2019年11月17日、同人&インディーゲームの展示・即売イベント“デジゲー博”が、秋葉原UDXにて開催された。7回目となる今回は、2018年開催の前回同様、2階アキバ・スクエアと4階 UDXギャラリーの2会場制。個人制作者からコンソールプラットフォームで活躍する企業まで約250のサークルが参加し、自身のゲームをさまざまな形で来場者にアピールした。
単なる展示・即売会にとどまらず、余裕のあるスペースでのVR体験あり、来場者参加型のミニイベントありと、バラエティに富んだ構成だったデジゲ―博。あまりにも見るべき要素がありすぎてとても取材記者ひとりではその全容をカバーしきれないため、開き直って(笑)、会場で直接触れたもの、おもしろいなと思ったものをダイジェストでまとめてみた。体験版が公開されているものもあるので、気になった作品があれば、実際に触れてみてほしい。
薔薇と椿/ROOM6
『LA-MULANA』シリーズなどを手掛けてきたNIGOROが過去にリリースした同名Flashゲームの、スマートフォン移植版。東京ゲームショウ2019出展時よりも格段に向上した新規描き下ろしアニメーションが実装され、淑女のビンタバトルの臨場感が増した。
うんコレ/日本うんこ学会
便通チェック+ソーシャルゲームで日々の健康管理意識を高めるスマホ用ゲーム。過去開催のデジゲ―博で試遊バージョンが何度も出展され、都度都度で大幅なバージョンアップが行われてきたとのことで、今回は最新バージョンとともに過去バージョンも参考出展されていた(画像左は最新版、右は2015年版)。外科医師・石井洋介氏が本業のかたわらに進めているプロジェクトのため、リリース予定などは不透明。
TOUHOU LUNA NIGHTS・幻想郷萃夜祭/PLAYISM
PLAYISMは、2019年2月リリースの『Touhou Luna Nights』および2019年10月リリースの『幻想郷萃夜祭』(いずれもSteamプラットフォーム)をプレイアブル出展。
ゲーム制作の実演/アクションゲームツクールMV・OPTPIX SPRITESTUDIO
2019年9月に製品版がSteamでリリースされたゲームコンストラクションソフト『アクションゲームツクールMV』と、ウェブテクノロジが開発・提供する2Dアニメーション作成ソフト『OPTPiX SpriteStudio』の両ブースが、コラボ企画として“イベント開催時間内でのゲームのリアルタイム制作”を実施。『OPTPiX SpriteStudio』でアニメーション処理を施したグラフィック素材をUSBメモリ経由で受け渡し、『アクションゲームツクールMV』にコンバート……という突貫スタイルで行われた。アニメーション処理前のグラフィックは自事前に作成済みだったとはいえ、約4時間でボスキャラ戦あり、カットイン演出ありの2D格闘アクションゲームの大枠が無事完成し、両ソフトの柔軟性の高さがうかがえた。
ツキササリーナ/超OK
2018年末にPlay,Doujin!ブランドよりNintendo Switch用タイトルとしてリリースされた『PHRASEFIGHT』の制作サークルの最新作。キャラを左右移動+ジャンプで操作して、頭の尖った部分をライバルキャラに突き刺す……という対戦アクション。ゲームの基本部分がシンプルゆえに、読みあいに特化したプレイを楽しめる。2020年にSteam版でリリースする際にはネットワーク対戦にも対応するとのこと。
デモリッション・ロボッツK.K./THROW THE WARPED CODE OUT
ローポリゴングラフィックのサバイバルホラー『Back in 1995』を手掛けたThrow the warped code outが現在制作中のマルチプレイ型アクション。最大4人で巨大ロボを操作し、都市の建造物を効率よく破壊していくという内容で、ブースではNintendo Switch版のローカルマルチプレイを体験できた。同時に、ゲーム動画配信向けの特別モードのデモ(Steam版)も展示。Genvid SDK(ストリーミング動画をインタラクティブ化するミドルウェア)を利用した新しいタイプの課金システムの片鱗を垣間見ることができた。
※Throw the warped code out 公式サイト
MONKEY BARRELS(モンキーバレルズ)/グッド・フィール
誰もが知っているゲームメーカーのタイトルの受託開発などを手掛けてきた実力派デベロッパーの、自社パブリッシング第1弾ソフト。日本の昔話“猿蟹合戦”の近未来バトル版とでもいうべき世界で、プレイヤーはサルの立場で、カニダエレクトロ社の家電ロボット軍団と闘争をくり広げる。100近い武器を駆使する全方向アクションシューティングとしての遊び応えもさることながら、グラフィックデザインやキャラアニのきめ細かさは、完全にプロの所業だ。本作はNintendo Switch用ダウンロード専売ソフトとして、2019年11月7日よりニンテンドーeショップにて販売中(1500円)。
※『MONKEY BARRELS』公式サイト
※『MONKEY BARRELS』ニンテンドーeショップ紹介ページ
ねこたこ/PA GAMES
2015年よりスーパーファミコン用ソフトの自作を志しているサークルが鋭意制作中の2Dアクションゲーム。ふわっとした滑空移動が気持ちいいタコ少女を操作して、ネコから魚を奪っていく。各キャラの動きは、スーパーファミコンの実機で動いているとは思えないほど軽快。サウンドも、スーパーファミコン音源独特のこもった音質が極力排されたクリアさで、開発技術力の高さがうかがい知れた。
巫女ぱら ほか/CUBIC STYLE
もともとは『巫女ぱら』というオリジナルゲームをゲームボーイアドバンス本体で遊べるようハード面の技術研究を重ねていたサークルで、現在はゲームボーイ本体で起動するロムの制作・販売や、WindowsPC/Raspberry Pi用のゲームボーイソフト開発環境の提供なども行っている。今回は、LSDj(ゲームボーイ本体をシーケンサーとして使用するための海外製ソフト)などの低ノイズ音声出力が必要なアプリケーションに適した、ハイスペック型フラッシュカートリッジのデモ展示を行っていた。
キアソーゾ ガイロの機械群/MORNING GLOWS
人型メカを操縦して、労働ロボット部隊の暴走を止める、ミッションクリアー型のアクションRPG。淡い色彩で統一された3Dグラフィックと、状況把握に基づくアクションの実行タイミングが重要なゲーム性が特徴。非ゲーム業界の個人クリエイターが本業のかたわらひとりで作っているとのことで、メカデザインやカメラアングルに強いこだわりが感じられた。現在、体験版をBoothにて販売中。
越中方言ガール!/めじろ推し
富山県魚津市のゲームクリエイター育成プロジェクト“富山県魚津市のゲームクリエイター育成プロジェクト”の参加作品。「富山弁のかわいらしさを知ってもらうために作った」(作者のニロめじろ氏)というノベルゲームで、富山弁特有の言葉の意味や、特定の意味をさす富山弁の言葉を選択して進める。現在unityroomにて、ブラウザで遊べる体験版を公開中。
NEXT DOOR 悠遠の世界/莞爾の草
PC用フリーゲーム投稿サイト“ふりーむ!”が開催している第14回ふりーむ!コンテスト(2018年)の長編RPG 部門で金賞を受賞した個人クリエイターの最新作。異世界に召喚された女子中学生のトワコが、人間以外のさまざまな種族が入り混じった世界で冒険に挑む。デフォルメとシリアスの中間の独特のキャラクターグラフィックが魅力的。現在、ふりーむ! から無料体験版をダウンロードできる。
くちなしアンプル/CAVY HOUSE
『マヨナカ・ガラン』でVR対応の独特のビジュアル世界を構築したふたり組サークルCAVYHOUSEが、2020年夏完成予定で制作中の最新作。ローグライクRPGにダンジョンの“農地化”という育成要素が加わり、果てしないやりこみプレイを楽しめる作品になるとのこと。体験版をプレイした限りでは、ダンジョン探索パートの軽快な操作性が印象に残った。
RECOLIT/IMAGE LABO
“明かり”をたよりに夜の街を探索するアドベンチャーゲーム。あたたかみのある2Dドットグラフィックと、明るい場所だけで見える・使えるものを利用した謎解き要素が特徴。なぜ宇宙飛行士の少年がこの街にやってきて、何を成し遂げようとしているか……といったストーリーも気になる。完成はまだまだ先のようだが、公式サイトで体験版(Windows/Mac版)をダウンロード可能。