和菓子の魅力をもっと広めるために作られたコラボ和菓子

 和菓子の製造・販売を行う鶴屋吉信と、世界中で愛されているゲームキャラクター『星のカービィ』がコラボレーション。2019年7月7日より和菓子“カービィのまんまる手づくり最中”が店舗限定で販売開始となった。創業1803年より200年以上の歴史を持つ、京都の老舗菓子司と『星のカービィ』のコラボ和菓子はなぜ生まれたのだろうか? 4人のキーマンに、本コラボの経緯や制作秘話などをうかがった。

商品情報
カービィのまんまる手づくり最中 1缶入
■内容:小倉あん×1缶、最中種(雲デザイン)×1缶(12枚(6組))、ヘラ×1本
■価格:1450円[税抜](1566円[税込])
■特定原材料等27品目:使用なし
※“1缶入”は小倉あん+雲デザインのみでの販売となります。こしあん+松デザインでの販売はありません。

カービィのまんまる手づくり最中 2缶入
■内容:小倉あん・こしあん×各1缶、最中種(雲デザイン)・(松デザイン)× 各1缶(12枚(6組)、ヘラ×1本)
■価格:2900円[税抜](3132円[税込])
■特定原材料等27品目:使用なし

詳細は鶴屋吉信公式オンラインショップ特設サイトをチェック

『星のカービィ』と京都老舗菓子司“鶴屋吉信”がコラボ! “カービィのまんまる手づくり最中”はいかにして生まれたのか?_01

小西 稔(こにしみのる)

鶴屋吉信 取締役 営業担当

八重尾 祥子(やえおしょうこ)

鶴屋吉信 営業企画担当

仲上 雅代(なかがみまさよ)

ハル研究所/ワープスター MDディレクター

藤江 宏志(ふじえひろし)

ハル研究所/ワープスター ブランディング スーパーバイザー

――今回のコラボレーションは、どのような経緯で動き始めたのでしょうか?

小西お客様の嗜好が洋菓子に向いており、いままで和菓子に馴染みのなかった若いお客様を始め、2020年東京オリンピックを控え、海外から来られるお客様にも、和菓子の魅力を広めたいという想いが当社の中にありまして模索した結果、キャラクターとコラボさせていただくのはどうだろうかと。そこでご縁がある取引先さんにご相談させていただいたところ、ワープスターの藤江さんをご紹介いただき、企画が進んでいきました。

――もともと小西さん、八重尾さんは『星のカービィ』について、どのような印象をお持ちだったのでしょうか?

小西私はゲームに詳しくないので、八重尾に、「今度こういうことをやろうと思っているんだけどどう思う?」と相談したのですが、彼女はすごく興奮していましたね(笑)。

八重尾もちろん『星のカービィ』の人気の高さは知っていたので、そんな有名なキャラクターとコラボできると最初に聞いたときはたじろぎました。

――藤江さん、仲上さんは、鶴屋吉信についてどのような印象をお持ちでしたか?

藤江しっかりとした背景と理念を持った日本を代表する和菓子のメーカーさんということは存じ上げていました。僕らとしては、こんなにすごい方たちからお声掛けいただいたのだから、とにかく誠意を持ってしっかりと向き合わせていただく、ということをまずは考えました。

仲上学生時代に京都で暮らしていましたし、鶴屋吉信様のことはよく存知上げていたので、お声掛けいただいたときは、私も八重尾さんのようににわかに信じられないほど驚きました。日本で生まれたキャラクターという位置付けで『星のカービィ』が何かに取り組むことがじつはいままでなかったので、鶴屋吉信様とごいっしょさせていただくにあたり、そういう部分を突き詰めていって、鶴屋吉信様の京都の伝統とコラボする意味を『星のカービィ』の中に見出せればと考えていました。

『星のカービィ』と京都老舗菓子司“鶴屋吉信”がコラボ! “カービィのまんまる手づくり最中”はいかにして生まれたのか?_03

――なるほど。“手づくり最中”は鶴屋吉信側から提案されたのでしょうか?

小西社内で商品アイテムの候補が3つ挙がり、その中から“京べに(手づくり最中)”を第1候補としてご提案させていただきました。

八重尾“京べに”はアイスクリームなどを足したりと、ご自分でアレンジして食べていただけるお菓子です。ただ、和菓子屋としてアレンジのことをふだんは表立って言えません。あえてそういうところを押し出し、和菓子はそんなに敷居が高いものではなく、もっと楽しくみんなで食べていただけることをアピールするには、食いしん坊で何でも吸い込むカービィがピッタリでした。

――商品のコンセプトとカービィのイメージがマッチしていますね! 商品完成にいたるまでに苦労されたところはありますか?。

八重尾最終的なデザインに落ち着くまで、ワープスター様と何度もやり取りさせていただきました。『星のカービィ』と言えばパステルカラーでかわいらしいポップなキャラクター、というイメージが強く、初期段階はかなりポップなデザインでした。それから何度かワープスター様と対話を重ねていくうちに、コラボの意味があるものにするには和風のデザインがいいだろうと。ただ、今回はよくある和風をあえて外し、いままでにないものということで、仲上様からもいろいろなアイデアをいただき進めていたのですが、どこまで『星のカービィ』をアレンジしていくかのバランスがすごく難しかったですね。

――仲上さんとのやりとりで印象に残っているエピソードはありますか?

八重尾“こしあんセット”の缶には、松の木になったウィスピーウッズが描かれているのですが、当初は「ウィスピーウッズが松の木になったらおもしろいのでは?」と、なかばダメもとで描いて提出させていただきました。その後、仲上様から「こういう風にしたら顔が似るので調整してください」と、予想外に柔軟なお答えをいただき、その後もこちら側が恐れているよりもずっと柔軟なご意見、ご指導をたくさんいただいたので、最終的におもしろいものが出来上がったと思っています。

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商品完成にいたるまでに作成されたデザインの数々。

――本商品について、とくにこだわられた部分を教えていただけますか?

小西当社には、“ヨキモノを創るためには材料、手間暇を惜しまないこと”という家訓がありまして、本商品に関してもとくに餡にはこだわっています。小倉あんには丹波大納言小豆を使用しています。また、あえて書いていませんが、最中にも国産の100%のもち米を使用しており、もち米をつきお餅にして焼いています。お味に関しては一度食べていただければおわかりになるかと思います。

八重尾『星のカービィ』の格を下げないと言いますか、奇抜なことをやっている、何でもありなキャラクターなんだと思われてはいけない。上品なものであり、『星のカービィ』の世界観を崩すことなく、そこにカービィを合わせた際にいちばんキレイに見える見えかたはなんだろう、と思いながらデザインしていました。たとえば、和風デザインにしたときに、カービィに着物を着せるという楽しみかたもあると思いますが、この商品のコンセプトとは異なります。歴史があっていろいろな方に愛されているキャラクターなので、カービィが和風の世界に入ってきたときにどういうことをするだろう? と想像をしながらデザインさせていただきました。

――今後も『星のカービィ』とのコラボは予定されているのでしょうか?

小西そうですね。今回のご縁は今後も大切にしていきたいと考えています。

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