ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の次期大型アップデート、パッチ5.2が2020年2月18日に公開される。これに先立ち、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にインタビューを実施。希望の園エデン:共鳴編や極ルビーウェポン破壊作戦 など、今回のパッチで新たにお目見えする主要コンテンツを中心にお話をうかがってきたので、その模様をお伝えしよう。

 また、『漆黒のヴィランズ』の開幕以降、いわゆる“ハイデリン・ゾディアーク編”と呼ばれる、旧『FFXIV』時代から続いてきた物語の一大テーマが、いよいよクライマックスに向けて加速を始めている。これから先、オリジナルの古代人としては最後の生き残りとなったアシエン・エリディブスは何を考え、何を画策するのか。それによって、世界の根幹をなす光(ハイデリン)と闇(戒律王ゾディアーク)の相克は、どのような方向へと進むのか。そして、幾多の出会いと別れを経験してきた光の戦士は、そこにどう関わってくるのか……。ネタバレを避けつつ、ストーリーの核心に迫る質問を吉田氏に投げ掛けてきたので、そのあたりもじっくりとお読みいただきたい。

FINAL FANTASY XIV パッチ5.2トレーラー「追憶の凶星」

吉田直樹(よしだなおき)

スクウェア・エニックス 取締役執行役員 第三開発事業本部長。『ドラゴンクエスト』シリーズ初のアーケードタイトルである『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』シリーズのゲームデザインとディレクションを担当。2010年12月に『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターに就任。

ふたつのクライマックスに向け物語は急加速

──まずは、パッチのタイトルを“追憶の凶星”に決めた経緯からお聞かせください。

吉田それについては、お話しにくいというか……少し珍しいパターンです(苦笑)。実際にプレイしていただければストレートに「なるほど」と思ってもらえるはずですが、プロデューサーレターLIVEでもお伝えした通り、パッチ5.2と5.3は、それぞれ前後編のようなイメージになっていて、これらのパッチで『漆黒のヴィランズ』がクライマックスを迎えるがゆえに、お話しできないことが多くなってしまう……これが正直な理由です。加えて、いわゆる“ハイデリン・ゾディアーク編”のシナリオがクライマックスに差し掛かってきていることも、事前に言えないことが増えてしまう要因になっています。

──メインシナリオにとどまらず、パッチ5.2全体として話しづらい部分が増えているということですか?

吉田はい。全体としてそういう感じになっています。

──今回も、プレイヤーが驚愕するような展開が待ち受けていそうです。

吉田『FFXIV』は、旧『FFXIV』の時代も含めると10年にもおよぶ歴史を積み重ねてきました。そのぶんだけ、古くからプレイしてくださる方にも、しっかり答えを提示していく、というつもりでもいます。

──これまで語られてこなかった謎も明らかになると。

吉田原初世界や第一世界でいままで起こってきた事象には明確な理由が存在し、それらが物語としてどうつながっていたのか……そうしたところも含んでいます。だからこそ、いまの時点でお話しできないことが多くなってしまうのです。

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_01
最新のメインシナリオでも、世界の成り立ちの新たな一面が垣間見られそうだ。

──では、少し質問を変えてみます。“追憶”と“凶星”というふたつのキーワードは、今回のストーリー全体をどれくらい表しているのでしょうか?

吉田メインシナリオのほぼ核心を突いていると思います。“凶星”に関して言えば、古代人が目の当たりにした“凶星”もあれば、原初世界の第七霊災期を過ごした人々が思い浮かべる“凶星”、つまりダラガブもあるわけです。“凶星”という単語が持つ、“星”にまつわるネガティブなイメージを連想させる要素は、ほとんどすべて含まれているのではないのかなと。このあたりは、メインシナリオ以外の部分でも、かなり語られるはずです。

──ウェルリト戦役でもそうした部分が見えてくると。

吉田パッチ5.1のラストで、ガイウス・バエサルとエスティニアンが帝都ガレマルドから脱出を図った後、ふたりは別行動を取りましたよね。その後、単身となったエスティニアンが驚異のパワーで魔導兵器を破壊しましたが、そうした一連の展開がそのままサイドストーリーになっていくと思っていただければと。

──興味深い展開です。

吉田明らかにアルテマウェポンに分類できそうな兵器が開発されており、その情報を耳にしたガイウスが、“己の過去”に決着をつけるべく動き出します。そもそも彼は、古代の遺物を利用してエオルゼアに侵攻するも、アシエンにそそのかされた結果、いまの境遇に至ったわけです。その発端とも言うべきものがいまだに存在するのであれば、必ずや自身の手でケリをつけなければならない……そんなガイウスの決意からウェルリト戦役が始まります。ガレマール帝国が現在どうなっているのか、あるいは今後どうなっていくのかという部分は、メインシナリオとは別に、こちらの側で語られます。

──ガイウスとエスティニアンというふたつの軸が、螺旋のように絡まり合いながら物語が進んでいくのですか?

吉田ガイウスのシナリオは彼自身のエピソードを中心に進行するので、そのたとえとは少し違います。基本的に、物語の主役はガイウスであると思っていただければと。軍人時代のエピソードなど、今回は彼の過去についても語られるはずです。ただし、パッチ5.2はあくまでもシナリオの導入部分なので、どうしても謎が多い状態にはなります。ですが、その一端は垣間見られるのではないのかなと。今回は深掘りされませんが、エスティニアンにはまた別の役割があるので、そのあたりにもご期待ください。ちなみに今回はルビーウェポンが登場しますが、今後は“ウェポンシリーズ”みたいな形で、ウェルリト戦役を通じていろいろなウェポンが姿を現すはずです。

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_10

──つぎのパッチでは、別の“破壊作戦”が登場する……?

吉田そのあたりも含めて、ひとつのお話として描かれています。

──パッチ5.1のメインシナリオは、暁の賢人たちが第一世界に戻れるのかどうか、元首を失ったユールモアはどうなるのか、アシエン・エメトセルクを失ったエリディブスはどのような動きを見せるのか、という3つの筋で構成されていました。これらの筋は、今回も引き続き語られていくのでしょうか?

吉田闇が取り戻された後の第一世界に生きる人々の今後……という軸は、パッチ5.1で十分語り尽くされたのかなと。今回は、暁の賢人たちが原初世界に戻るための方法をどうやって第一世界で確立するのか……これをストレートに追い掛けていくとは思います。今回のメインシナリオは長いですし、お話もすごくよくできているので、ぜひご期待いただきたいです。

──例の“十分にプレイ時間を確保したうえで……”が今回も見られると。

吉田カットシーンが長いというよりも、体験としてのお話のボリュームが大きいイメージです。物語の後半には、超絶怒涛の展開が待っていたりもします。「そうだったのか!」みたいな要素もつぎつぎと出てくることもあり、キャラクターを操作する手がそのたびに止まると思います。パッチ当日にメインシナリオをクリアーするつもりなら、時間をたっぷりと取ったほうがより深く楽しめるはずです。

──ラストに「これは何だ!」みたいな謎が提示されることも?

吉田伏線としての何かが出てくるというよりも、答えがドカンと提示される感じです。『漆黒のヴィランズ』のメインシナリオの途中で楽しめたあのテンションの盛り上がりが、もう一度やってくるイメージに近いです。

──長らく秘められてきた謎が明かされるのと同時に、新たな驚きもやってくる……そんな感じがしてきました。

吉田「早くつぎをよこせ!」みたいになるかもしれません(笑)。

──パッチアートに登場した“白いローブの男”と“戦士風の男”は、やはり物語のキーパーソンになってくるのですか?

吉田“光・闇・調停者”というパッチアートの構図が示す通り、もちろんそうです。クリスタルが描かれている点は……今後のポイントでもあるのかなと。

──クリスタルに映し出されているダラガブも、光と闇に関わってくると。

吉田そこは言わないでおきます(笑)。

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3人の頭上で不気味な光を放つ、“凶星”が暗示するものとは……?

──“白いローブの男”と“戦士風の男”の人となりは、今回のメインシナリオでどれくらい語られるのでしょうか?

吉田すべてではないにせよ、かなり踏み込むと思います。何と言っても、エリディブスはオリジナルと呼ばれるアシエンの最後のひとりです。『漆黒のヴィランズ』でエメトセルクにお株を奪われた印象もありますが、じつは今回、数年ぶりにボイスがつきます。いよいよエリディブスは、パッチ5.2で腹をくくって何らかの行動を起こします。もともと彼はどういう考えの持ち主なのか、その目的は何なのか、あるいはかつて人類の取りまとめ役だった十四人委員会のほかのメンバーに対してどのような感情を持っていたのか……いろんなところが見えてくるのではないのかなと。

──エリディブスの調停者としての実力を、そろそろ見てみたい気もします。

吉田そうですね。ちなみに、ロールクエストをすべてクリアーすると現れる、“影の王”にまつわるエピソードを事前に知っておくと、今回のシナリオをより楽しめるはずです。

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4つのロールクエストをすべて完遂すると、クリスタリウムのグリナードから“影の英雄譚”が受注可能になる。この依頼を通じて、第一世界を絶望の淵に立たせた真の大罪人の名が明かされるのだ。

──新規インスタンスダンジョンの黒風海底 アニドラス・アナムネーシスは、スタッフの方々のあいだで“アシエン官邸”と呼ばれているそうですが、どういう経緯でその名が付いたのでしょうか?

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吉田メインシナリオに深く関わるインスタンスダンジョンなので、あまり詳しくはお話しできません。ひとつ言えるのは、『漆黒のヴィランズ』の物語を通じて、光の戦士はいろいろなものを託されてきた、ということです。

──「ならば、覚えていろ。私たちは……確かに生きていたんだ」という名言とともに、エメトセルクから古代人たちの思いを受け継ぎました。

吉田『漆黒のヴィランズ』の物語の裏テーマが“魂を継ぐ者”ということもあって、光の戦士はいろんなものを継いできました。いままでは、エメトセルクのほうから歩み寄ってきてくれたおかげで多くの真実が判明しましたが、今回は「自分たちの側で一方的に決めつけるのではなく、古代人やアシエンのことをもっと深く知ったほうがいいのではないか」という流れが出てきます。そこに端を発して……みたいな展開をご想像ください。

──今度は、光の戦士の側から真実に足を踏み入れると。

吉田「エリディブスという存在を理解するには、そこを知らなければダメなのではないか」みたいなイメージです。今回のメインシナリオは本当に味わい深いので、遊び始めるとやめどきが難しくなると思います。

──インスタンスダンジョンの道中で表示されるセリフにも注目したほうがよさそうです。

吉田そこを訪れる目的はまた別の要因だったりするので、一概には言えませんが……お楽しみに!

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_14

極ルビーウェポンは極ハーデスよりも難しい!?

──先ほど少し話題に上りましたが、極ルビーウェポン破壊作戦はどれくらいの難度ですか?

吉田今回はちょっとだけ難しいです。

──あえて難しくしたと。

吉田あえて、というわけではありませんが、極ハーデス討滅戦より若干難しいかなと思います。

──なかなか歯応えがありそうです。登場するギミックは、どのような感じに……?

吉田新しいギミックがけっこう多いですね。

──まだ新ネタがありますか!

吉田いわゆる“ニュータイプ”っぽいプレイヤーは、楽にクリアーできるかと思います(笑)。

──『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイのような、“感じる力”ですか?(笑)

吉田一般的に“極コンテンツ”は、ノーマル難度で表示されていた攻撃の予兆が見えなくなることが多いですよね。今回は「コイツがこうなったときにここへ移動すれば安全地帯に逃げ込めるはず」といったように、予兆の範囲がどう動いてくるのかを頭の中で想像できれば楽に戦えると思います。見えない予兆と戦っていただくことにはなるので、「見える、攻撃範囲が見える。」みたいな方であれば、比較的簡単に感じられると思います。どうにもならなくなったら、ほかのプレイヤーについていけば……(苦笑)。

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ノーマル難度のほうで可視化されているボスの攻撃パターンを熟知しておけば、“極”の攻略がはかどるかもしれない。

──でも、ついていった結果、全員間違ったりするのは『FFXIV』あるあるですね。

吉田個人技を求められる部分もけっこうあるので、人についていくだけでは安心はできません。ちなみに今回の極ルビーウェポン破壊作戦は、前半戦と後半戦が明確に分かれています。

──明確に、ですか。

吉田前半フェーズと後半フェーズでは、中身がまったく違います。

──ステージも含めて変わるということですか?

吉田周囲の風景がガラリと変わります。

──そのお話を聞いて、ツクヨミ討滅戦を思い出したのですが、制作されたのは大輔さん(中川大輔氏。バトルコンテンツデザイナー)ですか?

吉田違います。“極コンテンツ”の開発に初めてチャレンジするスタッフですね。

──初挑戦のスタッフならではの、いままでにないギミックが楽しめるわけですね。

吉田バトルにストーリーが深く絡んでくる結果、そうなったという側面もあります。たとえば極白虎征魂戦は中間フェーズの弾避けが印象的でしたが、あれも“極コンテンツ”の開発に当時初挑戦だった鍋島(鍋島義人氏。バトルコンテンツデザイナー) が生み出したアイデアです。この担当者は、最近で言うと次元の狭間オメガ零式:アルファ編の3層を制作した人物ですが、あのころは何らかの形で爪痕を残したかったのだと思います。今回もいままでにないギミックが用意されていたりするので、そのあたりにご期待いただければと。

──吉田さんは、テストプレイをされてどう感じましたか?

吉田ひさびさに一発でクリアーできませんでした。

──おお、珍しいですね。

吉田頭ではわかってはいるんですが、タイムラインが分岐したりするので……。事前に説明を受けていたギミックであっても、最初はそれを見ても気が付かず、実際にダメージを受けてから「これのことね」と認識できた感じです。いつもは、クリアー済みの7名のスタッフと1~2回ほど予行演習をすれば本番ですんなりと勝利できるのですが、今回はそうもいきませんでした。

──これまでとは少し毛色が違うぞと。

吉田その後、改めてギミックの中身を確認し、立ち回りのイメージを頭に入れたうえで再挑戦したのですが……実戦でそれを行おうとすると、「こっちも見ないとダメなのか」みたいなこともあり、最終的に「ギャー!」と(笑)。

──(笑)。

吉田3回プレイして、「デバフがひとつ付いたけれど、これくらいなら許せるかな」ぐらいの手応えでした。最近の“極コンテンツ”と比較すれば多少難しいかもしれませんが、『漆黒のヴィランズ』のバトルを通じて皆さんのプレイヤースキルが十分に高まってきたと思うので、「これくらい歯応えがあってもいいかもね」とスタッフに伝えました。極端に身がまえなくても大丈夫だと思います。

──“極”は多くのプレイヤーが挑戦するコンテンツですもんね。

吉田いま思い返すと、極ソフィア討滅戦も最初は苦戦しましたよね。それくらいをイメージしていただければいいのかなと。毛色はぜんぜん違いますが……少なくとも、極白虎征魂戦よりも難しいはずです。

2月14日 18:00修正:『FFXIV』開発より連絡があり、トーテムの排出量に関する言及について、他のコンテンツと情報の取り違えによる誤りがございました。正しい排出量は1個となります。なお、当該部分は削除いたしました。

セイブ・ザ・クイーンは「ダイナミックな新しい遊び」

──討伐・討滅戦がもうひとつ実装されるとのことですが、こちらについて何かお話しいただけることはありますか?

吉田セイブ・ザ・クイーンと呼ばれる、新たな装備強化 コンテンツのシリーズに紐づけられたコンテンツです。こちらはパッチ5.25で公開予定のため、パッチ5.2がリリースされた後も、その正体は明かされません。

──装備強化 コンテンツに関連して登場すると。

吉田セイブ・ザ・クイーンというシリーズは、パッチ5.35、5.45、5.55でアップデートが行われる予定です。今回は武器強化が楽しめる要素としてスタートし、ストーリーがメインです。パッチ5.35でもストーリーがあり、その脇に新しいコンテンツがくっついてきます。具体的に言うと、禁断の地 エウレカ と同等以上のコストを掛けて開発したコンテンツが、そのタイミングで入ってくる感じです。

──装備強化はどれくらい難しいですか?

吉田ジョブの数が増えてきたこともあり、パッチ5.25の時点では、1本目の武器のベースとなるアイテムはサクサクと取れるようにしました。パッチ5.35でさらに武器を強化できるようになるのですが、そこに巨大コンテンツが紐づけられてくる形です。ただし、このコンテンツをラストまで進めないと武器が強化できないのかと言えば、そうではありません。

──そのあたりは禁断の地 エウレカと違いますね。

吉田禁断の地 エウレカを好んでプレイしている方からすると、当該コンテンツを遊ぶだけで武器を強化できるので効率的に感じられますが、Time to Win(時間を掛けてプレイした人ほど有利になる作り)を好まない方からすれば、武器の育成に集中できない点に不満を感じておられると思います。そうした問題を解決すべく、セイブ・ザ・クイーンのストーリーをクリアーすれば、武器の強化は開始できる。その後の強化は、新コンテンツでも可能だし、ほかのコンテンツへ出かけても可能、というように、両取りを狙うようにしました。

──好みに応じて楽しみかたが選べると。

吉田はい。ですが、いまのお話は、パッチ5.35でリリースされる内容ですのでご注意ください。

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──どうしても禁断の地 エウレカと比べてしまうのですが、別物なんですね。

吉田遊びの中身も含めて、別物です。ただし、エレメンタルレベルに相当するような数値が別途設けられていたりするので、そのあたりは似ているとも言えます。

──部分的には踏襲されている感じでしょうか。

吉田うーん、イメージが違うので、やはりエウレカとの比較ではなく、ひとまずエリアを使った新しい遊び、という認識でいてくださると嬉しいです。

──まったく新しい装備強化コンテンツとして考えたほうがいいと。

吉田装備強化コンテンツというよりも、ダイナミックな遊びがひとつ追加されると思っていただければ。フィールドを用いた巨大コンテンツが新たに登場し、そのストーリーに装備強化の要素が絡んでくる……そんなイメージです。装備強化コンテンツ自体は、物語を進めるだけで開放できますが、その後に提示される条件の達成に必要なアイテムは、巨大コンテンツの中だけでなく、既存のそのほかのコンテンツでも揃えられるようになっています。

──なるほど。セイブ・ザ・クイーンだけの閉じた作りにはなっていないんですね。

吉田ストーリーだけはすべての方に見てもらいますが、そこから先はプレイヤーの好みで選べます。巨大コンテンツをガッツリと遊びたい方は、その内部で装備の強化に必要なアイテムを収集。あまり気が乗らない方は、日々楽しんでいるそのほかのコンテンツに参加して、お目当ての品の獲得を目指していだたきます。ただし、くり返しになりますが、この部分はパッチ5.35で実装される要素です。パッチ5.25では、セイブ・ザ・クイーンという装備強化コンテンツが開幕するとともに、それに紐づけられた独自の討伐・討滅戦が楽しめます。

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_11

──シタデル・ボズヤを巡るストーリーも気になります。

吉田ガレマール帝国に対するレジスタンスをしている人々の活動の一端を、光の戦士が支援していくことになります。今回のストーリーでは、シタデル・ボズヤにフォーカスが当たります。かつて発生したとされる、シタデル・ボズヤ蒸発事件の真相が語られるのは間違いありません。

──レジスタンスを支援……!

吉田戦いの象徴として第三星暦ごろに使われていた“グンヒルドの剣”と呼ばれる武器シリーズを、現代に復活させるべく動き出します。長らく伝説とされてきたその武器を旗印に掲げ、人々の心をひとつにまとめることで、ガレマール帝国から故郷たるシタデル・ボズヤを取り戻す……そんなレジスタンス活動に光の戦士は巻き込まれていきます。

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グンヒルドというキーワードは、ガンブレイカーのジョブクエストですでに登場している。このシナリオを事前に確認しておけば、セイブ・ザ・クイーンの物語をより楽しめるかも。

──ガレマール帝国が存在するということは、物語の舞台は原初世界ですね。

吉田そうなります。

──シタデル・ボズヤと深い因縁がある、シド・ガーロンドも出てくる……?

吉田おそらく?(笑)

──ストーリー的にも、禁断の地 エウレカを上回るボリュームになるのですか?

吉田もっと長いかもしれません。今回はあくまでもセイブ・ザ・クイーンの導入編として、武器を強化していただきます。光の戦士に対する報酬としてはそういう形ですが、お話の分量としては比較的多めです。今回のストーリーを受けて、パッチ5.35でレジスタンス活動が拡大した結果、ひとつの巨大コンテンツが形成されていくイメージに近いかなと。いままでにない遊びなので少し時間は掛かりましたが、すでにかなりの部分まで開発が進んでいます。

光の戦士の曖昧な(?)記憶力が遺憾なく発揮!

──希望の園エデン:共鳴編のストーリーの見どころをお聞かせください。

吉田希望の園エデンはリーンの成長物語でもあります。アルフィノとアリゼーに出会うまで、彼女の周囲には同年代の人物がいませんでした。ユールモアに幽閉されて外出を禁止されていたかと思えば、急に外へ連れ出されたり、あるいは小難しい話を聞かされたり……リーンは、そんな大人に囲まれて生活してきました。同年代のガイアという女性が置かれてきた境遇が明らかになるにつれて、リーンとの関係性がどうなっていくのか……このあたりがひとつの見どころかと思います。また、光の戦士の想像力は今回も遺憾なく発揮されます(笑)。

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野村哲也氏がデザインを手掛けたガイアが、いよいよ姿を現す!

──やはりそうなりますか(笑)。光の戦士が想像力を発揮した結果、今回はどの蛮神が姿を現すのですか?

吉田1層はラムウです。トレーラームービーをご覧いただければわかるのですが、ラムウを召喚しようと思ったら、そこにイクシオンが混ざってしまいます(笑)。

──なんと!(笑)

吉田まるでケンタウロスのようなラムウが出てきます。サンクレッドの質問に「いつの間にか玉がなくなっていた」みたいに答えてしまうこともあり、ラムウ討滅戦と同様、今回も玉が出現します。

──2層についてはいかがですか?

吉田属性の構成上、今回は火と風を同時に活性化するので、イフリートとガルーダの2体と戦っていただきます。

──まさかの2体同時ですか?

吉田そうなります。映像だけ観ると、少しだけ“絶コンテンツ”のような雰囲気がありますね。

──それにしても、光の戦士の記憶力とは(笑)。

吉田火と風の属性が必要になり、「イフリートとガルーダを想像して」と頼まれるので「わかりました」と。一方で3層は、それまでと毛色が少し違います。4層はナイショですが、皆さんが予想していない方向に進むのかなと。このあたりはトレーラームービーにも出さないので、実際にご自身の目で確かめていただきたいです。きっと、「これか!」と思っていただけるのではないかと思います。

──前回の覚醒編では、1層からいきなりエデン・プライムが登場して、演出面も相当豪華でしたよね。前回はイレギュラーのような感じだったのでしょうか?

吉田そうですね。今回は4層がいちばん派手だとは思います。

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_07
共鳴編の4層はどんな敵が登場するのだろうか。

──覚醒編は拡張パッケージ発売直後ということもあり、「難度をいつもより少しだけ下げた」とおっしゃっていました。そろそろプレイヤーのスキルローテーションも固まってきたようにも思いますが、今回はそれに見合った難度になるのでしょうか?

吉田バトルシステム班とモンスター班による難度調整が本日始まったところですが、覚醒編と比較すると明確に難度は上がります。ひとつは各層のボスの最大HP、これは覚醒編が5.0直後ということもあり、ジョブの使いこなしにある程度ばらつきがでるということで、ふだんよりも10%以上抑えて調整しました。この値は今回、いつも零式を調整するバランスに戻しています。もうひとつはギミック。覚醒編とはまったく異なるギミック、異なるプレイフィールになるため、このあたりは難しく感じるのではないかと思います。いずれにしても、歯応えが感じられつつ、しっかりと戦っていけばクリアーできる状態に持っていこうと思います。3層と4層は、とくに零式として挑み甲斐のある程度の難度にしたいと思っています。

──コンテンツ全体のDPSチェックの度合いはどうなりそうですか?

吉田希望の園エデン零式:覚醒編では全体的にDPSチェックを引き下げましたが、今回はふつうに戻しています。そのうえで、ギミックを完璧にこなせるかどうかが早期攻略のカギを握るのではないのかなと。プレイヤーの皆さんの腕も上がってきていますし、以前よりも各ジョブを使いこなしやすくなっていると思うので、相対的に見ればクリアーしやすくなっているはずです。あとは、ギミックに対する皆さんの受け止めかた次第かな……。

新式装備の製作難度は「いつも通り」

──パッチ5.1から引き続き、今回もギャザラーとクラフターのアクションに調整が入るとのことですが、最新の新式装備を製作するに当たり、どれくらい影響を及ぼしそうですか?

吉田これまでと難度が変わらないよう調整しているので、いつも通りのイメージで大丈夫です。以前のプロデューサーレターLIVEでもお伝えしましたが、従来よりも製作が難しいレシピは、ゲーム内で明確に“高難易度レシピ”と格付けされており、新式装備のレシピはそこに含まれません。

──そもそも“高難易度レシピ”とはどのようなものなのでしょうか?

吉田“高難易度レシピ”では、通常のクラフトにはない状態変化が起こります。その都度、状況に応じた選択が求められます。その状態変化に適したアクションを使っていくことになるため、マクロはほぼ役に立ちません。“いまの状態で仮にこのアクションを使用したら何がどう変わるのか”がひと目でわかるスキルシミュレーターがパッチ5.2でUI(ユーザーインターフェース)として入るので、それを参考にしながら製作を進めていくことになります。想定通りの結果が得られたら、現在付与されているユニークな効果といまの状態を照らし合わせて、つぎの一手を考える……イメージとしては、詰め将棋に似ていますね。

──マクロで決められたアクションを順番に実行していくだけでは、“高難易度レシピ”で起こりうる状態の変化に対応できないと。

吉田HQが作れないどころか、そもそも品質のゲージが増えていかないと思います。製作中はつねにプラス方向の状態変化が発生します。それらをいかに上乗せしていけるのかどうかが重要になる……そんな想定です。マクロを使っていては、せっかくのチャンスを棒に振りまくることになるため、品質がまったく伸びません。とはいえ、“高難易度レシピ”を通じて特別な何かがもらえるわけでもありません。あくまでも、“フル禁断”を施した新式装備で全身を固めた方たちに、クラフトの頂上を極めていだたくためのコンテンツです。

──通常のレシピと“高難易度レシピ”は、システムとして別物の扱いですか?

吉田はい。イシュガルド復興のランキングに関わるポイントを稼ぐためのレシピや、蒼天街振興券が山ほどもらえるレシピが、“高難易度レシピ”に設定されています。製作を極めたクラフターの皆さんの手で、どれだけ高いポイントを叩き出せるのかを研究し、詰めていただきたいなと。くり返しになりますが、新式装備の製作に関しては、いままで通りと思っていただいて問題ありません。

──ということは、新式装備については従前のようにマクロで製作できると思っていていいのでしょうか?

吉田明言は避けますが、たぶん大丈夫ではないのかなと。ただし、パッチ5.2でもいくつかのアクションに調整が加えられるので、既存マクロの微調整は必要になるかと思います。

──クラフターとギャザラーの主道具を強化できる、スカイスチールツールの概要をお聞かせください。

吉田イシュガルドの復興を進めていく中で、古の匠たちがかつて使っていた道具類のレシピが発見されたので、その復元を目指していく……これがベースのストーリーです。流れ自体はごくシンプルにできていて、クラフターとギャザラーのスキルを生かしていくつかの材料を集めれば、担当NPCが設計図に従って主道具を作ってくれます。スカイスチールツールは今後もアップデートされていきますが、今回はひとまず2段階まで強化可能です。

──主道具の強化には長い時間を要するのでしょうか?

吉田ゾディアックウェポンやアニマウェポンみたいに、死に物狂いで各種コンテンツを周回するタイプのものではありません。今回は初回ということもあり、意外と楽に進められると思います。

──いわゆる“フル禁断”した主道具と比較すると、手に入るアイテムの性能はどれくらいですか?

吉田今回は“フル禁断”のほうが完全に上です。そのあたりのイメージは、ゾディアックウェポンと同じです。

──最終シーズンまで到達すると、性能面で並ぶか、あるいはちょっとだけ上回ることも……?

吉田はい、そのつもりです。僕としては、長くコツコツと主道具を強化してくれた方に報いるためにも、最後のパッチくらいは“フル禁断”を性能面で上回ってもいいのかなと。

“傘をさす ”はEXTRAアクションで実行可能

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_08

──パッチ5.2のリリースを機に傘がさせるようになりますが、企画の実現までどれくらいの期間を要しましたか?

吉田1年半くらい掛かりました。最初のころは、“浮いて飛ぶ”マウントとして実装するつもりだったんですが、とにかくできないことだらけで……。武器以外のものを装備した状態で、スプリントを始めとする各種アクションをある程度実行できるようにすることに、ものすごく難航しました。

──それはなぜですか?

吉田旧『FFXIV』から続くアーマリーシステムの影響で、いわゆる“すっぴん”と呼ばれる手ぶらの状態が作れないからです。武器ではないものを持っている状態がまったく実現できそうになかったので、「こうなったら傘士にしようか」という話まで出たくらいです(笑)。

──まさかの新ジョブが(笑)。

吉田傘をさして歩いているときに敵に襲われたら、すぐに反撃したくなるところですが、ご存じの通り『FFXIV』は戦闘中にジョブチェンジができません。あらゆる仕様で不整合を起こしていたため、それらを解消する手段を講じるのが本当にたいへんでした。

──それでも諦めなかった理由は?

吉田プレイヤーの皆さんの望む声がすごく大きかったからです。いまは、傘の下にいれば雨に濡れなくなる処理を必死に作っています。

──ああ、『FFXIV』には“濡れ”の表現があるので、そうした処理も必要になってくると。

吉田この処理を入れないと、「傘をさしているのになぜ雨に濡れるんだ」と言われてしまいます。一方、雨天で傘を広げた状態で浅瀬に足を踏み入れた場合は、水に触れた部分だけ濡れなければなりません。これを実現させるためには、空から降ってくる雨のライン判定を行いつつ、体の表面部分が水に浸かっているかどうかの判定も残しておく必要があります。「そこまでやらなくてもいいのでは」という話になるのかもしれませんが、ハイデリンでの生活はとても大切なものなので、やはりディティールにこだわりたいなと。

──特定のアイテムを使うと、キャラクターの見た目が傘をさした状態に切り替わるのですか?

吉田アクションリストのEXTRAに“傘をさす”が追加されます。1本目の傘を手に入れて、それをアイテムとして使うと、メッセージが表示されたうえで“傘をさす”が選択可能になります。今回は2~3種類の傘が追加 されますが、これから先バリエーションが増えてきたら、おそらくマウントのような独自のカテゴリーを設けると思います。

──すでにそうした部分まででき上がっていたとは……。

吉田そこまでの設計が完了したので、実現に向けて動き出した感じです。もしかしたら、将来的にどこかの企業とのあいだでコラボが実現し、特別な絵柄の傘がリリースされるかもしれませんね(笑)。

──すごく楽しみです。それにしても、傘ひとつを実装するだけでもすごくたいへんなんですね。

吉田まったく想定していなかったものを後から足すのは、本当に難しいです。それでも諦めずにチャレンジするのが、『FFXIV』チームのいいところだと思っています。

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_16

アレコレ聞きたいちょっと細かいところ

──ところで、パッチ5.2から新たなインスタンスダンジョンが毎回ひとつになると発表されましたが、コンテンツルーレット:エキスパートの対象コンテンツは今後どうなるのですか?

吉田コンテンツルーレット:エキスパートに登場するインスタンスダンジョンは、魔法宮殿 グラン・コスモスと黒風海底 アニドラス・アナムネーシスのふたつになります。そのうえで、コンテンツルーレット:レベル80ダンジョンという新たなカテゴリーを設けて、そこに終末幻想 アーモロート、異界遺構 シ ルクス・ツイニング、創造機関 アナイダアカデミアの3つを移します。

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_13
コンテンツルーレット:エキスパートに参加を申請すると、黒風海底 アニドラス・アナムネーシスとの2択になる。

──これから先は、新しいインスタンスダンジョンが登場するたびに、既存のものがひとつずつ新たなカテゴリーに移されることに?

吉田スタッフと「今後は基本的にふたつで回していこうか」と相談しているところです。

──キタリ族の蛮族クエストはギャザラー向けとのことですが、すでに3つのクラスをカンストさせているプレイヤーに対して、ギャザラースクリップ:黄貨や白貨がもらえるなどのご褒美はありますか?

吉田そこはやはり、専用の通貨との交換でもらえるアイテムのほうに行っていただくことになるのかなと。今回の蛮族クエストは、ストーリーがとてもよくできています。古代ロンカ帝国にまつわる物語が深掘りされますし、キャラクターも立っているので、ぜひご期待ください。

『FF14』ラムウとイクシオンが“共鳴編”でまさかの合体! ハイデリン・ゾディアーク編の展開も訊いたパッチ5.2吉田氏インタビュー_12

──古代ロンカ帝国が関係してくるということは、ラケティカ大森林が舞台になるのですか?

吉田そうです。僕たちのあいだで“集落クエスト”と呼んでいる、風脈の泉が関係する長めの依頼で活躍した人々が再登場します。

──たとえば、スリザーバウの“ロンカの水蛇”にまつわるお話で姿を現したキンフォートや、ファノヴの里のファイナ&シュナ姉妹が登場したりするのですか?

吉田ラケティカ大森林の重要人物がオールスターで出てきます。濃いシナリオに仕上がっているので、楽しみにお待ちいただければと。

──それでは、パッチ5.2のリリースを心待ちにしている読者へメッセージをお願いします。

吉田このインタビューだけではお話しできていないコンテンツも多数あり、パッチ5.2はものすごいボリュームのあるアップデートとなります。今後にも大きな計画がいくつもあり、開発チームは悲鳴を上げながらも、プレイヤーのみなさんが喜んでくださるよう、日々邁進しています。このパッチを皮切りに、今年も怒涛の1年としていきますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします!

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