次元の管理者の末裔である少女・キュビが、さまざまな世界を渡り歩くNintendo Switch用アクションアドベンチャー『QV(キュビ)』をレビュー(CFK/2020年11月26日配信/1650円[税込])。その特徴や魅力に迫っていきます。

Nintendo Switch 「キュビ(QV)」公式プロモーションムービー

シリアスな世界を歩むほんわか少女の物語

 本作の舞台となるのは、さまざまな次元がパイプのようにつながっている世界。それぞれの次元のバランスは次元の核と呼ばれるものによって維持されています。

 しかし、ある日突然次元の核がその動きを止め、次元のバランスが崩壊する危機に。次元の安定を保つ役目を担う種族の末裔である主人公のキュビは、次元の核をもとに戻すために、さまざまな次元を旅することとなります。

Switchアクションアドベンチャー『QV(キュビ)』レビュー。どんどん増えるギミックで頭を回転!
主人公のキュビ。

 と、キュビしだいで世界が滅ぶというシリアスな物語ですが、キュビはどことなくゆるい性格なので、ゲーム内ではそういったシビアな雰囲気は感じられず。物語に肩ひじを張らず、ゆるい会話や不思議な雰囲気ただよう世界を楽しめるタイトルとなっています。

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キュビと行動をともにする、ペンギンのバロン。
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さらに物語を進めると登場する謎の少女。

進むごとにバリエーションを増すパズルの数々

 公式にはアクションアドベンチャーというジャンルになっている本作。ですが、実際に遊んでみるとかなりパズル要素が多め。基本的にはステージ内の特定のポイント(踏むとゴールが開く)を通ってからゴールにたどりつくというのがルールになっており、そこまでの道筋にさまざまなギミックが用意されています。立方体のブロック“キューブ”を押してふさがっている道を開けたり、一時的に水の上を通れるようになるインクを使って道を作ったりとギミックは多彩です。

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画面上キュビの右上にあるのがキューブ。押して動かすことはできますが、引いたり横にスライドさせたりはできません。
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桶のような“インクの泉”にキュビが手にした筆を浸けると、一度だけ水の上に直線の道を作ることができます。

 なかでも特徴的なのが“遺跡”というモノリスのようなオブジェクト。そのままではただの障害物なのですが、キュビは遺跡を“ドア”か“ポータル”に変えることが可能。ドアにした遺跡は中央に穴が開いて自由に通れるようになります。

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遺跡をドアに変えて、奥のスイッチをキューブで起動。

 一方のポータルは、ふたつ一組で使うもの。ふたつの遺跡をポータルにすると、ポータルを通ってもうひとつのポータルに移動することが可能に。さらに、キュビをはじめとした操作キャラクターだけでなくキューブを移動させることもできます。

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キュビの右にある遺跡と、その下の遺跡をポータルにしたところ。リンクしているポータルは上部が同じ色に変化します。

 また、一度ドアやポータルにした遺跡を元に戻すことも可能。遺跡→ドア→遺跡→ポータルといった手順でドアをポータルにすることもできます。

 たとえばA、B、Cと3つの遺跡があったとしましょう(実際のゲーム内で個々の遺跡に名称はなし)。ここで、AとBをポータルにすれば上記のとおり、キュビやキューブなどをワープさせることができます。

 その後にAのポータルを遺跡に戻して、Cをポータルに変えるとBとCがリンクしたポータルになるため、A→B→Cとキューブをワープさせることが可能。遺跡をドアに変えて通るべきか、ほかの遺跡とセットでポータルにするか。ひとつの障害物に対して2種類のアプローチが用意されているため、見れば答えがわかるような単純なパズルになっていないのもポイントでしょう。

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ステージの構造は好きなタイミングで見渡せるので、ステージによってはポータルを使ったゴールまでのルートを実践する前に考えることもできます。

軽めのアクションがパズルのスパイスに

 一方でアクションアドベンチャーである以上、アクション寄りのギミックもいくつか存在しています。空中を動く床を落ちないように渡ったり、一定の場所を巡回している敵に見つからないように移動したり。本作に登場するアクション寄りのギミックは決して斬新なものではありません。ただ、本作の場合はこういったアクション要素にパズルが紐づいているというのがポイント。

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一度乗ると端まで強制的に運ばれる、動く足場。タイミングよく乗らないと、巡回しているペンギン(敵)の攻撃を受けることに。

 たとえば敵の視界に入らないように移動しつつ、巡回ルート上にある遺跡をポータルに。別の敵の巡回ルート上にあるキューブを、そのポータルまで運んでワープさせるといった具合です。全体的にパズルがメインで、アクションはパズルをこなすまでの疑似的な制限時間や焦りによる操作ミスを招くためのスパイスとして用意されている印象。落ち着けばできる、でも、落ち着けない。そんなシチュエーションがいくつも用意されています。

 ここまで書いてきた以外にもギミックは多数用意。ステージが進むごとにパズル寄り、アクション寄りともにギミックが増えていき、どんどんと複雑になっていきます。ですが、本作は任意のステージを初めてクリアーすると、新しいステージがひとつだけアンロックされる形式。初めて登場するギミックは、チュートリアルが用意されているなどのフォローがあるため、自然とギミックを理解しながら先に進めるようになっています。

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ステージ開始時にひと言だけアドバイスが表示されることも。
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物語が進むと、複数のキャラクターを操作してクリアーするステージも登場。

一定の手応えはありつつも詰まりにくい構造

 さまざまなギミックが登場する本作。1ステージのクリアーにかかる時間は序盤なら1分を切る程度、中盤でも3分弱でゴールにたどりつけるステージが多数と本作は冗長な作りにはなっていません。

これは自分が極端にパズルが得意という話ではなく、実績のひとつ“難しい!?”の条件が1ステージに5分滞在することから、意図的に短めにクリアーできるように作っているのでしょう。ただ、いくら短いと言ってもパズルが苦手だと詰まってしまうのでは? と思うことはあるかもしれません。

 ですが、本作のパズルはどこから手を付ければよいかわからないような構造にはなっていない印象。できそうな手段をひとつずつ試していけば、時間はかかるもののなんとかなります。また、高難度のパズルで見かける、一見進めているようでいてじつはステージ序盤のミスが最後に響くイジワルな仕掛けはなし。少し進めたことが確実にステージクリアーにつながっています。

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露骨に怪しい位置に置かれたキューブがあるなら動かしてみようと、自然とギミックの取っ掛かりに気が付ける作り。

 さらに、ステージ内にはチェックポイントが設けられており、Lボタン+Rボタンを長押しするとチェックポイントからのリスタートが可能。チェックポイントの配置は多すぎず少なすぎず、ステージ内のギミックを複数組み合わせて一段落といったタイミングや比較的ミスをしやすいアクションが求められる直前に配置されているので、失敗がストレスになりにくい構造をしています。

 そのほか、ステージ内に配置された妖精(ステージクリアーには関係なし)を捕まえるなど特定の条件を満たすと獲得できる“実績”も用意。特定の実績を獲得するとキュビの見た目をカスタマイズできるという要素もあって、かなり遊び応えのあるタイトルになっています。

Switchアクションアドベンチャー『QV(キュビ)』レビュー。どんどん増えるギミックで頭を回転!
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好みの見た目のキュビと冒険へ。

 また、2020年12月21日には新たにサンタ衣装を含む3つのコスチュームが実装。よりキュビの見た目にこだわれるようになります。ぜひ、プレイして手に入れてみてください。

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三つ編み(髪型)。髪型が三つ編みになります。デフォルト服装や好きな服装と組み合わせしてみてください。三つ編み好きなあなたにオススメ。
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カジノディーラー。背中まで作り込まれていて「うさ耳リボン」と組み合わせするととってもキュートです。
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サンタ帽子、サンタ服。この時期にピッタリのサンタスタイルのキュビも!