2019年10月16日に開催された“『LoL』10周年記念感謝祭”にて電撃発表され、その日のうちにプレビュー版も公開されたデジタルカードゲーム『レジェンド・オブ・ルーンテラ』(以下、『LoR』)。

 イベントに合わせて来日していた、『LoR』の開発者、ショーン氏とアレックス氏に本作の特徴や魅力を訊いた。

 インタビューをお届けする前に、『LoR』とはどういったゲームなのかを簡単に説明したい。

 ゲームは1対1のラウンド制。ラウンドがひとつ進むたびに、カードのプレイに必要な“マナ”がひとつずつ増えていく。各ラウンドごとに攻撃側と守備側は入れ替わり、片方がアクションすると、相手にリアクションの機会が設けられるのが特徴だ。

 デッキの核となる“チャンピオン”をはじめ、すべてのカードは『LoL』の世界“ルーンテラ”をモチーフにしたもの。『LoL』に登場するキャラクターたちの新たな活躍の舞台としても注目されている。

※公式のゲームプレイ紹介トレーラーはこちら(日本語字幕をオンにしてご視聴ください)

レジェンド・オブ・ルーンテラとは?| ゲームプレイ イントロ紹介トレーラー

※本記事に使用しているゲーム画面は、プレビュー版のものです。

ショーン・リベラ(写真左)

ライアットゲームズのシニア・ゲームデザイナー。文中はショーン

アレクサンドロス・リー(写真右)

ライアットゲームズのゲームデザイナー。文中はアレックス。

――まず、カードゲームを作ることになったきっかけや開発期間を教えてください。

ショーンかなり前からカードゲームを作りたいという思いはありました。『LoR』の開発期間は、約2年くらいですね。構想自体はそれよりも前からあり、いくつかプロトタイプも作ったりもしていました。

――最初から『LoL』の10周年に合わせてリリースする予定だったのですか? それともたまたまですか?

ショーン両方ですね(笑)。10周年っていうのは1度しかないのもあり、開発もだいぶ進んでいたこのタイミングで発表したいな、という思いは強かったです。ほかの作品に関しては、まだまだ開発の段階ではあるのですが、『LoR』はもう実際にプレイしていただけるような形になっていて、今日の発表は楽しみでした。

――私は『LoL』がカードゲームになってほしいと思っていたので、すごくうれしいです。

ショーンアレックスありがとうございます! ぜひ楽しんでください。

――では改めて、おふたりは『LoR』にどのような形で関わってらっしゃるのですか?

ショーン6つの地域(※)が用意されたいまの段階の、すべてのカードデザインのリードをやっていました。いまは、おもにカスタマイズ要素に注力しています。

※6つの地域:登場するカードは6地域に分類されていて、デッキには2地域ぶんまで編成できる。

アレックスショーンといっしょにカードのデザインに関わっていました。それと、本作は奥深いゲームですので、チュートリアルの部分もたくさん用意していまして、そちらも手掛けました。いまは、今後実装されるドラフトモードのデザインに関わっています。

――相手のアクションに対して、リアクションができるというのがすごく楽しそうに感じたのですが、いまのシステムはどこから着想を得たのですか?

アレックスカードゲームでよくある、相手のアクションを見ているだけという状況を減らしたかったんです。「これは仕方ないな」っていう気持ちにさせられるのが、プレイヤーとして気持ちよくないとずっと感じていましたので。

 ですので、プレイする前から相手のリアクションを想像し、カウンタープレイもできるというシステムにしました。カウンターが成功したときの気持ちよさは格別。その機会をたくさん提供したかったんです。

――ちなみに、1試合はどの程度の長さを想定して作られているのですか?

ショーンおおよそ15分ですね。

――いまのシステムを完成させるまでに苦労したこと、たいへんだった部分はどこですか?

アレックスイベント内でも発表したとおり、コアとなっているのが基本無料という点なんですが、カードをどう手に入れさせるか、という部分を決めるのには苦労しました。カード収集の達成感を大事にしつつも、作りたいデッキはすぐに作れる、というビジネスモデルを考えるのは難しかったですね。

――たしかに、カードパックを開ける楽しみもカードゲームの醍醐味ではあるので、バランスを取るのは難しそうですね。

アレックスカードパックを開けるわくわく感をなるべく味わえるように、たくさんのシステムを用意しました。“ウィークリーチェスト”もそのひとつで、1週間に1回、カードが入った宝箱を開けることができます。フラストレーションを減らしつつ、楽しくなれる機会を増やしていけたらいいな、とチームでは考えています。

――無料ですべて手に入るのはありがたいのですが、カードパックは買うこともできるのですか?

ショーンカードパックの販売は行いません。その代わりに、“ワイルドカード”(好きなカードに変換できるアイテム)は購入できるようになっています。ちなみに、ゲーム内の報酬のシステムでもワイルドカードは入手可能です。

――お金を払えばすべてのカードが一気に手に入るわけではないのでしょうか。

ショーンそうです。現状、購入できるワイルドカードは週ごとにチャンピオン、エピックカードは3枚、レアとコモンカードは6枚まで。課金者が圧倒的に有利になるというのは避けています。ほかにも、ゲームプレイによって貯まる“シャード”を使って、カードを作ることもできます。

――そのほかに、お金を使える要素はあるのですか?

ショーン個性を出すためのボードやカードバック(カードの裏面のこと)は、無料で手に入るもの以外に、購入できるものも用意する予定です。試合中に出せるエモートも、同じくカスタマイズ要素として種類を増やしていきます。

 あとは、ボードの左下に自分のペットのような存在、ガーディアンと呼んでいるこちらも追加していく予定です。ガーディアンはクリックするとリアクションをしてくれたりして、かわいいですよ。

――カードのイラストはライアットゲームズ内部のデザイナーの方が描かれているのですか?

ショーン社内だけでなく、外部のパートナーさんにも描いてもらっています。カードイラストにクレジットとして入っているのでゲーム内で確認可能です。

――イラストを含め、世界観の広がりをすごく感じられました。『LoL』と『LoR』は完全に世界観を共有しているものと考えても大丈夫ですか?

アレックスはい。まったく同じ世界で、当然同じチャンピオンが登場します。それによって、周りのキャラクターたちのストーリーを語っていけるのが、我々も非常に楽しみにしている点です。『LoL』でもできないことができるので、ワクワクしています。

――ヨネ(チャンピオンのひとりであるヤスオの兄)のカードには興奮しました。どういう人物だったんだろうと思っていたので……。

ショーンほかにもたくさん登場しますよ!

――それは楽しみです。続いて、最初に実装される6地域の特徴を簡単に教えていただけますか?

●デマーシア

ショーン軍そのもの、と感じられるように、たくさんの丈夫なユニットがいます。ユニットとユニットの連携が重要になっている勢力です。

●ノクサス

ショーンデマーシアと同じように、強いユニットが多いです。ただ、ノクサスのカードはハイリスクハイリターンなものもあり、スリリングな戦いが楽しめます。

●フレヨルド

ショーンフレヨルドは、時間をかけて強力な盤面を作り上げるのが得意な地域です。“凍結”という相手の攻撃力をゼロにする効果を持つカードもあり、盤面のコントロールがしやすいです。

●ピルトーヴァー&ゾウン

ショーンカードのコンボがカギの勢力です。一見強くなさそうなカードも、ほかのカードと連携させることで思わぬ活躍を見せてくれます。なので、デッキ作りには頭を悩ませることになるでしょう。

●アイオニア

ショーン味方を強化するカードが多い反面、ユニット自体の強さは抑えめになっています。“イルーシブ”という、相手のユニットからブロックされにくい能力を持っているカードも多いです。相手のスペルやスキルを無効化するスペルがあるのも特徴です。

●シャドウアイル

ショーン弱いユニットは多いですが、犠牲にするとほかのユニットが強くなる、といったようなコンビネーションが可能です。盤面のコントロールが得意な点はフレヨルドに似ていますが、犠牲にしたユニットを復活させるようなスペルもあり、ユニークな地域となっています。ユニットを直接倒すスペルが使えるのも、シャドウアイルの特権です。

――シャドウアイルのスペルは強そうですね。

ショーンほかの勢力でもいろいろとユニットを処理できるスペルはありますが、一撃で倒せるというのはシャドウアイルだけですね。デマーシアには盤面のユニットどうしを攻撃させるスペル、アイオニアにはユニットをリコール(手札に戻す効果のこと)させる効果を持つスペルなどがあります。

――デッキにはふたつの地域のカードが入れられますが、デメリットはないのですか?

アレックスとくにありませんが、デッキをひとつの地域に絞ったほうが、戦術が組み立てやすくはなっています。といっても、ふたつの地域を利用したほうが選択肢が増え、いろいろな状況に対応できるようになるので、そちらのほうがいいかな、とは個人的に考えています。

ショーンつぎに引いたカードが同じ地域のものだとメリットがある、といったカードもあるので、ひとつの地域に特化したデッキで戦うのもおもしろいかもしれませんね。

――ビルジウォーター、シュリーマ、ターゴンなどの今回登場しない地域は、今後の拡張で増やしていく予定なのですか?

ショーンはい。現状言えることは少ないですが、増やしていく予定です。

――最初に登場する24体のチャンピオンは、やはり人気を考慮しつつ決めたのですか? それともゲームデザイン的な理由で?

ショーン両面を検討して決めていきました。『LoL』内のチャンピオン人気はグローバルで把握していますし、ゲームデザインも考える必要がありましたから。24体に絞るのはかなり心苦しかったです(笑)。

――そうですよね(笑)。

ショーンチャンピオンに関しては将来的にいろいろな可能性もあるので、そこも検討していきます。

――対戦の軸、デッキの軸になるのはやはりチャンピオンのカードと考えていいのですか?

ショーンそのとおりです。『LoL』プレイヤーにもぜひプレイしていただきたいですし、すでに好きなチャンピオンもいると思います。『LoL』やルーンテラという世界を知らなくても、遊んでいただけたら、すぐにお気に入りのチャンピオンも出てくるはずです。使いたいチャンピオンにどういったカードがマッチしているのか、というのを考えるのが楽しくなるように開発をしています。

――チャンピオンやキャラクターの人間関係は、ゲームにどう影響するのでしょうか?

アレックス天敵であるルシアンとスレッシュは、条件こそ違いますがユニットが倒れることが変化のきっかけとなっています。同じくライバル関係にあるガレンとカタリナも仕組みが似ていて、意外といっしょに戦うとうまくいったりします。関わりのあるチャンピオンが場にでるともちろん会話をしますし、ほかのキャラクターとの会話もたくさん出てきます。

ショーン恋人関係にあるルシアンとセナは非常に強いつながりを持っています。ルシアンの通常のレベルアップ条件は味方が4体倒れることですが、セナが倒れた場合は即座にレベルアップするんです。演出も変化(※)するので、ぜひ見ていただきたいです。

※演出の変化:セナが倒れたときは、お互いが伸ばして相手の手を取ろうとする演出が入るらしい。同席した編集者はゲームの設定や物語にこだわるタイプなので、「そういうところですよ!」と大興奮していた。

――『LoL』では、セナが新チャンピオンとして発表されたばかりですが、『LoR』でのセナのようにほかのチャンピオンがふつうのユニットとして登場することもあるのですか?

ショーン『LoR』は、カードゲームだからこそいろいろな表現ができるんです。このセナ(『LoR』でのセナ)は、スレッシュに囚われる前のチャンピオンではない頃の姿なんです。

――なるほど! 『LoL』のほうは目が光ってましたよね。

ショーンそうですね。ですので、将来的にセナをチャンピオンカードとして追加することもあるかもしれません。

――おふたりが個人的に好きなチャンピオンや地域、戦いかたなどがあれば教えてください。

アレックスカードの組み合わせによって戦略を組み立てていくのが好きなので、ピルトーヴァー&ゾウンがお気に入りです。とくに好きなのは“進歩の日!”というカードです。コストは高いんですが、演出が派手で、これからすごいことが起こるぞ、という楽しさがあります。対戦相手は、すごく冷や冷やするでしょうし。

ショーン“司令官レドロス”は、設定、アート、ボイス、台詞すべてが好きです。プレイしたときに相手のネクサス(相手のネクサスの体力をゼロにすると勝利)の体力が半分になる、という効果も気に入っています。コストは高いですが、プレイする瞬間のワクワク感はたまりません。

――レドロスは、カリスタのショートストーリーで登場したキャラクターですよね?

ショーンそうなんです! よくご存知ですね! レドロスだけではなく、ルーンテラの世界が好きな人にはたまらないカードがたくさんあるので、楽しみにしていてください。

※レドロスのことを描いたショートストーリーはこちら

――おお! 早く見てみたいです。では、カードゲームの初心者にオススメの地域はどこになるのでしょうか? お話を聞いた限り、デマーシアは使いやすそうですが。

アレックスたしかにデマーシアはゲームを覚えるにはすごくいいとは思いますが、ほかの勢力からスタートしても全然かまわないと考えています。まずはいろいろ触ってみて、しっくりくる地域を探してみてほしいです。

――お時間が迫っていますので、気になっていたことをひとつずつ聞かせてください。プレイ中のBGMは『LoR』用に新たに作られたのですか?

ショーン『LoL』のサモナーズリフトがモチーフになっているオリジナル曲ですね。今後も、新しい曲を実装していきたいと考えていますが、どのような形で導入するかは検討中です。

――対戦相手とのコミュニケーションはエモートだけですか? テキストチャットは可能ですか?

ショーンいまはエモートだけですね。テキストチャットを導入するとゲーム時間が延びますし、いろいろな問題が発生する可能性があるので、いまのところは使えるようにする予定はありません。

――フレンドの試合を見ることはできますか?

ショーン検討はしてはいますが、現在実装はしていません。

――ひとり用のモードはありますか?

ショーンAI戦が実装されていて、相手はいろいろなデッキを使ってきます。練習の場に最適だと思います。

――eスポーツ的な展開をする予定はありますか?

アレックス我々もeスポーツのファンではあるので、もちろん考えることはあります。ただ、いまは楽しいと思っていただけるゲーム作りに注力しているので、言えることはありません。

――最後に、日本の『LoL』ファンやカードゲーマーにメッセージをお願いします。

ショーン私自身、『LoR』をすごく愛しているので、同じように愛していただけるとうれしいです。我々もカードゲーマーで、カードゲーマーのために作っているのでぜひお楽しみください。

アレックスカードゲーマーだけでなく、いろいろな方々にプレイしていただきたいとも考えています。すべてのプレイヤーに楽しいと感じていただけるようにがんばりますので、今後のプレビューイベントでのフィードバックを楽しみにしています。