世界最大のプロバスケットボールリーグNBAを題材に毎年新作をリリースし、昨年(2019年)にはシリーズ20周年を迎えた『NBA 2K』シリーズ。その最新作となる『NBA 2K21』が、プレイステーション5でもハードのローンチに合わせて2020年11月12日に発売された。本記事ではプレイステーション5版でパワーアップした点と、トップクラスのスポーツゲームとして(2019年までのシリーズ累計売上は9000万本を超える)積み重ねてきた『NBA 2K』シリーズの魅力を紹介していく。

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体感ゼロ秒のロード時間&デュアルセンスがもたらす新しいプレイ感覚

 PS5版『NBA 2K21』を触ってまず驚かされたのが、試合へ向かう際のロード時間の短さ。PS4、Xbox Oneがメインプラットホームになってからの『NBA 2K』シリーズは、高水準なグラフィックで描かれたNBA選手が動きまくるため、チーム選択から試合開始までのあいだにそれなりのロード時間が必要だった。

 今年PS5版に先んじて発売された、PS4版の『NBA 2K21』も例外ではなく、筆者が自宅でクイックマッチを何度かプレイした際は(使用したPS4はCUH-2200AB02。いわゆる白色のPS4)、試合がスタートして操作可能になるまで、おおよそ15秒前後の時間がかかった。しかし、PS5版『NBA 2K21』のクイックマッチは、使用チームを選んだ直後に待ち時間なしで試合前のデモ(試合会場の風景やレポーターが登場し、実際のNBAの中継のような演出が流れる)が始まり、これをスキップしてしまえば即座に試合に移れる。つまり、PS5版『NBA 2K21』は、“体感ゼロ秒”のロード時間で試合が楽しめるようになっているのだ。

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“実写と見まがう”という文言がもはや定番になっているグラフィック、アニメーションも例年以上のアップ幅で進化。
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PS5版では光の表現が進歩しているのか、コートのテカり具合いや傷がよりリアルに見えるようになっている印象を受ける。

 操作面に関しては、PS5のコントローラー、デュアルセンスの機能、ハプティックフィードバックやアダプティブトリガーが効果的に使われており、過去作にはないプレイ感覚を提供してくれているのが特徴的。

 PS5版ではプレイヤー自身が操作している選手と相手チームの選手が接触すると、衝突時のインパクトや選手の能力(フィジカルの強さ)によってデュアルセンスがさまざまな強度で振動。また、相手選手とのマッチアップ中にハンズアップや腰を落としてのディフェンスでプレッシャーをかける、もしくは相手からプレッシャーをかけられると、アダプティプトリガーの機能によってL2、R2トリガーがはっきりわかるレベルで重くなり、ダッシュやポストアップといったアクションを行なう際の感覚が激変する。

 デュアルセンスならではの機能のおかげで、コントローラーでのゲームプレイながら“バスケをやってる感”がより味わえるようになっているのも、PS5版ならではの大きな魅力と言えるだろう。

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“デカくて強い”選手がぶつかればぶつかるほどデュアルセンスが反応。コントローラーの機能で選手の個性の一部分が表現されている。
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選手どうしの接触でプレイヤーの手元に負荷がかかる一方で、左右のアナログスティックの入力でさまざまなドリブル、フェイント、シュートを小気味よくくり出せる基本操作は健在だ。

盛りだくさんのゲームモード NBAのさまざまな魅力に光を当てる

 本作は20年以上続いてきたシリーズの最新作ということで、ハードと同時発売のローンチタイトルを購入した際にありがちな、ゲームのボリューム面で食い足りなさを感じることもない。

 まず収録されているチーム数が非常に多い。最新のデータに基づいた現代のNBA30チームが収録されているのはもちろん、各チームの1960年代から現在に至るまでのレジェンド選手が登録されているオールスター的な“歴代NBAチーム”、さらにNBAの歴史上で大きなインパクトを残した“ヒストリックNBAチーム”が67チームも用意されているなど、時代を超えたさまざまなNBAチームが合計133チームも収録されている。

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現役選手で構成されるチームは、現実のロースターが反映されたNBA30チームのほかに、2019-2020のオールスターチーム、USA選抜、世界選抜が用意されている。日本人NBAプレイヤーの八村塁選手は、所属するワシントン・ウィザーズ(写真1枚目)と、世界選抜(写真2枚目)のメンバーに名を連ねている。
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マイケル・ジョーダン、コービー・ブライアント、ジェームズ・レブロンといった長期に渡って活躍、複数の歴代NBAチーム、ヒストリックNBAチームに所属している選手は、所属チームの年代にあわせた外見が存在するうえ、その時代のプレイスタイルに応じた能力値が設定されている。
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前作から収録されるようになった女子のトッププロバスケットリーグ、WNBAも引き続き『NBA 2K21』に参戦。WNBA全12チームを使って試合ができるほか、本作からはオリジナル選手を育成するWNBA版MyCAREERモードも追加された。
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NBAとWNBAでバスケットボールの試合内容が微妙に変わるのもポイント。NBAの場合はフィジカルの強さを活かした少々強引なドリブル、ダンクなどが有効だが……。
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WNBAの場合は接触プレイでバランスを崩してのボールロストがNBAの試合より発生しやすいため、相手選手の間を突破するといよりはかわすような動きのドリブルや、ファウルをもらったあとのフリースローを堅実に決めていくようなプレイの重要度が上がる。

 豊富に用意されたチームを使ってCPU相手のクイックマッチやオンライン対戦をプレイするだけでも楽しいが、NBAが好き、知識があるというプレイヤーにとっては、中~長期的にNBAの世界を楽しめるモードが数多く用意されているのも魅力だ。

 経営者目線からNBAのシーズンを楽しめるMyGM、シーズンに参加するチームを筆頭に、サラリーキャップの有無や労使協定といった細かいディティールまでプレイヤーが決定したうえでNBAのリーグ戦をスタートできるMyLEAGUE、そしてカードパックを購入して自分だけのドリームチームを作り上げるMyTEAMなど、ひとりで遊び込める(MyTEAMに関してはオンライン対戦も盛ん)ルールのゲームモードが用意されている。

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MyGMで自分好みにカスタマイズできるポイントは試合数や一部ルール、シーズンオフに行なうドラフトや労使協定など多岐に渡る。
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MyTEAMはカードパックを購入して選手をゲットする、いわゆるガチャ要素の強いゲームモード。運は絡むが手軽にドリームチームを作れるのが楽しい。
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『NBA2K』シリーズをディープに遊ぶユーザーが多く集まるMyTEAMだが、CPUを相手にじっくりひとりで遊ぶことも可能。5対5の通常の試合形式はもちろん、3on3でのゲームプレイも楽しめる。

 バスケットボールに詳しくはないがPS5で遊べるゲームを探しているという人には、MyCAREERをオススメしたい。

 こちらはプレイヤーの分身となるオリジナル選手を作成してNBA入りを目指すゲームモード。選手の能力アップを狙う試合パートの合間にしっかりとしたボリュームのストーリーが展開されるほか、チームではなく選手個人を動かすため、操作の難易度が低いうえ、試合中の動きを査定されるがゆえに試合の状況に応じた適切なプレイというものを学びやすい。

 さらにMyCAREERで作った選手はバスケットボールにまつわるさまざまなゲーム、ハーフコートでの1on1や3on3、シュート対決、NBAクイズetc……が楽しめるオープンワールド、ネイバーフッドで操作するアバターとしても利用可能。こういったひとりの選手だけを操作するゲームモードの試合はスピーディーなアクションゲームのような感覚で遊べるので、MyCAREERから本作に入って通常の試合やMyLEAGUE、MyTEAMに移行して“バスケットボールゲーム”の楽しさを知っていくというのもアリだろう。

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選手ひとりの操作に集中できるMyCAREERは、シリーズ未経験者が遊びやすいゲームモードでもある。ゲームを始めたばかりだと戸惑いやすい、攻守の切り替え時の動き、とくにディフェンス時にどの相手選手をマークすべきかを教えてくれるのが〇。
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MyCAREERでプレイヤーの分身となるのは、父親がバスケットボール選手であることにコンプレックスを持つ“Jr”。物語は高校生からスタートし、大学に進学、もしくはNBAの下部組織的存在のGリーグしてNBAのドラフトにかかることを目指す。
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大学やGリーグ編までゲームを進めると、恋人候補が現れたり、SNSで絡んでくる厄介な(?)コメンテーターとひと悶着あったりなど、さまざまなイベントが発生する。
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バスケットボールゲームの基本的な攻防を肌で感じたい、スピーディーな展開に慣れたいという人は、ブラックトップで1on1やハーフコートでの3on3を遊んでみるのもオススメ。ネイバーフッドでほかのプレイヤーと対戦する際の予習にもなる。

 PS5が持つハードパワーを活かしたグラフィックに、新コントローラー、デュアルセンスの機能をゲームのプレイ感覚に直結する部分で体験できるうえ、長く遊べるボリュームも兼ね備えている『NBA 2K21』。バスケットボールが好きな人、スポーツゲームに慣れ親しんでいるという人はもちろん、今年に関しては「コントローラーを含めたPS5のスペックを知りたい」、「とりあえずPS5で遊びごたえのあるゲームがプレイしたい!」という人にもオススメしたい1本だ。