アニメ的な演出を多く取り入れたリッチなアドベンチャーゲーム
いまから24年前の1996年(平成8年)9月27日は、セガサターン用ソフト『サクラ大戦』が、セガ・エンタープライゼス(当時)から発売された日。
『サクラ大戦』は原作・広井王子、脚本・あかほりさとる、キャラクター原案・藤島康介、キャラクターデザイン・松原秀典、音楽・田中公平という豪華スタッフで制作されたドラマチックアドベンチャーゲームです。
ファミ通2020年6月25日号のセガ60周年特集企画の「もっとも思い入れが深いセガハードのゲームタイトルは?」という質問では『サクラ大戦』が見事に1位を獲得しており、多くのユーザーに愛されている作品であることが分かります。
もともとはレッドカンパニー(現・レッド・エンタテインメント)が考案していた『桜』というボードゲームの企画が前身。セガがレッドカンパニーにキャラクターゲームの製作を依頼したときに『サクラ大戦』と名前を変えて開発することになりました。
設定などはレッドカンパニーが手掛けており、実作業については初期の『ファンタシースター』シリーズやセガサターン版『魔法騎士レイアース』などで知られるセガ第二CS研究開発部が担当していました。
物語の舞台は文明開化から50年後の大正時代の日本がモデルの“太正時代”。西洋文化と日本古来の文化が入り交じったモダンな街並みと蒸気の発達した高度な文明が特徴で、夜は怪物や呪術が跋扈するという幻想世界です。
プレイヤーは、昼は大帝国劇場のスターという顔を持つ帝国華撃団・花組のヒロインたちを率いる隊長。彼女たちとともに霊子甲冑を操り、悪と戦うことになります。
ヤキモチ焼きな隊員・真宮寺さくらや高飛車なお嬢様の神崎すみれ、クールな男装の麗人、マリア・タチバナなど隊員はどれも個性豊か。ただ、それ以上に印象に残るのが主人公=プレイヤーの大神一郎。正義感が強い熱血漢で格好いい人物ですが、「い、いかん……体が勝手に…」と言いながらお風呂を覗くコミカルな一面も。『サクラ大戦』と言えば、隊員よりも大神の顔が浮かぶという人も多いのではないでしょうか。
ちなみに美少女がたくさん登場するためギャルゲーっぽい『サクラ大戦』ですが、公式のジャンルはドラマチックアドベンチャーゲーム。そのため、当時は基本的に美少女ゲーム誌には載っておらず、総合ゲーム誌のギャルゲーコーナーなどにも載っていませんでした。キャラクターもヒロインではなく隊員が正式な呼称だったりします。
ゲームは、隊員との日常生活を楽しめるアドベンチャーパートと、俯瞰視点のバトルパートの二部構成。1話完結型のストーリーで次回予告があるなど、TVアニメを意識した演出が特徴でした。
アドベンチャーパートは会話システム“LIPS”を搭載。これは制限時間付きの選択肢で、短い時間で選択を迫られることもあれば何もしないタイムアップが正解の場合などもありました。
バトルパートは攻撃や防御、必殺技のほか、一定の条件を満たすことで大神と隊員の合体技が使用可能。この演出がかなりぶっ飛んでいて、最初に見たときは唖然としました。
さて、『サクラ大戦』といえばマルチ展開が特徴。アニメやドラマCD、小説など多方面に展開されましたが、やはり特筆すべきは出演声優陣がキャラクターを演じた舞台“サクラ大戦・歌謡ショウ”ですね。
いまでこそゲームの舞台化は珍しくないですが、歌謡ショウはその先駆けとも言えるものでした。また、当時としては声優陣が表に出ることはあまりなかったため、その点に関しても新しかったです。
現在、歴代の舞台が“AmazonPrime Video”で配信されているので、こちらもぜひチェックしてみてください。
シリーズのナンバリングタイトルは2005年の『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~』まで続き、2008年にニンテンドーDSで発売された『ドラマチックダンジョン サクラ大戦 ~君あるがため~』から長らく新タイトルは途切れることに……。それが、2019年に『新サクラ大戦』が発売されました。過去シリーズを知らなくても楽しめるように作られていますが、物語はしっかり地続きになっているので、ぜひ両方いっしょに楽しんでもらいたいですね。
また、9月2日には新たな『サクラ』プロジェクトとして、セガとディライトワークスが共同制作する『サクラ革命』も発表されました。こちらも期待が高まります。