“ファミキャリ!会社探訪”今回は特別編!

 ファミ通ドットコム内にある、ゲーム業界専門の求人サイト“ファミキャリ!”。その“ファミキャリ!”が、ゲーム業界の最前線で活躍している、各ゲームメーカーの経営陣やクリエイターの方々からお話をうかがうこのコーナー。今回は、特別編として、クリーク・アンド・リバー社を訪問した。

 そもそもこの“ファミキャリ!”は、ファミ通ドットコムが協力し、クリーク・アンド・リバー社が運営している求人情報サービス。クリーク・アンド・リバー社の主要事業のひとつである“エージェンシー(派遣・紹介)”の中でも、ゲーム業界に関連した求人情報や人材紹介サービス、クリエイターのインタビュー、会社説明会の情報などを公開している求人コンテンツとなっている。今回は、同社でエージェントとして活躍している須崎久美子氏、古川夕夏氏に話を聞いた。

※須崎氏の“崎”はたつさき

須崎 久美子(すざき くみこ)

クリーク・アンド・リバー社
デジタルコンテンツ・グループ
営業推進室
キャリアデザイン・セクション
セクションマネージャー

古川 夕夏(ふるかわ ゆか)

クリーク・アンド・リバー社
クリエイター・エージェンシー・グループ
人材紹介第一ディビジョン 第二セクション

転職活動を有意義なものにするための“エージェント”とは?

――“エージェント”という言葉は聞いたことがあっても具体的に何をされているかイメージが湧かない人も多いと思います。まずは、須崎さんと古川さんが実際にどのようなことをされているのか、簡単に説明をお願いします。

須崎私はいま、キャリアデザインセクションのマネージャーをしています。このチームには、弊社にご登録いただくクリエイターの方々と初めて接点を持つメンバーが所属しています。転職を希望されていたり、今後のキャリアに悩まれている方々と面談をして、それまでのご経歴や今後の希望、今回の転職で叶えたいことなどのヒアリングを行い、ご希望に沿うようなお仕事をご紹介させていただいています。

――転職希望者にとっては、入り口的な部門なんですね。

須崎その後、企業に応募する段階になったら、履歴書や職務経歴書などの書類のブラッシュアップを行ったり、さらに企業への推薦状の作成もしています。それが終わって面接まで進んだ際には模擬面接を行ったり、ご自身の考えを企業により魅力的にお伝えできるようなアドバイスもさせていただいています。

 ですので、転職活動の始めからご希望の会社に入られるまで、あらゆることをサポートさせていただくイメージですね。おひとりで転職活動をされるよりも、弊社をご利用いただくことで、よりご自身にマッチした企業に入社できるようお手伝いをさせていただいています。私はその方の魅力を最大限に伝えられるよう推薦状を作成することが、とくに好きな仕事ですね。

――転職活動の入り口から入社まで、全体をサポートされている、と。古川さんはいかがですか?

古川私は須崎とは異なる部門に所属しています。正社員、契約社員での転職支援を行っている部門のなかで、ゲーム業界を専門として担当しています。業務内容としては、須崎のチームと連携しながら、同じように最初の面談を行ったり、選考中のフォロー、入社までのサポートをしています。

 また、人材業界でいうところの“両面型”という動きを取っていて、求職者と企業、その両方の方々と接しています。企業の人事の方から求人の状況をヒアリングしたり、実際にその企業を受けている方の選考中のフォローを、人事の方々とやり取りしたりすることもあります。

――須崎さんが転職希望者寄りで、古川さんはそれに比べるとややフラットな立ち位置というイメージでしょうか?

須崎認識としては近いと思います。私は、いまは求職者側のサポートに徹しているので、企業に推薦するときには古川やほかのエージェントに求職者さんの情報を渡して、そのメンバーに企業への推薦を行ってもらっています。私も、もともとは古川と同様に両面の対応を行っていて、昨年から求職者のサポートに特化した業務を行っています。

――求職者へのサポートについて、具体的に心掛けていることなどはありますか?

須崎求職者の方が人生において大切にされていることや、幸せを感じる部分というのは、本当におひとりおひとりさまざまなので、ある方にとっての正解がほかの方にとっても正解とは限らないですよね。その方がどう考えるかが重要で、私の価値観を押し付けることは違うと思っています。

 ですので、納得した転職になるようにということを念頭に置いて、まずはその方のお話やお考えをヒアリングすることを心掛けています。一方で、私は転職サポートのプロとして、エージェントとしての客観的なアドバイスや視点が求められたときには、しっかりとお応えできるようにしています。

――転職を希望される方とは実際に面談を行って、意見交換などをされたうえでアドバイスをされるのですか?

須崎そうですね。最初の面談で出身や生い立ち、いつごろからゲームの仕事をしたかったのか。そこまでさかのぼってから、現在に至るまでしっかりとお聞きします。その後、どういった会社を目指すかが決まってからは、面談よりもお電話やメール、SNSなどでコミュニケーションを取っていきます。

――なるほど。たとえば求職者がプランナー志望だったとしても、須崎さんの経験からその人には別の職種のほうが合っていると思った場合は、そちらを勧めるようなアドバイスをされることがあるのですか?

須崎そうですね。企業に求められているハードルや、その方が持っているスキル、適正などのさまざまな観点で考えて、ほかの道がおすすめだと思ったら、そういったお話をすることもあります。

――逆に企業寄りのお話を伺いたいのですが、求人を出しているメーカー側からの要望としてはどのようなものがあるのでしょうか?

古川もちろん会社さんによって内容は異なりますが、求められることが多いのは、管理の経験があることですね。

――マネジメント職の経験が求められているということでしょうか?

古川そちらもありますが、おもには制作物の管理経験ですね。単純に制作を行うだけではなく、クオリティ管理もしたことがあるか、たとえば3Dデザインのクオリティを担保するためのチェックを行った経験があるか、などです。

――品質に責任を持てるような立場に立ったことがあるか、ということですね。

古川そうですね。どこのメーカーさんでもそうなのですが、いまはひとつのゲームを作るのにも、開発規模がどんどん大きくなってきていますよね。大手メーカーでも、複数のゲームを作っていると社内ですべてを完結させるのには限界がある状況も出てきているのです。

 ですので、フリーランスの方や協力会社さんに外注したり、派遣の社員さんにお願いしたりすることも増えてきていて、そういったところの管理ができる方を求める傾向は強くなってきていると思います。

――求職者のサポートをするなかで、具体的にどのようなアドバイスをされてきたのか、差し支えのない範囲で教えていただけますか?

須崎求職者の認識と市場価値とのズレを見つけて、アピール内容を調整することはよくあります。これだけで内定にグッと近づいたりするんです。

 たとえば直近では、システムエンジニア出身の方で、同人活動でご友人といっしょにゲームを作られていたのですが、やはりゲーム作りを仕事にしたいと業界にいらっしゃった方がいました。その方は30代でゲーム業界経験は3年ぐらい。年齢に比べると経験年数がやや浅いかな、とご自身は若手のスタンスでお話しされていたのですが、お話を伺うと少人数でのソーシャルゲーム運営を行われていて、かなり広範囲に仕事をされていました。ディレクターと呼べるような動きもされていて、知識も幅広くお持ちだったので、そこは自信を持っていきましょうとお伝えして、ご自身の自己認識と書類のアピール内容などを少し変えた結果、本当に大きい会社にご転職されることになりました。まさに自分の認識と市場価値が違った例かなと思います。

 「あなたの経験されてきたことが企業側に求められていることですよ」というのをエージェント目線でお伝えして選考に挑んでいただいたことで、内定に至った例はいくつかあります。

――たとえば、転職をしてもキャリアアップが難しそうな場合などはどうするのでしょうか?

須崎そういったケースでは、伝えかたを工夫しながら、いまの会社に残られたほうがいいかもしれないというお話をさせていただくこともあります。求職者の方のキャリアプランをきちんと描いて、その方にとっていちばんいいアドバイスをできるように、ということはつねに心掛けています。

 目先の利益だけではなく、その方が長期的に、生涯でどれだけの価値を生み出せるかが大事だと思っているので、直近の希望がこうだから、ということで決めるのではなくて、将来的にどうなのか、という視点で考えるようにしています。

――古川さんからは求職者の方にアドバイスしたこと、あるいはここに気をつけてほしい、といったポイントはありますか?

古川面接まで進んだ際によくあることなのですが、面接前に企業のことを調べ切れていない方が多いかなという印象があります。ホームページなどは見てくださっているのですが、「こういうゲームを作っているんだ」というくらいで終わってしまっていて、実際にゲームに触れたり、あるいは企業が発信している情報を拾ったりまではしていないことも多いのです。

 そういった部分も事前に調べて、自分がこの会社にどう貢献できるか、どういったスキルを新たに身に付けることができるのか、あるいはその会社がどういうスタンス、どういう想いでゲームを作っているのかなども把握していると、面接の場で何を伝えるかも準備しやすくなると思います。

密なコミュニケーションから生まれる適切なマッチング

――御社の内部での、求職者と企業のマッチングにあたるようなエージェント同士のやり取りというのは、どういったものがあるのでしょうか?

須崎たとえば私が求職者の方にお会いしたら、その方はこういうお人柄で、こういうスキルをお持ちです、という情報を古川などほかのエージェントに伝えます。すると、古川たちは企業から“こんな人材が欲しい”というニーズをもらっているので、「その方はセルルックのデザインはできますか? リアル調のほうが得意ですか?」といった質問が返ってきたりします。

 そういったやり取りを続けていくなかで、この案件はぜひその方にご紹介したいとなったものを、私が求職者の方にご紹介し、応募いただけることになったら古川が企業にご推薦する、といった流れです。

――なるほど。

古川同じような流れで、企業さんから新しい求人のお話をいただいた際には、随時須崎のチームに共有しています。それで求人にマッチしていそうな方がいれば、その方にはこの求人が合っていると思います、ということを須崎に伝えて、選考のフォローをさせていただいています。

須崎たとえば、その方にピッタリな求人が求人票には出ていなかったり、正式な募集枠がなかったりすることもあります。そういったときには、企業に向けて、「この方のスキルや考えかたは御社に合うと思います」といったアプローチを古川たちにかけてもらっています。

古川そういったケースもよくありますね。

――いわゆる求人系の会社もさまざまにありますが、クリーク・アンド・リバー社に登録するメリットは何でしょうか?

須崎先ほどのお話とつながりますが、やはり市場に出ていない求人情報を拾えることですね。企業の人事や開発現場の方々とつながっているので、現場レベルで求人状況を知ることができます。おひとりで転職活動をされていると、インターネットで情報を探していく形になるかと思いますが、そこに上がっていない、あなたに合った求人が私たちの提案から見つかることがあるということがひとつだと思います。

 もうひとつは、転職市場におけるご自身の市場価値というのは、測るのが難しい部分だと思うのですが、求職者とも企業ともやり取りをしている私たちだからこそ、客観的な視点で、いまその方が企業や転職市場からどんなふうに見られるか、といったことをお伝えできると思います。

――確かに、他社から見ての自分の評価はひとりだと把握するのは難しそうですね。

須崎自信がないとおっしゃっている方でも、実際にお話を聞くと、ここがアピールできますよ、こういうスキルがいま企業側に求められているんですよ、と伝えることができるので、面接などでのアピールもしやすくなると思います。

古川須崎の内容に近いのですが、弊社の特徴として、人材の紹介だけでなく、人材の派遣や500名ほどのクリエイターが所属する社内の開発スタジオでの請負制作を通しても企業とお取引しているところが、ほかの人材会社さんとの違いだと思っています。各ゲーム会社さんの現場の声をお伝えできたり、実際の社内の雰囲気をお伝えできるところが、弊社をご利用していただくメリットかなと思います。

――おふたりが個人的に得意な案件などはありますか?

須崎職種でいうと、私はもともと弊社内の開発スタジオで3Dデザインをやっている部門の営業を担当していたり、プログラマーチームの営業に特化したりしていた時期があるので、そういった3Dモデリングやモーション、プログラミング、テクニカルアートといったスキルの深掘りは得意かな、と思っています。

 あとは、弊社内に開発スタジオがあるので、たとえばデザイナーの求職者さんからポートフォリオをいただいたときに、近くにいる現役のクリエイターから作品の見せかたなどについてアドバイスをもらって、それをご本人にお伝えすることもできます。

古川私はコンシューマーの会社さんもスマートフォン系の会社さんも、どちらも担当しているので一概にお伝えするのは難しいのですが、最初にお伝えした通り、私が所属している部門は正社員、契約社員のご転職支援を横断的に行っていて、さまざまな業界での転職支援をしている人間がいるので、転職におけるサポートのノウハウはかなり広く蓄積されていると思います。

――新型コロナウイルスの影響は求人関係にも出てきているかと思いますが、求職者の方々やメーカーを見て変化を感じる部分はありますか?

須崎この状況下でも、各タイトルやNintendo Switchを始めとしたハードの売れ行きは逆に伸びていることもあって、ゲーム業界に関しては、今後求人数自体は回復してくるのではないかと見ています。

 直近を見てみると、選考活動が少し遅れているような状況もあるのですが、各企業がリモート対応やオンライン面接を早くから導入してくださっていて、選考スピードも通常と変わらないくらいにはなってきていると思います。ですので、求職者の方々には、求人がより活発になるタイミングを見越して、いまから今後のキャリアやご転職に備えた準備をしっかりしていきましょうというお話をさせていただいています。

古川オンライン選考に切り替えている会社もあれば、いったん選考をストップしている会社もあるのですが、やはりニーズとして採用は行いたいという会社が多いですね。会社によっては、たとえば社内のオフィスを実際に見てもらったり、求職者さんのご要望に合わせて、実際に対面で面接を行ったりするケースもあります。須崎もお話しした通り、求人数はこれからも変わらず、むしろ増えていくかなと予想しています。

転職が人生のプラスになることがエージェントのやりがい

――エージェントとしてキャリアを積まれてきているなかで、仕事のどういった部分でやりがいや達成感を得られますか?

須崎やっぱり、担当した求職者の方が希望の会社に入ることができて、直接感謝の言葉をいただいたときが、いちばんうれしいですね。

 具体的なエピソードで言うと、韓国のゲーム会社で働かれていた方が日本のゲーム会社に転職するのをサポートしたことがあって、その方は無事希望されていた会社に入ることができたんです。そのときは来日の際の手続きなどもお手伝いしていました。

――そこまでやるのはすごいですね。

須崎正直、業務範囲を超えてやってしまった部分もあります(笑)。その方が来日された際に、その方のお母さんもいっしょにいらしたんですよ。お礼がしたいからと会社まで来てくださって、お母さんとその方と私で、韓国語と日本語で通訳をしてもらいながらお話ししました。そのときは本当に、その方の人生の分岐点に関われたかなと感じました。

――なるほど。古川さんはいかがですか?

古川私もやはり求職者の方のお話になりますが、支援した方が希望の会社に入られて、活き活きと働かれている姿を見たときがいちばんうれしいですね。入社された後にも、たとえば1ヵ月くらい後に、近況を伺うのも兼ねてランチをごいっしょさせていただいたりするのですが、そのときに転職前の会社で悩まれていたことが解決したことがわかると、すごくうれしいです。

 いまはこういうお仕事を任せてもらっていますとか、業務範囲が広がって、こういうことができるようになりましたとか、残業が減りましたとか(笑)。

――転職したことがプラスになった、というのはやはりうれしいですね。

古川そうですね。また、契約社員で入社した後に正社員になりました、という報告をしてくださる方もいて、入社後もコミュニケーションを取って、活躍されている様子が見えるのは、すごくやりがいを感じる部分です。

――やはり求職者が希望の会社に入り、そこで活躍しているお話を聞けるのはいいですね。

須崎やりがいとは少し違うかもしれませんが、以前すごく高いスキルを持ったクリエイターの方がいて、ゲーム業界に限らず活躍できそうな方だったのですが、ゲーム業界にこだわられていたんです。

 なぜゲーム業界を選ばれるのかを聞いたら、「ゲームは小説とテレビと映画と音楽のような、あらゆるエンターテインメントを詰め込んで、さらに自分が主役になれる最強のコンテンツだと思うからこの業界でやっています」といったことを話されていたんですよ。

 そのお話を聞いて、「ゲームクリエイターってなんて格好いいんだろう!」と思って、そういうプロのクリエイターの方たちを転職活動のプロとしてサポートしたい、と考えるようになりました。

――最後になりますが、転職を希望される方々へ向けて、よりよい転職活動をするための準備や心掛けのアドバイスをお願いします。

須崎ゲーム業界で転職される方々は、やっぱりゲームを作りたいという思いを持たれているので、そのなかでなぜこの会社を選んだのか、という差別化がしづらい業界だと思っています。ですので、どうしてその会社に入りたいのかをしっかりと考えて選考に臨むのがいいと思います。

 もうひとつは、第一希望の会社さんに受かることができなかったときに、選考活動自体を諦めてしまう方々も多いのですが、転職活動というのは相性やタイミング、ご縁といったものもあるので、そこでご自身の経歴やスキルなどを否定しないでいただきたいと思っています。

 ご自身の気づかないところに、自分のやりたいことやスキルを活かせる会社があったりしますので、そういったところを私たちにもいっしょに考えさせてほしいなと思います。

古川近い内容になりますが、あまりひとりで悩まないでいただきたいです。転職活動で成功しそうなイメージというのは、将来こうなりたいという明確なキャリアビジョンがあって、そのために自分にはいま何が足りていなくて、それをこの会社で得られるといったことが全部見えている状態だと思うのですが、全員が全員そういう状態ではありませんよね。

 こうなりたいというイメージがぼんやりとしていたり、そこに向けて何が足りないのか、あるいは必要な経験をどの会社で積めるのかがわからない方がほとんどだと思います。ですので、そういった部分ではぜひ私たちを頼っていただいて、ご相談していただけるとうれしいなと思います。