重くて、深くて、心の奥底がぞわぞわするようなゲームは好きだろうか。僕は好きだ。
個性的なキャラ。神話をベースにするなどして練り込まれた設定。ときにエグさまで感じさせる演出。“中二的”などと揶揄されることもあるが、何だかんだでファンの多いジャンルである。みんな自分に正直になろう。
設定や物語を重視するゲームを探していて、気になるタイトルを見つけた。DMM GAMESでサービス予定の『Deep One 虚無と夢幻のフラグメント』だ。
『Deep One 虚無と夢幻のフラグメント』はPCやスマホのブラウザ版、アプリ版が用意されるオンラインゲーム。集めたキャラでデッキを編成してバトルに挑み、物語の深淵に迫っていく。
なぜ本作が気になるかというと、原作が『Deep One』というアダルトゲームだからだ(※)。
※『Deep One 虚無と夢幻のフラグメント』には全年齢版とR18版があり、ファミ通.comでは全年齢版を取り上げています。
『Deep One』は2018年10月26日に発売されたビジュアルノベル。『恋姫†無双』シリーズなどで知られるネクストンブランドのタイトルだ。運命に翻弄される兄妹の戦いが描かれており、公式サイト内には“魔導書”や“封印指定”、“受胎”といった単語が踊る。
そうそう、これこれ。僕は若干のエグさもあるバトルものを求めていた。我慢できなくなったので開発者を直撃。どういうゲームか教えてもらった。
開発・運営のキーマンにインタビュー
DMM P
DMM GAMES所属。『Deep One 虚無と夢幻のフラグメント』プロデューサー。
開発D
開発会社Without所属の制作ディレクター。
森田歩(もりたあゆむ)
開発会社Without所属。プランナー兼シナリオライター。文中では森田。
かんたか
原作のPCゲーム『Deep One』を開発したネクストン所属のディレクター。文中ではかんたか。
ミス・ユースケ
この記事の担当編集者。若かりし頃はビジュアルノベルをかなり遊んだ。文中ではユースケ。
ネクストン期待の伝奇ビジュアルノベルがオンラインゲーム化
ユースケ最初にゲームの概要を教えてください。
DMM P原作の『Deep One』はビジュアルノベルアドベンチャー。シナリオ選択型のノベルゲームです。『Deep One 虚無と夢幻のフラグメント』は重厚なシナリオと荘厳なBGM、臨場感あふれる演出がポイント。『Deep One』のDNAを受け継ぎつつ、オンライン要素をプラスしたゲームとなっています。
PCブラウザとアプリだけでなく、スマホブラウザ版もあるので、お好きなプラットフォームで遊んでいただければ。
ユースケ原作の『Deep One』は大人向けゲームですよね。不勉強で恐縮なのですが、もともとはどういった評価を受けたゲームなのでしょうか?
DMM Pどこまで正直に言えばいいかな(笑)。
開発D本編リリース前の評判はよかったと思います。
ユースケ公式サイトに大物からのコメントも寄せられてましたね。取材前に下調べしようと思ったらそれを見つけてびっくりしました。
開発D期待値は非常に高く、業界の内外からも反響があったと思います。じつは『Deep One』のパッケージが発売された後に、それの評判をもってオンラインゲームを作り始めたわけじゃないんです。
事前の評判がすごくよかったので、その段階で「オンラインゲームを作らせていただけませんか?」ってネクストンさんにお願いしました。
ユースケへぇー! 発売(2018年10月)から1年ちょっとでオンラインゲーム化発表(2019年12月)って、早すぎると思ってたんですよ。そんな事情が。
DMM P最初に話を持ちかけたのは、公式サイトが1ページ分しかないようなときでした。パッケージを作っているときに同時進行でオンラインゲームも作り始めて、(オンラインゲームの)リリースは2020年早めを目指してます。
開発D前評判の時点ですごい可能性を感じたんです。世界観にこだわっていて、演出も練り込まれている。
ただ、続編が前提の作りになっていたことが引っかかった方はいらしたのかなと思います。「話が完結してないじゃん」みたいな。発売前はそういった点をあまり打ち出していなくて。
かんたかIPの評価としては、ものすごく熱い反応をいただきました。今後はパッケージ版のシリーズも続いていきます。つぎは2021年くらいになる予定ですけど、作っています。
ユースケオンラインゲームならシナリオのボリュームは心配なさそうですね。基本的には終わらないものなわけですし。
かんたか業界内外からのコメントは本当にうれしかったんですけど、誇大的なプロモーションになってしまったかもしれません。何もないまっさらな状態で遊んでもらったら、ひとつのお話としてまとまっていると思いますよ。
ユースケ整理すると、『Deep One』というユニバース(世界)があって、1本目のパッケージで表現されていたのは一部。また別の部分をオンラインゲームや次回作で表現していくということなんですよね。
開発Dだいたいそういうイメージです。舞台は原作の時間軸からだいぶ離れた未来。
森田“ルルイエ”という封鎖された深海の施設が舞台で、脱出を目指すのがストーリーの根幹です。そこは“ナコト原書”を研究するために作られた施設なんですよ。
ユースケしれっと難しい言葉が出てきた。ナコト原書。
森田七大原書のひとつです。
ユースケ「ご飯はおいしいです」くらいのテンションで言われましても。
森田魔術が存在する世界でして、人智を超えた何らかの存在が“魔導書”。その中で、すべての魔導書の大元だと言われているのが“七大原書”です。
施設から脱出するためには、ナコト原書が内側に作り出している“幻夢境”という異世界を探索する必要があるんですね。
幻夢境は登場人物たちの心象を反映させた世界。章ごとにキャラの心象風景が描かれていて、進めれば進めるほどそのキャラの内面が深堀りされていく。最終的にはその人の最大のトラウマと対峙する形になります。
開発D話が進むごとにキャラの心のいちばん深い部分が明かされていく、みたいな展開をイメージしてもらえばわかりやすいかと。
ユースケそう言えば、クトゥルフ神話に“ナコト写本”って出てきますよね。その原書というイメージなのかな。『Deep One』もクトゥルフ神話に登場する怪物の名前でしたっけ。日本語だと“深き者”。あ、でも、クトゥルフ神話をそのまま使ってるわけじゃないですよね。
森田そうですね。話を戻しますと、ナコト原書はラヴクラフト財団が狙っていて……。
ユースケそのまんまじゃないですか(クトゥルフ神話は作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの作品を体系化したもの)。
森田詳しいですね。クトゥルフ系のワードで重厚さを演出している部分はあります。
ユースケそこまで詳しくはないんですけど、おたくにとっては通過儀礼みたいなものなので、基本的な単語だけ何となく知っています。やっぱり原作で好評を博していたのは世界設定なんでしょうか。
森田そういうところはあると思います。何て言うか、いわゆる“中二”的なカッコよさは大事にされていたかな、と。
ユースケ“中二”って揶揄する表現として使われることもありますけど、本気で突き詰めるのはかなり難しいですよね。それっぽい言葉を使うだけだと、ぞくぞくしないと思うんですよ。
森田仰る通りです。言葉ひとつひとつの印象に気を付けて、その人物の矜持や背景を描写していく。設定だけじゃなくて魅せかたに凝るのも大事です。
ユースケこの表現が正しいかどうかはわからないですけど、ちゃんとした中二ゲームなんだろうなって感じます。キャラの人物像を説明するんじゃなくて、シナリオと言葉で描写するというか。
森田とあるキャラは戦う理由が「家族に見捨てられたこと」なんですね。「家族を見返すために戦っている」と口では言っているんだけど、心の中では家族に認められたいという葛藤があったりとか。
ユースケシナリオライターの腕の見せどころですよね。上っ面だけ説明してもプレイヤーには響かないでしょうし。
キャラに紐づく大ボリュームのコンテンツ
ユースケ本作の注目点を教えてください。
開発D(R18版の)アダルトシーンですね。
ユースケそれ以外で。
森田やっぱりキャラクターには注目してほしいです。最初の時点で21人が出てきます。なるべくコンテンツ量を多くして、それぞれの魅力を深堀りしていきます。DMM GAMESが制作しているゲームとしてはコンテンツ量がかなり多いほうだと思っています。
ユースケコンテンツというとシナリオですか?
開発D原作はノベルアドベンチャーですからね。オンラインゲームはシナリオがあっさりしていることもありますけど、ボリュームにはこだわっています。いまの段階で、たしか100万文字を超えていたと思います。
ユースケ100万文字って言われてもボリュームが想像できないです。東京ドームで言うと?
開発Dすみません、文章量を東京ドームで換算したことないので、ちょっと答えられないですね。
ユースケキャラは21人ということですけど、メインストーリーを進めていくと開放されていくんですか?
かんたかキャラが追加されていくタイプではなくて、最初から21人が出揃った状態です。何が近いかな。……十五少年漂流記の出だしみたいな雰囲気でしょうか。
森田キャラにはN、R、SR、SSRのレアリティーがあります。いわゆるガチャなどでそれぞれに対応するイラストを集めていくんですけど、最初から基本レアリティーは所持しています。
たとえば、赤井亜紗花という子がいて、Nの赤井亜紗花、Rの赤井亜紗花、SRの赤井亜紗花、SSRの赤井亜紗花のイラストが用意されているイメージです。Nは最初から持っているわけです。
ユースケなるほど。女の子そのものを集めるわけじゃないんですね。
森田そのイラストごとにキャラシナリオとイベントCGを用意していますので、ゲーム開始直後からかなりのボリュームのコンテンツを楽しめます。
開発D原作の評価で「CGが思ったより少なかった」という声もあったので、本作では全キャラのCGを最初から解放したかったんです。チュートリアルを突破したら見られます。
NとRは基本的には立ち絵。SRとSSRはシチュエーションや動きがついた一枚絵となります。泣きながら剣を抜くような演出があったりして。1枚のきれいなイラストというより、前後のシチュエーションを考えながら作っています。
森田キャラのイラストに紐づいたコンテンツだけではなくて、メインストーリーをクリアするとプレイできる“エクストラストーリー”もあります。メインストーリーにおいて、そのキャラはどういう立ち位置だったのか、みたいな。21人分を一気に実装するというより、段階的にリリースする予定です。
ユースケシナリオにかける熱量がすごい。こういったPCブラウザゲームって、少し前までキャラ数の多さが重視されていたと思います。いまはシナリオを作り込んだり、ひとりひとりを掘り下げたり、違う方向に進化してますね。
DMM Pお話を楽しんでほしいんです。だから世界観を作り込みたい。そこに浸ってほしい。
開発D森田はもともとパッケージのアドベンチャーゲームのファンなんですよ。もう、めちゃくちゃやってます。尋常じゃない本数。もちろんネクストンさんのゲームもやり込んでますし、ほかのブランドのゲームもかなり。
ユースケお話重視の名作アダルトゲームは多いですもんね。ところで、急にエロゲ好きであることを明かされるってどんな気持ちですか?
森田(無言でうなずく)
ユースケどういう感情?
開発D当社はそういうスタッフが多くて、イラストレーターも基本的にはパッケージゲームが好きですね。ソーシャルゲームの開発会社ですけど、パッケージゲームが好きでやってるメンバーが多いかもしれない。
ユースケひとりひとりの深みが大事とはいえ、キャラは多いに越したことはないじゃないですか。増える予定はありますか?
森田ほかのゲームよりはゆっくりなペースになると思いますけど、増やす予定もあります。後から出てきたキャラが既存のキャラの知り合いだったりとかして、展開の幅を広げたいですね。
かんたか閉鎖空間なのにキャラが増えるんですね。
ユースケそれ、かんたかさんがツッコみます?
開発Dたまたま出会えてなかっただけで、じつはいっしょに閉じ込められていたんですよ。
ユースケ閉鎖空間といっても広いわけですよね、きっと。なんで僕がフォローしてるんだろう。
開発D注目点と言えば、スキルのカットインは見てほしいですね。オリジナル版の演出を意識しつつ、21キャラ分、独自のものを作っていますので。
DMM Pここまでよく動くゲームは、DMM GAMESのオンラインゲームとしても珍しいです。複数タイトルを遊んでいる方にとっても新鮮味はあると思います。
かんたか原作は「ビジュアルノベルにしてはやたらと演出が凝ってる」みたいな評価を多くいただいてたんですよ。バトルのエフェクトなんて、ほとんどムービーみたいなのをスクリプトで処理して。で、大幅にデバッグがずれ込んだという(笑)。海外のユーザーさんにはその辺がウケてますね。
ユースケ海外ファンが多いんですか?
DMM Pネクストンさんは『恋姫†無双』も含めて(海外)に強くて。日本のパッケージゲームファンは海外に意外と多いんですよね。
かんたか社内にも外国人のスタッフがいて、その子が海外向けの情報を発信してるんです。各タイトルの印象をアンケートで聞ける環境もあって、『Deep One』に関しては演出面の話題が上がることが多かったですね。
家具に秘められたシナリオを楽しめる“ルーム”機能
開発D原作との違いでこだわったところもあります。オンラインゲームなのでゲームに触れていただく時間がパッケージ版より長いと思うんです。
原作はバトルが中心です。もちろん本作でもバトルは重要なんですけど、キャラとの日常も描きたかった。それが“ルーム”機能。
ユースケ女子の部屋に遊びに行くんですか。その言葉だけでどきどきしますね。
開発D研究施設内の女の子の部屋という立て付けです。だいたいこういった感じで。
ユースケ例に挙げた画像がめちゃくちゃしぶい。開発Dさんの好みがわからない。
開発Dベースとなる背景や家具を変えて雰囲気を変えられるんです。リリース直後にバレンタインイベントを予定していて、それっぽいデザインを用意したいな、と。
DMM P家具を配置すると、関連したシナリオが発生します。自分のお気に入りの子の部屋を飾ることで、キャラの深堀りにもつながるんですね。
たとえば、バレンタインの家具を配置すると、この子のバレンタインイベントを見られるわけです。クリスマスだったらクリスマスツリーを置いて、21人とクリスマスの掛け合いが楽しめます。
開発Dちなみに、ルームをホーム画面に設定することもできます。ガチャで引いたキャラのイラストも。
ユースケここにもシナリオが。家具はどうやって手に入れるんですか?
DMM Pコンテンツの報酬やイベントです。
開発D“アリーナ”というPvPコンテンツがあったり、ひたすらバトルをこなして進んでいく“タワー”があったり、ほかの人と協力するレイドがあったり。ソーシャルゲームとしてはひと通りの機能の開発を進めています。
DMM Pタワーは難度が高いので、リリースから何日後に開放するか検討中です。複数のデッキを使うので、たくさんキャラが集まった頃がいいかなあ、と。
ユースケコンテンツが多すぎると疲れちゃいますからね。
開発Dアリーナでがんばってポイントを貯めると家具が手に入りますので、まずはこの辺を遊んでいただいて。
ユースケアリーナは非同期の対戦ですか? ほかのプレイヤーが組んだデッキと戦うやつ。
開発Dそれです。DMM GAMESのお客様はユーザー同士の直接的な対戦を好まれない傾向にあると考えております。ただ、コンテンツ数をある程度は用意しないと遊びもマンネリ化してしなうので、このような形に落ち着きました。
DMM P負けることにマイナスの印象を持ってほしくないんです。負けてもポイントは少しもらえるから損はない設計になっています。
ユースケやさしさにあふれたシステム設計。
開発DDMM PさんはDMM GAMESのほかのタイトルのプロデューサーも務められているので、アドバイスをもらっています。
10日くらい遊ぶと10連ガチャを1回引ける?
ユースケデッキの編成画面を見ると、キャラのほかに武器も集めていく感じですね。
開発D1キャラに最大4つ装備を着けられます。武器も家具と同じくコンテンツの報酬として手に入るので、じっくり集めてほしいですね。
武器枠やアビリティはキャラ(イラスト)重複で限界突破して開放する仕様なんですけど、ユーザーにとってはカード重ねで強化するのって「うん、まぁ……」じゃないですか。
ユースケまぁ、そうですよねー。好きなSSRを強化するのに同じの何枚いるんだって話ですから。イラストはガチャなんですよね。
開発D理由があって厳しめの仕様にしています。たくさん集めないといけない分、ダイヤ(ガチャを回せる通貨)を多めに配っていきたいんですよ。
ユースケあー! はいはいはい。ガチャを引く楽しさってありますよね。
開発Dそうなんです。こだわりたかったのはそこ。だからこそ、あえて限界突破の仕様を厳しめにしたい。ガチャを引くときがいちばん盛り上がるんですよ。当たった当たらないで。
DMM P友だちと話すのも楽しいですよね。
開発Dでも、いいのが出なくて悔しいから課金しようって思わせすぎるのもよくないわけですよ。ゲームを継続していただければ、ある程度無料で10連(ガチャ)を回せるバランスを想定して。
ユースケ要は、無料でたくさんガチャを回せるからSSRのイラストも集まりやすいという前提なんですよね。そのバランス感覚には期待したいです。
僕らユーザーだって、運営側が課金ガチャを回してほしいのはわかってます。ビジネスだから当然。かといってガチャ用の通貨集めが渋過ぎると、続ける気力なくなっちゃいますから。
開発Dそういうことですね。僕らもゲーマー。いろいろ遊んでますから、その気持ちはわかります。
ユースケデイリークエストをひと通りやって、期間限定イベントでスタミナ系のポイントを使い切って、ちょっとPvPやって、1日に昼と夜の2回くらいログインして。プレイ時間はだいたいこれで1~2時間だと思うんですよ。
これくらいの感覚で継続して、1週間から10日で1回10連が引けるのがいいゲームだと僕は思っています。
開発Dでは、そうします(笑)。
DMM P僕たちの感覚もそこからそんなに離れていないと思います。まだ調整中なので何とも言えないですけど。
森田プレイ時間の感覚もだいたいそんな感じにとらえてますね。1日2時間くらいを想定して。
DMM PDMM GAMESは夕方から夜に帰宅してから遊ぶ人が多いので、そういった方たちが心地いいサイクルにしないといけません。
逆に、スマホメインのゲームはいつでも触れるので、プレイ時間が長くなる傾向にあります。他社さんのスマホゲームはそういうサイクルに合わせたものも増えていますね。
ユースケ僕なんかはこの手のゲームが長時間プレイ前提だと疲れちゃうんですよ。DMM GAMESさんはPCとスマホに両対応のゲームが多いですけど、どちらかと言うとPCユーザーが多いと聞いたことがあります。
DMM PiOS、Androidにはないゲームを求めている方が多いんでしょうね。徐々にスマホの割合は伸びてますけど、それでもPCのほうが少し多いですね。大きい画面で“ながらプレイ”をする人も多いみたいです。ブラウザを開いて、ほかの作業をしながら。
原作メーカーと開発・運営メーカーの関係
ユースケユーザーかぶりと言うか、複数のタイトルをプレイする人は多いですよね。DMM GAMESさんはそれ前提だと思いますが、気になるものですか?
開発D本作はDMM GAMESさんのほかのタイトルにはない作風だと思うんですよ。シナリオの物量もそうですし、世界観のテイストも珍しいかと。
DMM Pうちとしてはあまりないタイプなので、期待はあります。
開発D明るくポップなものが好きな人も多いと思うので、イベントでそういう要素を追加していくと思います。たとえば、バレンタインでシリアスなイベントはあまり想像できないですよね。
ユースケベタと王道を心のどこかで求めてますから。ふわふわかわいくあってほしい。
DMM Pメインストーリーは重めですから、メリハリをつけて。メインストーリーを延々と遊ぶと疲れると思うんです。それをポップなイベントで癒してもらいたいですね。
開発D近いタイトルをあえて挙げるなら『東京ネクロ』ですかね。原作のニトロプラスさんがしっかりと深い世界を作っていらっしますから、こちらも同じように。
かんたか基本はお任せですけどね。外してほしくないところだけはお願いしてますけど。
ユースケ2000年代くらいから続くアダルトゲームの流れと言いますか、人気のあるアドベンチャーってダークなゲームが多いじゃないですか。なぜなんでしょうか?
かんたか『新世紀エヴァンゲリオン』の影響はあるでしょうね。エヴァに衝撃を受けた若い子たちが大人になって、いまゲームを作ってるんですよ。あの謎めいたストーリーに魅了されて。
ユースケうまく宗教観を取り入れたゲームって、なぜか引き付けられるんですよね。ゲームに限らず、思春期に受けた影響は大人になってから出てくるからなあ。
DMM P(DMM GAMESの客層は)30~40代が多いので、相性もいいでしょうね(※)。
※テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年10月に放送スタート。当時15歳だった少年はいま40歳。
DMM P30~40歳くらいの社会人が癒しを求めてゲームを遊ぶ、と。
ユースケクトゥルフ神話モチーフのゲームって、癒しを提供するには変化球すぎませんか?
開発D癒しの部分はイベントで!(笑) バレンタインとかね、すごくかわいいやつ用意しますから。癒しに振り切りますよ。
かんたかどれくらい振り切るんですか?
ユースケお、版元チェックだ。中途半端なのは困りますもんね。
開発Dルーム系のシナリオは重い要素を出しようがないかなと思ってます。大事なのはメリハリ。
DMM P全体的に明るめですね。ラブコメ感も出しつつ。
かんたか僕が「とんちきなイベントやってくださいよ」って言ってもやりたくないんだろうな。
開発Dいやいやいや、やりますやります! よっぽどじゃないかぎりは。
かんたかよっぽど、ですよ。やってほしいのは。たとえば、夏の水着イベントのときに、水着キャラを登場させつつ、食糧事情の関係で深海の魚を食べなきゃいけなくなって、リュウグウノツカイを食うイベントとか。
森田それくらいだったら全然やりますよ。
ユースケだったらもっとすごいやつ提案しましょう。
かんたかそうですね。やりますって言ったのを後悔するくらいのやつを。
開発Dかんたかさんが詰めてくるのなんなんですか。DMM Pさんも笑ってないで助けてくださいよ(笑)。
DMM Pおもしろいなーと思って。振れ幅は大事ですよね。別のタイトルではエイプリルフールの企画も毎年工夫して作ってますし、やるからにはとことんやらないと。
ユースケそもそもの話になるんですけど、どうしてネクストンさんと組むことになったんですか?
DMM P僕はほかのゲームのプロデューサーも担当しています。ネクストンさんとは2015年くらいから『恋姫†無双』やコラボでお世話になったりして、じつはかなり前から接点があったんです。
開発D当社はいろいろなタイトルをDMM GAMESさんと作らせていただいてます。今回は3社でかなり円滑に開発できていると思います。
版元さんから原作をお借りして開発となると「こうしてください」、「こうしないといけません」って、指示をすごく受けるんですね。今回はこちらから相談することが多くなってるんですけど、かなり意見を受け入れていただいてます。
僕らからすると任せてもらったほうがやりやすい部分もあります。適当とか放任というニュアンスではなくて「信頼して任せます」って、社長さんからも仰っていただいて。それがいい方向に向いてるんじゃないかな。
DMM Pネクストンさんはトップクラスにやりやすい版元さんだと思います。もちろん厳しいのも悪いことではないですけどね。それでも、「そういう表現でもいいんじゃないですか」と言ってもらえることが多いので助かってます。
最後になりますが、いい作品をお届けするべく、3社で協力しながら鋭意製作中でございます。ぜひ楽しみにしていてください。