2020年10月29日にDMM GAMESよりプレイステーション4向けに発売予定の『セインツロウ:ザ・サード リマスタード』を先行プレイ。その見どころを紹介していきます。

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アウトローになりきって、好き勝手に遊びまくれ!

 本作は人気クライムアクション『セインツロウ』シリーズ第3作のリマスター版。リマスター版の名の通り、すべてのキャラクターはもちろん、舞台となるスティールポートを走り回るさまざまな車両、プレイを彩るユニークな武器(武器はすべてゼロからフルリメイク!)の映像表現も格段に美しくなりました。

 さらにプレイを盛り上げるド派手な爆破などの演出も強化され、『セインツロウ』の世界に没入できること間違いなしのクオリティーに仕上がっています。

 さて、いきなり本作から遊ぶという方に軽く説明すると、前作である街を手中に収めたストリートギャング“サードストリートセインツ”は企業と合併。裏社会だけでなく表舞台でも成功をものにしていました。

 そんな折、犯罪組織“シンジケート”に不利な交渉を仕掛けられて、当然決裂。交渉は銃撃戦へと変わり、最中に仲間を失ってしまいます。借りは返さなければ、ギャングの名がすたる! “セインツ”のボスである主人公(=プレイヤー)は“シンジケート”のお膝元である“スティールポート”で活動を開始します。

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 と、前作から続くストーリーはあるのですが、とりあえずは頭の片隅に置いておけばOK。

 完璧に忘れてしまっても問題ありません。重要なのは、「ギャングが今回も大暴れ! 舞台が変わったので前作までを知らなくても大丈夫!!」ということ。

 実際、自分は『セインツロウ』や『セインツロウ 2』を未プレイなのですが、オープニングのデモシーンが終わるころには独特のノリに飲まれるかのように「俺はギャング!」という立場がしっくりきていました。

 むしろ必要なのは「ヒャッハー!!」のひと言で表されるような、バイオレンスで頭の悪い方向への気持ちの切り替えです。街中での銃撃戦にカーチェイス、ときにはミサイルや戦車を持ち出して暴力、暴力、暴力と悪事に酔いしれてこそクライムアクション。いい子ちゃんぶって遊ぶのはもったいないですね。

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悪事に手を染めれば次の悪事への道が開かれる

 本作はオープンワールドのタイトルだけあって、街中を自由に探索して手中に納めるという部分に大きな比重が置かれています。街を手中に収める手段は大きく分けて、抗争と買収の2種類。敵対組織のギャングの拠点を奪ったり、ショップを買収したりしていくとそれらの施設から定期的に収入が入るようになります。

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 お金は新たな買収や武器の新調。そして主人公の能力を高める“アップグレード”にも使うもの。そのため、抗争や買収が主人公や“セインツ”の成長につながっていきます。成長すれば当然抗争は有利に。街を掌握していくことが、その後のプレイを快適にする要素につながっています。

 また、もうひとつ重要なのが悪事を中心とした行動で貯まる“リスペクト”の存在。リスペクトは抗争や街中で発生するイベントの解禁条件に紐づいており、一定のリスペクトが貯まるごとに街中でできることが増えていきます。

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 このように成長とゲームの進行の両方が、抗争などの街中でのメインの遊びとつながっているのが非常に魅力的。広大な街で好きなように遊んでいると自然と新しい要素が解禁され、その新しい要素には好きなタイミングで触れればよいという作りがレールに沿わない自由な遊びかたにつながっています。

頭を空っぽにできるインチキ兵器の数々!

 そしてリマスター版の特徴のひとつとなるのが、『セインツロウ:ザ・サード』のDLCに収録されていた武器や車両などが最初から使える点。そのどれもが、とは言いませんが選んで使えば余りに強力なものが用意されています。

 たとえば戦車。一応は一般的な街が舞台になっている本作において、かなり場違いな代物です。敵対組織との抗争に持ち込めば、敵のライフルなどものともしないで逆に機関銃で蹂躙。敵増援が自動車に乗ってやってきたとしても、主砲一発でズドン! です。もっと言えば主砲を使う必要さえなく、真正面からぶつかれば敵車両は戦車の下敷きに。乗っていた敵ギャングとともに簡単に藻屑と化します。

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 もっと極端な手段を取ろうとするなら、抗争地点に戦闘機で向かって機銃やミサイルでボコボコにすることも可能。「俺tueeeeee!!」と遊びたいなら打ってつけの兵器が揃っています。

 本作はリマスターに際して爆発のエフェクトなどのビジュアル面が強化されていることもあり、こういった兵器の美麗さやド派手な爆発(ギャング付き)がゲーム冒頭から楽しめるのは気持ちがよいですね。

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 ただ、正直なところ、これらの兵器や強力な銃器が最初から使えることでリマスター前の『セインツロウ サード』における抗争のゲームバランスは本作においては崩壊しています。

 RPGでたとえるなら、最初から伝説の剣やら鎧やらを持っているようなもの。ヒリヒリした抗争を楽しみたいなら少し自重が必要かもしれません。

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 とはいえ、同じくDLCによってトロフィーが入手できなくなる代わりに主人公が無敵になったり、弾薬が無限になったりする“チート”が最初から使用できるのでゲームバランスがどうこうと言うのはナンセンス。

 気持ちよさを重視するのか、あえてDLCの兵器に手を出さずに楽しむのかはプレイヤーしだいといったところでしょう。ところで、いまの時代に裏社会で成功したギャングが何を乗り回しているか知っていますか? 高級リムジン? イカしたバイク? なにをおっしゃる。

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 魔女のホウキですよね! こういった少し目を疑うような乗り物も序盤から使用できるのがリマスター版の魅力。同じくDLCの要素である多彩なコスチュームと合わせて、お好きなコーディネートも楽しめるようになっています。

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「どうも。見てのとおりのギャングです」

 さらにDLCで追加されたミッション3種類も収録。さすがにメインストーリーに紐づいたミッションよりも短い内容ですが、メインストーリーは比較的シリアスであるのに対してDLCミッションはかなりオバカなノリのシチュエーションが豊富。

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 ただ、このDLCミッションがあらかじめ収録されていることで気になったのは、本来のミッションとDLCミッションが並列で表示されているため、何をすれば物語が進むのかが少しだけわかりにくいという点。せっかくなので、ここで書いておきましょう。メインストーリーを進めたければいちばん上に表示されているミッションを進めればOK。ほかのミッションはDLCで追加されたものです。

 オープンワールドのクライムアクションが持つ自由度の高さに、トンデモ兵器や現実ではまずあり得ないシチュエーションが加わったおバカで悪いノリ。そこにゲームバランスを考えていないDLC武器の収録が加わり、本作はとにかく自由に遊びたいときに遊びたい部分を楽しめるゲームになっています。アウトローらしく、決まったレールに無理に乗ることなく好き勝手に遊ぶのに最適なタイトルでしょう。