アメリカのシアトルで開幕したゲームイベント“PAX West”で、Panicが発売予定の携帯ゲーム機“Playdate”を体験することができた。

 あらためておさらいしておくと、Playdateは12週にわたって未知の新作ゲームが届くというユニークな携帯ゲーム機だ。2020年初頭に販売を開始する予定で、日本での展開も予定されている。

 ソフトの供給形態だけででなく、片手に収まる小型なサイズや、2色モノクロの2.7インチ液晶、そして十字キーとABボタン以外に右側面についているクランク(ハンドル)など、高性能化&大型化に逆行するかのような尖ったコンセプトも特徴。発表時には各所で話題を呼んだ。

ゲームと生活の関係への新たな提案となるか?

 さて実際持ってみると、びっくりするほど小さい&軽い! 記者は結構手が小さい方なのだが、楽々とつまんでもちあげられ、スッと手の中に収まる。どこにでも入り、物理的に携帯電話より取り出しやすいハードというのは中々面白い。

 今回遊べたのは、『塊魂』や『のびのびBOY』などで知られる高橋慶太氏による『Crankin’s Time Travel Adventure』。デートに遅刻確定した主人公が、さまざまな障害を乗り越えながら彼女のもとを目指すという内容だ。

 操作はなんとクランクのみというパンクな作りになっており、クランクを手前にくるくる回すと主人公が右に進み、逆回転させると巻き戻る。一方、回さないと静止状態で、ゆっくり回すとアニメーションやサウンドもゆっくりに、急いで回すと高速に再生されるのがミソとなっている。

 実は本作、タイトルに「タイムトラベルアドベンチャー」とある通り、時間差を使ったパズルになっているのだ。

 彼女のもとに向かう道中では、主人公が思わず嗅いじゃう花や思わず飛んじゃうハードル(遅刻中だっつうのに)、そして蝶や弾丸など触れたらアウトのものなどが存在し、後者は主人公の静止状態でも止まらない。

 そこで、例えば弾丸が飛んできた時にどうするかといえば、そのまま進んでも止まっていてもアウトだが、クランクを逆に回して手前の花の所に戻れば、主人公が能天気にしゃがんで花を嗅ぎ、その状態で止めておくと弾丸が頭上を通過して無事セーフ、というワケ。

 そうしてステージが進むと罠が徐々に複雑になり、文字通り時間を行ったり来たりして罠をくぐり抜けていく“タイムトラベルアドベンチャー”になるという寸法だ。

 とまぁ、悪く言えばシンプル、良く言えばハード同様に尖ったゲーム体験になっていたのだが、個人的には後者の感が強い。ハードの持ち歩きやすさとあいまって、何かゲームの進化の過程でいつの間にか失われた可能性を再発見したような感触があった。往年のLCDゲームに、今のインディーゲームの才能が加わったかのような……。

 もちろん、それが値段(米国では149ドル)に見合ったものかは人によるだろう。でももしこの試みがうまく行ったとすれば、現行のゲームハードともスマートフォンゲームとも違う、どこか懐かしくも新しいプレイ感覚と時間感覚を持った、ゲームと生活の新たな関係を提案するものになるはずだ。