前回(第6回)の日記はこちら
さて、お楽しみいただいた“大塚角満の『天穂のサクナヒメ』プレイ日記”も、いよいよ最終回である。
「ええええ!! もっと読みたいよぉ!!><」
「連載終わるの早すぎぃぃぃいいい!!!><」
という声が、全国の農業従事者および農林水産省からも編集部に届けられていると聞いたような気がするが、気のせいだろうか?(気のせいだよ)
確かに、『天穂のサクナヒメ』は少人数で作ったゲーム(ふたりで作ったと記事で読んだけど、信じられない……)とは思えぬほど要素が充実しており、この短期集中連載では書けていないことのほうが圧倒的に多い。ざっと抜き出してみても、
・サクナヒメの成長について
・武器を生産する“鍛冶”について
・サクナヒメが覚える数々のアクションについて
・仲間を素材探しに野に放つ採集について
・ペットのかわいさについて
・サイドストーリーについて
ボスとのバトルについて……って、ホントに何も書けてないなw ていうか、本業(?)のお米作りがおもしろすぎて、それに言及しているだけでプレイ日記の20本や30本はすぐに埋まっちゃうよなぁコレwww
明日のお米のために!
そう、現実世界の農業と同じく、『天穂のサクナヒメ』の作業は忙しさを極めている。
よく、
「作物作りに休日はないので、1年中、休むことなく田んぼや畑に出ているよ」
と、日に焼けた“いい顔”でインタビューに答える農業従事者の方々をテレビや雑誌で見かけるが、実際に自分も稲作を体験してみて(ゲームだけどさ)、おいしい作物を作ることのたいへんさをこの歳になって実感している次第である。
たとえば、俺が子どものころは近所の農家でもやっていたことだけど、『天穂のサクナヒメ』では田んぼに撒く肥料作りを“屎尿(しにょう)の回収”から行う。
いわゆる“ぼっとん便所”に溜まった排泄物を桶に汲み、それを“肥溜め”に入れて肥料を作成するのだ。
その際、化学的な添加物……たとえば腐った食材とか草とか、はたまた鉱石なんかも混ぜ合わせることで、肥料の栄養価を高めていく。
こうすることで稲の育成に劇的な好影響が出て、よりよいお米の収穫が期待できるようになる……という寸法なのだ。とはいえ、なんでもかんでも入れすぎると“毒素”が出たり、害虫が寄ってきやすくなったりするようなので油断は禁物。まだ俺も、アレコレと試しながら進めている段階なので確定的なことは書けないんだけど、こうやってイチから試行錯誤する時間がものすごく楽しいのである。
じつは何年も前から、テレビ朝日系で放送しているドキュメンタリー番組『人生の楽園』を観るのが楽しみでさw 第二の人生の楽しみを“田舎暮らし”に見いだした人たちの生活を追った企画なんだけど、多くの人が初めての畑仕事に挑戦していて、それがまたすばらしく充実した姿で捉えられていて、毎回鑑賞しながら、
「俺もいつか、田舎に帰って作物作りとモノ作りに没頭する毎日を送りたいなぁ~~~……」
そんなことを考えているのである。
今回、『天穂のサクナヒメ』を遊んで湧き出た感情は、この『人生の楽園』を見ているときに覚えるワクワクと完全に同種のものだったよ。
人の気持ちの奥底にある、“自分でモノを作りたい”、“できればおいしいものを作りたい”という潜在的な欲求を刺激しつつ画面に反映させているからこそ、こんなに楽しくハマれてしまうんだろうな、と。
とくに『天穂のサクナヒメ』は、“テレビゲーム”というインタラクティブなメディアで形になっているので、試行錯誤しながらお米作りの疑似体験ができるのがたまらなく刺激的だ。それも、牧歌的ながらドタバタしたストーリーを楽しみつつ、
抜群のデキのアクションゲームも遊びながらなんだから、
ついついハマり込んでしまったとて、誰にも責められないと思うのである。
プレイ日記はこれにて終了となるが、俺は最良のお米を目指して、いまでも田んぼにくり出している。
コシヒカリやつや姫、青天の霹靂や銀河のしずくのような“特A米”を生み出すために、今日もせっせと肥汲みに精を出すぞ!!w お米作り、サイコーーーー!!!w
ではまた、どこかの田んぼで会いましょう!
『天穂のサクナヒメ』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『天穂のサクナヒメ』(Switch)の購入はこちら (Amazon.co.jp)大塚角満(おおつか かどまん)
元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。2017年に独立。編集部時代から現在に至るまでゲームエッセイを精力的に執筆し、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』、『折れてたまるか!』など、多数の著作がある。
©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc