日本最大規模規模のインディーゲームの祭典として、ゲームファンの 注目を集める BitSummit。2020年5月9日~10日には、京都市勧業館みやこめっせにて、8回目となるBitSummitが開催されることが明らかにされている。その開催に向けて、一般出展者向けのエントリーを開始した同イベントだが(※)、8回目のBitSummitはどのような進化を遂げるのか? ここでは、BitSummitを主催する日本インディペンデント・ゲーム協会 (JIGA)の理事長である富永彰一氏と、副理事長の小清水史氏、そして理事を務める村上雅彦氏の3名に、8回目の開催に向けての抱負を聞いた。

※応募締め切りは1月13日までだったが、レイトエントリー受付が行われることが決定した。 レイトエントリーの締め切りは1月20日(月)17時(日本時間)まで。レイトエントリーの応募には、通常のエントリー料に加え 1000円[税抜]が別途必要になるとのこと。

富永彰一氏(写真中央)

キュー・ゲームス クリエイティブディレクター

小清水史氏(写真左)

ピグミースタジオ 代表取締役

村上雅彦氏(写真右)

スケルトンクルースタジオ 代表取締役

より広がりが出てきたことで大きな手応えを感じた

――まずは、2019年6月に開催されたBitSummit 7 Spiritsに対する手応えを教えてください。

小清水他業種の企業から協賛をいただいたりしたこともあり、イベントとしてより広がりがでてきたという手応えは感じました。さらには、これはここ数年の流れとなりますが、インディーゲームをパブリッシングしてくれるゲームメーカーさんが増えていることも後押しになりました。それだけインディーゲームがビジネスになりえると判断してくれているのだと思います。僕としては、もっとパブリッシャーさんに参入していただいて、デベロッパーさんがソフトを売るチャンスを増やしてもらえればと願っているので、この熱量は継続してほしいです。

富永2日間の入場者数が、前年比で約1.6倍となる17038人を記録したのも大きな自信になっていますね。

小清水じつは2019年の開催するにあたっては、目標入場者数を前年の2倍の20000人に設定していたんですよ。そのためには一般の方にもBitSummitのことをもっと知っていただかないといけないということで、SNSなどを含めPRには力を入れました。

――入場者の想定設定が2倍だったというのは、かなりな強気ですね。

村上僕たちはこれまでPRがぜんぜんできていなかったんですよ。BitSummitには、PRをすればそれだけのお客さんがいらっしゃってくれるポテンシャルがあるという自信はありました。

――イベントとして、より成熟してきたということですね。

村上新たな取り組みとして手応えを感じたのはゲームジャムです。BitSummitでは、今年からクリエイター育成の見地から、京都や大阪の学生さんが参加してのゲームジャムを実施しました。学生さんたちには1泊2日でゲームを作ってもらって、BitSummitの会場で実際に出展したのですが、とても有意義でした。若い人たちが可能性と直接触れ合える場としての価値を創出できたのではないかと。来場者にとっても、若い感性の作品に触れるいい機会になったと思っています。

小清水とても意義がありましたね。無理をしてでもここは将来のために広げたいです。

村上運営していくのはとてもたいへんだとは思うのですが、ゲームジャムに関しては、徐々に規模を拡大していきたいです。ゆくゆくは世界規模でやりたいですね!

BitSummit 7 Spiritsの模様から。

これからのゲーム開発は作家性が重要になる

――そんなこんなで2020年に8回目のBitSummit が開催されるわけですが……。

富永はい。ようやく正式名称も決まりました。BitSummit The 8th Bitです。

村上BitSummitでは、毎年斬新な取り組みをしつつも、同じスピリッツを保っていかないといけないという気持ちで取り組んでいます。その中で、毎年イベントを象徴するキャラクターを作っているのですが、それは基本的に日本の文化を大切にしていて、ポップカルチャーだったり、サラリーマンだったり、招き猫だったりします。2020年は8回目でついに8ビットが使えるということで、末広がりの富士山に8本足のタコが絡んでいる……というビジュアルを予定しています。タコの足はファミコンやメガドライブなど、歴代のゲームコントローラを握っているんですよ。ゲームの歴史やユーザーや開発者がつながっていることを感じていただけたら……ということでつけたネーミングです。

富永テーマは、2019年は“多様性”だったのですが、2020年は“フレキシビリティ”です。2020年は5Gが始まりますし、クラウドゲーミングも本格化します。ゲームの可能性もさらに広がっていくということで、クリエイターは“どういうアイデンティティーで作品を作りますか?”ということで、作家性がものすごく重要になってくると思います。これから変わっていくゲームに対してどう対応していくのかも重要なスキルなのではないか……ということでのフレキシビリティです。

――8回目に向けての新しい取り組みは?

富永数年前から協賛している京都府さんから「eスポーツはどうですか?」というご提案をいただいていました。ただ、それに関しては賛否両論で、僕自身もどちらかと言うと、「わざわざBitSummitでやらなくてもいいのでは……」と言っていたほうなんです。でも、よくよく話を聞いてみると、eスポーツの大会を開催したいというわけではなくて、“プロゲーマーの能力はすごい”ということをアピールしたいというんですよ。プロゲーマーは、ゲームに対する知見もあるからゲームに対する的確なアドバイスもできるし、宣伝もできる。インディーゲームデベロッパーにとっても助かる存在で、いわば“協力者”になりえるんだと。

――それは、おもしろい視点ですね。

村上プロ選手って、ゲームを遊ぶプロなんですよね。そういった人たちがクリエイターとセッションしたときに、どういった共有や共感があるのかといったことを提案できる場になればいいなと思っています。

――インディーだったら、既存のeスポーツやプロゲーマーの固定観念に囚われない新しい価値を見いだせるのではないかという化学反応が期待できるということですね?

富永そうです。最初に話を聞くまでは、僕たちもいわば固定観念だらけだったのですが、いまはいろいろと可能性を感じています。

村上ちなみに会場のサイズは2019年といっしょです。2020年は会場を広げようという話も一時期はあったのですが、「やり残したことがある」ということで。これまで規模は拡大してきたのですが、ここは1回じっくりと腰を据えて、イベントそのもののクオリティーを上げていきたいと思っています。

――最後に、BitSummit The 8th Bitに対する思いのたけをぶつけてください!

小清水前回開催してみて伸び代がありそうだところでいうと、やはりゲームジャム! これは伸ばし切りたいです。あとは、前夜祭のパーティー。今年BitSummitでは、おもに海外のゲームイベントで開催されている有名な交流イベント“The MIX”と、日本では初となるコラボを実施したのですが、そのイベントのよさが十分に活かせませんでした。“BitSummit x The MIX”は、本イベントの前日に同会場で開催し、デベロッパーさんがゲーム展示をしながらスポンサーさんやパブリッシャーさんと交流するという趣旨のもとに実施したのですが、工夫すべき改良点がたくさんありました。せっかくのコラボなので、デベロッパーの皆さんにより活用していただける交流の場にしていきたいと思います。

村上コンテンツの質と満足度を高めるというのが、僕たちの命題としてあります。とにかくひとつひとつをよくしていきたいです。なかでも僕の役割で言うと、海外の人に日本のクリエイターさんのことをもっと知ってもらうことです。BitSummitに対して日本のクリエイターさんたちが、「いいものさえ作っていれば何かチャンスがある」という場にしていきたいです。

富永僕は、個人的には2020年はひとつの節目だと思っていました。オリンピックイヤーだし5Gも始まるしということで……。BitSummitが、そんな2020年の動向を掴んでいただくきっかけになってくれればいいなと期待しています。とくに楽しみにしているのが、既存とは違う遊びかたを提案してくれるタイトルですね。

小清水そこは強く言いたいですね。いわゆるみんなが思うようなゲームらしいものじゃないと出展したらダメだと思っている人が多いかと思うのですが、実際のところはそういう定義はあまりなくて、プラットフォームの基準も指定していません。とにかく“みんなに自慢したい!”という自信作がたくさん集まってほしいです。「尖りすぎて審査に通らないだろう」と思うような作品もぜひ!

ジェームス・ミルキー氏 BitSummit クリエイティブディレクター

 BitSummitを開催するうえで、毎年の課題は、一貫性を維持しながら、新鮮さを保ち、進化させ続けることです。 私たちは、つねに日本のポップカルチャーやいままでのBitSummitからインスパイアを受け、数々のマスコットを紹介してきました。次回で8年目になるので、いよいよ8度目のBitです! 山を越え出現し、ビデオゲームの歴史を象徴する8つのゲームコントローラーを振り回す巨大タコがシンボルです! ビデオゲーム史のあらゆる側面を取り入れていることを表現しており、来場者の方々とともに成長し、それを毎年感じ続けられることを願っています。

木村祥朗氏(オニオンゲームス代表取締役)

 あの頃、インディーゲームを作りたくてもそこは霧に包まれた迷いの森のようで、怖くて前にすすめなかった。
 だけどある日、僕はミルキーに出会って、あの最初のBitSummitの貧乏臭いパイプ椅子に座ってた。もしあの場にいなかったら、もし君に出会わなかったら僕は今ゲームを作ってないかもしれない。
 『Million Onion Hotel』、『勇者ヤマダくん』、『BLAC BIRD』そして『moon』、全部なかったかもしれない。
 心からありがとうミルキー&ビットサミット。

二木幸生氏(グランディングCOO兼ディレクター)

 昔、ゲームはどれも新しい体験を与えてくれました。新しいソフトを買うたびに、家に帰るのが待ちきれず、ワクワクしながらパッケージをあけ、電車の中で読む。そういうのがゲームだったと思います。今、そういった当時のワクワクを思い出させてくれる場所がビットサミットだと思います。今年もまたその季節がやってきます。今度は、どんな新しい体験が待っているのか、楽しみにしています。

五十嵐孝司氏(ArtPlay代表取締役 プロデューサー)

 BitSummitもう8回目になるんですね〜
 第1回を除いて参加なので、もう6回もお邪魔してるのか〜
 さて、昨今のインディーシーンですが、益々クオリティが上がり、我々のような自称プロ側が追い詰められるようになってまいりました。
 好きこそ物の上手なれとは、よく言ったものです。
 行く度に、我々ももっとゲームに愛を注いでいかないとと、引き締められております。
 ゲームの熱気を直に感じることができるイベントです!

森川幸人氏(代表取締役 モリカトロンAI研究所所長)

 生物の世界では、多様性が重要だと言われています。いろいろな生物がいることで、環境の急激な変化にも対応できるための仕組みです(だれかが生き残れる戦略)。ゲームの世界もきっと同じで、市場の急激な変化に対応できるよう多様なゲームが存在すべきだと思います。
 BitSummitはまさにそのための「世界」だと思いますし、実際に実に様々なゲームに出会うことができるのでとても楽しみです。

開催概要

BitSummit The 8th Bit(ビットサミット ザ エイト ビット)
日時:2020年5月9日(土)・10日(日) 10:00 ~ 17:00
会場:京都市勧業館 みやこめっせ 3階 第3展示場
主催:BitSummit 実行委員会
・一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会
(キュー・ゲームス/ピグミースタジオ/スケルトンクルースタジオ/BlackSheep)
・京都コンピュータ学院
・京都府
共催:KYOTO CMEX