2020年7月12日、コミックマーケット準備会は、毎年夏・冬に開催されている国内最大規模の同人誌即売会“コミックマーケット(コミケ)”を2020年冬季については開催しないことを発表した。

 次回の開催は2021年のゴールデンウィークを目指し関係各所と調整を行っている。

 コミックマーケット公式サイトにて行われた発表によると、2020年6月8日に東京ビッグサイトでの新型コロナウイルス感染症に対する“対応指針”が発表され、大きく制限された形でのホールごとの最大収容人数や、主催者の行うべき感染防止策等が定められたものの、現状求められている対策を講じたとしても、問題やリスクが生じる恐れもあり、苦渋の決断にいたったとしている。

 東京ビッグサイトの対応指針では、展示ホール1平米あたり来場者数は約0.5人に留めることや、会場入口への手指消毒液の設置、来場者・関係者へのサーモグラフィー等による検温の実施、37.5度以上がある場合の入場制限などが求められている。

 さらに、2020年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックが延期されたことにより、国際放送センター・メディアプレスセンターが設置される東展示棟が2020年冬のタイミングでは使用不可に。コミックマーケット99は3日間の日程を予定していたが、これは全館使用を想定していたものであり、これを4日間に変更することも現実的ではないと判断した。

コミックマーケット99の開催について (2020年7月12日現在)

 従来、お盆時期と年末に行われているコミックマーケットだが、2020年夏は東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されていたため、2020年5月に開催時期の変更が行われていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催は中止。オンライン上で作品の発表やイベントを行う“エアコミケ”として盛り上がり、Twitterのトレンド1位に躍り出るなどした。

 なお、2020年冬は、1975年12月に初開催されたコミックマーケット誕生から数えて45周年にあたり、記念企画や、2020年5月に行われた“エアコミケ”を発展させていくことも検討されているとのこと。詳細が決まり次第、コミックマーケット公式サイト等で案内される予定だ。

 結果として2020年の1年間、現実の会場でのコミックマーケットは開催されないこととなる。準備会はこれを“痛恨事”としつつ、“今後も開催継続に向け最善を尽くす”と思いを綴っている。

 「コミックマーケットは同人誌を中心としてすべての表現者を受け入れ、継続することを目的とした表現の可能性を拡げるための「場」である」ことを理念に掲げるにもかかわらず2020年の1年間、リアルな「場」としてのコミックマーケットを開催できないことは、我々準備会にとっても痛恨事に他なりません。

 しかしながら、コミックマーケットは、規模の大きさ故に社会的影響も考慮しつつ、継続を旨として慎重に事を進めていきたいと考えています。今後も開催継続に向け、最善を尽くして参りますので、参加者・関係者の皆さんには、重ねてのご理解・ご協力をいただければ幸いです。
出典:コミックマーケット99の開催について (2020年7月12日現在)