アニメライターが2020年12月現在放送中の作品からおすすめ作品を紹介します。今回レコメンドするのは、テレビアニメ『魔王城でおやすみ』。魔王城に幽閉された人間の姫君が、牢屋を抜け出し、魔王城で入手できるアイテムや魔物そのものを使って寝具を改良。最高の眠りを追求するという“新感覚睡眠ファンタジーコメディ”です。

 文句なしにおもしろくてかわいい作品なのはもちろん、このアニメ、“ゲームあるある”的なネタが楽しい、ゲーム好きにこそ観てほしい作品なんです。

 ファンタジー作品ということで『ドラゴンクエスト』などの定番RPG作品を彷彿とさせるネタが多めではあるものの、それだけではなかったり……本作をおすすめしたいおもな理由を箇条書きすると、以下の通り。

  • “人質として囚われた魔王城で快眠を追求する”という斬新な設定に注目!
  • かわいい見た目で傍若無人なスヤリス姫に抱腹絶倒!
  • 姫の行動はまるでシ◯ーマン!? ゲームネタの数々にニヤリ

 これらの要素が気になった方は、ぜひ本記事を最後までお読みください。

 なお本作は、Amazon Prime Video、Netflix、Huluなどの配信サービスにて見放題配信中。また、これらのサービスでの配信はテレビ放送から約1週間遅れで行われており、放送直後の最新話はU-NEXT限定で最速先行配信されています。

 U-NEXTの最速先行配信は非会員でも視聴可能なので、これらサービスを併用して最新話までイッキ見するのがおすすめです。

アニメ『魔王城でおやすみ』(Amazon Prime Video)
アニメ『魔王城でおやすみ』※最速先行配信(U-NEXT)

『魔王城でおやすみ』はこんなおはなし

アニメ『魔王城でおやすみ』はゲーム好きにもおすすめ。“ゲームあるある”を逆手に取った新感覚睡眠ファンタジーコメディ!
原作コミック『魔王城でおやすみ』1巻(画像はAmazonより)

 テレビアニメ『魔王城でおやすみ』は『週刊少年サンデー』で連載中の、熊之股鍵次氏が描くコミックを原作とした作品です。

 舞台は人と魔の者がともに存在する世界。ある日、魔王タソガレ(声:松岡禎丞)は人の国の姫・スヤリス(声:水瀬いのり)をさらい、魔王城の牢屋に幽閉します。魔王の望みは姫と引き換えに、この世のすべてを支配すること。

アニメ『魔王城でおやすみ』はゲーム好きにもおすすめ。“ゲームあるある”を逆手に取った新感覚睡眠ファンタジーコメディ!
魔王タソガレ(画像は公式サイトより)

 姫を想い、悲しみに暮れる国民たち。そんな中、勇者アカツキ(声:下野紘)は、姫を救出すべく立ち上がります。

 そして囚われたスヤリス姫はというと……そんな人々の動向はいざ知らず、魔王城の魔物たちの騒がしさと、牢屋に備えつけられた寝具の質の悪さに、快適な睡眠が取れず悩んでいたのでした。スヤリス姫は、“快眠”を求めて睡眠環境の改善にはげむことに。

アニメ『魔王城でおやすみ』はゲーム好きにもおすすめ。“ゲームあるある”を逆手に取った新感覚睡眠ファンタジーコメディ!
スヤリス姫(画像は公式サイトより)

 とある方法で牢屋を抜け出し、魔王城で手に入るものを駆使してつぎつぎとよりよい寝具を作り出していく、言うなれば“寝具DIY”を行っていくスヤリス姫。

 魔物たちの特殊な毛並みや体質は、姫に掛かれば肌触りのよい枕やシーツ、そしてそれらをつくるための裁縫道具に早変わり。ファンタジー世界を舞台にした作品で目にするような生き物たちが、次々と“快眠”のために利用されていく様子が、笑いを誘います。

 果たしてスヤリス姫は、どこまで快眠を追求していくのか? そして魔王城の魔物たちの運命やいかに!?

かわいい見た目で傍若無人なスヤリス姫に抱腹絶倒!

 一見かわいらしいスヤリス姫ですが、上質なシーツになりそうだと判断した“おばけふろしき”という魔物の体を容赦なく切断してしまうなど、その行動はまさに傍若無人。

 しかも向こう見ずなところがあり、よりよい睡眠を求めて魔王城を徘徊する中で、自身も何度か死亡。そのたびに、魔王城地下に備え付けられた教会で蘇生させられることになります。

 自分の命をかえりみずによりよい眠りを追い求めるあたりには、一周まわってカッコよさすら感じます(姫が死んだ場所ににゅっとお墓ができる演出もコミカルで、笑いどころ)。

『魔王城でおやすみ』OP主題歌『快眠! 安眠! スヤリスト生活』(Amazon.co.jp)

 姫に人質らしく大人しくしていてほしい魔王とその配下の者たちは、何度も彼女を注意しますが、姫はまるで聞く耳を持ちません。また、注意しようにも彼女の幸せそうな寝顔を見てしまうと、魔物たちは何も言えなくなってしまうのです。

アニメ『魔王城でおやすみ』はゲーム好きにもおすすめ。“ゲームあるある”を逆手に取った新感覚睡眠ファンタジーコメディ!
画像は公式サイトより

 姫のエキセントリックな行動にうろたえつつ、なんだかんだで彼女に情のようなものを感じはじめてしまう、魔王軍の面々のお人好しっぷりにも注目です。その気苦労の数々から、むしろ彼らのほうを応援したくなってしまうはず。

 対立する別の魔物にスヤリス姫を奪われた魔王たちが、必死で姫を奪い返そうとする第7話『もっと眠れぬ城の姫』は必見のエピソードです。

アニメ『魔王城でおやすみ』はゲーム好きにもおすすめ。“ゲームあるある”を逆手に取った新感覚睡眠ファンタジーコメディ!
画像は公式サイトより

ゲーム好きならニヤリとさせられる、ゲームネタの数々

 随所に差し挟まれる凝ったゲームネタの数々も、本作がずっと観ていて飽きない作品になっている理由のひとつ。

 姫や魔物たちが痛い目に合うたびに画面に表示されるダメージ値や、お目当ての寝具を手に入れるたびに現れるクエスト達成っぽい演出、姫の行動範囲が広がったときの「移動可能マップが追加されました」といった表示など、ゲーム好きならニヤリとしてしまう表現が目白押しです。

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画像は公式サイトより

 多くのネタは『ドラゴンクエスト』的なファンタジーRPGがベースになっている模様。しかし、姫が理想のシーツを求めて巨大なハサミをジョキジョキさせながら魔王城を徘徊する様子は、どう見ても『クロックタワー』シリーズの“シザーマン”! やっぱりスヤリス姫のほうが悪役っぽいじゃないか!

 アイテムとして3色のハーブが登場するあたりは『バイオハザード』シリーズっぽかったりと、本作にはホラーゲームネタっぽい要素もちょっぴり含まれています(原作者の熊之股氏がお好きなのでしょうか?)。

 また、姫を取り戻すべく魔王城への冒険を行っている、勇者アカツキ一行に関する描写もいちいちおもしろい。勇者の冒険のゲームバランスが崩れないように、魔王が道中で手に入るアイテムの強さを調整していることが明かされるというメタなネタも。ここでもまた、むしろ魔王たちの好感度が上がります。

アニメ『魔王城でおやすみ』はゲーム好きにもおすすめ。“ゲームあるある”を逆手に取った新感覚睡眠ファンタジーコメディ!
勇者アカツキ(画像は公式サイト)

 しかし姫が魔王城で勝手なことをしているせいで入手すべきアイテムが行き渡らず、ゲームバランスは崩壊。魔王の心づかいもむなしく勇者たちは理不尽な苦戦を強いられていたり……ただただかわいそうな勇者ご一行にまた笑ってしまいます。

 ちなみにエンディングテーマは、本作と同様にRPGネタ満載だった『魔法陣グルグル』の2017年版アニメでもおなじみのアーティスト“ORESAMA(オレサマ)”が担当。

 おしゃれなダンスナンバーが、本編で思い切り笑った後の余韻を爽やかに締めてくれています。かわいらしい映像も必見です!

『魔王城でおやすみ』ED主題歌『Gimmme!』(Amazon.co.jp)

 さまざまな魅力が詰まったアニメ『魔王城でおやすみ』。

 ここまでに紹介しきれなかった個人的な推しポイントとしては、ナレーションを声優の早見沙織さんが担当しており、彼女の声を聞くだけでこちらも安眠できそうな心地よさがある、という部分もお伝えしておきたいところです。

 いずれかの要素にピンときたなら、ぜひ視聴してみてください!

作品情報

キャスト

  • スヤリス姫:水瀬いのり
  • 魔王タソガレ:松岡禎丞
  • あくましゅうどうし:石川界人
  • レッドシベリアン・改:小林親弘
  • 勇者アカツキ:下野 紘
  • はりとげマジロ:小山力也
  • やしき手下ゴブリン:高橋伸也
  • ミノタウロス:山根雅史
  • フランケンゾンビ:相馬康一
  • ネオ=アルラウネ:大原さやか
  • かえんどくりゅう:黒田崇矢
  • ポセイドン:大塚剛央
  • ハーピィ:大橋彩香
  • シザーマジシャン:諏訪部順一
  • アラージフ:佐倉綾音

メインスタッフ

  • 原作:熊之股鍵次(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
  • 監督:山崎みつえ
  • 副監督:野呂純恵
  • シリーズ構成:中村能子
  • キャラクターデザイン:菊池 愛
  • 美術監督:中村千恵子
  • 音楽:橋本由香利
  • アニメーション制作:動画工房
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