最高に原作フィーチャーした『北斗の拳 レジェンズ リバイブ』がサービスイン!
拳法アクションマンガの金字塔として一斉を風靡した『北斗の拳』ブームから早30余年。「北斗百裂拳!」と言いながら、友だちに肩パンを食らわせていた時代が直撃した筆者もいまではすっかり中年に。そのあいだに出たさまざまな『北斗の拳』コンテンツを追い続けた筆者のもとに舞い込んできたのが、今回のスマホゲームアプリ『北斗の拳 LEGENDS ReVIVE』の先行プレイレビューお話だった。
山のフドウの言葉「……哀しみを知らぬ男に勝利はないのだ!!」ではないけれど、これまで酸い『北斗の拳』コンテンツで涙することで、甘い『北斗の拳』コンテンツのおもしろさを再確認してきた筆者。なので、今回も両手を挙げてバンザイするわけにはいかない。ファン目線、そして『北斗の拳』を知らない世代の気持ちも考慮に入れつつ、本作をプレイした感想を記していきたい。
物語の追体験という部分に関しては文句なし!
最初に伝えたいのが、『北斗の拳』好きという筆者のきびしめ視点から言っても、ストーリーの追体験という部分に関しては完璧にできていると思う。とくに絶賛したいのは、物語を千葉繁氏(声にピンと来ない人は本作のPVを観ていただければ!)が読み上げてくれるというところで、これだけでテンションが爆上がりだ。千葉氏は、北斗といえばこの方というレジェンド。
だから、筆者のテンションがクソほど盛り上がるのは不可避なのだ。個人差はあるかもしれないが、その声のチカラもあって物語に見入ってしまうことは請け合い。ちなみに、メインキャストの声を担当されているのは、パチンコやパチスロ台で声を当てている方たちなので、それらを入口に『北斗の拳』に興味を持った方々も、物語にスムーズに没入できるはずだ。
いきなり声の話題から入ってしまったが、もちろんビジュアル面もグッド。とくに原哲夫先生の原作絵がキチンと見られるという大事なところはしっかり抑えていて高評価だ(筆者は原作原理主義なのでココが大事)。さらにストーリーの要所では美麗なCGムービーが挿入される点もいい。序盤の原作絵とはかなりテイストが異なるCGなので、賛否はあるかもしれないが、個人的に好感触。とくに拳法を使っているアクションシーンは……かなりカッコいい。今後追加されていくであろうストーリーパートでも、ジャンジャンバトルのCGムービーを追加していってほしいところだ。
物語は連載開始時から描かれるので、原作絵も当時のものに。当然、シナリオを進めていくことで原先生の絵柄も連載時同様に変わっていく。いつぐらいに脳内イメージ(人によって異なるハズ)のケンシロウと絵柄が合致するのかを楽しんでもいいかもネ。
なお、バトル時のCGなどは、エスプリが効いていて、パチンコやパチスロを意識した演出や効果音を使っている。また、バットの技にリンゴを絡めてくるあたりも、パチンコやパチスロのある種のオマージュなハズ。いい意味での悪ふざけには、思わずニヤリとさせられた。
バトル時の操作は簡単、コンテンツ数は大量、戦術面は今後に期待
そんなわけで、原作のトレース具合や一部のマニアに向けに向けられた仕掛けに関しては、太鼓判を押せるものになっている。ただ、本作はゲームなので……「ゲーム部分はどうなっているのか?」という疑問はあるだろう。
ぶっちゃけて言えば、ストーリーを進めるだけなら、バトルに難しさを感じることはない。……というかむしろ激簡単。序盤に関してはタイミングよく画面をタップするだけで敵を瞬殺できるし、そもそもタップのタイミングを測らずに半ばオートで戦ったとしても楽勝だ。もちろん、物語を進めることで徐々に敵は強くなるわけだが、しっかり6人のパーティを編成して育成をガンガンすれば、こちらもどんどん強くなるので、その楽勝具合は継続される。
ちょっと残念だったのは、そうやって育ててしまうと、物語で戦うボスも楽勝になってしまうこと。最終的に勝ちたいとはいえ、強敵(『北斗』ファンは“とも”と読む)にはある程度苦戦してほしいというのが率直な想いで、満足いく形で勝利するには、少しだけ育成を控える必要があったかも? ただ、これはあまりスマホゲームに慣れていない原作ファンがストーリーを堪能できるようシンプルに作られている、とも考えられる。
まあ、後半になればなるほど育成がたいへんになるのはこの手のゲームの常なので、最終的にいいバランスに落ち着くのかもしれないが……。なお、こういった印象はあくまでも物語を進めるときのもの。ゲームを進めるとさまざまなバトルコンテンツが解放されていくのだが、そこに登場する敵はストーリーを進める際に戦う者たちよりもずっと強いので、ヌルい育成はしていられない予感だ。
ゲーム性を左右するバトルの話を続けよう。バトル中にはキャラクター(=拳士)固有の“必殺”や“奥義”も使える。戦術的な話をすれば、奥義は通常攻撃とは別枠で放てるものになっており、奥義発動後に通常攻撃が発動する仕組み。その効果をしっかり把握し、いいタイミングで発動させればかなり有利にバトルを進められるはずだ。
ただ、こと序盤では拳士をしっかり育てていれば奥義を使うまでもなく敵を倒してしまう感じになる。なので、奥義の使用タイミングやどんなパーティ構成にしてどの奥義を用意するかなどに関しては、難度の高いコンテンツが解放されてからじっくり考えればよさそうだ。
また、奥義発動時はド派手な演出を伴うので、それぞれの奥義を見たいがために拳士を集めたくなるという魅力もある。なかでも筆者的がとくに見たいと思ったのが、マニアックな拳士たちの奥技だった。というのも、北斗や南斗の有名拳士たちの奥義は「あんな感じだよね?」というイメージは沸くのだが、それ以外の拳士の奥義の演出、そして技の強さは即座にピンと来ないから!
幸い、ガチャ運がよかった(!?)ため、フォックスやマッド軍曹など、熱心な原作ファンなら「アイツね!」となるヤツらがそれなりに揃ってくれたのは僥倖。それでも、ダカールやマダラの奥義を使ってみられなかったのは、ちょっと悔しく思っている。おそらく、これは『北斗の拳』のザコ好きには共通する気持ちであるハズだ。
そしてこの手のゲームで気になるのが、ガチャによる拳士の輩出だろう。本作は10連ガチャをすれば最低ひとり手に入るという塩梅だった。ただし、その拳士もべつにSRが確定している訳ではないので、そこは個人のヒキの強さが重要になる。人数的な面でいえば、筆者の場合だと、10連で3人の拳士が出たのが最高。ただし、SRはひとりだけだった。余談だが、筆者が今回の先行プレイ時に引けたSRは、レイ、ジャギ、ジャッカル。レイはともかく、残りがシブすぎるだろ……。強めの拳士を優先するパーティ編成をしていたので、バトルに参戦するシーンはある意味スゴイ見た目になってしまったことは、かなり強く印象に残っている。
ちなみに、サウザーやラオウなどが属するURというレアリティーも存在するようだが、どのくらいの割合で手に入るのかも、正式サービス後には注目したい。
また、少し攻略じみた話になるが、本作では少しでも早い段階で星の多い(=育成上限がそもそも高い)拳士たちの数を揃えると、確実にゲームの進行がラクになる。そのため、スタートダッシュキャンペーンなどでもらえるものは片っ端からもらうのがよさそうだ。
ざっくりゲームの中身に関しても解説してみたが、やはり本作を楽しめるかどうかは『北斗の拳』への興味の度合いがカギを握る。少年時代に週刊少年ジャンプの全盛期が直撃している筆者のようなタイプには「アリ」だと思う。、面倒な操作もあまりないし、日々ちょこちょこログインしてじっくり拳士を育てていくぶんには……長く楽しむことができそうな気がする。
一方、『北斗の拳』でパチンコやパチスロをイメージするような若い世代の人にはどうか? 結論から言えば、そういった人でも、キャラクターや設定などに何となくでも魅力を感じたことがあるなら、ぜひともプレイしてみてほしい。なぜなら本作は「じつは原作はキチンと読んだことないんだよね」という人にかなり向いているから。
原作に忠実な追体験ができる本作で遊び、ちょっとでもハマったらさらに原作マンガを読んでもらうと……『北斗の拳』のおもしろさの神髄をオジサン世代と共有できるような気がする。あまり押しつけがましいことを言っても仕方がないので、今回は「基本タダだし、まずは触ってみれば?」ということを最後にお伝えして、筆を置きたいと思う。