前回(第1回)の日記はこちら
『天穂のサクナヒメ』の人気が、当局(俺のことだけど)の想定以上のものとなっている。
なんでも、ネット上の盛り上がりに感化された人もいるのか購入希望者が殺到し、パッケージ版については品切れになっているショップも少なくないとか……。
この状況を見て、オノレの先見の明をホメてやりたくなる気持ちもなくはないが、何より、
「『天穂のサクナヒメ』、マジでいいゲームじゃから、ひとりでも多くの人に触ってほしいのう。それが達成されつつあるようで、わらわも胸を撫でおろしておる。良きかな、良きかな」
と、サクナヒメ風に喜んでいる次第である。
さて、プレイ日記2回目となる今回も、序盤の序盤に体験することをボチボチと記事にしていこうと思います。
ゲームの両輪
『天穂のサクナヒメ』というゲームは、くどいようだが大きく分けてふたつのパートからなっている。
ひとつが、ガチャガチャ操作でも気持ちのいいコンボが出まくる、爽快無比なアクションゲームのパート。
伸縮自在の羽衣をビョンビョン伸ばして敵や地形にくっつけ、粋でいなせな移動をしたり、派手で痛快な攻撃に応用したりと、これだけで1本の良作として成り立つくらい丁寧なアクションゲームに仕立て上げられている。
キャラ1体1体の挙動も細かく作り込まれている滑らかな動きはとくに出色なので、美しい背景ともどもぜひじっくりとチェックしてほしいと思ったね。
そしてもうひとつが、ある意味、現在の『天穂のサクナヒメ』の盛り上がりの9割以上を担っている“シミュレーションゲーム”のパートである。
その名も、“お米作りシミュレーション”。
比喩でも冗談でもなく、ガチのマジでサクナヒメ(つまりプレイヤー)は、おいしいお米を作らなければいけない。
「な、なんで作物を本気で作らないといけないの……?」
と疑問に思われるかもしれないが、作らないことには始まらない世界観になっているんだから、万難を排してでも稲作をしなけりゃいけないんですよこのゲームは!!w
でも一応、皆さんに米作りの必然性を植え付けるためにざっと説明しておくと、そもそも主人公のサクナヒメは日本神話に登場する女神様のひとり、“木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)”なんじゃないかと思われる。富士山本宮浅間大社と日本の各地にある浅間神社に祀られている絶世の美女と呼ばれる神様で、“桜”の語源になったと言われることでも有名だ。農業や漁業、安産なんかも司っているとされているので、まさにサクナヒメのモデルとしてピッタリなのである。
そんなエラい女神様がなにゆえ天界を放逐され、一般ピープルといっしょに米を作ることになったのかは……楽しいオープニングを見てもらえれば一目瞭然なので、ぜひ購入のうえ鑑賞してほしい。
まあ、↓こんな感じなんだけどw
とにもかくにも、サクナヒメは人間の仲間(?)といっしょに農業に精を出し、その合間に鬼退治に出掛けて素材や食べ物をかき集めてこなければいけない……という、非常に多忙な神様になったというわけだ。
で、各所で話題の米作りシミュレーションのパートだけど……これがもう、ちょっとたいへんなことになっている。
未プレイの人が、
「米作りシミュレーションがリアルと言っても、しょせんゲームなんだし、こんなもんだろうな」
と予想した“こんなもん”を、優に30倍くらい膨らましても足りないくらい本気の農業に挑まなければならない。正直、シミュレーション部分に出てくる“ガチ農業用語”の10分の9以上はわからず、
「俺はいま……何をしているんだろう……??」
と困惑することもしばしばなのだが、この振り切りまくったゲームデザインにはちょっと感動すら覚えてしまった。
前回の日記でも書いたが、サクナヒメは稲作をし、お米を収穫、加工(今後詳しく触れていくが、ここもブッ飛んでいる)することで能力が成長していく。攻撃力もHPも、“いいお米”を作ることでより効果的に伸びていくのである。
そう、戦闘と米作りこそ『天穂のサクナヒメ』というゲームの両輪で、どちらもおろそかにすることはできない。リアル世界でも、いい肉、いい魚を食ったりすると身体の底から力が漲ってくる感じを覚えるが、サクナヒメのスイッチはあくまでもお米なのだ。
「強くなるために、まずは米作りをがんばらなければ!!」
ということで、本気の稲作をやらねばいけないのである。
次回から“いかにしてガチの米作りをしているのか?”という部分に言及していきたいと思う。
次回(第3回)の日記はこちら
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元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。2017年に独立。編集部時代から現在に至るまでゲームエッセイを精力的に執筆し、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』、『折れてたまるか!』など、多数の著作がある。