2019年11月16日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)のファンと、SIEのクリエイターによるイベント“JAPAN Studio “Fun” Meeting 2019”が、SSJ品川ビルにて開催された。本稿では、今年で3度目となる本イベントの模様をお届けする。
懐かしいものから最新のタイトルまで大集合
イベント当日は14時から来場可能で、パーティーが始まる17時までは別階層で開放されているウェイティングスペース内の“ゲームラウンジ”にて、SIEが送り出したさまざまなタイトルを自由に試遊することができた。
ゲームのほかにも、『サルゲッチュ』シリーズや『どこでもいっしょ』シリーズといった作品の展示物が数多にあり、ファンにはたまらない空間に仕上がっていた。
また、今回より、ファンどうしで持ち寄ったコレクションや制作物を披露しあう“Jスタ部活動コーナー”も設けられていた。
ラウンジの入り口付近に設置されたメッセージボードには、当日来場されたファンによるお祝いのメッセージとイラストがびっしり。いかにSIEが愛されているかがよくわかるエリアとなっていた。
いざ開幕、ファンミーティング2019
ゲームを楽しんでいると、あっという間にイベント開始時間へ。オープニングセレモニーには、『勇者のくせになまいきだ。』やクリエイター発掘オーディション“ゲームやろうぜ! 2006”の総合プロデューサーを務めた山本正美さん、アイドルグループ“フィロソフィーのダンス”のメンバーである十束おとはさんがMCとして登場。
ふたりのMCに促され、続々と登場するクリエイターたちは約30名にもおよび、登場するたびに大きな拍手がファンたちから送られた。全員が登壇したのち、元SIE取締役の盛田厚氏と元SIEワールドワイド・スタジオ プレジデントであり、Head of PS ●(Loves) Indiesに就任したばかりの吉田修平氏より参加してくれた方々への挨拶と感謝が述べられ、乾杯の音頭とともに今年のファンミーティングがスタート。
※●はハート
貴重な資料に、さまざまな作品をモチーフにした料理も!
会場には、『ワンダと巨像』や『SIREN』などの作品に関する貴重な資料に加え、初回限定版やキャストのサイン入り色紙といった、いまとなっては簡単に手に入らないようなグッズも展示されていた。
発売当時のわくわく感を思い出すグッズや貴重な資料を見ることができ、とても充実した時間を過ごせた。
また、ビュッフェエリアではこの日のために作られた特別な料理が盛大に提供されていた。料理もSIEの手掛けた作品がモチーフとなっており、ところどころに感じられる細かなファンサービスに感動!
中には、今年で20周年を迎える『サルゲッチュ』シリーズと『どこでもいっしょ』シリーズを祝った記念ケーキも。見事な出来栄えで、食べてしまうのがもったいない……!
ゲーム作りで大切なのは"シンプルさ"
ファンたちとクリエイターの交流もある中、ステージではトークイベント“ASOBI! チームのゲームの作り方”が開始。
このステージでは『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』を手掛けたリードゲームデザイナーの森田玄人氏が登壇し、ゲームの制作過程についてのプレゼンテーションが行われた。
今回のプレゼンテーションでは『ASTRO BOT:RESCUE MISSION』の資料が用いられ、いくつかの項目にわけて紹介された。
まずはチームのコンセプトについて。全部で4つあり、
- 魔法のような驚きをつくる
- 新しい技術やハードウェアを使った新しい体験をつくる
- 楽しく、ユーモアがあり、笑顔になれる体験をつくる
- 誰でも、誰とでも遊べる体験をつくる
といったもの。これらを意識しつつ作られたゲームだからこそ、老若男女問わず楽しめるものが生まれたのだ。
つづいて紹介されたのは、ゲームのおもしろさの根幹にあたる部分をどう作っていくかというもの。これは、“ブレインストーミング(ブレスト)”をたくさん行うことで進められたという。
ブレストとは、さまざまなアイデアを紙に書き、ホワイトボードにたくさん貼り付けていきながら議論を重ねるという会議手法のひとつ。スクリーンには、アイデアが書かれた付箋がびっしりと貼られているホワイトボードが映し出されていた。
つぎは、まとまったアイデアを実際に仕様書にする段階へと移行。スライドには森田氏が実際に描いたものが映し出され、シンプルを意識しつつもイラストと簡単な文章だけで、そのゲームに使われるアイデアが伝わるようになっていた。
つぎの段階では、プロトタイプ(試作品)として作ったゲームを実際にプレイしつつ、本当におもしろいのかどうかを判断する作業に。
これは、簡単なイラストやまだ色が塗られていないプロトタイプを作り、その段階でテストプレイを行うといったもの。最終的なゲームのおもしろさは、ここで決まると言っても過言ではないほど大事な部分だという。
これらの作業を経て、ようやくひとつのゲームが完成。ひとつのプロジェクトが、ファンのことを考えながら細かく進められていることがわかる素晴らしいプレゼンとなっていた。
“JAPAN Studio “Fun” Meeting 2019”、記者は今回、初参加だったが、ゲームファンのためにとってはたまらないイベントとなっていたと感じた。
来年のファンミーティングの開催を期待しつつ、これからのSIEスタジオが作り出すゲームにも心を躍らせよう。