り込まれているからなんです。
倍速機能が“かみ”!
基本的な機能としては、タッチパッド機能に対応。コントローラーなしでもNintendo Switch本体のみで遊べちゃいます。縦画面にすれば、気分はまさにゲームボーイ。と言っても本来のゲームボーイってもっと分厚いハードだったので、ゲームボーイポケットといったところでしょうか。
そして3作品すべて遊びやすく昇華させているのが、倍速機能! BGMなどはもちろん等速のまま、ゲームスピードのみを素早くしてくれる機能で、ゲーム進行に支障なく、ゲームのテンポをよくしてくれます。ダッシュがないので『サガ』3部作をいま遊ぶと、きっと「うわ、歩くの遅いな!?」と感じると思いますが、倍速のおかげでフィールド探索がサクサク!
また、頻繁に起きるバトルもハイスピードでこなせます。オリジナル版からすでに、ボタン押しっぱなしでコマンド選択が進むため、倍速にしながらコマンド選択をするだけでオーケー!(『魔界塔士サ・ガ』は以前のバトルで選んだコマンドを記憶してくれないのでご注意を)。
正直この現代に等速プレイをすると、ややかったるい印象があるので、未プレイの人にはオススメしにくいのが正直なところ。ですがこの倍速のおかげで、オススメしやすくなりました。ぜひ倍速をオンにして遊んでほしいです!
いちばんすばらしいのが、ソフトリセットに対応していること(『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』は対応していません)。X+Y+A+Bボタンを押す(コントローラー右手のボタンを全部押せばいいということです)とソフトリセットがかかるのですが、ロード時間なしで即タイトル画面&ロード画面! 何か起きても1秒くらいでロードできるというわけです!!
オリジナル版から3部作すべて、どこでもセーブに対応していることと相まって、カンタンにセーブ&ロードができるのがなんともうれしいところ。とくに『魔界塔士サ・ガ』は戦闘をする意味がさほどないので、エンカウント避けに使用できます。また、『サ・ガ2 秘宝伝説』は人間&エスパー系ステータス上げがたいへんで、セーブ&ロードを頻繁に使うため、瞬時リセットはメチャクチャうれしい機能でした。
ちなみに本体の充電が切れたやセーブしてないのにほかのゲームを起動して終了させた場合でもご安心を。次回起動時に、以前の状態に戻してくれるサポート機能があります。
ちょっとだけ違いがある
なお、内容はほとんどオリジナル版と同じですが、現代の情勢に配慮してごく一部のメッセージなどは変更されています。また、一部アイテム名も変更されているようでした(ワンダースワン版からそうでしたけどね)。が、とくにオリジナル版の魅力を損なっているわけではありません。
セリフがヤバい『魔界塔士サ・ガ』
ここからは、収録されている3作品を知らない人たち向けに、魅力をかいつまんで紹介しましょう。
『サガ』シリーズ元祖である『魔界塔士サ・ガ』は、人間、エスパー、モンスターという3つの種族から4人のパーティを構成して冒険する、ゲームボーイ初のRPG。世界観は魔法や剣といったファンタジー的なものから、ロボが登場したり、銃や手りゅう弾などが使えたりと、ミリタリー色が強いのも特徴です。これはのちの『ロマンシング サガ』シリーズには受け継がれませんでしたが、『サガ フロンティア』には取り入れられている要素だったりします。
人間はアイテムを買わないとステータスが上がらないですが、武器や防具たくさん装備できる特徴があります。エスパーは装備枠が少ない代わりに、戦闘終了時にステータスが上がるほか、魔法などを覚えることも。そしていちばんユニークなのが、モンスター。モンスターは、戦いで倒した敵モンスターの肉を食べることで、べつの姿に変化します。強くなることもあれば、弱くもなったりと、ややギャンブル性の高い種族です。
そんな4人が、最上階にあるという楽園を目指して冒険をくり広げるのですが、本作の魅力はとにかくセリフの数々が尖りまくり、そしてかなり野蛮なのがカッコいい! ディレクター・河津秋敏氏による、いわゆる“河津節”がもっとも盛り込まれた作品なんじゃないでしょうか。主人公たちが敵のことをよく「てめえ」と呼んだりと、愚連隊って感じなんですよね。
あと、有名なのはラスボスである“かみ”が、チェーンソーで一撃死することでしょう(笑)。河津氏曰く「バグ」とのことですが、コレクション版でもしっかり斬れるのでご安心を。
少年マンガ的な『サ・ガ2 秘宝伝説』
77個の秘宝を求めて旅に出るという、摩訶不思議なアドベンチャーでも始まりそうなシリーズ2作目『サ・ガ2 秘宝伝説』。物語も全体的に明るめで、対象年齢がちょっと高めに感じた前作と比べると、ストーリーや展開は低年齢層にも受け入れやすいものになったように感じます。前作がヤングジャンプだとしたら、『サ・ガ2 秘宝伝説』は週刊少年ジャンプといった感じ。
ゲーム部分は正統進化を遂げていて、メニュー画面はより豪華に、バトルもエフェクトが派手になり、ダンジョンは立体感が表現されるなど、グラフィック周りがパワーアップ。システム面も前作での不満点が改善され、“前回バトルのコマンドの記憶”や、“ステータスアップが表示される”などの機能も。また、4人のパーティのほかに、物語の登場人物が5人目として仲間になるほか、メモ機能や相談機能など、RPG初心者にも遊びやすいゲームになりました。
種族にはさらに、装備によって能力が大きく変動するロボが登場。また、人間はアイテムではなく、エスパーと同じく、バトル後にランダムにステータスがアップする仕様になりました。いやしかし……『サ・ガ2 秘宝伝説』はマジでステータスが上がりにくいので、ステータスが何かひとつでも上がったら即セーブしてください。
少年マンガ的と言いましたが、やはりセリフは河津節が全開(笑)。メタ発言である「なんだ このおんがくは!」などのギャグ要素も楽しいところ。2作目にして、RPGとしての完成度はかなり高いですよ。
一風変わった『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』
開発が旧スクウェア大阪開発部へと移り変わり、ゲームボーイ最終作となった『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』。河津氏らは関わっておらず、のちに『ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト』などを開発した藤岡千尋氏がプロデューサーを務めています。
これまでの『サガ』シリーズにあった多くの要素が変更され、とくに大きいところですとキャラクターがレベル制になりました。また、種族選択が撤廃され、キャラクターが肉を食べるとモンスターに変化。パーツを取り付けるとサイボーグ、ロボットになるというシステムに変更されています。肉とパーツの要素はありつつも、『ファイナルファンタジー』シリーズのような、オーソドックスなRPGになったという感じです。
ストーリーはタイムマシンを使って過去や未来へと飛びながら、異次元の神々と戦っていくというもの。物語からもシステムからも、『サガ』シリーズが持っていたケレン味などはかなり薄まりました。よくも悪くも、シンプルに楽しめるRPGにまとまっているのが、『時空の覇者 サ・ガ3 [完結編]』と言えるでしょう。
『サガ』の原点を履修せよ!
『サガ』シリーズの原点である、ゲームボーイ3部作。携帯機であるゲームボーイ発ということもあり、粗削りな部分もありますが、手のひらサイズでしっかりと味わえるRPGのよさが味わえる作品だと思います。
ちなみに現在サービス中のスマートフォンゲーム『ロマンシング サガ リ・ユニバース』にも、“にんげん おとこ”や“アポロン”などが参戦中。同作で『サガ』3部作のキャラクターを知ったという人も、ぜひ1度は遊んでみてほしいです。