セガゲームスより2020年2月13日に発売されたNintendo Switch用ソフト『初音ミク Project DIVA MEGA39's』。本作は昨年(2019年)、10周年の節目を迎えた人気リズムアクションゲーム『初音ミク Project DIVA』シリーズの最新作にして、同シリーズの任天堂ハード初登場となるタイトルだ。

 ニンテンドー3DSでは『Project mirai』シリーズがおなじみだが、『初音ミク Project DIVA』シリーズとはゲーム性も初音ミクさんのキャラクターモデリングも大きく異なる。そのため、『MEGA39's』の登場に注目している人も多いのではないだろうか。

 そこで本稿では、『初音ミク Project DIVA MEGA39's』のファーストインプレッションをお届け。一足先に本作に触れる機会を得たシリーズファンでもあるライターが、所感を交えつつ見どころを解説していきたいと思う。少しでも興味があればぜひチェックを!

2種類のリズムゲームは驚異の満足度

 『MEGA39's』は、プレイステーション4で発売・配信されている『初音ミク Project DIVA Future Tone』、『初音ミク Project DIVA Future Tone DX』の流れを汲むタイトルだ。この『Future Tone / DX』という作品は、初音ミクさんがこれまでの12年間で歌い上げてきた楽曲の歴史を、たった1本で体感できてしまうという超傑作と呼ぶに相応しいゲーム(と筆者は思っている)。そんなすばらしい作品の後継作がNintendo Switchでも遊べ、どこへでも気軽に持ち運びできるというのだから、皆さんにもぜひ注目していただきたい。

 『MEGA39's』のリズムゲームは、なんとお得にも“アーケードモード”と“ミックスモード”のふたつのモードを搭載。『初音ミク Project mirai 2』や『初音ミク Project mirai でらっくす』を想像してもらえばわかりやすいと思うが、これらのタイトルには“ボタンモード”と“タッチモード”が搭載されていて、それぞれまったく異なる感覚でゲームを楽しめた。本作のふたつのモードも、それとまったく同様に異なるゲーム体験ができてしまうため、かなりの満足感が得られる。

 ひとつ目のアーケードモードは、画面上に表示されているターゲットアイコンと飛来するメロディアイコン(ノーツ)が、ピッタリと重なるタイミングで対応するボタンを押すというシンプルなもの。大部分のノーツがボーカル部分に合わせて流れてくるため、まるで初音ミクさんが歌っているかのようなプレイフィールが味わえるのが大きな特徴だ。ミスをすると歌が途切れる(設定でオフにもできる)こともあり、自分が歌わせているという感覚も強い。難易度は最大5種類も用意され(※曲によって選べる難易度の数が異なる)、初心者もプロフェッショナル級の猛者も楽しめる。

 ふたつ目のミックスモードは、Joy-Conを“いいね持ち”にして遊ぶNintendo Switchならでは新モード。Joy-Conを傾けてカーソルを動かし、上から流れてくる横長のメロディアイコンと重なったタイミングでZL(L)、ZR(R)ボタンを押すというルールになっている。

 アーケードモードよりさらにシンプルなので簡単そうに感じるかもしれないが、左右ふたつのJoy-Conを同時に操作するのは、慣れるまでは案外難しい。しかし慣れてくるとカーソルを左、右、左、右と左右に振るのが徐々に気持ちよくなっていくからおもしろい。最終的には誰しも自然と体も動かしてノリノリになってしまうんじゃないだろうか。サポートオプション機能をオンにすればZL、ZRボタンは押しっぱなしでも受け付けてもらえるようになる(ただし基本はFINE扱い)ため、慣れるまでは利用するのがよさげ。いっしょに遊んでくれる友だちがいるというユーザーであれば、ふたりでJoy-Conを片方ずつ操作するという、嬉し恥ずかしなプレイ方法も実践できる。ぜひ試してみてほしい。

 全曲プレイ済みというわけではなく新規の曲ばかりで遊んだ感想で恐縮だが、ミックスモードで個人的に気に入った曲は『39みゅーじっく!』だろうか。もともと好きな楽曲だったというのもあるが、間断なくノーツが連続で流れてくるパートと長押しのパートが程よいバランスになっていて、指に心地いい。ハードの譜面ゆえに、もっぱらサポートオプション有りの押しっぱなしプレイだったが、いずれは機能オフで遊べるようになりたいと思う。このモードではノーツスピードも自分で自由に変えられるので、お好みの速度にすればさらに遊びやすくすることも可能だ。

 ミスをしまくっても最後まで演奏できる完奏モード、ワンボタンで瞬時に設定した場所からリスタート可能な練習モードのプラクティスといったお役立ちのモードもあるので、必要に応じて使いこなしていきたい。

 地味にすごいと思ったのが操作設定。世の中にはキーコンフィグそのものがない、または微妙なゲームはいまだ星の数ほどあるというのに、本作はまさに“いたれり尽くせり”級に配慮が行き届いている。これが本当にありがたい。筆者のようにプレイステーション4でやり込んでいるプレイヤーは、アーケードモードのプレイ時にボタン表示で戸惑いがち。

 しかしなんと、アイコン表示を△□×○ にしてしまうことも可能だ。もちろん、Nintendo SwitchのXYBAや矢印、それらの混在パターンだって選択できる。キーの配置も自在に変更できるし、ボタンひとつで同時押しの設定もできるからスゴいのひと言。しかも、ボタン同時押しサポートをオンにすると、同時押しのノーツがきたときに“X+Y”だの“X+B+A”だのと視認しやすい画面中央にガイドが表示されるから超便利。もう何と言うか、ありがとうセガ。

さらにかわいく調整された全101曲の必見PV

 『MEGA39's』では、シリーズ初収録となる9曲と既存の91曲に加え、本作のために kz(livetune)氏が書き下ろしたテーマソング『Catch the Wave』を含めた全101曲が収録されている。リズムアクションゲームとしてかなりの楽曲数だと思われるが、プレイステーション4版『初音ミク Project DIVA Future Tone DX』の全238曲というモンスター級の前例があるせいで、いまいちインパクトに欠けるような気がしてしまう。しかし、実際にプレイしてみると楽曲数はやっぱり多いなと考えを改めることになると思うので安心してよい。

 筆者のように飛ばさずに1曲ずつクリアーしていくタイプであれば、全曲制覇までにめちゃくちゃ時間が掛かるため、次第にどうでもよくなるというのが正しい答えかもしれない。それに、前述の通り本作にはアーケードモードに加えて、ミックスモードが存在していることも忘れてはいけない。楽曲が同じなのは仕方ないものの、譜面としてはまったく新しいもので遊べるので、ボリューム面に関しては本当に心配ご無用。ついでに言うとDLCのテーマソングパックというものが初回特典として付いていて(後日無料配信予定)、『The secret garden 』、『こっち向いて Baby』、『積乱雲グラフィティ』、『ゆめゆめ』といった楽曲を追加できる。

 これら101の楽曲はPVとして鑑賞する楽しみもある。プレイ中は正直まったく観ている余裕はないため、PV鑑賞モードの存在が非常にうれしい。最初から全楽曲がオープンになっているのでどれでも好きな楽曲のPVから楽しめるし、プレイリストを編集して連続で観ていくことも可能だ。作業用BGMみたいなノリで流しっ放しにするのもアリかもしれない。なお、鑑賞中にAボタンを押すとPVを一時停止させられるので、キレイにスクリーンショットを保存できる。筆者はPS4版でさんざんトライ済みなので本作ではやっていないが、ベストショットを求めてスクショしまくるのも、なかなかの熱中度だ。

 ちなみに今回、キャラクターモデルのグラフィック表現がすべてアニメ調に変更されているが、これがじつにいい感じだ。『Future Tone』でも、いくつかの楽曲で採用されていたNPR(ノンフォトリアリスティックレンダリング)という技術を使い、さらに進化させているそうで、もともと自分好みの絵柄だったせいもあって非常に気に入った。統一感があるし、既存曲のプレイも新鮮に感じる。そう言えば風の便りに聞いたのだが、既存曲といっても単純に「モデルを変えてはい終わり」というわけにもいかず、すべての曲、すべてのカットで光源の調整など、ミクさんたちがよりかわいく見えるように手が加えられているらしい。PS4版からのプレイヤーは、そのへんも細かくチェックしてみるのもいいかもしれない。

Tシャツエディットでカスタマイズが激アツに

 ミクさんたちのモジュール(コスチューム)を着せ替えして、さまざまなコーディネートで歌って踊ってもらうのも『Project DIVA』シリーズの楽しみのひとつ。基本は楽曲をイメージしたモジュールになっているが、投稿サイトpiaproとのコラボレーションデザインのものなどもあり、控え目に言って300着以上は用意されているらしい。かわいい衣装がたくさんあって目移りしてしまうが、今回のテーマソング『Catch the Wave』の新モジュールはとくにすばらしい仕上がりになっている。まだ見ていなければ、ぜひ見てみてほしい。

 着せ替えだけでなく、髪型のみを別物にしたり多種多様なカスタマイズパーツをさまざまな部位に装着したりもできるため、モジュールの組み合わせは無限大と言って差し支えないだろう。着せ替えをするたびにPV鑑賞や撮影をしたくなったりするプレイヤーは、カスタマイズ沼からなかなか抜け出せなくなるかもしれないので要注意。なお、プレイステーション4版で2019年3月22日にDLCとして販売された“雪ミク 2018”、“雪ミク 2019”といったモジュールも当然のごとく収録済み。これもめちゃくちゃかわいくて必見。

 『MEGA39's』の新機能としてカスタマイズに“Tシャツエディット”が追加されている。要するにTシャツの柄を自由に変えられるといった内容だが、言わばモジュールを自作するようなものなので、とくに職人さんは燃えるのではないだろうか。Joy-Conでのボタン操作のほか、タッチスクリーンを使用した操作でTシャツのオモテとウラに描くことが可能。本格的なツールが用意されているわけではないが、演奏の合間にラクガキしてみるのも楽しいんじゃないかな。筆者は絵がちょっとアレなので模様的なものを描いて遊んだだけだが、それでもなかなか気分がよかった。

Tシャツのオモテとウラを自由にデザイン。携帯モードで、Nintendo Switch タッチペンを使って描くとスムーズ。
実際に着せてみると、こんな感じに。

 また、piaproとのコラボデザインTシャツも収録しており、こちらはけっこう着て楽しんだ。かなり斬新と言っていい感じのデザインも取り揃っているので、ネタとして見てみるだけでもおもしろいと思う。

本作も超傑作に相応しいデキ

 『MEGA39's』は非常によくできたリズムゲームに仕上がっていると思う。楽曲は選りすぐられた101曲なうえ、2種類のリズムゲームで遊べるのでボリューム的にも大満足。多種多様な難易度とモードで、初めてのプレイヤーからシリーズの上級者まで、幅広い層をフォローしてあるのも好印象なポイント。気配りが行き届いたキーコンフィグは本当にすばらしい。一新されたアニメ調のミクさんたちを存分に愛でてもいいし、純粋にリズムアクションとしてネットランキングのスコアアタックに打ち込むのもアリ。

 もっとやり込むと違う面も見えてくるかもしれないが、現状本作は自分の中で『初音ミク Project DIVA Future Tone / DX』と並ぶ傑作と言える。Nintendo Switchということで、気軽に持ち出せるのもプレイ環境によっては重宝するんじゃなかろうか。

 そんなわけで『Project DIVA』シリーズの未経験者はもちろん、しばらくシリーズで遊んでいなかったという人には『MEGA39's』を絶対に遊んでみてほしい。とくに後者のユーザーにはけっこうな驚きがあるんじゃないかな。

 すでにプレイステーション4版『Future Tone / DX』をやり込んだユーザーにも、できればミックスモードで遊んでみてもらいたいところだが、『Future Tone / DX』プレイヤー向けに、『MEGA 39's』からの新曲などをセットにしたDLCを2020年に有償で配信予定なので、これを待つのも手かもしれない。