昭和の時代を彩ったファミコン、メガドラ、PCエンジンの復刻機が令和の時代に揃い踏み!

 2016年11月10日に発売が開始されたニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ(以下、ファミコンミニ)は、そのサイズ感と機能性、懐古心をくすぐる要素などにより、多くのゲームファンの関心を集めて大ヒットを記録。

 その後、復刻ミニハードが各社より継続して発売されるブームを巻き起こすこととなったが、ゲーム機市場が勢いを見せて成長していた1980年代にファミコンと覇権争いをくり広げていたPCエンジン(1987年発売)とメガドライブ(1988年発売)の復刻機が今年と来年に立て続けに登場することで、昭和後期を賑わせたゲーム戦国時代の思い出が令和の時代に蘇ることになった。

復刻機ブームの火付け役となったファミコンミニ。本体だけでなく、パッケージまでもオリジナルデザインをそのままに小型化。気軽に懐かしのファミコンソフトがテレビで遊べるということで、大ヒットを記録。
16ビットゲーム機として1988年に登場し、ゲーム業界を賑わせたメガドライブも今年ミニサイズとなって復刻。オプション品を用意すればメガCD、スーパー32Xをセットした“メガドラミニタワー”も再現可能となっている。

 2019年9月19日発売のメガドライブ ミニは、昨年開催された“セガフェス2018”のステージイベントにて復刻を発表。その後、2019年6月4日に配信が行われた“『メガドライブミニ』びっくり話”にて、全収録42本の収録タイトルが発表され、大きな話題を集めていた。

 往年のゲームファンなら、ファミコン、メガドラときたこの流れで、PCエンジンの復刻機を望むところだったが、2019年6月に米国で開催されたE3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2019にて、KONAMIが“PCエンジン ”の復刻機を発表。’80年代のゲームシーンを席巻した最後の砦、PCエンジン ミニが2020年3月19日に発売されることとなった。

PCエンジンって、どんなハードだったの?

 PCエンジンといえば、1980年代に圧倒的な人気を博していたファミコンに対抗すべく、日本電気ホームエレクトロニクスとハドソンが提唱した規格、“HE-SYSTEM”(ホームエンターテインメントシステム)の思想に基づいて設計・発売されたゲーム機。

 当時としては圧倒的なグラフィック性能を有しており、本体をコア(核)とし、周辺機器を装着することで多彩な機能を持たせようという“コア構想”によって、さまざまな拡張性も実現。その最たるものとしては、日本の家庭用ゲーム機では初となったCD-ROMドライブ(CD-ROM2)の採用があげられるだろう。

発売当時、CDケースとほぼ同等のコンパクトなサイズながらもアーケードゲーム並のゲーム体験をもたらせてくれた初代PCエンジン。
PCエンジンの発売当初に提供されるゲームは、HuCARD(ヒューカード)と呼ばれるクレジットカードサイズのカートリッジを採用。カードの裏面には名前記入欄も用意されていた。
※右画像の左端は比較用のクレジットカード
HuCARDを収めるケースもCDサイズとなっているが、後に登場するCD-ROMのソフトと合わせての収納も発売当初から考慮されていたことになる。
“PC”の名を冠するハードだけあってか、コントローラにあるゲーム開始用のボタンが“スタート”ではなく、“RUN”となっているのは心憎いところ。

PCエンジン スペック

発売元:NECホームエレクトロニクス
発売日:1987年10月30日
価格:24800円
CPU:HuC6280(クロック:7.16MHz)
音源(CPU内蔵):波形メモリ6音〜波形メモリ4音+ノイズ2音
メインRAM:8KB VRAM:64KB
表示解像度:336×224ドット(最大512×224ドット)
同時発色数:最大512色
スプライト:最大64個(スプライトサイズは最大32×53)
バックグラウンド:1面
対応メディア:HuCARD
サイズ:約140×135×40mm
重量:350g

1988年には国内家庭用ゲーム機として初のCD-ROMメディアを採用

 1988年12月4日、PCエンジンの外部拡張ユニットとして、CD-ROM2(CDロムロム)が登場。ディスク1枚あたり約540MBという、当時としては破格の大容量(※)を手に入れたことにより、高品質のグラフィックに加え、キャラクター音声や内蔵音源に頼らない音楽を奏でることができるなど、それまでのゲームカートリッジの制限を超える体験を実現。以降の家庭用ゲーム機が進化する方向性に、大きな影響を与えることになった。

※PCエンジンの初期のHuCARDの容量は1枚あたり128KB、後期でも1枚あたり2MB程度と、CD-ROMと比較すると約270〜4000倍もの容量差があった。

1988年12月4日に発売されたCD-ROM2。PCエンジン本体が完全フィッティングするように収まっている様は、まさに“コア構想”を具現化したスタイルと言えるだろう。PCエンジン本体は別売りで、59800円という価格で発売。当時のゲーム少年たちにとっては高嶺の花でもあり、所有しているだけで友だちに自慢できるほどの高価格ハードであった。
PCエンジンのCD-ROM2は、核となるPCエンジン本体に、CDドライブの役割を持つCD-ROM2プレイヤーと、これらを結合してテレビへの出力を行うインターフェイスユニットで構成。ゲーム機がドッキングすることでパワーアップ(機能拡張)するという要素に、当時のゲーム少年たちは心躍らせていたものだ。
CD-ROM2ユニットには、持ち運びや収納を考慮した本体カバーも付属。インターフェイスユニットに覆い被せることで、PCエンジン本体とCD-ROM2ユニットを保護することが可能。
インターフェイスユニットの背面には、キャリー用の取っ手部も収納。取っ手を持ち上げると、容易に持ち運ぶことができるなど、細かな仕掛けも用意されていた。
CD-ROM2プレイヤーは、単体で音楽CDを再生するプレイヤーとしても利用可能(ただし、バッテリーは内蔵していないので電源を接続する必要あり)。本体正上面には再生・停止ボタンなどが用意されており、サイドにはヘッドホン端子も設けられている。
小島秀夫監督が1988年にPC用ソフトとして手掛け、1992年に完全版としてPCエンジン向けに発売したSFアドベンチャーの名作『スナッチャー』。同作はCD2枚組のケースにディスクが収められており、読み切りコミックが付いた取り扱い説明書と、設定資料集を同梱。設定資料集は武器や乗り物、謎の敵であるスナッチャーの基本的なシステム解説のほか、ゲームの舞台となっている2042年のネオ・コウベ・シティの産業や構造、環境問題、社会現象、交通システム、世界情勢など、細部に渡る細かな設定が掲載されていた。PCエンジン ミニでも、これらの設定が見られるとうれしいところだが……。
後にPCエンジン+CD-ROM2ユニットを一体化した“PCエンジンDuo”(1991年9月21日発売、59800円)や“PCエンジンDuo-R”(1993年3月25日発売、39800円)、PCエンジンDuo-RX(1994年6月25日発売、29800円)なども登場。

週刊ファミ通の過去記事から、PCエンジンの魅力的なタイトルを振り返る

 今を遡ること3年前。ゲーム機の小型復刻版の先駆けとも言うべきニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータが発売された2016年に、本誌2016年12月22日号では“こんな小型機が出てほしい”という特集、“決定! ファミ通的ミニ○○”を掲載。

 掲載当初は、当然のようにPCエンジン ミニが本当に発売されるなんて思いもせず、“ミニPCエンジンはこうしてほしい!”という希望を好き勝手にあげていた。

写真ではわかりにくいが、本特集用に厚紙などを用いてミニPCエンジンを自作。もともとがコンパクトでシンプルデザインであったPCエンジンだけに、手作りとはいえ再現度はなかなかと言えるかも。今回は据え置き機の復刻となったが、上記記事内にも書いてあるように、携帯型のPCエンジンGTやPCエンジンLTもミニサイズで復刻してほしいところ。今後の登場に期待したい。

 記事を見てわかるように、編集者の最終的な希望は1.デザインは初期型を採用2.CD-ROM2のソフトも収録3.マルチタップは同梱、といった形にまとまっていた

 このうち、初期型のデザインは国内向けのPCエンジン ミニに、CD-ROM2のソフトも『イースI・II』や『ときめきメモリアル』、『スナッチャー』など、収録が実現している。

 3番目のマルチタップについては同梱こそならなかったが、本体にはふたつのコントローラ(USB)端子を搭載しており、また別売りではあるがコントローラを5個接続できるマルチタップの発売も決定しているなど、ほぼファミ通編集者の希望が叶う形となっている。

PCエンジンのオリジナル版(写真左)はコントローラ入力端子はひとつしかないため、対戦プレイをするにはマルチタップが必要だったが、PCエンジン ミニ(写真右)はコントローラ端子が標準で2個用意されているので、(コントローラを2個用意すれば)すぐに対戦・協力プレイは可能。別売りのマルチタップ(とコントローラ5個)を使用すれば、オリジナル版同様に最大5人までの同時プレイも可能となる。

 また、同記事では“もしPCエンジンの小型機が出たら?”という妄想のもと、編集部でも旧世代のゲーム機については一家言ある阿部ピロシ、オポネ菊池、ででお、みさいル小野の4人が、これまた好き勝手に30本の収録希望ソフトをセレクト。

 実際に発売されるPCエンジン ミニでは、この希望ソフト30本のうち何本が収録されることになったのだろうか。特集記事であげた希望タイトルで、収録が決まっているタイトルに◎印を付けてみた。

こうしてみると、編集者希望タイトル30本のうち、18本が的中。かなり好き勝手に選んだものとはいえ、なかなかの的中率になったのではないだろうか。なお、『ボンバーマン』は無印版こそ入らなかったものの、シリーズ3作目となる『ボンバーマン’94』がPCエンジン ミニに収録されている。

 また、本誌2016年6月16日増刊号では“ファミ通読者が選ぶ思い出のゲームランキング”を掲載。

 こちらは、本誌30周年を記念する号で、読者アンケートの結果選ばれた各ハードの思い出のタイトルをランキング形式で紹介する企画記事となっていたのだが、“PCエンジン 思い出の1本”上位10タイトルは王道を行くヒット作を中心に、『邪聖剣ネクロマンサー』や『スナッチャー』など、やや高めの年齢層を狙った刺激の強い作品がランクイン。『ときめきメモリアル』や『銀河お嬢様伝説ユナ』といった元祖ギャルゲーといった作品を推す声も聞こえていた。

 編集者希望と同じく、◎印が付いているタイトルがPCエンジン ミニに収録が決まっているタイトルになっているのだが、こちらは10本中7本が的中するという結果となった。

トップ10には入らなかったものの、『超兄貴』、『ダンジョンエクスプローラー』といった収録が決定しているソフトも、“そのほかのタイトルを選んだ読者の理由”として紹介されていた。

PCエンジン ミニは日本、欧州、北米向けに3つのタイプが登場

 ここまで紹介してきた初期型のPCエンジンを復刻・小型化したPCエンジン ミニは日本国内に向けて発売されるモデルとなっているが、欧州向けには後継モデルの“PC Engine Core Grafx mini”が、北米向けには海外版PCエンジンとして発売されていた“TurboGrafx-16 mini”を用意。

 各バージョンによってハードの見た目と収録タイトルの一部に違いがあるほか、欧米向けの2機種はオリジナル版同様、コントローラに連射機能が標準搭載されているという差異がある。

PC Engine Core Grafx mini
PCエンジン コアグラフィックスは、初代PCエンジンのマイナーチェンジ版として1989年12月に登場。それまで白基調だった本体カラーをグレーに変更したほか、映像出力端子をアンテナ出力のRF端子からAV端子に変更。コントローラに連射機能を標準搭載するなどといった変更が加えられている。
TurboGrafx-16 mini
日本発売から約2年後となる1989年8月に北米向けに発売されたTurboGrafx-16は、基本的な性能は国内盤PCエンジンと同等ながら、本体サイズは倍近い横長の形状となっていた。

 収録タイトルのほとんどは共通ながら、『天外魔境II 卍MARU』、『ときめきメモリアル』、『スプラッターハウス』は国内版PCエンジン ミニにのみ収録。『沙羅曼蛇』、『Splatterhouse』は欧米版“PC Engine Core Grafx mini”と“TurboGrafx-16 mini”にのみ収録される専用タイトルになるなど、一部収録タイトルが異なっている(そのため、国内版PCエンジン ミニは収録タイトル数が58本、欧米版の“PC Engine Core Grafx mini”、“TurboGrafx-16 mini”は収録タイトルが57本となる)。

 欧米版にある『Splatterhouse』は『スプラッターハウス』の海外向けタイトルとなっているので、実質的にどのバージョンにも収録されていると考えられる、そのため、国内版で未収録といえるのは、『沙羅曼蛇』のみと思っていいだろう。

国内向けのPCエンジン ミニには未収録となった『沙羅曼蛇』。国内にもファンの多い名作シューティングゲームだけに、国内向けのPCエンジン ミニで遊べないのは残念なところだ。

 PCエンジン ミニの発売は約7ヵ月後(2020年3月19日)と、本機で遊べるのはまだしばらく先になるが、前述のように2019年9月19日にはメガドライブ ミニがひと足早く発売開始されることとなる(実際のオリジナル版はPCエンジンが1987年10月30日発売、メガドライブが1988年10月29日発売)。

 これで、1983年7月15日発売のファミコンの復刻機、ファミコンミニと合わせて、1980年代にゲーム業界を活気づけた主要ゲーム機が令和の時代に揃うこととなったわけだ。

 昭和を彩った名ゲーム機たちが登場から30年以上の時を経たいま、ふたたび相まみえることに。

 復刻機でいうと2017年10月5日にニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンが、2018年7月24日にネオジオ ミニが、2018年12月3日に‎プレイステーション クラシックが発売されており、ファミコンミニの登場以降、毎年のように何らかのゲーム機の復刻版が登場していることになる。

 つぎなる復刻機はいったい何になるのか? マスターシステム、ニンテンドー64、セガサターン、ドリームキャスト、ゲームキューブ、3DO、アタリジャガー、Xboxなどなど、まだまだ復刻が期待されるハードはいくらでも存在している。

 今後の新復刻機の登場に思いを馳せつつ、いまは発売が決まっているPCエンジン ミニで遊べる日を心待ちにしたいところだ。

筆者がこれまでに購入したおもな復刻ゲーム機。左からネオジオ ミニ、ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ、ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン、プレイステーション クラシック。ここに今年9月にメガドライブ ミニが、来年3月にPCエンジン ミニが加わることになる。

PCエンジン ミニ スペック

メーカー型式:HTG-008
本体サイズ:120mm×115mm×35mm

出力端子:HDMI端子

使用電源:micro-B給電

映像出力:720p、480p

音声出力:HDMI端子からのリニアPCM2CH出力

付属物:

・専用コントローラー ×1個 ※連射機能なし
・USBケーブル(電源供給用)×1本
・HDMI ケーブル×1本
・取り扱い説明書 
プレイ人数:1〜5人

※同時プレイには人数分のコントローラーが必要です。
※3~5人で同時プレイする場合は「マルチタップ for PCエンジン mini」が必要です。

発売日:2019年3月19日
価格:10500円[税抜]