まさに棋士向きのゲーム!?

 2019年11月21日に3gooよりNintendo Switchとプレイステーション4向けのパッケージ版が発売される『ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン』は、テーブルトークRPG『Mutant』シリーズのルールブックを原作としたタクティカルアドベンチャーだ。核戦争や伝染病により人類が滅んだ“ポストアポカリプス”の世界を舞台に、ミュータントたちが“エデン”と呼ばれる安息の地を探して冒険をする過程が描かれる。

 冒険の道中には、ならず者が立ちふさがっており、さまざまな能力をもつミュータントを駆使して、探索や戦闘を展開していく。戦闘の特徴はターン制であること。各キャラクターが一回のターンで行動できる回数は決められており、その中で移動して敵を攻撃したり、つぎの攻撃のために武器のリロードをしたりするなど、先を見据えたうえでの行動が重要になる。駆使するミュータントは、空を飛んで攻撃したり、敵を一時的に動けなくしたりするなど、それぞれ特殊能力を備えており、それらを効果的に使って戦闘を有利に運ぶかもカギとなる。正直言って、相当頭を使う、戦術が問われるゲームだ。

 そんな『ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン デラックスエディション』を、女流棋士の香川愛生さんが実況動画でプレイするという。“『ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン』を香川さんがプレイする”と聞いてハタと気づいたのだが、本作はけっこう将棋に親和性のあるゲーム。ターン制であることや先を見据えたうえでのつぎの一手が必要になることなど、まさに棋士向けのゲームなのでは? ということで、気になった記者は収録現場にお邪魔してみた。

歯応えのあるストラテジーに香川さんも苦戦ぎみ

 さて、香川さんが挑戦したのは、ボーミン(イノシシ)、ダックス(アヒル)、セルマ(人型)を駆使して、敵(グール)を倒す“ストーカーの試練”というモード。フィールドはいかにも、本作の舞台となる“ポストアポカリプス”風の荒廃した雰囲気。3人のミュータントたちは、ここを突破するために、敵たちを全滅させることになる。

 “全滅”などと威勢のいいことを書いたが、フィールドにいる敵の数はけっこう多く、ミュータントを見つけると援軍を呼び出される始末。ゲームプレイの基本は、“ステルス活動でステージを探索していき、敵を各個撃破する”となる。まず香川さんは、ステージに設置されている遮蔽物などをうまく利用して、敵の視界に入らないようにしながら探索することに……。

 ちなみに、当然のことながら香川さんは『ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン デラックスエディション』は初見。偵察している敵に見つかりそうになると、「きゃあ!」と、思わず大きな声を上げることもしばしばで、ふつうのゲーム好きの女性のよう。とはいえ、「これをこっちに移動すると命中率が高まるけど、敵に見つかりやすくなってしまうし……」と、つぎの手を考える様子はプロ棋士らしい姿。このまま、危なげなくクリアーしてしまうのではないかと思われたが、そこは敵もさるもので……。ということで、気になるプレイの行方は “女流棋士・香川愛生チャンネル”にて10月24日に公開予定の実況動画にて確認されたし。

“女流棋士・香川愛生チャンネル”はこちら

香川愛生さんに聞く「制限がある中で最善を探すのが楽しい」

 というわけで、収録直後の香川愛生さんに、『ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン』に対する感想などを聞いてみた。

香川愛生(かがわまなお)

日本将棋連盟女流棋士
週刊ファミ通のコラム“女流棋士・香川愛生の香車のうら”でもおなじみ
Twitterアカウント @MNO_shogi

――まずは、『ミュータント・イヤー・ゼロ:ロード・トゥ・エデン』を遊んでみての感想をお聞かせください。

香川フィールドを自由に探索して、戦闘自体はシミュレーションで……といったゲーム性は、個人的には新鮮でした。RPGみたいな冒険ものとしてフィールドを自由に移動しつつ、シミュレーションゲームならではの戦術性が楽しめるという欲張りなタイトルで(笑)、満足度が高いゲームだと思います。フィールドを自由に歩いた結果により、戦闘の有利不利が決まったり、配置によって戦術が変わっていったりというところも、とても考える余地が多くて……カウントダウンタイマーとかがないと、いつまででも考えていてしまいそうです(笑)。

――ターン制のゲームで考える余地が多いところは、将棋とも親和性がありそうですね。

香川戦闘では自分と相手がターン制で行動していくのですが、武器の強さや敵の視界、敵味方の体力など、戦況に応じて最善を尽くすためにいろいろと考えるのは、すごく将棋的な感じがしました。ミュータントのアクションゲージの数だけ指せるイメージで、いわゆる将棋で言う3手詰めみたいな感じでした。動かせる回数が6回だったとして、そこから分析と観察をしてよい結果を出せたりしたので、そこは燃えました(笑)。

――プレイしているときの様子を見ていると、有利な状態で戦闘するために敵に近づくのに苦労していたような印象でしたが、戦闘などは難しかったのですか。

香川今回プレイしたステージが本作の中でどれぐらいの難易度なのかはわからないのですが、使ったことがなくて効果がわからないミュータントの能力を試してみるくらいの余裕はありました。もちろん、最善を尽くすというのは大事ですが、将棋でも自分が初めて遭遇するような状況で新しいことを試してみるのもすごく大事で、本作ではそういった試してみたいと思える要素がたくさんあって、とても楽しかったです。

――本作の制限や制約が、香川さんに合っていたということですね。

香川そうですね。とくに戦闘がすごく楽しかったです。とてもおっかなびっくりで、敵の視線をかいくぐったりしていましたね(笑)。あと、移動中に懐中電灯を使うと視界が広くなって歩くのが早くなるけど、敵に見つかりやすくなる……といったトレードオフの要素も多くて、何を重視して選択するかも悩みどころです。

ちなみに、SFはいままであまり触れてこなかったジャンルだったそうだが、10月の3連休で『スター・ウォーズ』のエピソード8まで見たとのこと。「全部見るのに15時間くらいかかって、まるで修行みたいな感じでしたね(笑)」と香川さん。ちなみに、エピソード4は香川さんが生まれる前に公開されたものとのことで……。これからもSFの世界観に親しみたいとのことだ。

――ところで、プレイしているのを見ていて少し思ったのですが、攻撃確率が75%でも少し難色を示していましたね。僕なんかだと、75%だったら、「いっちょやったるか!」という気持ちになるのですが、やはり棋士だと100%ではない勝負には挑まないみたいなところはあるのですか?

香川(笑)。そうですね。将棋は自分で指す手を全部選べる運の要素がないゲームなので……。それがいいところでもあったりするのですが。やはり100%は安心感があります(笑)。75%を信頼して裏切られたことがゲーマーの方だとたくさんあると思うのですが、そういう“外れるかもしれない”というドキドキ感があったほうがゲームは絶対におもしろいですもんね。私はコツコツ積み上げるゲームが好きですし、棋士は条件があってそれをクリアーするための最善を考えるのが好きな人が多いので、無条件で自由にできるというよりも、本作みたいにルールがある程度決まっているほうが棋士向けかなとは思います。

――香川さんの動画の視聴者にこのゲームのおすすめのポイントを教えてください。

香川どのミュータントでステージを攻略するか、武器をどうするかなど、どういう組み合わせで戦うのか、そして戦闘ではそれを駆使してどう戦うのかということを考えるのがとても気持ちいいゲームだと思います。今回、挑戦してみたけどうまくいかなかった部分もあったのですが、そういった失敗を踏まえて、やれることが増えていって自分らしい戦いかたを見つけるのも楽しそうですね。視聴者の方にもいろいろと試してみてほしいです。

――最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。

香川本作を楽しく遊ばせていただいた動画が公開されますので、温かい目で見ていただければと思います。そして動画を見て興味を持たれたら、「予約したよ」や「買ったよ」と教えていただければ励みになります。動画などでお会いできるのを楽しみにしています。

“女流棋士・香川愛生チャンネル”はこちら