2020年9月16日に配信開始となるDMM GAMESのブラウザ&スマホ向けオンラインRPG『ミストトレインガールズ~霧の世界の車窓から~』。シナリオを小説家の日日日氏と川添枯美氏が担当しており、個人的にはストーリー面に期待しているタイトルだ。ひと言で表現すると「ストーリーがぐっと来る、霧と列車と美少女のRPG!」といった感じだろうか。
日日日氏
シナリオライターとして『プリンセスコネクト!Re:Dive』や『あんさんぶるスターズ!』に参加。
川添枯美氏
シナリオライターとして『フラワーナイトガール』や『ガールズシンフォニー~少女交響詩~』に参加。
ストーリー導入
謎多き“幻霧”による滅びが迫りつつある大陸・イリスクラウド。未来を切り拓くため、五大国は霧の中を走行できる“ミストトレイン”を動かせる唯一の存在である主人公(プレイヤー)を中心に、精鋭部隊“特鉄隊”を組織する。
主人公は特鉄隊に所属する適格者“トレインナイト”の少女たちと絆を深めながら、世界各地で霧が起こす事件や謎に立ち向かう。
数々の冒険の中で、まだ未熟な主人公やトレインナイトの少女たちが互いに助け合い、成長していく。ザ・王道の展開に、ぐいぐいと引き込まれる。実力派作家が書き上げたテキストと、まるでアニメのように動くキャラクターたちの魅力によって、物語が力強く伝わってくる。
プレイしているうちに、筆者は自然と世界観とストーリーにどっぷりと没入。先の展開が気になりすぎて、ふと気が付くと、すでに実装されている分のストーリーを一気に読み進めていた。
ストーリーの主軸となるのは霧にまつわるエピソードだが、見どころはそれだけではない。メインヒロインとなる5人の少女を中心とした、キャラクター同士の友情物語にも要注目だ。読み進めるごとにキャラクターへの感情移入が深まり、ところどころに挟まるユーモアあふれる掛け合いに、思わず頬が緩む。
かと思えば五大国の思惑も主人公たちの冒険に絡み出すなど、予想外の展開も重なって退屈しない。盛りだくさんのストーリーがすっきりまとめられており、自然と引き込まれていく。まるでアニメを見ているようだ。
なお、トレインナイトたちにもそれぞれにストーリーが用意されている。ボリューム的にはやや抑えめで、さらりと堪能できる。読み終える頃には、しっかりそのキャラクターへの愛着が深まっていた。
物語を楽しむ邪魔にならない快速育成!
ストーリーが魅力的と語られるゲームでは、こんな意見を聞くことがある。
「バトルや育成が難しくていちいち進行が止まるから、ストーリーが進められない」
「そもそもゲーム部分必要?」
本作ではその心配は無用だ。育成やバトルのテンポがよく、“進行が止まる”ことは滅多にない。ストーリー上で発生した強敵とのバトルにもスムーズに移行できるどころか、バトルが物語に没入するための一要素として機能しているのだ。
以降はそれぞれの要素について個別に解説していこう。バトルの基本なども大事だが、まずはキャラクター育成について。
キャラクターの能力値は、“本人”と“レイヤー”で別々になっている。レイヤーとはキャラクターが着る洋服のようなもの。レイヤーはガチャやバトル報酬で入手でき、A、S、SSのレアリティ―が割り振られている。パーティー編成の際には、どのキャラクターのどのレイヤーを使うかを選ぶ。
詳しく言うと、特鉄隊に所属している各トレインナイト“本人”がレイヤーとは別に存在しており、そのキャラクターが見せるさまざまな姿が各レアリティーごとのレイヤーということになる。
本人は当然ひとりしかいないので、AとSSなど、同じキャラクターの別レイヤーを同時にパーティーへ編成することはできない。
本作では、この“本人”が、物理攻撃力やHPなどの能力値を持っている。では、レイヤーに何が設定されているかと言うと、そうした各能力値に対する“補正”と、戦闘中に使用できる“スキル”、持っているだけで常時発動する“アビリティー”だ。
トレインナイト本人に基本能力値が、レイヤーが補正効果を持っているのが、育成において重要だ。
本人の能力値は、バトルや派遣任務(※)の終了時にランダムで上昇する。つまり、メインストーリーを進める中でバトルをこなしていれば、自然と上がっていくのだ。
※派遣任務:キャラクターを送り出すと一定時間が経過した後に帰還し、成長するコンテンツ。
基本能力値がキャラクターの強さに与える影響はかなり大きい。とくに派遣任務では大きく上昇するため、似たジャンルのほかのゲームと比べても、成長スピードはかなり速く感じた。
一度、とあるクエストで敵が強くてボロ負けしたが、数回ほど派遣をくり返して再挑戦してみたら、あっさりと突破できたほどである。
帰還要請書を使って派遣を10回くらいくり返すだけでも、能力値がガンガン上昇し、キャラクターは一気に強くなる。新たにレイヤーを手に入れ、さっそく使いたいキャラクターがいる場合などでも、すぐに即戦力にまで鍛えらえるはずだ。
正直、メインストーリーをさくさく進めるうえでは、バトルと派遣での能力値育成だけでも十分。育成にまったく手間がかからず、その分ストーリーに集中できる。
そんなお手軽なシステムだけでは終わらず、そこに各レイヤーの強化を加えることで、育成の楽しみを味わうこともできるわけだ。
レイヤーは“レベル”、“ギアレベル”、“思い出ランク”、“スキル育成”の4つを強化可能。
レベルはその名前の通りレイヤーのレベルで、戦闘や派遣で手に入る“EXP”を消費することで上げられる。EXPはどのレイヤーを使っていても本人に溜まっていき、好きなレイヤーに使用することができる。
ギアレベルはレイヤーが持つもうひとつのレベル。上げるにはそのレイヤー専用の“ギア”というアイテムが必要だ。これはサブコンテンツ“自主練”や、ショップの一定時間ごとにラインナップが変わる“掘り出し物”で入手できる。
このように書くと入手が面倒に思えるかもしれないが、心配は無料。どのレイヤーのギアレベル上昇にも使える共用アイテム“ミストギア”が頻繁に手に入るからだ。これを活用すれば育成がストレスになることはない。
思い出ランクは、いわゆる主人公との親密度だ。こちらもクエストやミッション、掘り出し物などで大量に手に入るケーキ類をあげることでガンガン上げられる。
キャラクターごとのサイドシナリオが解放されるので、キャラクターへの愛着を深める意味でもぜひ上げまくってほしい。
スキル育成については、使用するアイテムがかなりゲームを進めないと手に入らないので、ぶっちゃけメインストーリーを実装分の最後まで進めるまで気にしなくてもいい。
ここでアイテムを使ってスキルを覚醒させると、使用時に消費するSPが減るという大きな利点があるので、高難度のクエストに挑む際にはぜひ強化したい部分ではある。
こうした「あとで強化しておきたい」部分としては、武器や防具の強化もそれにあたる。装備はメインストーリーを進めていると自然と入手可能。クエストで手に入る強化アイテムで装備のレベルを上げることができ、レベル上限に達したら日替わり素材クエストの報酬アイテムで進化させ、また強化し直す……と、くり返すのが基本だ。
このシステムは、ほかのタイトルにおけるキャラクターの“限界突破”などを絡めた育成システムに近い。コツコツと積み重ねる育成要素が本作でも楽しみたいという人には、ぜひチャレンジしてほしい。
さて、しつこく“本人の能力値が大事”と言ってきたことから、すでにお気づきかもしれないが、レイヤーの強化結果はすべて本人に反映される。
おかげで新規入手したレイヤーでも即座に戦闘に使え、また各レイヤーの育成が絶対にムダにならないのがうれしいところ。また、デッキに組み込んでいないレイヤーからも、好きなスキルをひとつ戦闘に持ち込めるので、レイヤーの個性をさらに伸ばしたり、苦手分野を補ったりできる。
パーティー全員に効果がおよぶPTスキルなど、強化に関わる要素はほかにもある。だが、ふだんプレイする中では、キャラクター本人の強化と、レイヤーのレベル・ギアレベル・思い出ランクを上げることを意識すれば大丈夫。
というより、ストーリーを進めているうちに自然と上昇したり、育成用アイテムが溜まったりするので、意識する必要さえないかもしれない。
ここまで聞いても「やっぱり育成とかよくわからないし、そもそも何から手を付ければいいものやら」という人には、“フィンチリーの特別授業”をオススメしたい。
こちらはホーム画面左上から受講できるミッション形式のコンテンツ。“ストーリーを特定のステージまで進める”というストーリー進行の指示に加え、“特定の素材クエストに向かう”、“そこで手に入った素材で武器を強化する”など、ミッションに従うだけで育成の基礎を自然と学べるようになっている。
バトルも快速! 手番無視で撃てるSスキルが重要
続いて、バトル部分についても解説しよう。本作のバトルは5人パーティーで挑む、ターン制のコマンド選択タイプだ。
バトルシステムも突き詰めるとかなりおもしろい。とはいえ、ストーリーに集中するために手軽に遊びたいという人も多いだろう。そんなときは早送り(倍速、3倍速)とオート機能を活用したい。
オート機能は、SPを使わない“通常AUTO”、SPを節約する“制限AUTO”、スキルを乱打する“全力AUTO”の3種類が用意されている。
ほかに特徴的なシステムとしては、“トランス”が挙げられる。本作ではバトル中にスキルを使うと、後に続く別キャラクターのスキルと連携し“コネクト”が発生することがあり、スキルがより強化される。
攻撃したりダメージを受けたりすると溜まるゲージを使ってトランス状態を発動。トランスしたキャラクター同士では必ずスキルが連携するため、コネクトを意図的に発生させることが可能だ。しかも、トランス状態のキャラクターは必ずターン開始時に行動するので先手も取れる。
ちなみに、トランスが可能なキャラクター全員をトランスさせる“オールトランス”ボタンも用意されているほか、オート時にトランスを使用するかどうかの設定も行える。
このように手軽に使えるシステムはまだある。“Sスキル(スペシャルスキル)”だ。SSレイヤーのみが使用できる、アニメーション演出(オン・オフ可能)を伴うド派手な必殺技である。
Sスキルのゲージは戦闘開始時から3つ溜まっており、使用するには3つ以上のゲージが必要になる。つまり、戦闘開始時からいきなり撃てるわけだ。しかも、手番を消費しないというメリットもある。
なお、SPと手番を1ターン分消費してチャージするとゲージが1ポイント溜まる。溜めるほどに威力が増すが(最大5ポイント)、チャージ中は受けるダメージが増えるという弱点もある。使いどころに気を付けたい。
Sスキルはゲージ3つだとさほど高威力ではないが、敵全体を攻撃して混乱させるなど、行動を阻害する効果を持っているものも多い。ここぞというところで活用すれば、戦闘を有利に進められるようになる。
Sスキルの魅力は、チャージには手番の消費が必須で、さらにデメリットが発生するという点にあると思う。5つゲージを溜めるとかなりの威力になるものの、ほかのキャラクターでサポートしたりなど、頭を捻るのがおもしろい。
戦略性がありながらも、最初から3つゲージが溜まっていることもあって気軽に撃てる技でもある。キャラクター育成のスキル覚醒や装備強化のように、本作の手軽なバトル奥深さを追加してくれている。
やり込み要素はがっつり&のんびり
プレイしていて、やはり本作の魅力はストーリーにあると感じる。育成とバトルもストーリー進行の邪魔にならないで、さくさくと読み進められるのはうれしい限り。
となると、気になるのはストーリー読了後。本作にはストーリー以外の部分でも楽しめるやり込み要素がしっかりと用意されている。
まずはバトルについて。ひとつ意識を変えるだけでも一気に奥深く感じられるようになる。代表例は“SPが毎ターン3点ずつ自然回復する”という点だ。
スキルのSP消費量はかなり大きいので、SP管理を怠ると、ここぞというところで大技が使えない。SPをどこで何点使えばボス討伐に必要な分だけのSPを持ち越せるのか。そのSP節約のために、どのスキルを優先して覚醒させるか。バトルと育成の意識が一気に変わること請け合いだ。
また、本作は敵の攻撃力がかなり高い。さらにキャラクターは“属性耐性”を持っていて、受けるダメージの得手不得手がはっきりと分かれている。
高い攻撃力を持つ敵から苦手な属性の攻撃を受けると、一撃ノックアウトも珍しくはない。高難度のクエストに挑む場合、属性耐性を考慮して、SSよりもSやAの別キャラクターのレイヤーを引っ張り出す必要も出てくる。装備でフォローするにしても、キャラクターによっては苦手属性で180%のダメージを受けたりするので、補いきれるものではない。
こうして耐性を突き詰めても、それでもなお高難度クエストの敵の攻撃力は高く、苦戦する場面も出てくる。そこに加えて重要になるのが、“気絶”や“麻痺”といった状態異常スキルで行動を封じること。
実際にプレイした感触としては、これらの行動阻害要素が重要な役割を果たしているように感じた。ガンガン進むために攻撃力ばかりが重視されがちだが、状態異常発生率を上げる装備などもかなり重要になりそうだ。
このように、編成や育成、バトルは、とことん突き詰められる要素を秘めている。これらのコンテンツでパーティーを強化したら、力試しをしたいのが人のサガというもの。
階層ごとに待ち構える強敵を倒して登っていき、報酬として特別なガチャチケットがもらえる“試練の塔”や、10ウェーブという長丁場を戦い抜く週末(金曜~日曜)限定コンテンツ“舞踏演武”など、難度も報酬も極まったバトルが用意されているぞ。
強力な装備はVERY HARDのメインクエストでドロップするほか、強敵が待つコンテンツ“討伐任務”などで集めた素材を“交換所”に持っていくことでも入手できる。
特殊なアビリティーを持つこれらの交換装備を装備すれば、戦いかたそのものが変わるかもしれない。
バトルばかりではなく、“カジノ”で遊ぶのも楽しみかたのひとつだ。カジノでは一定時間ごとに手に入るカジノコインでポーカーとルーレットをプレイ可能。カジノコインを貯めれば、ほかの高難度コンテンツと同じく、交換所で強力な装備や貴重な育成素材などが入手できる。
カジノで遊んでいる間にも、当然ながら派遣任務や自主練の時間は進む。カジノでのんびり遊びつつも、育成を進められるのはありがたい。
また、クエストを1度クリアすると、自動周回機能が解放される。ほしい装備や素材が手に入るクエストの周回は、完全放置でも可能だ。
というか、ここまでプレイし「ストーリーを読み終えてもまだまだ楽しい」などと余裕があるような風に言っている筆者ではあるが、はっきり言ってストーリーの続きが気になってしまって仕方がない。正式配信後には、何よりも早くストーリーの続きを実装してほしい……!
それくらい引き込まれるストーリーになっているので、まずは本作のシステムをフルに活用し、物語と世界観にどっぷりと没入してみてほしい。