より長期運営を目指して


 2018年12月6日にサービス開始した『ロマンシング サガ リ・ユニバース』(以下、『ロマサガRS』)。本作は、2019年12月に30周年を迎えた『サガ』シリーズのキャラクターが共演するスマートフォン用RPG(アカツキとスクウェア・エニックスの共同開発)。2020年2月には累計ダウンロード数が2000万を突破するなど、『サガ』シリーズファン以外も虜にする独特のゲーム性で高い人気を誇っている。

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 そんな『ロマサガRS』を運営するアカツキが、今回手広く人材募集を掛けることが明らかとなった。なぜ大々的に人材を集めるのか? どんな人材を求めているのか? そして、1年間運営してみた感想や、今後の『ロマサガRS』などについて、スクウェア・エニックスの市川雅統プロデューサーと、アカツキのクリエイティブプロデューサー兼エンジニアの、島崎清山氏にお聞きした。

※なお、今回のインタビューは新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ウェブミーティングツール“Zoom”を介してのインタビューとなっている。

市川雅統(いちかわ まさのり)

スクウェア・エニックス所属。『サガ』シリーズのプロデューサー。『ロマサガRS』では、スクウェア・エニックスの立場から、アカツキとタッグを組み開発に臨んでいる。(文中は市川)

島崎清山(しまざき せいざん)

アカツキ所属。クリエイティブプロデューサー兼エンジニア。エンジニアでありながらも『サガ』シリーズのファンでもあり、世界観などの確認も行っている。(文中は島崎)

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市川雅統氏。バーチャル会議用背景は、『ロマサガRS』の筆字などを担当した江島史織氏が制作したもの
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島崎清山氏

『ロマサガRS』を1年間運営して

――直近では、3月に2000万ダウンロード記念キャンペーンとして、ゲーム内イベント“スプリングサーカスショー”や、グスタフが実装された“ウルトラデラックスガチャ”など、印象に残る施策が多かったですよね。ユーザーの反応はどう届いていましたか?

市川すごく盛り上がりました。とくにグスタフは、『サガ フロンティア2』のファンがこれほどまでに多いのかと、改めて実感できるほど喜んでいただけました。

――さらに、『サ・ガ2 秘宝伝説』から“せんせい”もついにプレイアブルとなりましたね。今後もゲームボーイ3作品からのキャラクターがプレイアブル化していくのでしょうか。

市川一概に「出ます!」とは残念ながらまだ言えないのですが、私もゲームボーイシリーズは思い入れが強いです。ただ、『サガ』シリーズのファンの方々は、非常に濃いファンばかりですので、ひとりのキャラクターを登場させるだけでも、いかに丁寧に扱うのか、つねに気を付けているところです。

島崎キャラクターをどう登場させるかは、いつも議論しています。シリーズ中のさまざまなキャラクターを登場させてほしいという要望は、ファンの方々から常にいただいていますし、私たちも叶えたいところです。ですが、とりあえず登場させて使われずに終わってしまう、となるのは良くないですし、どうスタイルを増やしていくかのバランスを考慮して、プレイヤーの反応を見ながら議論を重ねています。

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2020年3月31日~4月15日に開催された“ウルトラデラックスガチャ”に登場。

――1年目は、人気の高いキャラクターが数多く登場しましたね。

市川『サガ』シリーズの特徴的なポイントは、主人公が複数なことや、フリーシナリオであること、仲間のキャラクターがたくさんいるなど、思い入れのあるキャラクターが人によって大きく違うことです。やはり『サガ』シリーズならば、好きなキャラクターを使ってクリアーしたいじゃないですか。そういう観点から、1年目では皆さんにとくに人気のあるキャラクターを多く登場させました。ただ、まだ登場していないキャラクターもたくさんいます。そこをどこまで深堀りできるのかが、今後のテーマだと思います。

――自分の好きなメンバーでパーティを編成する、という『サガ』シリーズらしい楽しみこそ『ロマサガRS』らしい部分だと思います。それをどのように『ロマサガRS』に落とし込んだのでしょうか?

市川パーティの選択肢の幅が広いぶん、難度が高いというのが『サガ』シリーズでした。それをスマートフォン用RPGでどう再現しようかと考えたのが“ほとんどガチャを引かなくても遊べてしまうゲーム”という案だったのです。隅々まですべて遊び切れるかというとプレイスタイルにもよるのですが、いちばんレア度の高いSSスタイルのキャラクターも複数配布して、なるべく攻略できるように意図しています。

島崎開発初期の議論で、『サガ』シリーズが持つ、プレイヤーの自由意志を尊重する、という特徴を『ロマサガRS』でも大切にしたいと考えました。この方針がもっとも濃く出ているのが、キャラクターとスタイルの選択だと思います。そして『サガ』シリーズの特徴からもうひとつフィーチャーしたのは、ほかのスマートフォン用RPGでは必ずしもやらないことをやろうとするという、フロンティア精神です。

――具体的には、どのような?

島崎市川さんが言うように、本作は好きなキャラクターを使って攻略できるRPGです。これは、スマートフォン用RPGでは実現しにくいことだと思います。たとえば、定期的に強いキャラクターを実装し、それに合わせてプレイヤー側がどんどん強くなり、ガチャによって攻略のしやすさが大きく変わるというのがスマートフォン用RPGのオーソドックスなスタイルです。ですが『ロマサガRS』は、“このキャラクターが出ないからボスに勝てない”というゲーム性にはしたくなかったんです。

――なるほど。ヒットしたスマートフォンタイトルは、たいていそこからインスピレーションを得た“フォロワー”と呼ばれるタイトルがリリースされますよね。ですが、『ロマサガRS』は現在も唯一無二だと思います。

市川そう言われてみれば、そうですね。

島崎ゲームを提供する側としては、『ロマサガRS』は模倣したくないタイトルかもしれません(笑)。マネタイズの面でも流行とは違いますし、ゲームシステムもやや複雑な面もあったりします。

市川ええ。マネタイズの面はとくに難しいでしょうね。

――ジュエル(課金通貨)の配布も多いですよね。いちプレイヤーとしてはありがたいです(笑)。

市川現在、海外版のクローズドβテストをやっているのですが、海外のプレイヤーたちから「これはお金使わなくても遊べるゲームなのでは?」と言われていて。まさにその通りです(笑)。

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――しかし、長く運営しているということは、しっかりマネタイズはできているわけですよね。

市川『ロマサガRS』のゲーム構造は、長い時間をかけてキャラクターを育成すれば、攻略できる仕組みです。長い時間をかけることでゲームに対する愛着も湧いてきて、最新のキャラクターを育ててみたい、こういうパーティを組みたい、というところに到達してから積極的にガチャを回し始めるということもあります。ただ強さを追い求めるためではなく、遊びの横幅を自分で増やしたいときに、プレイヤーはガチャやアイテムを購入するということが多いかもしれません。

島崎好きなキャラクターで好きに攻略するという方針を実現する前提で、ほかの部分をどうするのかを考えてシステムを設計しました。

市川開発初期は技をガチャで排出する、というシステムの案もチームで上がりました。技がガチャであれば、好きなキャラクターで攻略できます。ただそれだと、何だか『サガ』らしくないし、おもしろくならないかなと。

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――『ロマサガRS』を1年間運営して、どんな感想をお持ちですか?

市川何もかもが初めてのことだったので、本当に大変でした。いけると思った施策がダメだったり、通常通りの施策が予想以上に好評だったり、予想も付かなかったです。そして、失敗した施策でお客さんが離れるのを見て心を痛めたこともありました。そのたびに一喜一憂して、「ああしよう、こうしよう」と模索していったら、あっという間に1年が経っていました。

島崎本当にあっという間でした。リリースした当時は、予想以上のプレイヤーたちに歓迎され「これはたいへんなことになったぞ」という良い意味での焦りもありました。何かひとつ施策をやるたびに、反響の規模がものすごいんですよね。運営がひとつミスをすると、多くのプレイヤーの皆さんにご迷惑を掛けてしまいますから。ただ、それでも支えてくださるプレイヤーの方々には、本当に感謝の気持ちで一杯です。

市川イベントなどを楽しんでいただいている時はいいのですが、アップデートや新イベントの追加を控えている最中は、かなり心苦しいです。いろいろな施策の都合が絡み合っているわけですが、ああすればもっと楽しんでもらえたなとか、思い返すだけでも胸が張り裂けそうで……。

島崎たとえば今年2020年1月は、その前の月(2019年12月)の1周年記念イベントに全力を注いだ結果、1月にやることが減るという結果になってしまって、本当に申し訳なかったです。ただ、『ロマサガRS』のプレイヤーは、何かやるたびに、非常に詳細に反応をくれるのがありがたくて。そういったご意見をたくさんいただき、この1年はプレイヤーの皆さまといっしょに本作を育て上げた年でした。そして、より大きなタイトルにするために、今回人材募集をすることになったわけです。

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2020年4月10日~5月15日4時まで開催中の“せんせいの集中特訓講座”で入手できる。

『サガ』愛を持つ人材をより集めたい

――それが今回の人材募集での目的というわけですね。具体的には、どのようにタイトルを大きくすることを目指しているのでしょうか。

島崎本作は、『サガ』シリーズのファンの方々が遊び続けられる場にすることが第一です。そして、これまでシリーズ作品を遊んだことのない新しいプレイヤーの方々にも『サガ』の魅力をお届けし、『サガ』コミュニティをさらに広げていきたいというのが『ロマサガRS』の目標であり、最初の出発点でした。それを3年、5年、10年と続けていくためには、長期運営を見据えなくてはいけません。そのために、組織を強化する必要があるというのが、今年の課題のひとつです。

――なぜ2年目を迎えたこのタイミングでの募集となったのでしょうか?

島崎チーム内のさまざまな整理が進み、新しい人材を受け入れやすくなりました。昨年は1年間の運営をとにかく走り続けることを重要視していましたが、現在は新しいスタッフが入られた際に、丁寧に仕事を教えたりする時間を以前よりも十分に取れるようになってきました。

――アカツキの人材募集でありながら、『ロマサガRS』の人材募集であるともお聞きしています。

島崎アカツキでは、タイトル固有のスタッフ採用は今回が初めてです。本作はやはり『サガ』シリーズへの愛が重要だと考えています。若手スタッフもたくさんいて、開発現場には歴代『サガ』シリーズを遊ぶ環境も揃っているのですが、各作品をプレイし通すのはなかなか時間が掛かります。そういった意味で、『サガ』ファンのスタッフにぜひ来ていただきたいという思いもあり、今回は『ロマサガRS』固有の人材募集となります。

――具体的には、どういった人材を募集しているのでしょうか?

島崎今回まず募集するのは、企画・プランナーです。ほかにも技術職はつねに募集していますし、この先、演出を作るスタッフ、ゲームを検証するスタッフ(QA)、カスタマーサポート担当などなど、より幅広く人材を募集していきます。

――絶対に『サガ』ファンである必要はありますか?

島崎もちろん既にご存知であればベターですが、そうでなくても入ってから『サガ』シリーズをプレイして理解を進めていただければ大丈夫です。ちなみに私自身はもともと『サガ』ファンのひとりでして、「このプロジェクトを必ず成功させて、河津さん(スクウェア・エニックスの『サガ』シリーズ総合ディレクター・河津秋敏氏)にまだまだ『サガ』シリーズの新作を作ってもらいたい!」という、私利私欲の意気込みでチームに入りました(笑)。

――実現を僕も願っています(笑)。ゲーム開発の経験がない人は応募できますか?

島崎企画・プランナーについてはおもに経験者の募集になります。ただ職種によっても異なります。たとえばQAチームのスタッフなどは、ゲームが好きで開発未経験から入って、ゲームの検証を極めたいというスタッフもいます。

――募集の規模はどのくらいになるのでしょうか?

島崎現在アカツキ内では100名ほどのスタッフが開発に関わっている中で、各職種で数名を想定した募集です。今後、新しいスタッフたちがアカツキに慣れていき、その方々が人に仕事を教えられるようになれば、さらに新しい人材を募集することもあるでしょう。

――ちなみに島崎さんは転職でアカツキに入られたそうですが、実際にアカツキで働いてみてどんな感想をお持ちですか?

島崎なるべくルールや制約で縛らず、新しくてすばらしいものは、どんどん取り入れて変化していくところが大きな特徴だと思います。いつも環境が変わらない安心感を求めるというよりは、変化の中でどんどん積極的にチャレンジしていく人のほうが、アカツキには合っていると思います。

――では、どんな人にアカツキの『ロマサガRS』チームに入ってほしいのか、おふたりからお聞かせください。

市川「こういうことができたら、おもしろくないですか?」とつねに言い合える人と仕事がしたいですね。「こんなことを言ったら変だと思われるかな?」というくらい、突拍子もないアイデアでもいいんですよ。自分の考えていることや、自分のやりたいことを実現するために動くときが、いちばんパフォーマンスが発揮されると思います。そういうことが好きな人こそ、『ロマサガRS』には合っているのではないでしょうか。

島崎『ロマサガRS』チームはアグレッシブなタイプの人が集まっていますし、新しいことにチャレンジしたいという人は、アカツキにも合いやすいと思います。かといって、ただ新しいことをやればいいというわけではなく、運営型のタイトルはプレイヤーの皆さまと丁寧に接して期待にお応えするのも非常に重要です。『ロマサガRS』チームは、良くも悪くも攻めっ気の強いスタッフが多いので、守るべきところは守ってくれる、そんな人もぜひ来てほしいですね。

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『ロマサガRS』開発のポイントは、互いに言い合える関係性

――『ロマサガRS』はアカツキとスクウェア・エニックスがタッグを組んだタイトルです。具体的に、アカツキとスクウェア・エニックス間で、どのような連携を取っているのでしょうか。

市川ゲームや会社によっては、「ここをもっとこうしてほしい」と、ゲームシステムや運営方法などを、開発会社に細かく指示出しをする手法もあります。ただ、それは『サガ』シリーズ本編の作り方としては、何か違うと思っていまして。スクウェア・エニックスとアカツキが、ゲームをおもしろくするための意見交換を積極的にする関係性にしました。

――とはいえ、そういった関係性を構築するのは、なかなか難しそうですね。

市川まず何かを言い合える環境を作るために、ひとつのテーマを目標にしました。先ほど言ったように、本作はお金を使わずとも遊べるゲームです。つまり、本作は大きな売り上げを出す以上に『サガ』のおもしろさを多くの人に届けるゲームなんです。ただ、その気持ちを共有できるかというのは、かなり難しいことです。たとえば先日、コラボ企画“ロマンシング佐賀 2020”を発表しました。でも、売り上げを上げることだけを考えるのならば、ほかのゲームタイトルとのコラボの話などが先に来ると思うんです。

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――短絡的ですが、新作や人気タイトルの“大人気キャラクター参戦”などのほうが色気はありますね。

市川でも、『ロマサガRS』はそういうタイトルではないんです。他タイトルとはまた違う、『サガ』シリーズというRPGがあり、『サガ』シリーズ固有のおもしろさや魅力があります。その魅力を語り合える場を作ることが、本作のテーマです。それが目標だからこそ、そのテーマに沿っているのかが言い合えるわけです。もちろん、人気のキャラクターをコラボでバンバン出したりすれば、売り上げは上がるのかもしれません。ですが、『サガ』シリーズ全体のブランドとして、「それはどうなのだろう?」と思うところがあります。それでファンが去ってしまったり、『ロマサガRS』がつまらなくなったと思われたりしたら、元も子もありません。アカツキさんは、そこに共感して作ってくださっている、という思いが強いです。

――そのおかげで、思いがブレずに運営してこられたと。

市川すべてにブレてないわけではまだまだないですが、意見交換できる関係性がないと「これは市川が言っているからやらなきゃ」という考えになってしまいがちです。ですが、いまは「市川が言っているからといって、本当に合っているのか?」としっかりと考えて、間違えているのかどうなのか、正直に言える関係性になっていると思います。そういう意味では、非常に自主性の求められるプロジェクトですね。

島崎 まさにその通りで、あの人がこう言ったからこうする、前はこうしたからこうする、といったことは基本的にありません。目標のすり合わせは丁寧に進めますが、開発は自由にやらせてもらっています。開発期間中もゲームの仕様が固まった後は、それから半年くらい細かい話はほぼせずに、ゲームを作り切りました。スピーディに開発できたのは、任せていただいたのが大きかったです。この進めかたは、アカツキらしさに通じるところでもありましたね。

――アカツキらしさと言いますと、具体的にはどのような?

島崎アカツキも開発に細かい指示出しはしないことが多いんです。基本的には各セクションが自律的に進んでいくという開発スタイルです。最後の整合性を取ることなどは、まとめ役がやりますが、基本的には個々のセクションのパワーを発揮してもらっています。

市川アカツキさんは、基本的にひとつの目標に向かって、スタッフ全員が自分で決めて自分で責任を取るという仕事の進めかたですよね。本当に自由に発言して、ひとつの施策ごとに責任を持って取り組む。だからこそ失敗したときに、もう2度と失敗したくないと思っているはずです。それに対して、自分もできるだけやりたいことをやっていただくようにしています。だからこそ、スタッフたちのプレッシャーは大きいように僕からは見えますね。

島崎加えて本作はスクウェア・エニックスさんとの協業というところから生じる、責任感や緊張感もあるかと思います。

――らしさと言えば、本作は『サガ』シリーズを扱うタイトルです。アカツキとして、島崎さんとして考える“『サガ』らしさ”とは何ですか?

島崎“新しいことをやる”というのが大きいと思います。『サガ』シリーズは、共通する『サガ』らしい要素もありますが、どのタイトルもひとつひとつ違うおもしろさがあると思うんです。『ロマサガRS』も新しいことを目指したタイトルなのですが、スマートフォン用RPGというのは、リリース後はお客さんといっしょに育てる側面があります。単に新しいことを詰め込んでも、ファンの理解を得るのは難しいです。プレイヤーに期待されている要素を提供しつつ、少しずつ新しいことを出していって、期待に応えながらもときどき驚いてもらえることを目指すというのは、一種の『サガ』らしさだと思います。

市川確かに新しいことをやるのも『サガ』らしさのひとつですね。ただ、それが正解なのか分からなくなるときもあります(苦笑)。自分としては、スクウェア・エニックスのほかのタイトルでやってないことはやりたいし、やっていることはやりたくないんです。その都度、河津に相談もします。たとえば、「チェーンソーメーカーとのコラボはどうですか?」と話をしたことがありました。結果として没になっちゃいましたが。

※チェーンソーは『サガ』シリーズ1作目である『魔界塔士サ・ガ』の最強武器として登場する。

――さすがにコラボチェーンソーはヤバそうです(笑)。

市川冷静に考えると、チェーンソーは素人が扱うものではないですし、ファンの方が興味本位で買ってしまうのは危ないですからね(笑)。ほかにも、たとえばテレビCMをドット絵でやってみようとか、ほかとは違う施策を目指しています。もしかしたら、言葉にできない“『サガ』らしさ”があるのかもしれません。

より長く続けられる運営に

――先ほどもお話に上がりましたが、“ロマンシング佐賀 2020”についてもお聞かせください。これまでも佐賀県と『サガ』シリーズのリアルイベントはありましたが、今回『ロマサガRS』とのコラボという、珍しい取り組みとなりました。しかも、『ロマサガRS』としては初のコラボですよね。具体的には、どのようなイベントになるのでしょうか。

市川これまでも開催してきた、制圧戦イベントとなっています。これまでのマップとは異なり、なんと佐賀県がマップです。地名もそのままですし、マップ名は佐賀県さんからいろいろなアイデアをいただきました。また、敵としてワラスボが出たり、ロックブーケが曳山を連れた佐賀バージョンになって出現するなど、佐賀県でバトルが楽しめるという……(笑)。

――かなり個性的なイベントになりそうです(笑)。長期運営を目指す中で、今後の施策やイベントでお話いただけることはありますか?

市川今後の生放送などをお楽しみにしていただけると助かります。ただ、長期的に考えるということは、たとえば『サガ』シリーズ本編では描かれていなかったストーリーを、河津に書き下ろしてもらう……ということも可能なわけです。制作するのにはかなり時間が掛かりますし、プランが現状あるわけではないのですが、そういったことも今後は可能だということです。佐賀県とのコラボも、じつは1年前くらいからあがっていたお話なんですよ。

――では最後に、2年目は、『ロマサガRS』をどのようなタイトルにしていきたいですか?

市川1年目は手いっぱいで、やりたいことができなかったことも多いです。もっといろいろなことができたのに、1ヶ月先のことを考えることで手いっぱいといった期間が長かったです。2年目は、長期的にプランを立てる必要があるので、現在それを進行している最中です。

 これだけ大きいプロジェクトになると、安定する方向にかじを切ることも多いと思うのですが。もっと、2年目も攻めて新しい何かを生み出したいと思っています。ぼくらの思うおもしろさ、『サガ』らしさ。お客さんが毎月展開に驚いたり、斜め上の施策で攻めてみたり。ふつうのRPGじゃない、『サガ』じゃないとできないことをやりたいですね。

島崎1年目はたいへんではありましたが、多くのプレイヤーに愛していただけるタイトルになりました。キャラクターのパラメータをコツコツと上げて、ステージを攻略していくという基本のプレイスタイルはそのままに、新たなストーリーの追加はもちろんのこと、皆さんに驚いてもらえる新しいコンテンツを増やしていきたいです。

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『ロマサガRS』の5年成長計画をいっしょに描くメンバーを初募集!

『ロマサガRS』をいっしょに盛り上げて行ってくれる方のご応募をお待ちしています。
詳しくは下記アカツキ採用情報よりご確認ください。

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