2020年春、NEXON Korea社より配信予定の『TRAHA』。広大なフィールドや美麗なグラフィック、派手なアクションが目を引くスマホMMORPGだ。
本作はPCゲームではおなじみの“Unreal Engine 4”で制作。いまどきのスマホは非常にハイスペックということもあり、まるでPCゲームのような本格派のRPGに仕上がっている。
スマホで本気出してMMOを作った! しかし……?
日本に先立って韓国でリリースされた『TRAHA』だが、プレイヤーの意見とはすれ違いもあったという。あまりに本気でMMORPGを追求したため、スマホゲームならではの“手軽さ”を求める客層とかみ合わなかったわけだ。
そんな『TRAHA』が、日本にこの春やって来る。日本でのバージョンでは、プレイヤーの声を正面から受け止め、スマホで遊びやすく、かといってMMORPGのおもしろさは損なわないように、スマホMMORPGにおける永遠の難題に挑んでいるようだ。
調整のひとつは、課金ガチャ等で入手できる“精霊カード”の装備レベル撤廃。苦労して手に入れた精霊カードを装備できないとストレスになるので、すぐに装備できるようにしたという。
おや? そうすると強い精霊カードを手に入れるために、ガチャを回しまくるようにならないか? それはユーザーのためになるのだろうか? そんな疑問を抱いたが、全体としてはいい方向に進んでいるらしい。気になる。
昔からPCのMMORPGを遊んできて、昨今のスマホゲームも好きな筆者としては、『TRAHA』の実力を見極めたい。そこで、開発会社MOAI GAMES社のキーマンにゲーム概要に関するインタビューを行った。
加えて、ゲーム内では実際にどうなっているのか、テストプレイで探ろうと思う。
なお、本記事内の画像は開発段階のもの。製品版とは異なる部分があることはご了承いただきたい。今回はソロのみでの体験プレイとなったので、パーティープレイなどの複数人用コンテンツについては、また別の機会に。
『TRAHA』ってどんなゲーム? どの辺がおもしろいの?
まずはゲームの概要について、インタビューを交えつつ説明していこう。お答えいただいたのは、『TRAHA』を開発するMOAI GAMES社CEO Lee Chan氏と、ヘッドゲームデザイナーのChoi Byung In氏。
Lee Chan
『TRAHA』を開発するMOAI GAMES社 CEO。
Choi Byung In
MOAI GAMES社 ヘッドゲームデザイナー。
――『TRAHA』はどんなゲームですか?
『TRAHA』は多数のユーザーが集まって巨大な社会を成すMMORPGです。“ヴァルカン”と “ナイアド”という2個の陣営に対立される社会を成して、協力と競争を通じて成長して行くゲームです。
モバイルゲームらしからぬスケールと環境で、単純に見守るばかり(いわゆる自動プレイ)ではなく直接操作をする楽しさを感じられるゲームです。
――日本のユーザーに楽しんでもらいたいポイントは?
MMORPGが、現在の日本の主流ジャンルではないのは理解しています。『TRAHA』を通じて、仮想の空間で多数のユーザーたちと巨大な社会を作っていく楽しさを感じていただければと思います。
ゲームスタート時、『TRAHA』ではふたつの国家のどちらに所属するかを選ぶ。国家対国家、いわゆる“RvR”が基本的なテーマ。その壮大さもまた世界観作りに一役買っている。
この時点で「戦争とか対人とかめんどい……」と思う人や、そもそもMMORPGにそういった要素を求めていない人もいるかもしれない。
だが、そこは安心してほしい。直接的にほかのプレイヤーと戦う要素はほとんどないのだ。税金ノルマもないし、無理に戦争に召集されることもない。所属する組織が大きすぎるため、人間関係のしがらみを感じようがない。
ただ、ちょっと手を出せば、国家ならでは楽しみや報酬にも触れられる。多くのコンテンツが用意されるMMORPGならではの要素と言えるだろう。
国家のことはさておき、日々のプレイでは小分けにされたクエストを順次受けつつ、メインストーリーを追うのが主軸になる(数多く用意されている生活コンテンツについては後述)。
クエストでは、目的地への移動から途中で発生する「●●を何体倒せ」といった戦闘内容まで、すべてオートで進行できる。正直、ものすごく楽だ。
メイン以外に、“デイリーミッション”や“サイドミッション”などが用意されている。これらも一覧から選択してタップしたら放置してオーケー。
戦闘部分は非常によくできている。自動で終わらせるだけではもったいないくらいだ。画面左の仮想レバーと画面右のスキル&アクションボタンで手動操作を行えて、ボタンにセットするスキルは5個まで。ページ切り替えのような操作はなく、基本的には5個のスキルで戦う。
筆者は「どのスキルを登録するか」とビルドを考えるのが好きだ。とはいえ、登録可能な数が多すぎるのも困りもの。従来のスマホアクションゲームでは、ページを切り替えて8~10個ほどのスキルを使い分けることも珍しくないが、そこまでの忙しさを感じないのはありがたい。
ゲームプレイ映像ーバトル
本作ではキャラクターのクラスに“インフィニティクラス”というシステムを採用している。“無限のクラス”とはどういうことか。
キャラクターは4タイプから選択。それぞれ3つの武器種を装備でき、非戦闘時なら自由に切り替えられる。内訳は以下の通りだ。
- 前衛防御型(大剣か盾&鈍器)
- 前衛攻撃型(双剣かナックル)
- 後衛支援・攻撃型(弓か杖)
「ここは敵が強いから防御力を高くしたい」なんて場合は防御型の武器を選択する。こういった戦略性がストレスフリーの一助となっているのだ。特定の役割に縛られないクラスシステムと考えるとわかりやすい。
無論、スキルは武器ごとにまったく異なるものが用意されている。アクションの幅を広げる意味でもおもしろい。
戦闘はオートでも十分遊べるが、手動操作だともらえる戦闘経験値が増えるなどの利点もある。こういった設計の意図は、インタビューの返答にもあった。
――開発側で思う『TRAHA』の強みを教えてください。
プラットフォームはモバイルですが、“直接やる”ゲームです。ボタンを押して自動に遂行される部分もありますが、核心的な部分は直接操作を推奨するゲームであり、それこそ『TRAHA』のいちばんの強みだと思います。
――アクションが苦手なユーザーをサポートするシステムはありますか?
ほかのプレイヤーとバトルをしなくてもキャラクターを成長させられるうえ、多様な難易度のミッションで本人の難易度に合わせて成長させることもできます。
もちろん自動プレイを通じても、操作をカバーすることができます。また、生活コンテンツの場合はアクションが不要です。生活コンテンツに合わせた操作を通じて、成長に必要な多くのアイテムを製作することができます。
タップ回数を減らして気軽に遊べる方向へと進みつつあるスマホゲームの中で、“直接やる”ことが楽しいゲームを作りたかったわけだ。
手動操作を重んじることなどから、じっくり遊ぶとおもしろい“古きよきMMORPGを作りたい”という気概を感じる。MMORPGファンとしてはうれしいかぎりだが、どんなにおもしろくても、手間がかかると手軽なゲームに慣れた人から敬遠される傾向はある。どう調整しているのだろうか。
――手動操作の比重が大きいと、ユーザーから敬遠される傾向はあるかと思います。どう調整していますか?
はい。韓国ではそんな手動操作を過度に強制し、くり返しの行為を長時間やらせすぎていると反発が多かったです。日本バージョンでは調整してあって、必要なところで、短時間の操作だけで十分に成長できます。
基本的に手動操作をしたほうがいいことは変わりないですが、極端なくり返しをしなくても十分な効率が出せるようにしました。
韓国で多くの指摘を受けたのが、この手動部分だったという。失敗を認識し、それを隠そうとしないのは好感が持てる。では、どのように日本版では改善されているのだろう。
先に触れた通り、クエストはすべてが自動で進行できる。何度もくり返したいときは、“行動力”を消費することで“●回くり返し”と設定して放置プレイも可能だ。
アイテムをNPC商人から購入したり、つぎの目的地に向かったりといった主人公の行動を描くこと自体は、手動操作すると“RPGを遊んでいる実感”につながるので残してほしい。
しかし、「ここは自動でもいいじゃん!」と思う部分が、古今問わずMMORPGには多いのも事実。そういう部分が、本作ではしっかり自動化されている。
――日本で展開するにあたり、改善したポイントを改めて教えてください。
初期の韓国版では、直接プレイする部分を強調しすぎました。長時間にわたって直接的な操作を要求したことにより、疲れやすいゲームでもありました。
そこで、くり返す行為自体の必要性を減少させました。直接操作するのは一部だけにしています。初期はくり返す行為が必須要素でしたが、日本バージョンでは選択肢のひとつくらいになっています。
――そのほかに調整及び改善の予定はありますか?
『TRAHA』にはほかのゲームと違う部分が多く、ゲームに慣れるまで難しい部分がありました。序盤のガイドを改善してプレイの流れを調整し、ゲームに対する学習時間を持てるようにしました。
また、日本市場に合うように、やりすぎた確率アイテムにも手を加えながら、アイテムの価値がより長く維持されるように調整しました。
まだ粗削りだが、改善しようという気概を感じる
と、だいぶ褒めちぎったような気もするが、ここからはテストプレイで感じた部分を厳しめに指摘させていただきたい。さらに、インタビューを引用して、そこに対する改善の展望があることを示そうと思う。
自動進行するクエストのうち、サブとなるデイリーミッションとサイドミッションはくり返せる回数が多い。完璧にこなそうとすると時間がかかる。
【ミッションの種類】
・デイリーミッション
毎日15個用意され、"行動力"を消費して受注できる。経験値や財貨を多く得られるが、それぞれ1回クリアすると消滅する。すべてを完了するまで連続で受注するように設定できる。
・サイドミッション
難易度や報酬が異なるものが数多く用意され、好きなものを選んで受注可能。受注するには行動力が必要で、行動力が続くかぎり同じミッションを何度でもくり返して受注できる。
行動力は回復する機会が多いため、何度でもくり返し受けられるサイドミッションの場合、30回くり返してはまた20回くり返して……といったことも可能なほどだ。
すべてを消化する場合、スマホを放置しておいても6時間以上かかった。正直しんどい。
スマホで遊んでいるからこその錯覚に陥っていたことに、インタビューの回答から気付かせてもらえた。
――サブクエストの役割を教えてください。
サブクエストはデイリーミッションとサイドミッションで分けられています。
基本的には、成長する過程で広いフィールドを歩き回りながら、1日に1回だけ遂行できる各デイリーミッションのみを楽しんでほしいと思っていました。
ですが、より早く成長したいユーザーもいらっしゃいます。くり返すことになりますが、サイドミッションを提供して、追加的に成長ができるようにしました。
――簡単に成長したり、アクション実施のポイント(行動力)の回復が早かったりすると、ゲーム進行の加速を招き、“飽き”につながる可能性もあるかと思います。どういった形でフォローするのでしょうか?
むしろ、成長が遅すぎても飽きてしまいます。飽きないバランスを目指して調整しました。
――大きなコンテンツ(パーティー用ダンジョンなど)の解放レベルが、韓国では若干高すぎると言われていると聞いたのですが、日本版ではどのようになっているのでしょうか?
私たちが準備したコンテンツをユーザーの方々が楽しむためには、私たちもそうですが、それを楽しむユーザーの方々も準備が必要だ思いました。
たとえば“攻撃隊ダンジョン”では、多数のユーザーの方々が強いボスと相対しなければいけません。ですので、先に“パーティーダンジョン”プレイを通じて攻略パターンを学べるように段階を置きました。パーティーダンジョン攻略が終わってから、挑戦できるように、と。
大規模RvRコンテンツの場合、多くの方々の参加を誘導するために、オープン初期から公開するのではなく、アップデート要素として設定しておいて、ユーザーの方々に『TRAHA』に適応できる時間と成長のための準備時間を設けたものだと言えます。
――“手動操作なら取得経験値が増加する”というのは珍しい仕様だと思います。ユーザーにどんな体験をしてほしいと期待していますか?
自動プレイでぼーっと眺めるのと、スマホを手に取って遊ぶ楽しさは異なるものです。実際プレイをするユーザーは時間を消費しているので、その分の利得をちゃんと得られるようにしたかったのです。
そう。デイリーミッションだけの消化なら、ちゃんと攻撃的なビルドにしてから放置すれば30分程度で済む。サイドミッションは、「やりたければやろう」という、レベリングをより急ぐ人向けのコンテンツなのだ。
スマホゲームはさくさくレベルが上がり、できることが急速に増えていくイメージが強い。だが、本作はMMORPGだ。昔ながらのMMORPGユーザーなら、1日数%ずつしか増えないEXPバーを眺め続けたあの頃のわくわくを、いまも覚えているのではないだろうか。
プレイヤー自身も十分にスキルを磨けた頃に、高難度コンテンツが自然と解放されている。そんな形こそ、MMORPGでは理想だろう。
PCのMMORPG的な観点から見れば、本作はMMORPGとしては成長や進行が比較的早い部類に感じた。
となると、愛用していた装備があっという間にいわゆる“産廃”になったり、進行に追いつくために生産コンテンツで強い武器をつねに作り続けるなど、焦らされる部分もあるのではと、という不安もあった。
――新しい武器や装備等のアップデートはMMOユーザーに非常にセンシティブな部分があると思いますが、この部分に対して大事にしている理念はありますか?
RPGや多くのゲームでは努力をして、ほしいアイテムが得られるようになります。しかし持続的に成長するとすれば、結局新しいアイテムが必要となります。
その過程で、以前のアイテムは少ない努力で手に入れられるように調整を行うこともあります。以前のアイテムが効率を大きく下げないバランスを心がけています。
努力に対する差は置きながら、ユーザー格差があまりに広がりすぎないようにして、いっしょにゲームを楽しんでもらうのが私たちの目標です。
生活コンテンツも非常に豊富だ。最初はどれに手を付けるべきか分からない印象を最初は受けた。こちらについては、以下の回答をもらっている。
――多くの生活コンテンツが用意されているようですが、それらの間にも何らかの関わりや循環があるのでしょうか。
アイテム製作の材料としてほかの生活コンテンツで生産したアイテムが必要になるなど、循環するような構造になっています。
たとえば装備アイテムを製作するとします。“採掘”で金属材料を得て、“狩り”で入手した皮を“工芸”で加工して、接着剤を作るために“釣り”で取った魚が必要。装備に特殊能力を付与するためには、“考古学”を通じて獲得した魔法付与アイテムも必要です。
アイテムを製作するためには、すべての生活コンテンツをプレイするか、ほかのユーザーの助けが必要となります。生活コンテンツで獲得したアイテムをオークションを通じて取り引きすれば、必要なアイテムを入手でき、財貨も獲得できます。
ゲームプレイ映像ーサブコンテンツ
簡単にアイテムが生産できたら味気ない。だが、なるべくなら苦労もしたくない。循環構造になっているのなら、自分が興味を持ったところだけ伸ばせばいい。
実際にサービスインしてからでないと実働模様はわからないが、少なくともその方向を目指してくれているというだけでも心強い。
今後も成長していく『TRAHA』。MMO入門にいかが?
筆者の個人的な感想だが、サービスイン直後のMMORPGは、どのタイトルも問題だらけだったように思う。
それでも、ユーザーが「ここがダメ!」と指摘しながら、実際にゲームをプレイして支えた。ユーザーの声を運営が真摯に受け止めて改善していく。ゲームもユーザーも運営も開発も、みんながいっしょに育っていくものだと思う。
『TRAHA』は韓国の初期バージョンから、スマホの気軽さとMMORPGの深さの間でバランスを取りつつ、確実に改善が進んでいる。
今回は触れていなかった要素についても、インタビューでは以下のように、さまざまな展望が伺えた。
――パーティーダンジョンやワールドボスとの戦闘では、オートマッチングによるパーティー結成など、気軽に参加することができる機能は用意していますか?
『TRAHA』にはパーティーダンジョンや攻撃隊、戦場など多様なコンテンツにマッチング機能が提供されています。ほかのサーバーのプレイヤーともつながれる統合マッチング機能です。
――フレンド登録機能や、遠く離れている友だちともパーティーを結成してダンジョンに移動できるような機能は用意されていますか?
もちろん、友だちを登録してパーティーを結成して、不足なメンバーだけマッチングを通じて募集することもできます。パーティーマッチング完了後、すぐダンジョンに移動できる機能も用意しています。
――日本のスマホMMORPGではチャットが使いにくいという意見が多くあります。『TRAHA』ではどのような対応していますか?
モバイルゲームはUIの限界でチャットの機会が少ないだろうと思っていましたが、韓国ではそうではありませんでした。新しい世代には、スマホでチャットをすることは制約にならないようです。
ボイス to テキスト機能も搭載していますが、正確度はまだ足りていません。スマホ環境で簡単なあいさつができるエモートアイコンなども有用ですので、それらの機能を搭載しました。
昨今のオンラインゲームで問題視されがちな、“ガチャを回したほうが強くなる”という構造的な問題についても、本作ではしっかりと視野に入れている。
――精霊カードとはどんなアイテム(システム)ですか? 日本向けに改善した点があれば教えてください。
精霊カードは『TRAHA』の核心的な収集、成長要素です。光、闇、自然の3属性によって強化される能力値が異なり、必要に応じて集めてキャラクターを成長させるシステムです。
韓国バージョンでは収集要素であったため、たいへんな思いをしながら育てた精霊カードが新しいカードの登場で使えなくなることがありました。日本バージョンではそんなことがおきないように、新しいカードが登場しても、既存カードの能力がある程度は維持されるようにしました。
――召喚獣や精霊カードなどガチャから手に入る要素ばかりであれば、果てしなくガチャを回したほうが強くなると思います。対策はありますか?
『TRAHA』には多くの成長要素があります。武器やアクセサリー、乗りものや衣装のようなアイテムは、ガチャでは販売しません。この部分は韓国バージョンでも維持してきていて、日本バージョンでも同じです。
召喚獣やペットは、おもにインゲーム財貨であるゴールドやプレイを通じて入手できます。精霊カードはおもに有償財貨であるダイヤで回すガチャから手に入ります。
同時に、ダンジョンプレイやいろいろなコンテンツを通じて貯めたインゲーム財貨は、精霊カード箱とも交換できます。また、有料財貨であるダイヤも、ゲームコンテンツを通じて一定量獲得できるようにしました。
もちろん、課金を続ければ、精霊カードガチャを無限に回せますが、ガチャでは売らない部分での強さはプレイでだけ得られるようにして、高課金者との差を調整しました。
韓国での初期段階では、精霊カードに装備レベル制限があり、ガチャでせっかく強力なカードを手に入れても装備できないのがプレイヤーのストレスになっていたらしい。
つまり、以前は“課金するほど強くなる”、いわゆる“Pay to win”の状態を極度に恐れるあまり、プレイヤーにストレスを強いる状態だったわけだ。意見が多く寄せられたため、レベル制限は撤廃された。
日本のバージョンではレベル制限は解除されている。多少は課金の流れが加速するのはたしかだろう。ただし、その流れがおかしなレベルにならないように、細心の注意が払われているという。
「じっくり遊ぶちゃんとしたMMORPGを作りたい」と「ストレスなく遊んでほしい」という理念のせめぎ合いの中で、問題やバランス調整をひとつひとつ解消。開発段階からしっかりと問題を見据える態度には、大いに期待が持てる。
いまは複数のゲームを掛け持ちする人も多い。そうなると、スマホゲームに求められるのは、“気軽に遊べたうえでの適度なやめどき”なのではないかと思う。やるべきことが多すぎると、“長く続けないと損をする”という強迫観念じみたストレスも襲ってくる。
正直なところ、今回の体験プレイでは、デイリーミッションが多かったために、やめどきをなかなか見つけられなかった。「これだけ終わったら今日はもういいかな」というわかりやすい区切りとしてのサブクエストがあれば、よりスマホで遊びやすいかな、と感じた次第だ。
あとはパーティープレイなどを通じて、本作のアクションMMORPGとしてのがっつりとした部分をぜひ体感してみたいところだ。
重厚感のあるMMORPGの魅力と、スマホでのプレイを重視したライトさのせめぎ合いに、これまでも、そして日本でのサービス後も挑んでくれそうな『TRAHA』。
本作は昔ながらのMMORPGファンの視点で見ても、スマホゲームファンの視点で見ても、いい方向へと改善されている。それはきっと、開発陣が失敗を認めつつ、前向きに挑戦しているからだろう。
思い返してみてほしい。名作MMORPGの多くは最初はボロボロの状態だった。それを名作へと育て上げたのは、プレイヤーの多くの意見と、その声に応えた開発陣の努力なのではないだろうか。
本作を先行体験できるプレミアムβテストは2020年4月中旬実施予定。3月29日(日)までテスターを募集中だ。.きっと『TRAHA』は挑戦し続ける。その気概を買ってくれたプレイヤーの皆さんには、その進歩の一翼を担ってほしい。
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