1998年に発売された国取りシミュレーションゲーム『ブリガンダイン ~幻想大陸戦記~』。その発売から20年以上という長い期間を経て、2020年6月25日に新作となる『ブリガンダイン ルーナジア戦記』がNintendo Switchソフトとして発売される。個性豊かなクリエイターたちによって作り出されたシリーズの新たな一歩となるこの作品について、開発の中心となる5人に話を訊いた。
寺田 憲史(てらだ けんじ)
本作のシナリオを担当。『ファイナルファンタジー』シリーズを始め、多くのゲームやアニメでシナリオを手掛ける。
佐藤 天平(さとう てんぺい)
本作の全楽曲を担当。シリーズ前作にあたる『ブリガンダイン グランドエディション』でも、全楽曲を制作した。
風間 雷太(かざま らいた)
総合アート監修と主要キャラクターイラストなどを担当。『ゼノブレイド』などのキャラクターデザインも手掛けた。
大和田 智史(おおわだ さとし)
本作の開発を手掛ける制作会社、マトリックス所属。本作ではディレクターとして開発の現場でスタッフを指揮する。
五十嵐 一開(いがらし かずひろ)
本作のプロデューサー。入社当時からの念願だった『ブリガンダイン』シリーズの開発を20年越しで叶えた熱い男。
20年以上ぶりに開発にこぎ着けた新作
――『ブリガンダイン ~幻想大陸戦記~』から、ほぼ20年ぶりの新作になりますが、どんな経緯で本作を制作することになったのですか?
五十嵐私は、前作が発売された1998年にハピネットに入社しました。『ブリガンダイン』は大好きなゲームだったので、いずれこのゲームを作りたいと思っていたのですが、最初はおもちゃ部門に配属になって。異動の希望が出せる立場になる前に、グループ会社のハーティーロビンがゲーム開発から撤退してしまって……。そこから「もう1回ゲームをやりたい」とプレゼンをし続け、やっと会社からオーケーが出て、ゲームが再開できるようになったのが、2013年でした。
――そこから開発がスタートしたのですね。
五十嵐いいえ。ずっと作ろうとは思っていたのですが、まずは小規模開発のタイトルなどからスタートして実績を積み、開発やパブリッシングのノウハウを得ることが先でした。それから、クリエイターさん、開発会社さんが決まり、いろいろな条件が整って実際に動き出したのは2年半くらい前ですね。
――長い道のりでしたね。クリエイターの皆さんは、どうやって決定されたのですか?
五十嵐いちばんおもしろいファンタジーの国取りゲームを考えたときに、シナリオはぜひ寺田先生にお願いしたいと考えました。天平さん(※佐藤天平氏)も同じですね。キャラクターデザインの風間さんについては、彼の描く絵が、僕がイメージしていたものにいちばん近かったのでお願いしました。
――開発会社のマトリックスさんに関しては?
五十嵐いくつか候補があったのですが、マトリックスさんは最初の打ち合わせのときに、攻略本を持ってきていて(笑)。「この作品が好きだから説明はいらないです」というスタンスで。最初から、どんどんアイデアを出してくれました。とにかく『ブリガンダイン』というゲームを作るということに対するモチベーションがいちばん高かったんです。
――前作からから引き続き、というのは佐藤さんだけなのですね。
五十嵐リメイクであればオリジナルメンバーを揃えるのがベストですが、新しい方にも『ブリガンダイン』をお届けしたいので、まったく新しいプロジェクトとしてスタートしましたから。新規の方にも受け入れてもらえるおもしろいゲームを作るために、ベストな皆さんに集まっていただきました。
それぞれの“正義”を設定した膨大な量のシナリオ
――寺田さんが、ゲームのシナリオを手掛けられるのは久しぶりという印象です。
寺田でもないんですけど(笑)。韓国でいくつかMMORPGの企画に参加していました。日本でもソーシャルゲームが活発ですよね。シナリオもサクサクやれて、キャラも決まったパターンが多い気がします。でも、ちょっと物足りないっていう声が聞こえてきて。ならば、僕の出番もありじゃないの? と(笑)。ゲームのコンセプトをもとに、最初にきっちりした物語の世界観を作る。そういう基本的な作りかたが、またやれたらなと思っていました。
――そんな寺田さんが、今回、お仕事を受けた決め手というのは?
寺田五十嵐さんとは初めての仕事だったので、シナリオに対してどういうスタンスかなと思っていたら、最初に20年前のゲームのシナリオを文字に起こしてきてくれたんです。それを見たら、覚えにくいキャラクターの名前や、ふつうのシナリオライターでは考えない意外な展開とかがあって、ゲームが好きな人が凝りに凝って作ったんだろうなというよさを感じたんです。ですから、この五十嵐さんに賭けてみよう、やりたいことをぶつけてみよう、と(笑)。
――五十嵐プロデューサーは、寺田さんにどのようにオーダーされたのですか。
五十嵐ファンタジーの世界で、いくつかの国が、それぞれの信条をもとに戦いをくり広げていて、その中で、国やキャラクターたちの成長を描いていくという、ゲームの基本的な構造をご説明しました。あとはお話しながら決めていくという感じでしたね。
――今回は、どのような世界が描かれるのか、シナリオの売りや特徴を教えてください。
寺田西洋ファンタジーということだけ決まっていたので、テーマから五十嵐さんと話し合ってプロットを作りました。僕がこだわったのは、6つの国それぞれの国の事情をリアルに設定するというところです。このゲームでは、6つの国で遊べるので、A国でクリアーした人が、つぎにB国で遊ぶときには、A国が敵になる。このことを考えて、きちんとそれぞれの“事情”や“正義”を設定しておかないと、プレイヤーが最後まで楽しんでくれないと思ったんですよ。
五十嵐どの国も、自国としてプレイする場合と敵国として迎える場合とで、異なる面が見えるという点は、本作のストーリーの大きな見どころだと思います。
――ストーリー的に前作とのつながりはあるのですか?
五十嵐ゲームシステムは関連が深いですが、物語はいっさい関係ないです。
――“ブリガンダイン”は、前作では史書を指していたようですが、今回は鎧なのですね。
寺田もっとわかりやすく、シナリオ的にも意味のあるものにしたほうがいいだろうと、大陸にある5つの鎧を示す言葉にしました。
五十嵐鎧には所有する国のイデオロギーを表す“正義”、“誇り”、“自由”、“高潔”、“自我”という二つ名が付けられていて、主義・主張の違いをぶつけ合う戦いを描く本作の物語を象徴するものになっています。
寺田自我は少しわかりづらいですが、物語を進めれば、そう呼ばれるようになった理由がわかるようになっています。
――ブリガンダインを持っていない国もありますが、ここはどんなところですか?
寺田そこは、ちょっと仕掛けているんですよ。この世界であがめられている“ルーンの神”を否定する一族です。五十嵐さんからのNGを覚悟していましたが、全然OKだったので、「しめた」と思って入れちゃいました。
国ごとの産業や文化を想起させるデザイン
――キャラクターイラストを作成するときに、五十嵐さんから何か注文はありましたか?
風間今回デザインするにあたり、一貫して「風間さんの思い描くファンタジーの世界を、存分に自由に表現してください」と言うオーダーがあり、そこにまず驚きました。いままでいろいろなゲームのキャラクターデザインに携わってきましたが、本作ほど枷のないデザイン作業はなく、アイデアが溢れてきました。ずっと「デザインのありかたってこういうことなのでは?」と思っていたのですが、そういう機会がなかったので、新鮮な体験であり、戸惑うところでもありました(笑)。
――でも、自由に、というのはオーダーとしてはいちばん難しいですよね(笑)。
風間そうですね。なので、まずは深く理解することが大事だろうと、寺田さんのプロットを持ち歩いて読み込みました。寺田さんのすばらしいプロットを何とか形にしたいと。また、作業の中盤には、佐藤さんの音楽もできあがり、おふたりの作品からも、たくさんイマジネーションをいただきました。
――デザインのコンセプトを教えてください。
風間全体では、宗教装飾のようなデザインを取り入れました。イデオロギーや、宗教概念などが本作のテーマのひとつになっているので、雰囲気の取っかかりというか、視覚的にも無意識に感じていただけたらと思って、いたるところに散りばめてあります。
――6つの国で、それぞれ、衣装などのデザインの特徴も変えてあるようですね。
風間はい。それはすごく考えました。国の位置などはある程度決まっていたので、そういうところから、どんな産業が行われて、どんな文化が発展しているのかを想像してデザインしました。寒い国では、毛皮やなめし革が多めとか。
五十嵐風間さんは最初から、かなり細かい設定を上げてきてくださいました。ブリガンダインのデザインでも、いろいろな構造やパターンを考えてくださって。こういった細かい設定は限定版である『Limited Edition』の特典のビジュアルブックでも確認していただけると思います。
風間大好きなんですよ、小さなことから細かく設定を考えるのが。逆に、これまでできなかったのが苦痛でした(笑)。
大和田幾何学模様があったり、柔らかな女性らしい曲線があったり、色使いだけでなく、素材レベル、デザインレベルでどの国の騎士かわかるような特徴付けがされているのは、すばらしいと思います。
風間このゲームはファンタジーですが、リアルな部分を大事にしたいと思って。キャラクターをパッと見たときに、どういう生活圏で生活しているのかも感じてもらえたらうれしいですね。今回のデザインの自由さから、そういったこだわりが生まれたかなと思います。
五十嵐ちなみに、今回ゲームのタイトルになっている“ルーナジア戦記”というのは本の名前なのですが、この本のデザインも風間さんです。3Dグラフィックでいろいろと動く本なのですが、動きかたも全部風間さんの指定なんです。
風間雲が生まれては消え、植物が生えては枯れたりとか。鳥も飛びますね(笑)。
大和田十万ポリゴン以上でしたが、ひとつの本に使ったポリゴン数としては、恐らく業界でもトップクラスだと思います(笑)。
風間本当にごめんなさい(笑) 。
そのゲームでしか鳴らないようなとんがった楽曲
――楽曲の制作は、シナリオやイラストがある程度固まってから取りかかったのですか?
佐藤あれは、どのくらいの段階なんですかね。
五十嵐天平さんが、「どういう世界なのかを把握してから楽曲を作る」とおっしゃっていたので、シナリオがかなりできあがった段階で、1国目のノーザリオ王国から始めていただきました。天平さんには、編成のときに流れる曲とバトルの曲も6ヵ国ぶん作っていただいたんですが、我々が思うそれぞれの国のイメージにピッタリの曲になっていて、どれも入れ換えがきかないんですよね。
――その国だけに合わせるというのは、意識されたところなのですか?
佐藤はい。制作がパターン化されてきていると言われていましたが、音楽も近いのかなと。ほかのゲームで使っても、何も変わらないような曲にはしたくなくて。典型的なBGMではなく、シナリオや絵に積極的にコミットして、曲で物語を語り、人物や風景を想像できるような、そのゲームでしか鳴らないようなとんがった曲を作ろうと。これが私流に解釈した『ブリガンダイン』ならではのファンタジーで、定番のファンタジーではないですよ、というところを聴いていただきたいですね。
五十嵐天平さんの楽曲は、いろいろな表情があって、聴き応えがあるし、聴き減りしないんです。長い時間やるゲームなので、ずっと聴いていても心地よさやスリリングな雰囲気などが保たれるように、いろいろ考えて、それぞれの国に合った曲を作っていただきました。
佐藤そうですね。シナリオをよく読み込んで、絵をよく見て、これだったらこのサウンド、この楽器だろうというのを、徹底的に考え抜きました。そのうえで、ひとつの王国のテーマに、ひとつのゲームのテーマソングと同じくらいのボリュームと情熱を注ぎ込んで、何時間、何十時間聴いても飽きないように、イントロから主題、サビメロ、間奏まで、アイデアを詰め込んでメリハリが付くように作り込んでいます。
五十嵐それと、天平さんは、スケジュール通りに曲を提出してくださったあとも、磨き続けてくださるんですよ。それで2ヵ月後くらいに、さらに磨いたものを納品してくださるんです。こんなふうにやってくださる方は初めてなので、驚きました。
佐藤ブラッシュアップにはすごくこだわっています。いったん納品したら終わりのはずなんですけど、冷静になって聴いたときにまたアイデアが出てくるので、どんどん膨らませていくんです。開発の方には、後から後から出してくるので、ご迷惑を掛けたと思いますけど。
――6ヵ国それぞれの曲以外に、全体の主題曲もあるそうですね。
五十嵐ええ。主題曲に関しては、天平さんからご提案をいただいて、オーケストラで収録しました。記事が掲載されたファミ通さんの発売日(※2020年2月27日)に合わせて第2弾PVを公開したのですが、そのPVに使っているのが、この主題曲です。
――主題曲に関しては、どのようなコンセプトで作られたのですか?
佐藤その6ヵ国を包括するような、すべてのイメージをつぎ込んだ感じですね。曲が壮大なストーリーを語り始め、ダイナミックに展開し、登場人物が入り乱れて盛り上がり、クライマックスを迎えるコンセプトです。3分40秒の曲ですが、アイデアを詰め込みすぎて展開がどんどん変わるので、オーケストラで演奏するのはとても難しい曲になってしまったんですが、楽団の皆さんにがんばっていただいて、何とか収録できました。予定を2時間もオーバーして、大赤字になってしまったのですが(笑)。贅沢にオーケストラとソプラノのコーラス隊をぶち込んで、壮大な曲ができましたので、ぜひPVで聴いてみてください。
『ブリガンダイン ルーナジア戦記』第2弾PV前作のいいところを増幅させたシステム
――マトリックスさんの開発メンバーに、前作のファンの方がいらっしゃるようですね。
大和田攻略本を持って打ち合わせに出た者はもちろんですが、本作のメインプランナーを担当した者も、前作を発売当時からやり込んでいました。ですから、パラメーターなども、バッチリ勘どころを掴んだ人間が調整しています。
――システム面などで、気を付けた部分は?
五十嵐『ブリガンダイン』のおもしろさのコアな部分というのは、お互いわかっていたので、どこを磨いて進化させれば、遊びやすくなってやり応えが出るか、というところを考えました。
大和田『ブリガンダイン』の国取りの魅力は、育成や編成を行い、戦って自分の領土を広げることに集中できる“絶妙な濃度”だと思います。あまりシステムで手を広げすぎると、このバランスが薄れてしまうと思うんです。そこは崩さずに作り上げましたので、前作のファンの方も同じように楽しんでいただけると思います。
――システム面での新しい要素などは?
五十嵐新しいことも比較的入っているのですが、すべて『ブリガンダイン』ならではのおもしろさを増幅させるという方向性のものですね。
――戦いや育成といった主軸となる部分を強化したというわけですね。
大和田そうですね。部隊のビルドの幅を広げることも必要だと思いましたので、そういったところのテコ入れなどに注力しました。地形や属性、ユニットを活かした、その国ならではの部隊構成ができますので、国によって、物語だけでなくプレイ感覚も変わるというところも、楽しんでいただきたいですね。
――6ヵ国それぞれでプレイするとなると、かなり長い時間遊べそうですね。
五十嵐そうですね。ボリュームもかなりあります。ひとつの国でクリアーするのに平均で30時間前後として、6ヵ国それぞれで物語が違いますので、180時間は遊べますね。あと、相手もAIでつねに考えていますので、同じ国でプレイしていても、戦闘を仕掛けるタイミングや相手の状況などで、戦いの展開がまったく変わりますので、何度でも遊べます。
佐藤そんなシステムになっているんですね。時間がいくらあっても足りなそう。
五十嵐さらに、ひとつの国でクリアーすると、メインモードとは別に“チャレンジモード”というもうひとつのモードが開放されます。もう少し先の情報で詳細はご説明しますが、エディットモードとスコアアタックの要素を合わせたようなものですね。このモードも、かなり遊べますので、コスパがいいというか、たっぷり遊べるゲームになっています。
大和田これほどテストプレイが楽しいゲームもなかなかないですね。いろいろな組み合わせがあるので、設定した開発者でもプレイするたびに新しい発見があるんですよ。そのくらいの懐の深さがあるゲームだと思いますね。
風間ゲーム実況とかにも向いている感じですよね。縛りプレイとか、スコアアタックとか。
大和田とくにチャレンジモードでは、メインモードではありえない騎士の組み合わせなどもできますから。
五十嵐メインでは物語を楽しんでいただいて、チャレンジではシミュレーションゲーム的に高みを目指すおもしろさを感じていただきたいです。
――本作はフルボイスで声優さんも大勢出演されていますが、収録はどうでしたか?
寺田声優さんも事前に役を作ってきてくれるんですけど、少し僕らが考えているキャラクターと違うことがあって。そこは細かく説明するんですが、なかなか説明のしかたが難しいですよね。僕が書いたやつなんですけど(笑)。
五十嵐寺田さんが収録に同席してくださって、声優さんとうまくコミュニケーションを取ってくださったので、かなり助かりました。
――シナリオの方が収録に立ち会うのは珍しいのではないですか。
寺田僕は必ず立ち会いますね。アニメの監督をやっていたから、気になるんですよ。声優さんが言いにくそうだったら、その場でセリフを変えたりもしますね。
佐藤収録にはどれくらい時間がかかったんですか?
寺田かなり長い時間やっていましたね。
五十嵐期間は1ヵ月半くらいでしたね。朝から晩まで。
佐藤うわ~、たいへんだ。じゃあ、ディレクション料も追加しないと(笑)。
寺田それが、どこかに行っちゃったんですよね。でも、ちゃんとおいしいお弁当は用意していただいたので(笑)。
相互に作用しあって高め合えた制作環境
――ゲームの開発も終盤だと思いますが、今回の開発チームの印象はどうでしたか?
寺田いろいろなアイデアを実行できる自由さがあるおもしろいチームでした。
風間“チーム感”がありましたね。ただただ作業をする機械のような感じではなくて。本当にチームとして「いいものを作ろう」という同じゴールに向かって作品を作ってきたという感じでしたね。……いいこと言った(笑)。
佐藤それはすごく感じましたね。たぶん作品をリスペクトし合っていたので、お互いに感じるものを素直に受け取れるという空気ができていたんだと思います。
大和田開発スタッフの中でもそれは感じていました。シナリオ、音楽、イラスト、すべての素材が作り込まれているので、ひとりひとりが、よりいいものを作ろうと。
佐藤五十嵐さんが熱いから、こちらもやる気になるというのもありましたね。
寺田それはありますね。僕もずっと熱い五十嵐さんをうならせたいという思いで、筆が進みました。たぶん五十嵐さんほど、寺田憲史を使いこなした人間はいないと思います(笑)。
風間それはみんな感じていると思います(笑)。
五十嵐皆さん、私が熱いとおっしゃっていますが、私は逆にお三方に、そういった情熱を感じていました。
――なるほど、けっきょく熱い皆さんが揃ったチームだったのですね(笑)。クリエイターの皆さんが、五十嵐さんと揉めたり、というのはなかったのですか?
寺田大リテイクは1回ありましたけどね。
――それはどのような?
寺田AとBというキャラクターがいて、五十嵐さんから「これはAではなく、Bのキャラクターにしたほうがいいんじゃないでしょうか?」と言われて。言われてみると、僕の中でも迷うところがあったので、直そうと。ただ、そうなると構図が変わってくるから、全部書き直すことになるんですよね。たぶん五十嵐さんは、もっと簡単に考えていたと思うんですけど(笑)。だからその1国は、申し訳ないけどいったん止めてもらって、ほかの国を全部書き上げてから、プロットを作り直したんです。
風間ああ、あの国ところですね(笑)。
佐藤あれは、そんなことがあったんですね(笑)。
――大きいリテイクはそれくらいですか?
五十嵐そうですね。寺田さんは、私の意見も広く取り入れてくださるんです。大先輩だから、相談するのは難しいのかな、と思っていたのですが、全然そんなことはなくて、「いっしょに考えよう」と言ってくださって。現場の開発者とも膝をつき合わせて、たくさん時間を使っていっしょにやってくださるんです。だから、僕もすごくやりやすかったです。
――最後に、読者や作品のファンに向けて、このゲームの見どころなどをひと言ずつお願いします。
五十嵐ファンタジーの世界を舞台にしたゲームが好きな方、じっくりと家庭用ゲームをやってみたいという方に、ぜひ触っていただきたいです。とても没入できて、やり込み要素がいっぱいあるゲームですので、楽しんでもらえると思っています。
大和田戦略・戦術を練り、それを実行することひとつひとつに、満足のため息が出せるような作品になっていると思いますので、ルーナジアで戦いに明け暮れる日々を楽しみにしていただければと思います。
寺田プロデューサーを始めとして、熱い人たちが集まって、ゲーム本来の作りかたを当たり前にやることができた作品です。遊んでみたプレイヤーの皆さんが、その違いを感じ取ってくれれば、こんなにうれしいことはないですね。
風間最近は、ソーシャルゲームのように、少し遊んでは置いて、少し遊んでは置いてといったゲームが主流になっていますが、1回原点に立ち返る感覚で、じっくり遊べる『ブリガンダイン』をプレイしていただけたらうれしいです。
佐藤熱いスタッフの思いが詰まったゲームができようとしています。それぞれの想いが絡み合い、化学反応を起こして爆発するところを、ぜひいっしょに体験していただきたいです。