2021年1月3日21時より、新海誠監督によるアニメ映画『天気の子』が、テレビ朝日系列で本編ノーカットで放送される。地上波初放送となる本作や代表作の魅力を解説していこう。

新海誠とは

 新海誠の名を一躍有名にしたのは、2016年に公開されたアニメ映画『君の名は。』だろう。出会うことのないはずだった少年少女に起きた奇跡を描き、興行収入250億円を突破。社会現象を巻き起こした。

 『君の名は。』から3年後の2019年、新海誠監督は『天気の子』を発表。映画ファンのみならず、世間一般にもその名が定着し、映画監督としての評価を盤石なものにした。

『天気の子』本日(1/3)21時からテレビ朝日で本編ノーカット&地上波初放送! 新海誠監督作品7作の見どころ解説も!
新海誠監督(左)。ファミ通.com掲載“新海誠展”リポート記事より。

 『天気の子』は新海誠監督にとって7作目となる劇場アニメ映画だ。映画監督として独立する前は日本ファルコムに務めており、『イースIIエターナル』、『英雄伝説V 海の檻歌』などのOPムービー制作に携わっている。この頃から“新海節”とも言える美しい空の描写に定評があった。

 2002年に公開した『ほしのこえ』は、新海誠監督にとって初の劇場公開作品。監督、脚本、作画、演出などほとんどの作業をひとりで行った。2004年には自身初の長編映画『雲のむこう、約束の場所』を公開。その後、2007年に短編3作で構成される『秒速5センチメートル』を、2011年に『星を追う子ども』を、2013年には『言の葉の庭』と、精力的に作品を公開。そして、『君の名は。』と『天気の子』が映画史に残る大ヒットを記録したのは前述の通りだ。

 本日21時から地上波初放送となる『天気の子』をはじめ、新海誠作品はAmazonプライムビデオで視聴可能。その美しい映像表現を堪能しよう。

1.『天気の子』

 2019年公開の最新作。高1の夏、離島から家出して東京にやってきた少年“帆高”。生活はすぐに苦しくなり、ようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼の今後を示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、帆高は不思議な力を持つひとりの少女“陽菜”と出会う。

見どころ

 映像と音楽は前作の『君の名は。』からさらに洗練されている。水の表現の美しさに定評のある新海誠作品と言えば『言の葉の庭』が有名だが、天気がテーマの本作にとっても水(雨)は重要。氏の真骨頂を堪能してほしい。

 また、今回テレビ朝日系列で放送される地上波版では、本編クレジット後に特別なエンディング映像が用意。副題の“Weathering With You”には、“困難をあなたと共に乗り越える”という意味が込められている。特別エンディングの長さはおよそ1分。新海誠監督からのメッセージをお見逃しなく!

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『天気の子』本日(1/3)21時からテレビ朝日で本編ノーカット&地上波初放送! 新海誠監督作品7作の見どころ解説も!

2.『君の名は。』

 2016年に公開され、社会現象にもなった本作。都会に憧れ、山深い田舎に暮らす女子高生“三葉”は、ある日、自分が東京の男子高校生になる夢を見る。一方、東京に暮らす男子高校生“瀧”も、山奥の田舎で女子高生になる夢を見る。何度もくり返して夢を見るうちに、自分が知らない誰かに入れ替わっていることに気づくふたり。あるとき、瀧はまだ会ったことのない三葉を探しに行こうと決心する。

見どころ

 誰もが楽しめるエンターテインメント作品を目指して作られており、映像美との相乗効果もあり、とにかく“見やすい”。新海誠作品の入門編としては、これ以上はないとも言えるだろう。男女が惹かれ合う恋愛作品として見ても、SF作品として見てもオーケー。三葉パートの田舎では神秘的な自然が、瀧パートの東京は新海誠らしい空が、ふんだんに使われた光の表現とともに描かれている。

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3.『言の葉の庭』

 2013年公開作。靴職人を目指す少年“タカオ”は、雨の日の午前は決まって授業をサボり、公園で靴のスケッチを書いていた。梅雨のある日、同じ公園で朝から缶ビールを飲む女性“ユキノ”と出会う。とくに約束もないまま、ふたりは雨の日だけ同じ場所で会うようになり、しだいに心を通わせていく。居場所を見失ってしまったユキノに、タカオは彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願う。

見どころ

 主人公たちの感情が天気に現れる手法は『天気の子』などでも使われているが、本作がいちばん目に見えてわかりやすい。全体の尺は45分ほどと短めだが、万葉集に詠まれた短歌を使った表現など、感情が濃密に詰め込まれている。

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4.『星を追う子ども』

 2011年に公開された作品。これまでとは異なり、ファンタジー要素が強い1本となっている。父の形見のラジオから聴こえてきた不思議な唄を忘れられない少女“アスナ”は、謎の地下世界アガルタから来た少年“シュン”に出会う。心を通わせたと思ったのも束の間、シュンは姿を消してしまう。もう一度会いたいと願うアスナの前に、シュンと瓜ふたつの少年“シン”とアガルタを探す教師“モリサキ”が現れる。3人はそれぞれの想いを胸に、アガルタへの旅に出る。

見どころ

 いわゆる冒険もの作品だけに、スピーディーな戦闘シーンが魅力。『君の名は。』や『天気の子』で新海誠作品に入った人からすると面食らうかもしれないが、どこかジブリ作品を思わせる設定や風景は、受け入れやすいと感じるはずだ。

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5.『秒速5センチメートル』

 2007年公開作品。引っ越しで離れ離れになった“遠野貴樹”と“篠原明里”のふたりを中心にストーリーが展開する。中学1年の3学期に鹿児島へ転校することが決まった貴樹は、大雪の降る中、明里に会いに行く……。ふたりの再会を描いた『桜花抄』、引っ越した後の貴樹を別の人物の視点から見た『コスモナウト』、そして、長い時間が過ぎた後を描く『秒速5センチメートル』という、短編3作から構成されている。

見どころ

 まずは、風景。日常のどこにでもある風景を美しく切り取り、「あなたたちが当たり前に見ているものは、じつはものすごく素敵なものなんだよ」と言われている気分にさせてくれる。そして、ストーリー。世代によって受け取りかたが変わると言われており、一度見た後に見返すとまた違った解釈ができる。何度も楽しめる作品だ。

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6.『雲のむこう、約束の場所』

 2004年に公開された新海誠監督初の長編作品。物語の舞台は本州と北海道が別の国として分断された日本。青森に住む少年“藤沢ヒロキ”と“白川タクヤ”は、海の向こうに見える巨大な白い塔に向かうことを夢見て飛行機を作る。同級生の少女“沢渡サユリ”とも塔まで飛ぶことを約束するが、サユリは謎の病で深い眠りについてしまった。サユリを救おうとするふたりの少年は、思いがけず塔と世界の秘密に近づいていく。

見どころ

 新海誠作品に共通してある“喪失感”と“分断”が非常にわかりやすく表現されている。“分断”の詳細にはネタバレが含まれがちなので、自身の目でどういったものかを探すのも新海誠作品の楽しみかたのひとつだろう。

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7.『ほしのこえ』

 2002年に公開された新海誠監督の劇場初公開作品。冒頭に5分ほどのショートアニメ『彼女と彼女の猫』が収録されている。ここ数年の新海誠作品にはない、SF要素強めの作品。地球外生命体と戦うため、国連宇宙軍に選抜された少女“長峰ミカコ”と彼女を待ち続ける少年“寺尾ノボル”の超遠距離恋愛を描いている。

見どころ

 本作以外では見ることができない新海誠のロボットアクションが見どころだ。地球外生命体“タルシアン”とミカコの乗るロボット“トレーサー”の戦闘シーンはほとんどひとりで作ったとは思えないほどの仕上がり。作品自体が25分と短めなので気軽に見れるのもポイントが高い。

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 以上が、新海誠監督の7作品だ。あなたが観ていない作品の中に、あなたに合った1作があるかもしれない。この記事が、そんな作品に出会えるきっかけになれたら幸いだ。