専門外の人がピュアな視点でリポート
ファミ通.com読者のみなさん皆さんこんにちは。ライターの斎藤充博です(向かって左)。今日僕が来ているのは『荒野行動』というスマートフォンのゲームの全国大会です。
とは言っても僕はゲームライターじゃないし、ゲームに全然詳しくないです。いちおうNintendo Switchを持っていますが、スマホゲームの流行に関しては全然わからない。『キャンディークラッシュ』とか『LINE ポコパン』あたりで止まっています。
それなのに、なぜ僕が大会のレポートをすることになったかというと……。
ファミ通.comの編集者、ミス・ユースケさんのたくらみなのでした。
最初に話を聞いたときは「そんなにびっくりすることあるか?」と思ったんですが、実際に行ってみたらメチャメチャびっくりしました。その気持ちをそのままレポートさせてください。
ちなみに最初にびっくりしたのはミス・ユースケさんのメガネ(蝶々がついている)。ファミ通.comの編集者、キャラが立っているな……。
会場はまるっきり祭り
大会の正式名称は“荒野Championship-元年の戦い 荒野王者決定戦”。
会場入りして驚いたのが“若い人”と“女性”が多いこと。ゲームの大会に来るのは男ばっかりだろうと思い込んでいたのですが、完全な偏見でした。
この決勝大会の出場選手は(僕が見た限り)全員が男性。ミス・ユースケさんいわく、「若い女性の中には、選手のファンだから観に来たという人もいるのでは」とのこと。
『荒野行動』のトッププレイヤーは、ものすごくモテているってことでしょうか。全然そんな世界知らなかった……。
会場にはコンパニオンと写真を撮れるブースもあり。グッと胸を寄せるポーズをしてみました。
『荒野行動』をモチーフにしたミニゲームもあり。ルーレットで決められた地域にキャラクターを投げます。
物販も盛り上がっています。
着ぐるみもいます。この着ぐるみがゲームのどこに出てくるのか一切知らないんですが、気さくな対応をしてくれてうれしい。
ものすごいローアングルで着ぐるみの写真を撮るミス・ユースケさん。動きが速すぎて写真がぶれてしまいました。 どういうテンションなのか不明です。
その写真、絶対にファミ通.comで使わないと思う……。
スタジオの景気の良さよ……
今回のメインとなる観戦スタジオに来ました。音と光でゴージャスな雰囲気です。まるで景気のよかった昔の日本のようです。最新のゲームの大会なのに……。
こちらは出場選手の席。ゲーミングチェアと大会が用意したハイスペックなスマホが用意されています。スマホにはプレイ画面をキャプチャするケーブルが接続されています。また、スマホを冷却する装置も用意されていて、準備万端。
メインモニターでは出場チームのプロモーション動画が流れています。「ボコボコにするから待っとけよ」と過激な発言で盛り上がっています。
こちらの出場者は、優勝したら賞金を「美容師専門学校に入るための学費にしたい」と語っていました。スマホのゲームの大会で賞金? そんなにたくさん出るんだろうか……?
賞金1000万って……マジか! 1000万の賞金が出る賞を調べてみたら、ミステリー小説の“江戸川乱歩賞”が出てきました。『荒野行動』と江戸川乱歩賞……。くらべたら脳が混乱してきました。
50万人が参加してるって、すごすぎだろ……。ちなみに近い人数としては、島根県の人口が57万人ほどです。
“島根あるある”を語るのと“『荒野行動』あるある”を語るのでは、同じくらいの人達に通じるってことでしょうか……? さらに混乱してくるから、あんまり考えないほうがよさそうな気がしてきました。
「賞金は家族旅行に使いたい」と語るプレイヤー。こんなにすごいゲームのトッププレイヤーなのに、温かくて真面目な雰囲気。思わず村の長老のような気分で「ほほう……。みどころのある若者……」と感心してしまいます。
“eスポーツ”という言葉があります。いままではスポーツと思われていなかったようなビデオゲームをスポーツと同じように競技化していこう、という流れのことです。
「eスポーツって本当にスポーツなのか?」そんな疑問を僕も持っていました。しかし動画を見ていると、たしかに“スポーツ”っぽい。
夏休みに毎日友達の家でピザポテトを食べながら桃鉄している人と、夏休みに毎日野球の練習に汗を流している人がいるとします。この大会の出場者は後者に近い気がするんです。
もっとも、どっちがいいというわけではないですが……。
(編注:いちばん上のAk_えけえむ選手が荒っぽい人のように見えますが、たまたまそういうシーンだっただけです。おそらく撮影スタッフから「格闘技のあおり映像みたいにしましょう」と提案を受けたのでしょう)
静かに始まる序盤
ゲームがスタートしました。あらためて『荒野行動』の流れを説明すると……。
・最大100人が同時に戦うバトルロイヤルゲーム
・フィールドはけっこう広くて、現実だと数キロはありそう
・そのために「敵から隠れる」、「敵を探す」という行動が重要になる
・武器や道具はフィールドの中に設置されている
・今回は5人ひと組のチーム戦
始まったのはいいのですが、戦闘がほどんど発生しません。広いフィールドでお互いに避けるように動きながら、武器や道具を集めています。
なるほど。まずは様子を見ているんですね。会場は緊迫しているのですが、正直退屈だなあ……。
迫り来る安全地帯
なんて思っていたら、不意に会場がざわつき始めました。フィールドに設定される“安全地帯”。このほとんどが海になってしまったのです。どういうことか。
『荒野行動』のフィールドは広いので、そのままだとなかなかプレイヤー同士の接触が起こりません。そこで時間の経過とともに「ある一定の狭いゾーン(安全地帯)に入らないとダメージを受ける」というルールになっています。
安全地帯はランダムに決められるのですが、今回はたまたまほとんど海という場所になってしまいました。プレイヤーの居場所は通常よりもずっと狭いわけです。
ミス・ユースケさんはここからの展開を“地獄”と予告しました。たしかに安全地帯が出てきてから、戦闘があちこちで始まっているのがわかります。すごい勢いでキルされるプレイヤーたち。
そのとき、会場から女性のひときわ黄色い声が上がりました。どうやら人気プレイヤーがキルされてしまった様子。なるほど。これも地獄の一端なのかもしれません。
さらに安全地帯は狭くなり、どんどんプレイヤーたちは苦しくなっていきます。しかしこの状況で圧倒的に有利になったチームがありました。“抜く組”です。
“抜く組”は安全地帯の移動先をあらかじめ予想しており、その中心にある建物を占拠していたんです。
安全地帯の移動先はランダム。本来ならば、予想をすることはできません。“抜く組”は運に任せたリスキーな賭けをしていたのです。
ミス・ユースケさんが盛り上がっている熱気に当てられて、僕もモニター釘付けになってきました。
意外な伏兵による結末
やがてゲームは終盤に。生き残っているのは圧倒的に有利なチーム“抜く組”と、それを切り崩そうとしているチーム“気持ちぃ”。
それともうひとり。チーム“爪楊枝建築倶楽部”の“君の心におれ注入”選手です。“君の心におれ注入”選手は物陰にじっと隠れて動きません。
そんな隠れている者がいることなど知らず、“抜く組”と“気持ちぃ”が激しく交戦しています。2チームがお互いに気をとられている間に、“君の心におれ注入”選手がスッと飛び出しました。このタイミングが絶妙で、残っていたプレイヤーを見事にキル。
会場全体から巻き起こる声。結局、“君の心におれ注入”選手が所属している“爪楊枝建築倶楽部”がこの回の1位になりました。
めちゃくちゃおもしろいなこれ! じっと隠れていたプレイヤーを見ていたら事前に手に汗を握るような緊張感を覚えたし、そこから勝つカタルシスもすごかった。こりゃ盛り上がるはずだわ!
大会は続くけどもう普通にゲームやりたい
この後も大会は続きます(計5戦を行い、トータルのポイントで優勝が決まる)。
途中でプロダンサーのダンスが始まったり、
お笑い芸人とグラビアアイドルたちのエキシビションマッチがあったりしました。ものすごい華やかですね!
ミス・ユースケさんは「グラビアアイドルがうつむいて真剣にゲームをやっている姿がたまらない!」と言っていました。それはどういう性癖なんだろう。
「自分が強くなった気になっていた」ことに気づいた
僕としては、大会の途中で家に帰って『荒野行動』やってみたいな……。という気持ちになっていました。で、やってみたんですが……。
なぜか全然敵に遭遇せず……。
安全地帯に入れずに体力がなくなり、終わってしまったのでした。敵にも味方にも会えていません。ショボいぞ、これは!
トッププレイヤーの戦いを見て、自分もうまくなっているような気がしちゃっていたんですよね……。
というわけで、全然わからないのに『荒野行動』の大会に行ってみたレポートでした。『荒野行動』は無料で遊べます。なにしろ全世界で2500万人がやっているゲーム、その世界をちょっと見てみませんか。フツーにおもしろいですよ!
(大会の結果などちゃんとしたレポートが読みたい方はこちらへ:『荒野行動』参加者50万人の頂点がついに決定! eスポーツ大会“荒野Championship-元年の戦い”荒野王者決定戦をリポート)