『ライブ・ア・ライブ』といえば、いつの間にか有名になっていた名ゼリフ。このセリフが出てくるシナリオは後編の記事で紹介します。

※あの世でわび続けてほしかった理由を考察した後編の記事はこちら。

『ライブ・ア・ライブ』が25周年……何、それは本当かね

 いまをさかのぼること25年。ちょうど四半世紀前の1994年9月2日、1本のRPGが発売された。

 そのゲームはあらゆる点でユニークで、プレイした者の心にいまなお深い記憶を刻みつけた。

 “7本(+α)のオムニバス・シナリオ”、“それぞれ異なる一流マンガ家によるキャラクターデザイン”、“戦略シミュレーションのようなマス目の戦闘”、“ユーモア溢れるセリフ”、“隠し要素満載のゲームデザイン”……記憶に残るその特徴を挙げていくと、枚挙にいとまがない。

 ゲームの名は『ライブ・ア・ライブ』。

 当時からRPGの分野で大ヒットを飛ばしていたスクウェア(現スクウェア・エニックス)発売のゲームの中でも、ひときわ異彩を放つ作品だ。

 時田貴司ディレクターによって生み出された本作は、20周年、25周年のタイミングでイベントが行われるなど、そのユニークさ、異色さは、人々の記憶に強く残り、いまだ根強い人気を誇っている。

 そんな本作について、どのような点がユニークだったか、発売当時リアルタイムで遊んだ編集者が当時の思い出を交えつつ、全編を改めて振り返ってみる。

チェッカーバトルは7×7のマス目で繰り広げられる戦闘。キャラクターをマス内で自由に動かすことが可能。技によって威力や攻撃範囲が異なり、戦略的な戦いが楽しめる。

“7本のRPGが入っている”オムニバス形式のシナリオ

 何より特徴的なのが、ゲームが7つの短編ストーリーから成り立っていて、遊ぶシナリオを自由に選べるところ。

 最初に選択できる物語は以下の7篇(カッコ内はキャラクターデザイン)。

  • 原始編(小林よしのり)
  • 功夫編(藤原芳秀)
  • 幕末編(青山剛昌)
  • 西部編(石渡治)
  • 現代編(皆川亮二)
  • 近未来編(島本和彦)
  • SF編(田村由美)

 そして、すべてをクリアーするとさらに新たなシナリオが遊べるようになる(詳細は後編の記事で!)。

 しかも、それらはストーリーや時代設定が異なるのはもちろんのこと、上記の通り、主人公たちのキャラクターデザインがそれぞれ異なっている。きびしいマンガの世界で現在でも第一線で活躍を続ける超一流の漫画家たちが手掛けている点にも注目だ。

 しかも、『拳児』の藤原芳秀氏が中国拳法の師弟を主人公とした功夫編のデザインを担当していたり、『YAIBA』の青山剛昌氏が巨大な城を駆け巡る和風忍法アクションを担当していたりという具合に、それぞれの作家の個性が存分に活かされている。

 とくに、『アオイホノオ』に代表される熱血な作風を得意とする島本和彦氏がキャラクターをデザインした“近未来編”での名ゼリフの数々は多くのプレイヤーの心に深く刻みつけられている。

 各編は、ストーリーのみならずシステムも大きく異なっており、当時の宣伝文句として“1本のゲームの中に7つのRPGが入っている”と語られるくらい、違った味わいやおもしろさを感じることができた。

記憶に残る物語と個性的すぎるシステム

 ここからは、おおまかな時代順に各編の物語とシステムについて紹介していこう。

原始編 『接触』

はるか昔の原始時代。 キビし~い長老のもと 相棒のゴリと気ままに暮らす少年が かりを許される年になった日……

原始の世界 言葉を使わず大冒険

 原始編のもっとも特徴的な点は、セリフが一切ない点。

 何しろ舞台は原始の世界なので、言葉がない。主人公のポゴは、相棒のゴリ、美少女べるとともに、“におい”やジェスチャー、絵文字を頼りに戦闘をしたり物語を進行する。

 全編の中でもかなりトリッキーな物語で、「どれから遊んでいいかわからないけど、時代が最初っぽいから、原始編を遊んでみるか~」と、安易にこれを選んだ小学生はかなり困惑する、初見殺しの物語でもあった(筆者の思い出)。

雲のようなものがにおい。Yボタンで匂いをかぎ“獲物”を見つける。匂いを嗅ぐときのモーションがキュート。
RPGなのにセリフがない。でもストーリーがわかる演出力がすごい。

 「あいい~~~~~~~!」という叫び声などを除き、一切のセリフがないという特殊なシナリオながら、単なるイロモノにならず本格的RPGの味わいを生み出しているのが“合成”システム。

 敵から手に入れた素材を特定の組み合わせで合成し、より強い武具を作成してステータスを高めていく。現代のゲームでも見掛けるようなシステムが実装されていたのだ。

当然ネットもない時代、強い武具を作る組み合わせを発見するのに苦労した。

原始編の隠し要素

 とにかく、いろいろな隠し要素が随所に仕込まれている本作。原始編ではとある条件を満たして戦闘できる“キングマンモー”という隠しボスがいた。

キングマンモーの特殊攻撃でだいたい火炎床化。戦場は火の海になる。

 詳細は伏せるが、とにかく戦闘に持ち込むまでがたいへん。さらに隠しボスなので当然のごとく勝利するのがたいへんというキャラクターだったが、それでもドロップアイテムの“コーラのビン”は非常に強力な効果を持つ隠しアイテムで、ぜひとも手に入れたかった。

原始編のボス おーでぃおー

功夫編 『伝承』

所は中国、大志山という山に 拳法使いの老人がいた。 年老いてきた彼はその拳法を 受け継ぐ若者を探す……

カンフー映画風なシナリオやBGMがステキすぎる

 作中で1~2を争う“泣けるシナリオ”としても名高い功夫編。

 プレイヤーは“心山拳”の老師として、3人の弟子サモ・ハッカ、レイ・クウゴ、ユン・ジョウを育てる。しかし、オディワン・リーをリーダーとする“義破門団”により、3人の弟子のうちふたりは殺されてしまうのだった……。

 物語の前半では弟子探しと育成、後半では弟子とともにボスの待つ“義破門団”の道場へ殴り込みに行くこととなる。

 最終的に弟子はひとりに絞られることになるので、育成時には最初から「このキャラクターを弟子として育てよう」と決めてから育てるほうがじつは効率はいい。

 しかし、「3人ともひいきせず稽古をつけてやろう……」とやさしい親心を見せてまんべんなく稽古をつけてしまうと、ふたりぶんの育成が無駄になり、展開を知らない当時の小学生はふたつの意味で泣くことになったのだった(筆者の思い出)。

3人の弟子。左からレイ、ユン、サモ。とくにユンとサモはなんとなくカンフー映画のスターを思い起こさせる名前になっている。それぞれステータスや特色が異なる。
稽古は実戦形式で行う。弟子に技を叩き込むと、弟子がその技を覚えてくれるのだ。記事の都合上サッと流してしまったが、3人の弟子(候補)はどれも個性的でいじらしくかわいい。だからこそ、プレイヤーはボスのオディワン・リーに怒りを抱くのだ。
メニュー画面の背景や選択肢のカーソルもシナリオによって変化する芸の細かさがニクい。功夫編ではカーソルがパンダに。かわいい。回復アイテムがおいしそう。
と思いきやそのパンダと戦うことも。WWFに怒られなかっただろうか。

功夫編のラスボス オディワン・リー

 義破門団に殴り込んだ老師と弟子は、並み居る幹部たちを蹴散らし、最後に総帥であるオディワン・リーと対峙することになる。

ラスボス、オディワン・リーを前にして、ついに奥義が伝承される。ここの展開超泣ける。超好き。
奥義“旋牙連山拳”はボス戦で一度のみ使用可能。小さなドットキャラクターが素早く攻撃を繰り出す動きがとてもかっこいい。

功夫編の名ゼリフ

 ユンを仲間にする際のイベント。ユンを取り囲むならず者たちに、「強さとは肉体の強さだけではない」と諭す老師。強さとは、強くあろうとする心そのものなのだ。

幕末編 『密命』

ときは幕末 この天地動乱の時代にも 影ながら生き続ける“忍び”に 密命が下った……

やり込み度抜群! 仕掛け満載のからくり城を駆け巡れ

 あの青山剛昌デザインの主人公“おぼろ丸”がなんともかっこいい幕末編は、忍者が主役の純和風RPG。

 炎魔忍軍の若き忍者おぼろ丸が、巨大なカラクリ城“尾手城”に忍び込むことになった。城を攻略するおぼろ丸は、その秘密と黒幕を知る。

 特徴的なのは敵キャラクターとの戦闘が接触エンカウント式なこと。

 Yボタンで“隠れみの”を使って隠れると、ステルスアクション式に戦闘を回避することができ、条件は難しいものの、クリアーまで人間を斬らない“0人斬りクリアー”を達成することができる。

 逆に、すべての敵キャラクターを斬って斬って斬りまくれば、ちょうど“100人斬り”も可能。斬るか斬らないか、生殺与奪はプレイヤーに委ねられている。

敵キャラクターを倒すたびにカウントしてくれる。0人斬り、100人斬りともに条件は結構きびしい。

 広大な城の中には様々な仕掛けが施されており、なにしろ幕末編は全編この尾手城が舞台となるため、作中ナンバーワンのダンジョンと言ってもいいだろう。

 隠しボス “岩間さま” (でかい鯉)や、江戸時代の有名人である宮本武蔵や天草四郎も登場。それらはすべて倒しても倒さなくてもいい。いずれも強敵で、倒そうと思うとかなりの工夫が必要になる。仕掛けの複雑さ、敵の強さも含めて、やり込み度ではいちばんのシナリオかもしれない。

幕末編の名ゼリフ

ちなみに、土佐弁監修は高知県出身の野村哲也氏。古い土佐弁っぽくするために、電話をしておじいちゃんに聞いてもらったのだとか。

 おぼろ丸の使命とは、尾手城に囚われたとある男の救出だった。土佐弁で蓬髪、短銃や北辰一刀流の使い手である幕末随一の有名人・坂本龍馬が仲間になってボスといっしょに戦ってくれる。

幕末編の隠し要素 抜け忍

抜け忍になることを逡巡するおぼろ丸。ところで選択肢のYesが「むう」っていうのかわいいよね。

 幕末編のやり込みと言えば、もうひとつのエンディングである“抜け忍END”もそのひとつ。

 やりかたは(ある意味)簡単で、始まったところの城の入口から、使命を果たさずに出ていくだけ。その後の選択肢を選んでいくと、抜け忍になることができる。

 しかし忍者の掟は鋼の掟。抜け忍にはきびしい追っ手がかかり、おぼろ丸を亡き者にしようと戦闘を挑んでくる。“炎魔の手のもの”は強敵だが、何度かこれを倒すとボスとして首領のハヤテが登場。これも倒すとエンディングになるが、幕末編をクリアーしたことにはならない。

 だが、抜け忍ルートを選んだ際の演出が映画的でとてもかっこいいので、一度は見てほしい隠し要素だ。

西部編 放浪

アメリカ大陸 西部開拓時代 放浪を続ける おたずね者が 無法者達におびやかされる サクセズ・タウンにおとずれる……

これは『シェーン』か『駅馬車』か…… “罠”を仕掛けるのが楽しい&超大事

 なんと、戦闘がほぼボス戦しかない(ほかのイベント戦を含めても全部で3回)しかないというシナリオ。

 主人公のお尋ね者サンダウン・キッドは、彼を追う賞金稼ぎマッド・ドッグとともに荒れ果てた西部の町サクセズ・タウンを訪れる。その町は無法集団クレイジーバンチに安全を脅かされていた。

 サンダウンは町の人たちと協力し、クレイジーバンチを退治することになる……。

ウーッ、ワナ!

 西部編では戦闘がほぼないかわりに、プレイ時間のほとんどをワナ集めと設置に費やすこととなる。まちなかにある罠に使えそうなアイテムを探して、町の人に設置してもらうのだが、この際、適正のあるキャラクターに依頼しないと、きちんと罠を仕掛けてくれなかったりする。

 ワナには、ダイナマイトやロープといった定番(?)のものから、にんじんや馬糞、マスターが持っているジェニファーという踊り子のポスターといった一風変わったものまで。このワナを探すのと設置をするのがなんとも楽しい。いざボス戦イベントが始まると、戦闘の前に、クレイジーバンチのならず者たちがワナに引っ掛かる様子を見守ることになる。

「ヒャッハー!」という感じで馬に乗ってやってきて、つぎからつぎへとワナに引っ掛かるクレイジーパンチの面々。

 ウマが思わず落ちているニンジンにつられたり、ちょっとエッチなポスターに引っかかったりと、シリアスなようでコメディ色も強いのがおもしろい。町娘アニーに“フライパン”のワナを仕掛けさせると、そのままぶん投げて敵をやっつけてくれる。ワナとは。

 西部編のボスは、クレイジーパンチのリーダーである“O・ディオ”。ワナをすべてうまく設置することができれば、上の写真のようにひとりきりになるので、かなり楽に戦える。しかし……

 もしもワナをひとつも仕掛けなかったら、O・ディオの仲間たちが画面を埋め尽くす勢いで勢揃い! かなりツライ戦いになる。

西部編の隠し要素 アニーのシミーズ

 アニーにワナを仕掛けさせているあいだに、彼女の部屋のタンスを調べると装備品“アニーのシミーズ”をゲットできる。サンダウンに装備させることもできなくはないが、ここはあえてアニーに渡してその反応を見るのもいいだろう。

後編に続く……

 といったところで『ライブ・ア・ライブ』25周年振り返り記事の前編は終了。後編では残りの現代編、近未来編、SF編と、さらなるエクストラシナリオについて紹介する予定だ!

※後編の記事はこちら

 ちなみに本作はNewニンテンドー3DSとWii Uのバーチャルコンソールで好評配信中。機会があればぜひプレイしてみてほしい。