大手ソーシャルネットワークサービス(SNS)のFacebookが、Google(Stadia)やAmazon(Amazon Luna)に続く新たなクラウドゲームサービスを提供開始した。
このサービスは同SNSのゲーム関連のブランドFacebook Gamingのもと、まずはAndroid版アプリとWeb版が提供される。またアメリカの一部州・地域(※)のみが対象となっており、今後全米に拡大予定となっている。
※カリフォルニア、テキサス、マサチューセッツ、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、ロードアイランド、デラウェア、ペンシルバニア、メリーランド、ワシントンD.C.、バージニア、ウェストバージニアの各州および特別区
Introducing our take on cloud gaming where we hope to make it easier to play games instantly on Facebook Gaming.… https://t.co/aAz8GnVWRs
— Facebook Gaming (@FacebookGaming)
2020-10-26 21:04:04
ゲーム部門を率いるジェイソン・ルービン氏による公式発表記事では、同社のユニークなスタンスが多くの「我々は○○するのではない」という項目で示されている。その概要をご紹介しよう。
- 1. 大げさな約束でがっかりさせない
- クラウドゲームの長期的な未来は信じているが、一般に広く利用されるようになるまでにはまだまだやるべきことが多い
- データセンターや圧縮アルゴリズムや解像度やフレームレートを喧伝するのではなく地道にやっていくという論調
- 2. 現行のゲームハードを置き換えようというわけではない
- クラウドゲームは将来的に優れたゲームをすぐに遊ぶための選択肢になりうるだろうと信じているが、家庭用ゲーム機やPCゲーミングや(高性能な)モバイル用のネイティブアプリを置き換えるものではない
- クラウドゲームで遊んでみるのがいい時というのも起こりえるが、そうでない時もあるだろう
- 3. できることから始めて、そこから広げていく
- クラウドゲームは現在Facebookが提供しているゲーム体験を広げるもの。だからまずはFacebookで遊ばれている、主にモバイル向けの基本無料ゲームから始める
- プレイするためのコストもかからない(ただし広告付き)
- 将来的にはより幅広いタイプのゲーム(可能性としてはすべてのタイプのゲーム)をサポートできるようにシステムやインフラを強化していく
- クラウドゲームは現在Facebookが提供しているゲーム体験を広げるもの。だからまずはFacebookで遊ばれている、主にモバイル向けの基本無料ゲームから始める
- 4. 本体から独立したクラウドゲームサービスをスピンオフするわけではない
- すべての提供クラウドゲームは現行のFacebookのゲームと同じような形でプレイできるもの
- 特別なハードウェアやコントローラーは不要で、モバイルではタッチ操作で、PCではマウスとキーボードでプレイできる
- HTML5を通じて提供されているインスタントゲームと同じようにクラウドゲームがそれと気付かれないような形でプレイされるのが理想
- すべての提供クラウドゲームは現行のFacebookのゲームと同じような形でプレイできるもの
- 5. 現時点ではiOSでは提供しない
- 現時点ではiOSではローンチしないが、iOSで可能にする方法がないか模索していく
- Appleがクラウドゲームに求めるポリシーに従った形でApp Storeに出せるかはわからない
- Webブラウザ経由で遊んでもらうという手があるが、iOSデバイスのSafariでできることは限られている
- 現時点ではiOSではローンチしないが、iOSで可能にする方法がないか模索していく
というわけで、「クラウドゲームサービスがすべてを置き換える」といった極端な論調で語られることも多いクラウドゲームだが、ルービン氏がもともとゲーム業界出身(ノーティドッグ共同設立者)ということもあってか、「あくまでモバイルゲームを気軽に遊べる所から」というかなり地に足のついた物となっているのが印象的だ。
最初の提供タイトルとしては、Gameloftのレースゲームである『Asphalt 9: Legends』や2K Gamesのカードバトルゲーム『WWE SuperCard』、レッドブルのレーシングアクションゲーム『Dirt Bike Unchained』などが挙がっている。2021年からアクションゲームやアドベンチャーゲームなども追加されていく予定で、ゲーム内の課金や広告手段なども拡張されていくようだ。