突然だがみなさんは最近、どんなゲームをプレイしただろうか?

 バトロワ? アクション? FPS? カードゲーム? ゲームのジャンルはさまざまだが、やはり王道といえばRPGではないだろうか(異論は認める)。

 しかし、RPGは総じてクリアーまでにかかるプレイ時間が長くなりがち。お金はなくても時間があった子どものころは、むしろ長く遊べることが嬉しかったというのに、歳を取るにつれてこのリソースが逆転し始める。するといつからか、おもしろそうとは思ってもなかなかRPGに手が出しづらくなってしまった、なんてことは“ゲーマーあるある”ではないだろうか。

 そんなありがちなゲーマーの悩みにベストマッチだと思うのが、本記事で紹介する『リトルタウンヒーロー』だ! 

 本作は『ポケットモンスター』シリーズの開発でおなじみのゲームフリークが制作した新作RPG。その最大の特徴は、RPGの宿命……とも言うべき“レベリング”の概念が(ほとんど)ないこと!

 戦闘はストーリー中のイベント戦となっているぶん、1戦ごとのボリュームはかなりガッツリ。テンポよくストーリーを進められるうえに、手ごたえのあるバトルも楽しめるというわけだ。

 まさしく“忙しい人のためのRPG”である本作。その詳しいゲーム内容について、実際のゲーム画面とともにプレイレビューをお届けしよう。ちなみに、デジタルカードゲームが好きな人にもぜひ勧めたい作品となっているので、下記をチェックしてほしい。

突如現れたマモノから村の平和を守り抜け!

 物語の舞台は小さいけれど平和な村。そこへ、おとぎ話の中の存在だと思っていた“マモノ”が突如襲来。その場に居合わせた主人公の少年・ピッケルは、偶然拾った不思議な赤い石の力によってマモノと戦うこととなる。

ピッケル。その名のとおり、ピッケルのような武器で戦う。

 メインストーリーは複数の章から構成されており、基本的にはキャラクターとの会話やムービーシーンによって進行。筆者がプレイした限りでは、1章につき1体のボスが登場し、ボス戦を突破するとつぎの章へと進むという流れだ。

 ボス戦以外にもイベント戦闘がいくつかあるものの、いわゆる雑魚敵との“エンカウント”がないため、ストーリー進行はかなりスムーズ。ストーリーパートとボス戦でしっかりとメリハリがつけられており、“物語を見せられている”という感覚もない。ごく自然に続きが見たくなるような、ちょうどいいテンポで進んでいく。

 ここまで、大人に対してのゲームとアピールしてきたが、もちろん子どもでも楽しむことができる。ストーリーの内容や、頭身が低くデフォルメされたグラフィックなど、子どもウケもよさそうだ。個人的には、いちばんRPGを純粋に楽しんでいたであろう童心に戻れる感覚を味わった。

 ちなみに、メインストーリーだけをサクサク進めるのももちろんアリだが、村のじいさんがひたすら村の歴史を語ってくれるのを聞いたり、女の子を憧れの高級ブティックに連れて行ってあげたりと、サブクエストも数多くある。

 あくまでメインのコンセプトは時間がない大人向けのRPGであるものの、「こういった寄り道もまたRPGの醍醐味だよね」と開発陣が語りかけてくれているような気がしてしまう。

ふわっとしたアイデアをガチっとさせて戦う新感覚バトル

 本作のバトルシステムは、ざっくりいうとデジタルカードゲームに似ている。忙しい大人ゲーマーの中には、電車の中などの移動時間でデジタルカードゲームアプリをプレイしている人が多いのでは? と筆者は思っているため、親和性は高いと感じている。

 簡単に説明すると、“フワット(手札)”をそれぞれに対応する“キリョク(コスト)”を支払うことでガチっと(アクティブ化)させ、できあがった“ガチット”どうしをぶつけ合わせて戦うのだ。

ここから詳しく説明するのだが、文字で説明すると少しややこしく感じるかもしれない。もとも子もないことを言ってしまうと、1度プレイすればすぐ慣れるのであまり気にしなくて大丈夫だ。ゲーム内のチュートリアルもかなり丁寧に作られているので、ここでは“ふわっと”聞いてほしい。

“きあいガード”がガチット、それ以外がフワットの状態。フワットに書かれている数字がガチっとするために必要なキリョクの数だ。

 ガチットをぶつけ合わせると、お互いのガチットが持つ攻撃力の数値分、相手のガチットにダメージを与えられる。このときガチットの耐久値が0になると、そのガチットはブレイクしてしまう。

 アイデアは色によって性質が異なり、赤色は攻撃のアイデア、黄色は防御のアイデア、青色は特殊効果を持っているアイデアとなっている。

 なお、赤色のガチットは1ターンに1度しかぶつけられないが、黄色のガチットはブレイクされない限り何度でもぶつけられる。黄色のアイデアは耐久値が比較的高めなので、使いかたを工夫すれば1ターンに複数のガチットをブレイクできるのだ。

 1ターンに相手のガチットをすべてブレイクするとオールブレイク状態に。このとき、このターンにぶつけ合っていない赤色のガチットがあれば、チャンスターンに移行。敵の本体にダメージを与えられる。

本体にダメージを与えるとハートがひとつ減少する。相手のハートを0にすれば勝ちだ

 ちなみに、オールブレイク時にチャンスターンの条件を満たしていなかった場合はBPを1獲得できる。BPは、ブレイクされたアイデアをリフレッシュしたり、いま浮かんでいるアイデアと頭の中に眠っているアイデアを交換したりするのに使える。

 青色のアイデアはガチットとぶつけ合うことができないかわりに、相手のガチットや本体に直接ダメージを与えたり、味方のガチットを強化したりとさまざまな特殊効果でバトルを有利に運べる。使うタイミングが重要だ。

“いしつぶて”は相手ガチットすべてに1ダメージを与える。

 なお、1ターンに使えるキリョクの数はターンの経過にともなって増えていく。最初は3から始まり、最終的には6まで増える。アイデアの中には、ほかのガチットの能力を上げたり、コストを0にしたりするものが多々あるので、後半になればなるほどガチっとする順番も慎重に考える必要が出てくる。

濃密な頭脳戦が楽しめる超ボリュームのボス戦がたまらない!

 ここからは、実際のボス戦の流れに沿って説明していこう。基本的には先ほど説明したとおり、3種類のアイデアを使い分けながら、いかに赤色ガチットを温存しつつ相手のガチットをオールブレイクするかを考えて戦っていく。そうしてチャンスターンを獲得し、相手のハートを削っていくわけだ。

ちなみに、ボス戦ではお互いのハートに“ガッツ”というシールドが張られる。まずはこれを壊さなければハートにアタックできない。

 さて、ボス戦ではデジタルカードゲーム要素のほかにすごろくの要素も追加される。ターン終了時にダイスを振り、出た目に応じてエリアを移動することとなる。村の仲間たちがいるエリアでバトルすると、キャラクターごとに異なるサポート効果を受けられる。

ピッケルの幼馴染であるネズ。彼はランダムでフワットひとつのコストを0にしてくれる超頼りになる存在!
自称ピッケルのライバルであるマトックは、相手の本体に直接ダメージを与えてくれる。
名もなきキャラクターたちだって立派な仲間! 戦いのヒントになるアドバイスを授けてくれる。すると、ピッケルの頭に新たなアイデアがひらめくのだ!

 また、エリアには村の仲間だけでなく、タルやタイホウなどのオブジェクトも置かれている。これらは、対応するガチットをぶつけることで特殊な効果を発動させられる。

小ニワトリに“なげつける”をぶつけると、相手のガチットが持つ特殊効果が失われ、さらに相手の本体に1ダメージを与えられる。

 これらを駆使しながら相手のガチットをオールブレイクし続けるのが理想の流れだ。ガチットのブレイクは、デジタルカードゲームでいえば“盤面処理”の考えかたに近い。いかにアドを稼ぎながら(有利になるように)ガチットをぶつけ合うか手順を考える。そういう意味では、詰将棋的な側面もあるかもしれない。

いまさらながら、かなり既視感のある技名がいくつかあるような……。

 ちなみに、ブレイクされたアイデアはその戦闘中は失われてしまう。アイデアが尽きると、ひたすら“わるあがき”をするだけになってしまい、ほぼ負けが確定する。

 アイデアは、BPを消費してリフレッシュするほかに、ピッケルのハートが削られるタイミングでもリフレッシュされる。場合によっては、わざと相手に攻撃されることも戦略的にアリかもしれない。

 ほかにも、ガチットどうしを合体させてステータスを上昇させたり、いわゆるスキルツリーシステムでアイデアを強化できたりと、レベル上げがないとはいえ、成長要素もある。そのため、キツいと感じたら、このあたりを見直してみるといいだろう。

 筆者はデジタルカードゲームにはそこそこ慣れているほうだが、それでもチュートリアル後すぐのボスと10分も戦っていたり、その後のボス戦には20分以上かけていたりもした。

 自分でもいま改めて数字を確認すると「マジか……」と思うのだが、実際にプレイしているときは頭を必死に回しているので長いとは感じないのだ。終わった後に疲労感を感じることはあるが、「いい汗かいたなー!」的な爽やかな疲労感である。

 さらに言えば、ボス戦だけ見れば一般的なRPGよりも長いかもしれないが、ボス戦にたどり着くまでの雑魚戦やダンジョン攻略などがないため、ちょうどいいバランスだと感じる。戦闘パートとストーリーパートのメリハリがくっきりとしているだけだ。ガッツリとバトルを楽しみたい人にはもってこいだろう。

 それに、本作のバトルはオンラインでも対人戦でもなければリアルタイムで進行もしないので、もし疲れたら自由に中断すればいい。電車の中だって問題なくプレイできる。(熱中しすぎて乗り過ごすリスクだけは否めないが……。)

 また、ネタバレになるため、本記事では多くは話していないが、ストーリーやテキストには“ゲームフリーク節”が詰まっている。ファンの人もそうでない人も、十分に楽しめるのではないだろうか。

 なんにせよ、これは間違いなく忙しい人にでも自信を持ってオススメできるRPGだ。とくにデジタルカードゲームが好きな人とは相性がいいと思うので、ぜひプレイしてみてほしい。