2019年9月12日~15日(12日、13日はビジネスデイ)、千葉・幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2019。セガゲームスブースの特設ステージで連日開催されている『新サクラ大戦』のステージもいよいよ千秋楽。生中継されたWebでの放送でも話題になっていた舞台化の情報を始め、このイベントの模様をダイジェストでお届けする。

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田中公平オン・ステージ! 歴代歌唱曲の秘話から舞台版、台本にない新情報も……『新サクラ大戦』ステージ(4日目)リポート【TGS2019】_01

田中公平氏による歴代楽曲解説!

 公式生放送番組『サクラ大戦 帝劇宣伝部通信』の出張版として行われている今回のステージ。最終日のテーマは“楽曲特集”……ということは、『サクラ』ファンも待ち望んでいたあの人が……?

 ステージにはまず、アシスタントMCの山下まみさんと、3日目に引き続き神山誠一郎役と“特命宣伝部長”でもある阿座上洋平さんが姿を見せる。そして、この日決定した日本ゲーム大賞 フューチャー部門 受賞のトロフィーを掲げ、プロデューサーの片野徹氏が満面の笑顔で入場するのだった。この様子なら、いつも以上に最新情報が出てきそう?

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 続いて、ゲストとして望月あざみ役の山村響さん、アナスタシア・パルマ役の福原綾香さんが登場。福原さんは3日目に続く出演となる。

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 5人による賑やかな陣容となったオープニングトークでは、ゲストのふたりが楽曲(キャラクターソング)収録時のエピソードを語ってくれた。収録は非常にハードで、これまで数々のキャラクターソングを歌ってきた福原さんをして、自分の持てる以上のものを出したと言わしめるほどだったようだ。また、小さなころから『檄!帝国華撃団』を歌ってきたという山村さんは、それだけに『檄!帝国華撃団<新章>』収録では感無量だったと笑顔で離していた。

 ここで、3日目のアナスタシアに続き、あざみの登場シーンをまとめた映像が上映される。BGMには、もちろん山村さんが歌うあざみのキャラクターソングが流され、「かわいい!」とステージからも客席からも声が上がっていた。なお、お風呂場の前を見回るシーンではゲキゾウくんの姿も映っていたが、果たしてその時神山はどこにいたのだろうか……?

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 いつもよりボリューミーなオープニングトークに続いては、恒例となった既報の振り返り。と言っても、このステージは東京ゲームショウ2019最終日最後の枠となっており、セット撤収の関係上時間オーバーは許されない。この4日間で最速、初日と比べると約10倍のスピードで振り返りが行われた。

 そしていよいよメインイベント。スペシャルゲストの作曲家、田中公平氏がステージへ。「田中公平役の田中公平です!」といつもの自己紹介をしながら、キャスト陣をも上回るほどの万雷の拍手に包まれ登場した。なお、この自己紹介はウケ狙いというだけではなく、ふだんの自分と公人としての自分を切り替えるスイッチでもあるらしい。

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 ここからは『新サクラ大戦』の初回限定版に同梱される“歴代歌謡集”について、田中氏の解説を交えながら紹介が行われる。なお、初回限定版のパッケージ画像や“歴代美術集”、楽曲のリストについては既報を参照してほしい。

 歴代歌謡集では、6作品合計62曲もの歌唱曲が収録されている。田中氏によると、ゲームに収録された歌唱曲に限ったことでこの数に収まったものの、じつは歌謡ショウなどでの歌唱曲を全部入れると400曲以上になるという。また、“歌謡ショウ”などで使われているものにはまだCD化されていない曲も100曲以上あり、今回のプロジェクト次第ではCD化もあるかもしれない、と語っていた。

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 初代『サクラ大戦』では、キャラクターソングもその人物の“顔”を描いた自己紹介の役割も果たす楽曲として作っていたらしい。それが『サクラ大戦2』では各キャラクターの内面を描いた、より深い曲が収録されるようになっているなど、作品によってキャラクターソングの位置付けも変わっていることが語られた。

 同じく初代『サクラ大戦』を代表する名曲『愛ゆえに』は、歌謡ショウの原点となった楽曲。それゆえにそれまでのキャラクターソングにはなかったテイストの曲となっているが、マリア・タチバナ役の高乃麗さんも、真宮寺さくら役の横山智佐さんも歌がうまかったので、レコーディングには時間がかからなかったとのこと。

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 ゲームで声を演じているキャスト陣がそのまま出演している歌謡ショウは、広井王子氏のアイデアで始まったもの。当時はそういった企画が上がることはほとんどなく、画期的な試みだったという。なお、『サクラ大戦歌謡ショウ』の第二回公演『つばさ』のテーマ曲『つばさ』は、田中公平氏のライブではアンコールで必ず歌われる定番曲となっている。もともと自分がコンサートで歌える曲ということで選んだのだが(原曲は李紅蘭とアイリスが歌っている)、ファンが泣いて感動してくれた姿が忘れられず、以来自分のコンサートで歌うようになったのだそうだ。

『サクラ大戦2』では『奇跡の鐘』とともに『夢のつづき』の名前が挙がった。田中氏がブログで開催している投票企画などでは、だいたいベスト3には入ってくるほどファンにも人気の楽曲。田中氏は、『夢のつづき』の続きをファンの皆さんともう一度やりたいという思いを込めて『新サクラ大戦』の曲を書いていると語っていた。

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サクラ大戦3』の主題歌『御旗のもとに』は、もともと『檄!帝国華撃団』の巴里版でいいのではないかと考えていたものの、打ち合わせで「『ゲキテイ』以上のクオリティーで『ゲキテイ』以上に売れる曲を作ってほしい」というすばらしいリクエストをいただいてしまった結果、作られた曲なのだという。ただ、リクエストするだけでなく楽曲にふさわしい最高の映像を制作するなど、セガの気合も尋常ではなかったようだ。『サクラ大戦3』のオープニングムービーは、当時から「制作費3億円」という有名な都市伝説があるくらい(社内では“3億円事件”と呼ばれているらしい)すばらしい内容になっている。

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サクラ大戦4』は、2曲の収録となっている。感動的なフィナーレを飾る名曲『君よ花よ』は、広井王子氏が(大神が主人公の作品は)最後だし、大神(を演じる陶山章央さん)に歌わせてみたいと田中氏に相談したところ、田中氏は「ああ、それは無理だから」と無碍なく却下。その代わりにということで、「(声優だから)セリフをしゃべらせる形にしてみては?」という田中氏の提案を受けてできた楽曲。なお、『サクラ大戦』のスタッフでカラオケに行くと、この曲のセリフ部分を熱く歌って(語る?)くれるらしい。

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 そして『サクラ大戦V』では、『地上の戦士』が挙げられた。これまでの経緯があるので、主題歌にはどんなオファーが来るのか身がまえていたところ「ジャズっぽく」と、わかりやすい内容が入っていたため、存外にやりやすかったようだ。紐育組は総じて歌唱力が高いため、難しい曲もすぐこなしてくれたのだそう。

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『サクラ大戦』は歌が多いが、田中氏と広井氏のふたりで作っていたためにワンパターンになることを恐れていた。だから、毎回まったく違うものを作ろうということをコンセプトにして作っていたと田中氏は語る。その流れで『新サクラ大戦』の歌唱曲も作られており、とくに難度が上がっていた福原さんは、燃え尽きて灰になるかと思うほど追い込まれていたのだとか。

 ちなみに、山村さんが歌ったあざみのキャラクターソングは、あざみのかわいらしさが全面に出ている楽曲となっている。最初は108の掟を全部歌にしてみようか、という企画も上がっていたらしいが、それだと長くなりすぎるので現在の形になった……と嘘か誠かとんでもないエピソードも語られていた。

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 そしてここで、天宮さくらのキャラクターソング『乙女なんですよ』のミュージックビデオが公開される。『サクラ大戦』の歴史が始まって以来初のことだという。今後、残る4人のメンバー(初穂、クラリス、あざみ、アナスタシア)のミュージックビデオも制作予定とのこと。そして阿座上さんが「これを観たら体が勝手にさくらルートに行きそう!」と大絶賛するのだが、すぐに山村さん、福原さんから隊長としての不公平ぶりに異議申し立てを受けてシュンとしていた。

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 さらに、歌謡集の収録曲の最後を飾る『スタァ誕生』もこのステージで先行公開となった。大帝国劇場を歌ったもので、この曲を歌うすみれ役の富沢美智恵さんはレコーディングでまた『サクラ』の歌が歌えるとは……と感動していたというエピソードも明かされた。

 なお、田中氏によると『スタァ誕生』は花組バージョンも収録されていて(台本に書かれていない情報)、しかもアニメでも新しいエンディング曲も収録しているのだという(さらに書かれていない情報)。いつもゲームの情報を大盤振る舞いして広報担当を泣かせている片野氏が、「アニメのスタッフに怒られるのは僕ですから……」と、逆に田中氏に泣かされるという、これまでにない構図がステージに顕現していた。

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リアルさくらが舞い降りた! 舞台化発表

 田中氏の活躍で超濃密な内容となったこのステージだが、なんともうひとつサプライズが待っていた。“舞台化”情報である。その名も『新サクラ大戦 the Stage』。

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 これまでとは異なり、ゲームキャストとは違うオリジナルキャストにはなるが、かなり力の入ったステージにすべくプロジェクトが進行しているとのこと。そして、主役の天宮さくらを演じる関根優那さんがここでサプライズゲストとしてステージへ。リクエストに応えてクルッと1回転すると、あまりのかわいらしさに、他の出演者も思わず立ち上がってしまっていた。

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 関根さんは150人以上が参加し、田中氏が立ち会って「歌が下手な人は来ないでと言った」という難関オーディションで選ばれた。見た目がさくらそのもので、歌唱力も評価されたのだという。

 コメントを求められ、うれしいがプレッシャーもあると正直な胸の内を語った関根さん。「天宮さくらが出てきた、と言ってもらえるようにがんばりたいと思います」と力強く宣言していた。なお、舞台『新サクラ大戦 the Stage』は2020年春上演予定。

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 なお、生放送終了後マスコミ向けに田中氏、関根さんへの囲み取材が行われた。そこでの模様も紹介しておこう。

――オーディションの印象をお願いします。

田中 オーディションには150人以上の方がいらっしゃって、その中から(花組の)5人の役を決めたんです。さくら役を受けに来た方がいちばん多くて、全体の半分くらい。その全員に歌っていただきました。オーディションのときはちょっと失敗してしまいましたが、歌はうまいというのがわかりましたし、さくらの衣装を着せたらいちばん似合うと思いまして、関根さんに決めさせていただきました。

関根 今回は歌の審査も大事な部分だと聞いていて、しかも『ゲキテイ』を歌えるというのがうれしかったので、何としても勝ち取ってやるんだと意気込んでオーディションに臨みました。公平先生がおっしゃったようにちょっと失敗してしまったので、自信はなかったのですが……。

田中 じつはその場で決めたあと、ちょっと不安だったのでいろいろと調べていたのですが(笑)、そこであらためて大丈夫だと思いました。

――どんな舞台にしたいと考えていますか?

田中 以前『サクラ大戦奏組』で経験はあったのですが、いままで声優さんがやっていた舞台を俳優さんがやるということで、それなりに違うものにしたいと考えています。声優さんがやると声がいっしょなので観客の皆さんも違和感なく受け取ってくれますよね。でも、今回は声も演技もちょっと違うので、演出担当や関根さんたち演者の皆さんと話し合いながら近づけていきたいです。

――舞台用にオリジナル楽曲などは制作されているのでしょうか?

田中 あります。たぶん誰も聞いていなかったと思いますけど。

関根 初めて聞きました(笑)。

――最後に、舞台に向けての意気込みをお願いします。

関根 『サクラ大戦』という、たくさんのファンがいらっしゃる歴史ある作品に関われたことがとてもうれしいです。いままでは声優さんが出演されていた歌謡ショウなどもあって、皆さんにとってもどうなるのか想像がつかないところもあると思うのですが、想像を超えるような、実際に天宮さくらがステージに存在したんだと感じてもらえるように、舞台もゲームに負けないくらい人気が出る作品にしていきたいです。

田中 サクラ大戦って舞台的にハードルが高いんですよ。歌も踊りもできなければならないし、殺陣もあったりする。万能選手でなければならないのですが、関根さんならやってくれると期待しています。皆さんも期待していてください。

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[2019年9月16日午後3時]ステージイベントリポート中に、事実と異なる箇所がありましたので、修正させていただきました。お詫びして訂正します。