2019年9月12日~15日(12日、13日はビジネスデイ)千葉県・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2019。その最終日となる9月15日に、SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)ブースにて『デス・ストランディング』のステージイベントが行われた。

 東京ゲームショウ2019で最後となる『デス・ストランディング』のステージは、ゲーム紹介がメインだったこれまでの2回とは異なり、豪華声優陣を招いてのトークが中心となっていた。

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『デス・ストランディング』小島監督を始め、大塚明夫、井上喜久子、三上哲、石住昭彦ら豪華声優陣が登壇したイベントをリポート! 杉田智和の出演も正式発表【TGS2019】_01

 ステージに登場した小島監督は、本作をまだ制作中であることを明かしつつも、「皆さんとの繋がりでここまで来ました」と感慨深そうにこれまでを振り返った。その後、大塚明夫さん(ダイハードマン役)、井上喜久子さん(アメリ役)、三上哲さん(ヒッグス役)、石住昭彦さん(デッドマン役)が登場すると、大きな歓声が上がった。

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 最初の話題は収録について。日本語音声の収録は、2018年6月のE3に合わせて公開された、ティザートレーラーのときが初めてだったそう。本編の収録は同年の12月より約9ヵ月を掛けて、ゆっくり丁寧に行われたとのこと。また、小島監督からはそれだけの期間にも及んだ理由について、「なるべく、皆で収録したかったので」(※ゲームの収録はひとりで収録することも多い)と補足した。

 続いて、『デス・ストランディング』への出演が決まったときの感想を聞かれた大塚さんは、「一生(小島監督と)やっていくつもりなので、僕は」と語り、“繋がり”を感じさせた。井上さんは「私は今度は呼ばれないんじゃないかと思ったりするんですけど」と謙遜しつつ、「小島監督の作品にはいつも感動をいただいたいるので、今回も自分の表現を思い切りやらせていただきたいなという気持ちでした」と作品にかける思いを語っていた。

 そんなふたりに対して、小島監督の作品に初出演となる石住さんが「これからは一生ついていこうと思いました」と観客を笑わせた。また、昨年の東京ゲームショウで出演が発表された三上さんは、2018年のE3トレーラーを見て羨ましく思っていただけに、オファーがあったときはうれしかったというエピソードを披露した。

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 つぎの話題は演じているキャラクターについて。どのキャラクターも重要な秘密を持っているようで話せることは多くなさそうな状況の中、大塚さんは「私もそろそろ現役最前線のヒーローじゃなくなってまいりましたので、(主人公は)若い人にやっていただいて、それをバックアップするポジションに回る歳なのかなと思うと、感慨深いものがありました」と心境を明かした。しかし、小島監督からは「明夫さんは“ボス”ですから。役柄もボスですけど、現場でもボスなので。明夫さんがいないと締まりません」とアツいメッセージが送られた。

 井上さんは、アメリについて“知れば知るほど愛おしいキャラクター”と表現。また、アメリは歳を取らないということに触れつつ、「私も年齢的におかしなことになっているので(笑)」と共感を受けたことを語った。また、小島監督によるとアメリは「アメリカを繋ぐためじゃなく、アメリを助けに行こう」と思える存在とのこと。

 三上さん演じるヒッグスは、昨年の東京ゲームショウでは“黄金仮面の男”という名前で公開されたキャラクター。その件について、三上さんが小島監督に尋ねると「名前がないと呼べないですから」とのこと。また、ヒッグスは“単なる悪役ではない”というヒントも飛び出していた。

 謎が多いデッドマンについては、石住さんが「絵を見たら、役作りがいらないなと(笑)」と語ると会場は笑いに包まれた。小島監督からは、最初からサムに寄り添ってくれるキャラクターであることが紹介された。

 また、本作のストーリーについて、「謎が多いんですけど、ゲームを進めていくと、ラストに向ってその謎が少しずつわかってきたときの感動がすごいです」(井上さん)、「歩いて大切なものを運ぶ。そのことを自分に課してゲームを進めていくんだけど、それが後でどんなカタルシスを呼ぶのかを想像しただけで、早くクリアーしたい」(大塚さん)と太鼓判を押した。さらに小島監督は「ゲームでの体験とドラマ性がシンクロするんですよ。これはゲームにしかできないことなので、ぜひ楽しんでいただければと思います」と補足した。

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 そしてここで残念ながら会場に来ることができなかったキャスト陣からのビデオメッセージが公開された。

 津田健次郎さんは、自身が演じた主人公のサム・“ポーター”・ブリッジズについて、“本当に魅力的なキャラクター”と紹介。また、本作をひと言で表すとという質問に対して、1度は「ひと言では言い表せない」としつつも、“絆の物語”と表現した。

 小島監督からは収録時にOKを出しても、津田さんのほうから「もう1回やらせてください」とお願いされるようなことが何度もあったというエピソードが披露された。ちなみに井上さんも何度かその現場に居合わせたそうで、「アメリ」と呼び掛けるひと言のシーンにも関わらず、何十回も録り直しを行ったことを明かしながら「こだわりがすごい」と話していた。

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 続いての、大塚芳忠さん(ハートマン役)からのビデオメッセージでは、映像の途中からクリフ役の山路和弘さんも登場。大塚芳忠さんは「(山路さんとは)いつもは役を取り合う間柄なんですけど、今回は同時に出演させていただけて本当によかった」と喜びを語った。また、初めて小島監督と仕事をしたという山路さんは、会うまでは緊張していたことを明かしつつ、大阪弁で「やりましょか」と言われて腰砕けになったというエピソードが披露された。

 小島監督からは、大塚芳忠さん演じるハートマンについて、「芳忠さんはずっといっしょにやってきたんですけど、なぜか最後に死んじゃうんですよ。役柄で。それで(今回は)死なない役をということで。(ハートマン)は21分ごとに死んでいるので、死なないかな?」と紹介していた。

 また、山路さん演じるクリフについては、キャラクターのモデルとなっているマッツ・ミケルセンさんの声が特徴的であるため、日本語のキャストを決めるのに2年ほど悩んだそう。そんな中、「日本語を聞いてもマッツさんであり、魅力がでるような人はいないかなとなったときに山路さんしかいない」と小島監督は決め手を語った。ちなみにキャラクターについては「まったく何も言えません。謎。最後えらい(※関西弁で“たいへんな”というような意味がある)ことになりますから」と意味深な発言も。

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 続いて、ママー役の坂本真綾さんからの手紙を井上さんが代読。内容としては、ふだんゲームを遊ばないため小島監督のことを知らなかった。しかし、収録初日に小島監督から直々に1時間ほどゲームの内容を説明してもらって、「このゲームはすごいぞ。売れるぞ」と呑気に考えていたところ、出演が発表された直後にファンの方、声優仲間、学生時代の友人、親戚など本当に多くの方から「小島監督の作品に出るの。おめでとう」、「すごいね」、「羨ましい」とメッセージが届いて、改めて小島監督と作品のすごさを実感したというもの。また、自分自身で「ゲームに疎い」と語る、坂本さんも本作の映像、ストーリーやキャラクターに一瞬で惹き込まれたそうで、「絶対にプレイします」と宣言していた。

 ちなみに坂本さんはママーのキャラクターモデルであるマーガレット・クアリーさんの吹き替えを別の作品でも行っている。小島監督は、オファーした後にそのことを知り、“繋がり”を感じたそう。また、坂本さんの演技については「うま過ぎる」と絶賛していた。

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 再びビデオメッセージに戻ると、フラジャイル役の水樹奈々さんが登場。水樹さんからは、本作の収録について、フラジャイルに課せられている使命や過去が大き過ぎて、どういう風に声に落とし込んでいくのか悩んだことが明かされた。

 また、本作をひと言で表すとという質問には津田さんと同じく「ひと言では表せません」と語りつつ、「人間社会をそのまま映し出した世界だなと思っています。小島監督がおっしゃっていたんですけれども、荷物の数だけドラマがある。またその届けた先で、受けた人のリアクションがあって、そこからまた違う感情が生まれて、違うドラマが生まれてというように、どんどん枝葉がわかれていくわけじゃないですか。だから、本当に木がどんどん成長していって、葉を付けて、実がなって、それが落ちて、また新しい木ができて……というようにどんどん広がっていく。“繋がる”ということがテーマになっていると思うんですけれども、それ自体が本当に人間社会の全部を表しているような気がしていて、ものすごく深くて……」と魅力を熱弁していた。

 小島監督はフラジャイルについて、「すごい設定があるけど、まだ話せない」と前置きつつも、彼女の名前であるフラジャイル(※壊れやすいという意味がある)がヒントになっていることを明かした。そんな壊れそうだけど強い女性を演じてもらうのに、ライブなどで繊細なのにものすごいエネルギーのパフォーマンスをする水樹さんがピッタリだということになり、オファーしたという経緯も語られた。さらに小島監督からは、水樹さん演じるフラジャイルと、井上さん演じるアメリは「ちょっと三角関係みたいなところが」と気になる発言も。

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 その後、司会の松嶋初音さんから、「(小島監督の作品でおなじみの人が)足りないなという気持ちが……」と話を振られた小島監督は「そうですよね。いままで繋がっていた人がひとり足りない気がします」と回答。すると、会場のモニターに映像が映し出され、本作に杉田智和さんが出演することが正式に発表(※小島監督は今年の7月に杉田さんが本作の収録をしたことをTwitterで報告していた)。

 なお、杉田さんは本作のサブ要素である“プレッパーズ”のひとりのボイスを担当するそう。映像では杉田さんが大塚さんのモノマネをしていたが、小島監督によると映像中の音声は、実際のゲーム内で使用されるものとのこと。

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 そして、最後にキャストから順番にメッセージが送られた後、小島監督が「11月8日に向けて最後のフィニッシュをしております。こんなに皆さん繋がっているので、絶対にあの世に行かずフィニッシュします。テクノロジーの進化とともにコミュニケーションも変わってきました。昔は手紙しかなかったんですけど、電話があって、テレビがあって。ネットができて世界中が繋がっているんですけども、リアルタイムに繋がることで逆に人のことを中傷したり、棒で叩いたりという世の中で、ちょっと間接的に繋がることでお互い思いやりができるというか。そういうゲームシステムなので、いま一度、人とのコミュニケーションの繋がりかたをゲームを通して体感してもらって、より人のこと、社会のことを思いやれるような世界になればいいかなと思っています」と作品に込めた思いを語り、イベントを締めくくった。

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