往年のナムコファンなら読んだことあるはず

 冨士宏氏をご存知だろうか。『ワルキューレの冒険』、『スカイキッド』、『トイポップ』、『バベルの塔』、『ファミリーサーキット』などなど、1980年代中盤にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売された、これらのタイトルのキャラクターデザイン、イラストなどを担当した方だ。

『スカイキッド』(画面はNintendo Switch『ナムコミュージアム』のもの)

 冨士宏氏は、前述のようにナムコタイトルでキャラクターデザインやイラストを担当するとともに、社員(のちに退職)としては珍しい仕事を担当する。それが、ナムコのゲームセンターなどで配られていた無料冊子“NG”でのマンガ連載だった。

 NGはナムコ直営のゲームセンターを中心に配られていた冊子(いわゆるミニコミ誌、フリーマガジン)で、ナムコの新作紹介、読者投稿のコーナーなどに加えて、ナムコタイトルにまつわるマンガも掲載。NGは、プレイステーションで展開していた『ナムコミュージアム』シリーズに収録されていたこともあるので、知っている方もいるだろう。冨士宏氏は、そんなNGの中でオリジナルマンガ『午後の国』、そして『迷廊館のチャナ』を連載していた。

 しかし、NGは1993年に休刊。『迷廊館のチャナ』は未完となる。その後、冨士宏氏はマンガ家として、ワルキューレが主人公の『ワルキューレの降誕』、『ワルキューレの栄光』を連載。さらに、『午後の国』をまとめた『午後の国物語Remix+』などの単行本発売を経て、2018年10月25日にWebサイト“マグコミ”にて、『迷廊館のチャナ』がリブート連載として復活したのだった。

 それから10ヵ月後の2019年8月、『迷廊館のチャナ』は25年越しとなる単行本第1巻の発売を迎えた。当時NGで読んでいた人は、きっと懐かしい想いに駆られただろう。

 だが、この話はそこで終わらない。

 2019年9月30日から、冨士宏氏はTwitterで『迷廊館のチャナ』単行本の販売数がかんばしくないことをツイート。2巻への継続が危ぶまれていることを明かした。

 冨士宏氏のマンガは独特の作風・リズムを持っていて、『午後の国』、『迷廊館のチャナ』、どちらも読むととてもあたたかい気持ちになる。記者は、ナムコファンだった兄が『午後の国物語』の単行本を買っていた影響でその存在を知り、何度もくり返し読んでいた。いまでもマノンのエピソードは脳裏に浮かんでくる。

 だが、そんな記者も『迷廊館のチャナ』の単行本が発売されていたことは先日まで知らなかった。当時のNGの読者でかつ、『午後の国』、『迷廊館のチャナ』の読者だった方が、冨士宏氏の最新情報をいまもなお追いかけて、単行本を買うというのは難しいのだろう。

 もし、この記事を読んでいて、以前冨士宏氏のマンガを読んだことがある方、イラストが好きだった方は、冨士宏氏のTwitterで『迷廊館のチャナ』1話が読めるのでチェックしてみてはいかがだろうか(ちなみに、個人的には『午後の国物語Remix+』の電子版も欲しいです!)。

Amazon『迷廊館のチャナ』1巻販売ページAmazon『迷廊館のチャナ』1巻(kindle版)販売ページ