世界を魅了した数千キロの旅路を追う
ゲーム史に名を残す傑作『The Last of Us』の続編『The Last of Us Part II』(以下、『Part II』)が、2020年6月19日にいよいよ発売となる。『Part II』は、前作エンディングの5年後からスタートする、まさしく正統な続編だ。過酷な旅路を生き抜いたジョエルとエリーが、その後どうなったのか……気になって夜も眠れぬ日々を過ごしたファンも多いことだろう。
本記事では、新たな物語の開幕に備えて、あの過酷な旅路を振り返っていく。前作プレイ済みの人は思い出しながら、前作未プレイの人は『Part II』のプロローグとして、発売までに読了しておいていただきたい。
『The Last of Us Remastered PlayStation Hits』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『The Last of Us Part II』(PS4)の購入はこちら (Amazon.co.jp)以下、『The Last of Us』のストーリーに関する重大なネタバレがあります。
物語の核となる3つのポイント
ジョエルとエリーの旅程を詳細に追う前に、まず物語の基本をまとめておこう。ふたりが旅をするのは、謎の寄生菌の爆発的な感染によって人口が激減し、荒廃したアメリカ大陸だ。生き残った人々は、軍が管理する隔離地域に身を寄せ合い、不自由な暮らしを余儀なくされている。隔離地域の外は、寄生菌に侵された感染者(インフェクテッド)や、無法者が支配する危険地帯。ジョエルとエリーは、つねに死と隣り合わせの世界を旅しながら、徐々に絆を深めていく。
point[1] ふたりが旅をする目的
寄生菌の感染爆発から20年が経ったいまも、人類は有効な治療方法を確立できないでいた。絶滅の危機が刻一刻と迫る中で、人類の希望となるのがエリーの存在だ。エリーは寄生菌の抗体を持っており、彼女からワクチンが開発できるかもしれないという。
軍の対抗組織ファイアフライにエリーの運搬を任されたジョエルは、ボストンを出発。当初は、街の近郊まで連れていくはずだったが、目的地は二転三転し、アメリカを横断する長旅となる。
POINT[2] 危険に満ちた隔離地域の外の世界
秩序が崩壊した世界で、生き残った人々をまとめあげているのはアメリカ軍だ。ジョエルたちが暮らすボストンなど、感染を免れた地域を隔離し、感染者が街中に入り込まないよう徹底的に管理していた。軍の手が届かない隔離地域の外の世界では、いたるところで寄生菌に侵された感染者たちがうごめいていた。彼らは自我を失い、ひとたび生存者を見つけると容赦なく攻撃を仕掛けてくる。
POINT[3] 感染者とハンター
感染者は寄生菌の感染段階によって、ランナー、ストーカー、クリッカー、ブローターの形態に分類される。いずれも危険な存在だが、菌の感染が進むほど手強くなっていく。また、隔離地域の外の世界では、生存者たちにも注意が必要。彼らの中には、他人を攻撃して物資を略奪する、ハンターと呼ばれる無法者たちも存在。ハンターに襲撃されたジョエルたちは、彼らを撃退して魔の手から逃れるも、恨みを買って命を狙われてしまう。
ふたりの長き旅路を追う
それではここから、ふたりの旅した軌跡を詳細に見ていこう。アメリカ北東部のボストンからスタートしたジョエルとエリーの旅は、過酷を極めた。貴重な自動車や馬などの移動手段を入手しても、度重なる敵の襲撃で失ってしまう。エリーを届ける目的地が、二転三転するという不運が重なったのも、過酷さに拍車をかけた。
それでも諦めることなく旅を続け、ジョエルはソルトレイクシティで、エリーを届けるという当初の依頼を達成する。ふたりはどのような旅路をたどったのか。ボストンやリンカン、ピッツバーグなど、舞台となった場所ごとにエピソードや登場人物をまとめてみた。
なお旅のスタート地点ボストンからソルトレイクシティの距離は、約3359キロにおよぶ。日本の東西の長さは約3146キロ(最東端の南鳥島から最西端の与那国島までの経度の差)なので、日本を横断したうえでさらに200キロ以上も移動した……と考えると、途方もない長旅だったことが想像できるだろう。要した時間は、作中で明確に明かされていないものの、季節が秋、冬を経て、再び新緑の時期を迎えていたことから、1年近くにわたる旅だったと推測できる。
(1) マサチューセッツ州 ボストン
(チャプター:隔離地域/隔離地域郊外)
すぐに終わるはずの仕事は数々のトラブルで長旅に
闇市場での取引を生業とするジョエルは、武器を巡るトラブルから、テスとともにエリーという少女を隔離地域の郊外へ連れて行く依頼を引き受ける。何とか目的地にたどり着くも、そこにはエリーを引き取るはずのファイアフライの死体が。さらにテスが感染していたことも判明する。彼女に懇願され覚悟を決めたジョエルは、エリーに自分の指示を厳守するなどのルールを言い含めて街を出た。
(2) マサチューセッツ州 リンカン
(チャプター:ビルの町)
自動車を求めて罠と感染者だらけの街へ
ジョエルの弟で、元ファイアフライのトミーなら、エリーを連れて行く場所がわかるかもしれない。だが、トミーが暮らすジャクソンははるか西。そこでジョエルは、リンカンのビルを訪ねて自動車を入手しようと画策する。偏屈なビルは生意気なエリーと衝突するも、彼の助力を得ることに成功。念願の自動車を入手したジョエルは、ともに奮闘したエリーに、控えめながら賞賛の思いを抱くのだった。
(3) ペンシルベニア州 ピッツバーグ
(チャプター:ピッツバーグ/ピッツバーグ郊外)
ハンター襲撃を乗り越えてふたりの関係に変化が
ジャクソンへの道中、ジョエルたちはピッツバーグでハンターに襲撃される。街からの脱出を試みるも、ふたりはホテルで散り散りに。不幸は続き、ジョエルは敵に不意をつかれて絶体絶命のピンチを迎えたが、駆けつけたエリーが敵を射殺してことなきを得た。合流したふたりは、街中で出会ったヘンリーやサムとも協力して街を脱出するも、サムが感染したことで、兄弟と悲しい別れを体験する。
(4) ワイオミング州 ジャクソン
(チャプター:トミーのダム)
本音をぶつけ合うことでふたりの絆は強固に
偶然立ち寄ったジャクソン近郊の水力発電所で、ジョエルは弟のトミーと再会する。彼に旅の目的を説明し、エリーをファイアフライのアジトに送り届けるようお願いするも、マリアが反対して険悪な雰囲気に。そばで見ていたエリーは、言い争いの原因をジョエルに尋ねたが、はぐらかされたことに腹を立てて馬に乗って飛び出してしまう。牧場の家でエリーを見つけたジョエルは、彼女の本音を聞いて考えを改め、自分がエリーを送り届けることを決意する。
(5) コロラド州 コロラド大学
(チャプター:大学キャンパス)
研究所に着いたのも束の間、さらなる試練がふたりを襲う
トミーに研究所の場所を教えてもらったジョエルは、研究所のあるコロラド大学を訪れた。ふたりの旅は終わりを迎えるかと思いきや、研究所はもぬけのから。しかも、物資を探し求めてきた生存者のグループと遭遇し、争いが起こってしまう。ジョエルは生存者たちを退けながら出口に向かうが、不意をつかれて下階に落下。脇腹にむき出しの鉄筋が突き刺さり、大ケガを負った。ジョエルはエリーに助けられて大学を脱出するも意識を失う。
(6) コロラド州 湖畔地帯
(チャプター:湖畔地帯)
ジョエルを守るためにエリーが立ち上がる
エリーは生存者との物々交換で抗生物質を手に入れる。だが、交換をした相手のデビッドは、ジョエルたちが倒したハンターのリーダーだった。追手が迫る中で、エリーは囮となるべく隠れ家を出て奮戦するも、捕らえられてしまう。一方、傷が癒えて目覚めたジョエルは、エリーを捜してハンターのアジトへ。そこで錯乱したエリーがデビッドを惨殺する現場に遭遇し、彼女を強く抱きしめる。
(7) ユタ州 ソルトレイクシティ
(チャプチャー:ソルトレイクシティ/医療施設)
人類の未来か、エリーの命か。ジョエルの最後の選択は……
大学に残されていた手がかりを頼りに、ふたりはソルトレイクシティのファイアフライの研究施設を訪れる。だが、目前で泳げないエリーが川で溺れてしまい、蘇生を試みていたジョエルも兵士に襲われ気を失ってしまう。ジョエルが目を覚ますと、そこにはリーダーのマーリーンの姿が。彼女からエリーを犠牲にしてワクチンを作る計画を知ったジョエルは、エリーを助けるべく最後の戦いに臨む。
(8) ワイオミング州 ジャクソン
(チャプター:ジャクソンシティ)
ジャクソンで平穏な暮らしが始まる
エリーを救出したジョエルは、弟夫婦が暮らすジャクソンに自動車を走らせた。その道中で目覚めたエリーに、ジョエルは凄惨な顛末を隠し、「(ファイアフライは)治療法の開発をやめた」と嘘をつく。彼の嘘に気づいたのか、エリーはファイアフライについての話がすべて本当だと誓ってほしいと詰め寄った。「誓うよ」と答えるジョエル。そして、ふたりの旅は終わりを迎えるのだった……。
物語は5年後の『The Last of Us Part II』に続く
そして『The Last of Us Part II』では、このエンディングから5年後、19歳に成長したエリーが主人公となり、新たな物語が描かれる。エリーは、ほかの生存者たちとジャクソンで暮らしていたが、ある出来事をきっかけに、“復讐”を決意する……。