WFSが手掛ける、スマートフォン向けシングルプレイRPG『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、『アナデン』)。本作にて、2020年12月17日より、バンダイナムコエンターテインメントのRPG『テイルズ オブ』シリーズとのコラボクエストがスタートした。
“光陰の尾、四天の星々~Tales of Chronographia~”と名付けられたこのコラボクエストでは、『テイルズ オブ』シリーズ4作品より、クレス、ユーリ、ミラ、ベルベットがプレイアブルキャラクターとして参戦。さらにNPCとして、ミント、アーチェ、ラピード、ローエン、マギルゥも登場する。
また、スマートフォン用ゲームのコラボというと、期間限定で実施されることが多いが、『アナデン』では、無期限で楽しめる。さらに、コラボクエストを進めれば、クレス、ユーリ、ミラ、ベルベットを必ずパーティーに加入させられるのだ。これは、両作のファンにとってうれしいポイントだろう。
このコラボクエストにて、ふたつの作品の魅力をうまく掛け合わせるため、『アナデン』スタッフはどのように取り組んだのか。開発のキーマンである4名に、こだわりのポイントなどをうかがった。
田村宗一氏(たむら そういち)
2018年より『アナデン』のプロデューサーを務める。
竹嶋大輔氏(たけしま だいすけ)
『アナデン』ディレクター。コンテンツ全般のディレクションをしている。ディレクター就任前はフィールド制作と企画をおもに行っており、現在もフィールド面に関わることが多い。
江草天仁氏(えくさ たかひと)
『アナデン』アートディレクター。開発当初から、アートやイラスト全般に関わる業務を担当している。
チェー・シンウ氏
江草氏とともに、『アナデン』のアートディレクターを担当。今回のメンバーの中でも屈指の『テイルズ オブ』シリーズファン。
勝手に企画書を作ってしまうほどの熱量を持った開発陣!
――今回、『テイルズ オブ』シリーズとのコラボを行うことになったきっかけは?
田村『アナデン』のコンセプトのひとつに“スマホで往年の本格RPGを”というものがあり、歴史のある本格的RPGである『テイルズ オブ』シリーズとコラボは非常に相性がいいのでは、と思っていたんです。そこでバンダイナムコエンターテインメントの皆様にお声がけをしたところ、ご快諾いただけました。『テイルズ オブ』シリーズ25周年の節目にコラボさせていただけて、ありがたく思っています。
――コラボクエストは、無期限、かつコラボキャラクターは必ず手に入る仕組みになっていて、かなり太っ腹ですよね。
田村一般的なスマートフォン向けゲームでコラボをする際は、期間限定で、ガチャ形式でキャラクターを提供することが多いと思います。ですがコラボにおいて、我々は世界観やキャラクターをお借りしている立場です。コラボはあくまで『アナデン』を遊ぶきっかけとして皆さんにご提供し、『アナデン』のことを気に入っていただけたら、その後も継続して遊んでいただければ……と思い、このような形を採っています。また、無期限で許諾いただくのは本来、非常にハードルが高いのですが、『アナデン』の本気度とスタンスをご理解いただけた結果だと思っています。
――今回、『テイルズ オブ』シリーズの4タイトルから、クレスら4人が参戦しますが、コラボ参加キャラクターはどのように決めたのですか?
田村『アナデン』チーム内には、チェーを始めとして『テイルズ オブ』ファンが多く、彼らの意見を聞きながら、バンダイナムコの皆さんにもご相談して決めていきました。
チェーシリーズ25周年ですから、始まりとなる『テイルズ オブ ファンタジア』は外せません。また、(家庭用ゲーム機向けの)オリジナルタイトルの最新作である『テイルズ オブ ベルセリア』からも参戦させたいと思いました。そのほか、キャラクターのバランスや皆さんの意見を考慮して、今回の4人に決定しました。
――チェーさんは『テイルズ オブ』シリーズの大ファンとお聞きしました。
チェーはい。チーム内にはほかにもファンがたくさんいて、今回のコラボのお話が進む前から、“『テイルズ オブ』とコラボしたい会”といった名前のグループがありました。そのグループのチャットでは、「どうすればコラボが実現すると思う?」という話をしていて、あるチームメンバーが勝手にコラボの企画書を作ったこともあります(笑)。
――もしかして、その企画書をバンダイナムコエンターテインメントさんに持っていったとか……?
チェーいえいえ! それはもちろん社内用で、後ほど正式な企画書は作られています。でも、そういった活動もコラボのきっかけのひとつにはなっていますし、ふだんからそれぐらいの熱量でコンテンツ制作に関わっています。
――ちなみに、『テイルズ オブ』シリーズの中で、チェーさんがとくに思い入れのある作品は?
チェー『テイルズ オブ デスティニー』が、初めてプレイしたシリーズ作でしたので、やっぱり思い入れがあります。ほかにも『テイルズ オブ デスティニー2』、『テイルズ オブ シンフォニア』など、好きなタイトルはたくさんあります。
――そうなのですね。残念ながら、今回は『テイルズ オブ デスティニー』の主人公スタンは登場していませんが……もしコラボ第2弾があれば、スタンにも参戦してもらいたいですね!
チェーそうですね。もし機会があれば、スタンも『アナデン』の世界で見てみたいです。
――今回のコラボは、キャラクターだけでなく、スキットや秘奥義などを盛り込んでいて、あらゆるところに『テイルズ オブ』らしさを感じます。やはり、皆さんがそれだけ『テイルズ オブ』をリスペクトしているということなのですね。
竹嶋複数のシリーズのキャラクターが登場するので、作品単体だけではなく、『テイルズ オブ』シリーズらしい世界観を取り入れたいと考えました。また、スキットや料理、秘奥義を取り入れる際にも、ただシステムをそのまま持ってくるのではなくて、そこからキャラクターの魅力がより伝わるような作りを意識しました。
――『アナデン』として、チャレンジとなることが多かったのではないでしょうか?
竹嶋スキットでは、『アナデン』初のフルボイスで、コラボならではの会話を楽しめます。秘奥義も、アートとバトルの面から細かい表現調整をたくさん入れ、とても見応えのあるものができました。ほかにも、シリーズファンであればクスっとするものや、「これは外せないよね」と思えるような要素も取り入れています。そこもご注目いただきたいです。
――とはいえ、『テイルズ オブ』シリーズは長い歴史を持っていますから、要素をピックアップするのもたいへんですよね。
竹嶋デザイナーだけでなく開発チームにも『テイルズ オブ』のファンが多く、今回の協奏で実装するコンテンツ内容を決める際、いろいろな提案が大量に出てきてしまって、どれを採用するか困るほどでした(笑)。
『アナデン』と『テイルズ オブ』の融合によって、ゲームの幅が広がる
――『アナデン』と『テイルズ オブ』、両方の特徴をうまく融合させるために、注意したことはありますか?
江草今回のコラボを、どうすれば『アナデン』の既存のユーザーの皆さんにすんなり受け入れてもらえるのか、しっかりと考えました。スキットは初の機能ですし、秘奥義もこれまでにないカメラワークを活かした演出で、全体的にコラボクエストはリッチなものになっています。そこが、既存のユーザーさんから見て、浮きすぎていると感じられないように、バランスに気をつけました。
チェーコラボで大切なことは、双方のファンから見て違和感がないようにすることです。それを満たすため、コラボキャラクターの再現具合や、 キャラクターが『アナデン』の世界観に溶け込めているのかを、つねに考えていました。
――メインビジュアルなどは、『アナデン』らしさと『テイルズ オブ』らしさの両方を感じさせるタッチになっていますね。
チェーメインビジュアルは、『テイルズ オブ』シリーズのパッケージイラストを連想するような作りをイメージしました。一方、『アナデン』らしい黒色も使っているのですが、『テイルズ オブ』シリーズは水彩画のようなタッチが特徴で、黒はあまり使われていないので、色のバランスには気をつけました。
江草『テイルズ オブ』シリーズのキャラクターは、目力を感じる大きな目が魅力ですよね。ですが、『アナデン』のキャラクターは若干目の大きさを控えめにしているので、並んでも違和感のないように、バランス調整はこだわりました。
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— アナザーエデン 時空を超える猫 (@rpg_AE)
2020-12-16 18:00:01
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田村『アナデン』ではキャラクターを正面から見る機会が少ないので、スキットのシーンは開発当初は違和感があり、そこも調整しましたね。
――スキット用に、『アナデン』のキャラクターの絵も新たに用意されていますね。
チェーはい。目を閉じたり口を開いたりするシーンはもちろん、アニメーションにして違和感のないように中間段階の絵も用意しました。
――スキットはフルボイスということで、とても楽しみです。
竹嶋やはりボイスが入ると、キャラクターから得られる印象がグッと深くなりますね。『アナデン』のキャラクターについては、すでに詳しいはずなのですが、フルボイスだと新鮮味があって。
――スキットの内容についても、『アナデン』チームの皆さんで案を出し合ったのですか?
チェーはい。たとえば「クレスはダジャレを多くしたい!」とか、「ベルベットは猫アレルギーだから、それをネタにするといいのでは?」というように、作品を知っているからこその案がたくさん出てきました。
――さらに、料理まで再現されているとは驚きです。
竹嶋マーボーカレーなど、『テイルズ オブ』シリーズではおなじみのレシピが登場します。料理を続けていくと新レシピが生まれますし、『アナデン』のキャラクターが新料理のアイデアを出したりすることもありますよ。それと、『テイルズ オブ』ファンならご存じのワンダーシェフも登場するので、ぜひ楽しみにしていてください。
チェー料理に関するスキットでは、キャラクターたちの料理の腕前に関連するネタも用意しています。楽しみながら作らせていただきました。
――オープニングアニメーションと新曲についても、お話をうかがえますでしょうか。
チェーチーム内でも「『テイルズ オブ』なら、やっぱりアニメが見たい」という意見が出ていました。周りのファンたちとも「主題歌はDEENさんになるといいよね」という話をしていました。『夢であるように』(『テイルズ オブ デスティニー』の主題歌)は、僕のカラオケの十八番だったりするくらいで(笑)。その想いが通じて、正式にお願いすることになりました。
田村DEENさんには、こちらのいろいろな想いを汲み取っていただけて、ゲームにマッチするような歌詞を書いていただきました。曲調は、今風のテンポの速さもありつつ、DEENさんらしいものになっています。
チェーDEENさんらしい、すごくいい曲で、よくメンバーも口ずさんでいます。
――DEENさんの新規曲のほかにも、『テイルズ オブ』シリーズの楽曲をアレンジしたものなどが聴けるとか。
田村今回のコラボのために用意された楽曲は全部で18曲あります。
――18曲!?
田村はい。まずコラボクエストで聴けるバトルBGMが、『テイルズ オブ』シリーズの作曲家として知られる桜庭統さんの書き下ろしです。『テイルズ オブ』と『アナデン』のよいところを両取りしたような、コラボならではの曲に仕上げていただきました。そして、桜庭さんや、同じく『テイルズ オブ』シリーズで有名な田村信二さんに、『テイルズ オブ ファンタジア』などの曲を今風にアレンジしていただいたのが4曲、WFSで制作した新曲が4曲、その他9曲が『テイルズ オブ』からお借りした曲です。
――すごい力の入れようですね。
田村『アナデン』になじむように、新曲だけでなくアレンジ曲もエレキギターやバイオリンを生音で収録しているので、そちらもぜひ、イヤホンやヘッドフォンなどで楽しんでいただければと思います。
――ちなみに、コラボクエスト全体のボリュームはどのくらいでしょうか?
竹嶋ボリュームとしては、 今回新たに『アナデン』を初める方であれば、スキットや料理、サブクエストなどのコラボ要素も含めて10時間ほどかかるでしょうか。『アナデン』を長く続けてくださっているユーザーさんは、もっと早くクリアーできると思いますが、やり込むことで初めて聞けるスキットなどもあるので、すみずみまで楽しんでいただきたいです。なおスキットは、聞き逃しても後から見られる仕組みを用意しているので、ご安心ください。
――このタイミングで『アナデン』を始めた人でも、問題なくコラボストーリーを楽しめますか?
竹嶋はい。今回のコラボで登場する『アナデン』側のキャラクターは、アルドやエイミといった、『アナデン』序盤から登場するキャラクター数人に絞っています。ですので、「キャラクターがわからなくて、物語が把握できない!」と混乱することはないと思います。
江草とはいえ、やはりひとりでも多くの『アナデン』のキャラクターを登場させたかったので、途中で猫のヴァルヲもスキットに登場させることになりました。ヴァルヲだけ鳴き声なので、フルボイスと言っていいのか怪しいところですが(笑)。
――今回のコラボで挑戦したことが、今後の『アナデン』に活かされることはありますか?
江草このコラボでいままでの壁を破った感覚はあるので、この経験をこれからの『アナデン』にも活かしたいと思っています。秘奥義のカメラワークなど、今後の演出面で活用できる部分がありそうです。
チェー『テイルズ オブ』コラボに対する皆さんの反応を今後に活かしたいですね。
――最後に、『アナデン』と『テイルズ オブ』シリーズのファンに、このコラボをどう楽しんでほしいかを教えてください。
田村今回のコラボは『アナデン』としては新しい試みも多々あり、皆さんに「スマホRPGでここまでやる!?」という感想を持っていただけるのではないでしょうか。これをきっかけに『アナデン』を遊んでいただきつつ、歴代の『テイルズ オブ』シリーズに再び触れるきっかけにもなってもらえればと思います。
江草今回のコラボを通して、両方の作品に新しいものが生まれたのではないかと思っています。『テイルズ オブ』シリーズファンの方々にも『アナデン』を遊んでほしいですね。
チェーこのコラボでは、デフォルメキャラクターの構図も、原作のワンシーンを再現したりしているので、そういった細かいところにも注目していただきたいですね。『テイルズ オブ』シリーズ25周年記念のイベントとして、今回のコラボがファンの皆さんに喜んでいただけるものになれば幸いです。
竹嶋25年間も王道RPGを貫いてきた『テイルズ オブ』シリーズは、『アナデン』との親和性も高く、コラボもやりやすかったです。両方のファンにプレイしていただき、それぞれのキャラクターを好きになっていただければと思います。