2019年9月12日(木)から9月15日(日)まで(12日・13日はビジネスデイ)、千葉・幕張メッセにて開催中の、東京ゲームショウ2019(TGS2019)。コーエーテクモブースでは、『仁王2』試遊やステージなどが行われており、会期中は最新情報が続々と発表されている。
本記事では、『仁王2』プロデューサー兼ディレクターの安田文彦氏に、『仁王2』に関するさまざまなことをお聞きしたインタビューをお届けしよう。
安田文彦(やすだふみひこ)
『仁王2』プロデューサー兼ディレクター(文中は安田)
“戦国死にゲー”に“妖怪”の要素をプラス
――まずは『仁王』の続編である本作『仁王2』の制作が決まった経緯を教えてください。
安田 『仁王』を作り終わったときに、やり残したことはまだまだあるなと感じていまして。そのときから、アクションの拡張はどうしようとか、ストーリーはどの時代にするのかなど、すでに次回作の構想がありました。
――本作は約1年前に発表されましたよね。今日に至るまで、ユーザーからの反響はどうだったのでしょうか。
安田 うーん、「新情報まだ?」という声が多かったです(苦笑)。ただ、今年の5月にクローズドαテストを行いました。基本的には好評でしたが、『仁王』とさほど変わらないという意見も多かったです。そういった意見を取り入れて、今回の試遊版では『仁王2』ならではのアクションが多数入っています。
――突然のクローズドαテストには驚きました。
安田 やはりユーザーの意見を取り入れながらゲームを作るのが、個人的にもチームとしても好きなんですよ。あとは、サプライズを仕掛けようという狙いがありました。
――では、これからも発売までに体験版などの配信で、ユーザーの意見を募る機会もあるのでしょうか?
安田 ぜひやりたいですね。また、発売後も何かあれば、ユーザーの不満に応えるように、続々とアップデートしていく予定です。
――体験版、お待ちしています! さて、前作は“戦国死にゲー”と銘打たれていましたが、本作は“戦国妖怪死にゲー”と、妖怪をフィーチャーしていますよね。なぜ妖怪要素を強めようと考えたのでしょうか?
安田 まず前作の妖怪たちは、『仁王』らしさにつながっていることもあり、とくに海外ですごく人気がありました。また、アクションゲームとして考えると、刀や槍、弓矢といった現実的な武器だけだと、どうしてもどこか限界があるんですよね。もちろん陰陽術や忍術なども本作にはありますが、やはりある程度は現実的になっています。
そして、『仁王』シリーズの主人公というのは“侍”です。侍らしさを大事にしつつ、妖怪の力を持つ侍を描くとどうなるのか? と考えたのが経緯ですね。
――いまのところプレイムービーなどでは、妖怪の敵がメインで、前作のような人間の一般兵ですとか、武将との戦いは出てきていません。今回の敵は妖怪のみ、というわけではないんですよね?
安田 もちろん人間との戦いもあります。しかも前作は戦国末期でしたが、本作は織田信長が若いころの時代ですので、人気の高い武将が多数存命しています。彼らとの絆や戦いは、しっかりと用意していますよ。
――織田信長を演じるのは、声優の井上和彦さんなんですよね。前作ではシブサワ・コウさんが演じられていました。
安田 本気で続投も考えましたが、さすがにセリフの量が膨大ですし、メインの役どころですので、そこはプロにお任せすることにしました(笑)。
――続けてキャラクターに関してですが、今回藤吉郎役に竹中直人さん、無明役に波瑠さんを起用されていますよね。おふたりに決めた理由を教えてください。
安田 無明の設定はまだ明かせないのですが、美しさと強さを兼ね備えた、戦う女性となっています。セリフなどもしっかりしなくては、と考えたところ、波瑠さんがピッタリだと思いました。藤吉郎はもう、「秀吉を演じるなら誰だろう?」と考えたら、大河ドラマでも豊臣秀吉を演じられた竹中直人さんしかないだろう、と。アフレコの際も役柄の説明など要らず、最初から藤吉郎のままでしたね。
――藤吉郎は、どういった役どころになるのでしょうか?
安田 今回公開したトレイラーにもありますが、主人公の名前である“秀”と、藤吉郎の“吉”。このふたつを合体して、ふたりでひとつの“秀吉”というコンビで活動します。いわば、藤吉郎は主人公の相棒役なんです。豊臣秀吉の活躍というのは、じつはこのふたりの活躍だった、というのが本作の設定なんです。
――やはりそういうifが、『仁王』シリーズの魅力ですよね。
安田 歴史ゲームで名を馳せたコーエーテクモゲームスですから、史実とフィクションを織り交ぜた歴史のロマンは得意なところです。ちなみに藤吉郎は、史実通り最初は商人として登場します。ですが、商品として売り歩いているのは、『仁王』シリーズのキーアイテムである霊石なんですよ。
――また、今回はキャラクタークリエイトで主人公を作りますよね。前作には登場人物の姿に変身できる“姿映し”がありましたが、本作には……?
安田 用意しています。きっと、竹中直人さんの姿でバトルができることでしょう(笑)。
――楽しみです! では、バトルについてお聞きします。新武器の“手斧”が発表されましたが、手斧以外の武器はありますか?
安田 まだ未発表の新武器もありますよ。追加するのは、遠距離武器ではないと明言しておきます。遠距離武器は前作からすでにたくさん登場していましたからね。時代も遡りますので、鉄砲自体が珍しいものですから。ただ、ダウンロードコンテンツなどでは、もしかしたら遠距離武器を追加する可能性はあります。
――忍術&陰陽術はどのような追加がありますか?
安田 いろいろな技が追加されますよ。ただ、一部忍術の強すぎた技などは弱体化されると思います。もちろんある程度の強さは残したいですが、ひとつのことだけをやってればいい、というゲームにはしたくないです。
――なるほど。また、今回新システムに“妖怪化”が追加されました。性能的には、前作の“九十九武器”に通ずるところがありますが、より多彩な技が使えるようになっていますよね。
安田 基本的には九十九武器と同じく、ここぞというときに使う必殺技のような存在です。ただ、前作は基本的に、“とにかく斬り続ければいい”というような性能でしたが、今回は新システムの“特技”や妖怪化の属性でアクションが変わります。より幅広い戦略が取れるようになりました。
――妖怪化は猛、幻、迅という属性がありますが、登場するのはこの3種類のみですか?
安田 3種類だけです。猛(もう)は、攻撃特化型、幻(げん)は防御特化型、迅(じん)は速度特化型といった感じです。また。使用している武器に関わらず、妖怪化すると猛なら大槌、幻なら変化する特殊な武器、迅なら二刀の小刀のような武器に固定されます。人間の侍では無理なアクションをくり出せるのが、妖怪という設定を絡めたことによる収穫ですね。
――“特技”ですが、使用できる特技は変更できたりしますか?
安田 いえ、猛、幻、迅でそれぞれ特技は固定されています。どれもアクションは異なりますが、ヒットさせた敵をひるませつつ、妖怪技に使用する妖力ゲージを回復できる、という要素は基本的に共通します。
――妖怪の技が使える“妖怪技”には驚きました。これは、出現する妖怪の技がすべて使えるのでしょうか?
安田 はい、すべてです。まだ発表していない妖怪も多数いますから、どれくらいの技があるのかは言えませんが、膨大ですよ。使用するためには妖怪を倒して、“魂代”を拾う必要があります。道中に現れる通常の敵はランダムドロップなものの、ボスなどの敵は固定でドロップします。しかも、妖怪技にも武器や防具と同じように、特殊な効果がランダムで付与されています。やり込む人は、武器、防具の性能に加えて、今回は妖怪技の吟味もできるわけです。
――ハック&スラッシュ要素がより強まっていますね!
安田 “ハクスラ”ゲームが大好きなんです。そういえば、明日(9月13日)は『ボーダーランズ3』の発売日ですよね。仕事そっちのけで遊びたいくらいです……というのは冗談で。15日までステージがありますから、TGSが終わるまではおあずけです(笑)。
――ちなみにですが、同じ戦国時代を背景にした、いわゆる“死にゲー”である『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』は意識されましたか?
安田 僕は『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(以下、『SEKIRO』)の超絶大ファンなんです(笑)。自分自身もめちゃくちゃやり込みましたが、今年の3月から4月は、開発チーム中が『SEKIRO』の話題で持ち切りでした。『仁王』はもともと、いわゆる“ソウルボーン”に影響を受けた作品ですし、『SEKIRO』に感銘を受けた部分は少なからず、本作にも反映されているかもしれません。もちろんゲーム性はぜんぜん違いますけどね。
――それでは最後に、会場での試遊などを楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。
安田 『仁王2』はコーエーテクモゲームスブースに42台ほど試遊台がありますし、SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)さんのブースにも何台か試遊台がありますので、ぜひ遊んでみてください。触っていただけると、新しさを感じてもらえるはずです。今回の試遊でも意見をいただければ、製品版にしっかり反映したいと思っていますので、ぜひ試遊した感想などをSNSなどにどんどん書き込んでいただければと思います!