PCの進化にはいろいろなルートがある。高性能化や小型化などがその代表例だ。

 ASUSのゲーミングノートPC『ROG Zephyrus G14』には、その2点に加えてもうひとつの方向性を選択した。天板にLEDアニメーションを流せるようになったのだ。

 ハイスペックなパーツを搭載した。小型化にも成功した。続く発想がLEDを光らせよう。急におもしろがガラスを破って飛び込んできた感がある。実行に移す行動力が愛おしい。しかも、2020年の主力製品だというから最高だ。

 ちなみに、ASUSはPCやハードウェアで知られる大手企業である。ゲーミングノートPCの国内シェアNo.1だという(※)。ちょっとしたウケ狙いではなく、優秀な技術者やマーケターたちの本気を感じる。

※GFK2020年Q1の資料をもとにした同社調べ。

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 『ROG Zephyrus G14』には天板LEDの有無や本体カラー、スペックの異なる全9モデルが用意され、2020年5月29日から順次発売となる。価格は15万3800円[税込]から。

 その中からハイエンドモデルの『GA401IV-R9R2060WLQ』をお借りできたので、おもにLEDで遊んでみた。

LEDアニメーションを天板に表示させる“AniMe Matrix”が楽しい

 『ROG Zephyrus G14』は画面サイズ14インチのノートPCだ。天板にLEDが組み込まれたモデルは最薄部19.9mm・重量1.7kg。非搭載モデルは17.9mm・重量1.65kg。

 全9モデルのスペックや希望小売価格は以下の通り。

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リスト内の表記:ホワイト=ムーンライトホワイト、グレー=エクリプスグレー、AM=AniMe Matrix。本体サイズはすべて14インチで、ストレージはPCIE3.0×2接続。価格は税込。

 さて。スペックや使い勝手について言及していくのが一般的なPCのレビューだが、まずはLEDアニメーションを天板に表示させる“AniMe Matrix”について書きたい。

 正直に書くと、「うおー! めちゃくちゃ楽しい!」と大興奮する機能とは少し違うと思う。だが、ちまちま作業したりスペースの活用法を考えたりするのは、謎の満足感があった。

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暗がりで自己主張するROGブランドのロゴと、僕のTwitterアイコン。

 『ROG Zephyrus G14』の天板には6536個の小さな穴が開いている。2006年に創立されたASUSのROGブランドが各国から贈られた賞の数らしい。

 その奥に1215個のミニLEDがあり、賞の穴からもれる光の明滅でアニメーション表現を行うのがAniMe Matrixだ。僕らのLED遊びのためにたくさんの賞を獲ってくれてありがとう。

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ドライバのインストールなどを支援する“Armoury Crate”というユーティリティ上からAniMe Matrixを制御。デフォルトで8種類のアニメーションパターンが用意されている。
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LEDが埋め込まれているのは天板の右上側(全体の6~7割分のスペース)。Armoury Crateのプレビュー画面に表示させた絵やアニメーションが反映される。
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本体で鳴らしている音源を検知してオーディオイコライザー表示も可能。
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メールの受信通知やバッテリー残量、日付を表示する機能も。

 LEDで絵(アニメ)を作るということは規模の大きなドット絵みたいなものだ。僕には大作を描く根気も絵心もない。

 でも、大丈夫だった。編集画面上でドット絵をぽちぽち描くのではなく、画像を読み込ませるとAniMe Matrix用に変換されるのだ。基本的に色は白1色。LEDのON/OFFと明るさで濃淡を表現する。

 変換の精度はいかほどのものか。色数が少なくてシンプルなイラストならきれいに変換できるだろうが、あえて変換が難しそうな写真を読み込ませてみた。

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ドラッグ&ドロップで画像の配置場所を変更できるほか、拡大・縮小も可能。
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もとの画像はこれ。プロゲーミングチーム・DeToNator所属のSPYGEAくんとはしゃいでいるときの写真だ。

 適度に背景がごちゃごちゃしているほうが検証用にちょうどいいと思い、写真を使わせてもらった。SPYGEAくんをLEDに変換するとこうなる。

 なかなかいい感じに変換できていると思う。さすがに顔は判別できないものの、人がふたり並んでいて、後ろに箱が積み重なっているのが何となくわかる。

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拡大すると精彩に描画できる。
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遠く離れた場所から見ると人物の輪郭がくっきり。LEDを目立たせるために電気を消したら心霊写真みたいになってしまった。

 写真をあらかじめドット絵に変換したり、元写真のコントラストを強調したり、いろいろ試したが、大きな変化はなし。大人しくロゴやイラスト、シンプルなビジュアルデザインを使うのがよさそうだ。

 画面下のタイムラインに画像を並べるとパラパラマンガ的にアニメを生成。画像1枚ごとに表示サイズや場所、尺を設定して保存すると、ライブラリーの一覧に追加される。

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ファミ通.comのロゴ。“ファミ通”を拡大するとさらにいい感じに。
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魔法少女RPG『マジカミ』のキャライラスト。斜めのポーズがラインに沿っていてちょうどよかった。

 絵だけでもいいのだが、テキストでも自己主張したい。AniMe Matrixでは画像にテキストを組み合わせられる。

 好きなメッセージを入力してテキスト表示をONにすると、右から左上に流れていく。フォントやフォントサイズ、行数、速度は流したいメッセージに合わせて変更可能だ。

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こんな感じでメッセージを流せる。フォントは24ポイントまで拡大でき、行数は6行まで増やせるが、バランスを考えないと重なったりしてうまく表示できない。

 これがなかなか楽しい。僕が殺人事件の被害者になったらこれにダイイングメッセージを残すので、ぜひ名探偵に見つけてもらいたい。

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「犯人は……」。

 流れるように読むメッセージと言えばこれだ。街中でたまに見かけるトラックに書かれていて、スーッと目に入ってくる。

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「スジャータ」。流れる方向を反転出来たら“ターャジス”を再現できたのだが。残念。

 メッセージは画面の反対側に出るので、対面の人にメッセージを伝えらえる。たとえば、相手に危機が迫っているのに気づいていない。でも、大げさな態度を取ると敵に気取られてしまう。

 そんなときも慌てず騒がず、スマートにアラートを発信すればいい。

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「早く逃げろ!」。

 設定を変えると天板を閉じても表示したままにできるので、お母さんのメモ書きを残すのにちょうどいい。

「戸棚にアルフォートが入ってるから小腹がすいたら食べてね」。

 大喜利みたいになってきた。いちばん気に入った使いかたはこれ。

「週末に近所でチェアリング開催決定。ユースケは缶チューハイ2本とカップ酒、乾きもので挑む見通し。」

 新幹線の電光掲示板に流れる短文ニュースを再現したら、歓声が巻き起こった(個人の感想です)。独特のリズム感から一部で“新幹歌”と呼ばれており、ふつうのことをあのフォーマットで書けば、たちまち新幹線気分に。僕の興奮はみなさんに伝わっているだろうか。

 フォントはデフォルトで“ROG Fonts v1.5”に設定されていて、インストールされているフォントならどれでも使用可能だ。ただし、日本語表示には制限がある模様。画面上では問題ないのだが、天板LEDでは一般的なフォントに変換されるようだった。

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アニメ『鬼滅の刃』でも使用された闘龍書体や陽炎書体を使ってみた。画面上ではこう。
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天板ではこう。ゴシックフォントに変換された。

 例として『鬼滅の刃』に登場する“恋柱 甘露寺蜜璃”を選んだのは、画数が多いとどうなるか見たかったから。あと好きなキャラだから。ゴシックフォントに変換されるのは残念なものの、大きなフォントで画数の多い字を表示させるとかっこいいというのは発見であった。

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ドット絵と漢字は相性がいい。

 ゲーミングPCやデバイスというと、「LED内蔵で1677万色のイルミネーションが楽しめる!」みたいな製品をイメージする人も多い(非PCゲーマーには馴染みのない世界かもしれないが、そういうものなんです)。「LEDで個性をアピール」という謳い文句も定型句のように使われてきた。

 ぎらぎら光るところからもう一段階進み、スタイリッシュに寄せたのが『ROG Zephyrus G14』のAniMe Matrixなのである。ドット絵が得意ならアニメを流せるし、音楽好きなら譜面でgifアニメを作って曲を表現するのもあり。LANパーティーに持ち込んで好きなゲームをアピールするのもいい。ほかの人の作品も見てみたい。

スペックと筐体――AMDの最新CPUを半年早く搭載

 さて。PC紹介記事としてはここからが本編。情報解禁に先だって行われたオンライン発表会のスライド資料もあわせて、スペックやハードウェア設計について見ていく。

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基本スペックと価格の一覧をもう一度。

 注目点のひとつは小型&高性能だ。これクラスの性能となると15.6インチで2kg超えが当たり前だったが、前述したように本製品は14インチで1.7kg。LED非搭載モデルなら1.65kgと、さらに軽くなる。

『ROG Zephyrus G14』のハイエンドモデル『GA401IV-R9R2060WLQ』の詳細スペック

OS:Windows 10 Home 64ビット
CPU:AMD Ryzen 9 4900HS モバイルプロセッサー + AMD Radeon グラフィックス 3.0GHz/4.3GHz 3次キャッシュ 8MB
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2060 Max-Q(NVIDIA Optimus Technology対応)6GB
メモリ:16GB DDR4-3200
ストレージ:SSD 1TB(PCI Express 3.0 x2接続)
ディスプレイ:14型ワイドTFTカラー液晶 ノングレア 2,560×1,440ドット(WQHD)
外部ディスプレイ出力:最大3840x2160ドット
サウンド規格:ハイ・デフィニション・オーディオ準拠
スピーカー:クアッドスピーカー内蔵(1W×2、0.7W×2)
マイク:アレイマイク内蔵
有線LAN:
無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
USBポート:USB3.1(Type-C/Gen2)×1、USB3.1(Type-C/Gen2)×1、USB3.0×2
その他入出力:HDMI出力×1、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック×1
電源:ACアダプターまたはリチウムポリマーバッテリー(4セル)
バッテリー駆動時間:約9.4時間(JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver2.0)に基付いたもの。使用状況や設定などによって変動)
バッテリー充電時間:約2.4時間
消費電力:最大約180W
サイズ(突起部除く):幅324mm×奥行き222mm×高さ19.9~20.9mm
質量:約1.7kg

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ハードウェア情報表示ツール“CPU-Z”での測定結果。
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グラフィック機能表示ツール“GPU-Z”での測定結果。

 まずはCPUに注目してほしい。上位モデルに採用されたのは、AMD Ryzen 4000シリーズ モバイル・プロセッサーの新モデル“AMD Ryzen 9 4900HS”。ポイントは、

  • ASUSの『ROG Zephyrus G14』内蔵分だけ6ヵ月先行発売
  • 2019年7月に発売された第3世代Ryzenデスクトップ・プロセッサーと基本設計が同じ(7nmプロセスのZen 2アーキテクチャ)
  • 8コア16コアスレッド、ベースクロック3.0GHz(マックスブーストで4.3GHz)
  • TDP(熱設計電力)は35W

 こんな感じである。要はデスクトップ向けCPU並みに高性能で、さらに熱くなりにくいということ。それを6ヵ月も早く先行発売することから、AMDの期待の高さがうかがえる。

 PCパーツに限らず、機械は性能に比例して大型化し、消費電力や発熱量が増加するもの。内部の温度が上がりすぎるとPC側でわざと性能を抑えようとするので、安定使用するには発熱量の少なさは非常に重要だ。

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 グラフィックス機能は、14インチの小型筐体としては世界で初めてNVIDIA GeForce RTX 2060 Max-Qデザインを搭載。リアルタイムレイトレーシングを実現するRTコアやAIを高速演算できるTENSORコアにより、ざっくり言うと光の表現やグラフィックが精彩になる。グラフィック描画時の負荷の軽減にAIを活用するDLSSにも対応。

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 インターフェースとして、USB 3.0のType-AポートとUSB 3.1 Gen2 Type-Cポートをふたつずつ搭載。Type-Cポートの片方はDisplay Port 1.4とパワーデリバリーに対応しており、モバイルバッテリーからの給電も可能だ。また、HDMI 2.0bポートにより、4Kで外部出力を行える。

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 ディスプレイの画面占有率は85%で、ベゼルの最狭額縁部は6.9mm。今回試用したハイエンドモデルのディスプレイは解像度こそWQHD(2560×1440ドット)と高いものの、リフレッシュレートは60Hzと控えめだった。FPSやアクションゲームのようなスピーディーなタイトルだと、多少は画面のチラつきが気になるかもしれない。

 高性能な小型ゲーミングPCとして運用したい人は、フルHD(1920×1080ドット)の120Hzディスプレイを備えた『GA401IV-R9R2060W』などがおすすめだ。価格も4万4000円ほど安いし。

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HOMEやPageUp / Downなど、一部のキーを省いて19.05mmと広めのキーピッチを実現。左手の親指で押すことの多いスペースキーは左側が大きくなっている(画像は英字キーボードだが、実際は日本語キーボード)。
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メモリは多くのゲーミングPCで採用されているDDR4-2666より高速なDDR4-3200を採用。
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有線のLANポートは非搭載だが、通信機能として新世代の規格“Wi-Fi 6”に対応。

 冷却性能については、吸い込んだ塵を排出する“アンチダストトンネル”というASUS独自の機構が特徴。側面に4つのヒートシンクを備えているほか、5本のヒートパイプによって、CPUやGPUだけでなく、それらに電力を供給する回路からも熱を除去してくれる。

 地味によくできていると感じたのが、ディスプレイを開けると本体が持ち上がる“エルゴリフトヒンジ”機構。少し角度がつくのでタイピングしやすくなり、底面にスペースができるので排熱にも効果的だ。

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 『ROG Zephyrus G14』にはSilent、Performance、Turboという3段階の冷却モードが用意されており、右に行くほどファンの回転が速くなる(通常はPerformanceモード)。

 3Dゲームを遊ぶときはもっとも冷却性能の高いTurboモードに切り替えると動作が安定するが、「サーッ」という回転音が大きくなる。気になる場合はヘッドセットなどで対応するといい。

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AniMe Matrixと同じく、ファンの回転スピードもArmoury Crateで管理。

ベンチマークテスト――旅行や出張先でゲームをしたいなら有力候補

 ここからはベンチマークソフトの結果を見ていく。まずは『ファイナルファンタジー15』のグラフィックを活かして作られた『FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク』。ゲーム関連の処理性能を測るベンチマークソフトとしては“重たい”部類に入るだけに、これでいい結果が出れば性能は申し分なしと言えるだろう。

 テストでは1920×1080ドットのフルスクリーンに設定。軽量品質、標準品質、高品質のプリセットで実行したところ、結果はそれぞれ“とても快適”、“快適”、“やや快適”。十分な結果ではあるが、高品質だと“やや快適”に収まってしまうのが意外だった。

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 ふと思った。冷却モードはPerformanceにしてあるので、もしかしたら熱が問題かもしれない。Turboに切り替えたら、これが大正解。数値は6259にアップし、総合評価も“快適”にレベルアップした。処理の重い3Dゲームを遊ぶときはTurboモードにしよう。

 この流れで『ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク』も試したら軽くテンションが上がった。同じように1920×1080ドットのフルスクリーン設定でテストしたら、最高品質でも“非常に快適”をマークしたのだ。14インチの小型ノートPCでこの数値はかなり優秀。

 毎日の習慣としてMMORPGを遊ぶ人も多いと思うが、出張などで遊べない日もあるだろう。その点、楽々持ち運べる『ROG Zephyrus G14』があれば安心。出張先でもゲームできるPCとして考えると、本機はかなり有力と言えるだろう。

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 参考までに、ゲーム系の定番ベンチマークソフト『3DMark』とPCの基本性能を測る『PCMark』の結果も掲載しておく。

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 AniMe Matrixが楽しそうだったので借りてみたところ、そのポテンシャルの高さに驚かされてしまった。

 これまでにも14インチの軽量小型ゲーミングPCはあったが、性能的にはもの足りなかったのも事実。ブラウザゲームや2Dゲームは快適に遊べたものの、3Dぐりぐりのアクションゲームなどはさすがに厳しかった。

 ところが、『ROG Zephyrus G14』のハイエンドモデルは、『ファイナルファンタジー15』クラスのゲームでさえも問題なく動作する。軽量小型の持ち運びしやすいゲーミングノートPC”の中では、現時点の最適解なのでは、とも思えるほどだ。

 個人的にはAniMe Matrixのバージョンアップに期待している。もっと使いやすく、もっと細かく設定できるようになったらうれしい。