2019年9月12日から15日までの期間(12日、13日はビジネスデイ)、千葉県・幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2019。インディーゲームコーナーに出展されているタイトルの中から、大混戦を楽しめる対戦アクション『Nebulas Lasso』を紹介。珍しいプロフィールを持った開発者のミニインタビューも。
個人の“ゲーム愛”でストイックに作り上げた対戦アクション
2019年8月にリリースされたインディーゲーム 『Nebulas Lasso』(Steam/2570円)は、宇宙人の立場で“地球人をさらう競技”に興じることができる、マルチプレイ対応の対戦アクション。地上をフラフラ歩き、ときに攻撃を仕掛けてくる人間に接近してトラクタービームを放ち、確保してから自分の陣地に戻ればポイント……が基本ルールだが、ライバルが攻撃を仕掛けて邪魔し放題なため、かなりの大乱戦となるのが特徴だ。
本作を開発したSTON Games 代表のヤシール・イブラヒム・アル・ドーサリ氏は、サウジアラビア在住の個人ゲーム開発者。『Nebulas Lasso』では、自身の理想とするビジュアル表現を求め、日本人クリエイターの協力を受けて完成させたとのことだ。
現在のサウジアラビアでは極めて珍しいと言われるインディーゲームクリエイターのドーサリ氏に、本作や自国のゲーム事情についてたずねてみた。
――『Nebulas Lasso』はサウジアラビアから初めて出展されるインディーゲームとのことですが、ドーサリさんは過去に海外のゲームメーカーでの勤務経験があったりするのでしょうか?
ドーサリいいえ。一度日本に留学してから自国に戻り、大学を卒業してから個人でゲーム開発を始めました。当初はモバイルゲームを開発していましたが、2年半ほど前にPCゲームに切り替えました。
――先月にはSteam版がリリースされましたが、いずれはコンソール版のリリースも?
ドーサリうーん……Nintendo Switchやプレイステーション4でも出したいのですが、サウジアラビアはどちらのプラットフォームでもヨーロッパ圏あつかいなんです。開発するとしても、日本の皆さんにお届けするにはちょっと時間がかかりそうです。
――サウジアラビアには、ゲーム産業は根づいていないのでしょうか?
ドーサリゲーム開発会社はなくはないけど、少ないですね。10社くらいでしょうか。
――ドーサリさん自身のゲームのルーツは?
ドーサリずっと前から、日本やアメリカ、ヨーロッパのゲームが好きです。一番好きなジャンルが対戦アクションで、日本のゲームだと『ボンバーマン』や『チューチューロケット!』をやっていました。『Nebulas Lasso』を開発するときに直接影響を受けたのはアメリカの作品ですが(笑)。
――日本のイベントに出展するのは、今年5~6月開催のBitSummit(BitSummit 7 Spirits)に続いて2回目とのことですが、こうしたイベントには今後も積極的に参加していく?
ドーサリそうですね。日本に限らず世界のいろいろなインディーゲームイベントに出展して、ゲーマーの生の感想を聞いて、改善できるところはちゃんと改善していきたいですね。こうしてイベントに参加できるのは、決して自分の力だけではありません。サウジアラビアでもっとも歴史のあるインキュベーター(ベンチャー企業の支援団体)に2、3年前から所属していたことで、海外の渡航費用を出していただいています。神様のおかげで、インキュベーターからこういうチャンスを得られたのは、とても感謝すべきことです。
――御自身の活動でサウジアラビアのインディーゲームシーンをリードしていく?
ドーサリそう言われてしまうとプレッシャーがかかりますが(笑)、自分がゲームを作り続けることで、若い子が「じゃあ俺も作ってみよう」と思ってくれたら、嬉しいですね。将来的には、海外のデベロッパーを招いてのインディーイベントをサウジアラビアでも開催したいと思っています。
――それはおもしろそうですね! 開催する際には、日本のメディアやデベロッパーにもぜひお声かけください。
ドーサリもちろんです! サウジアラビアの人は、日本のことが本当に大好きです。最近では日本スタイルの漫画喫茶があちこちにでき始めているし、日本語の勉強している若い人たちもいっぱいいるんですよ。