アメリカのテキサス州で開催中のゲームイベント、“QuakeCon”。その起源は1996年に『Doom』や『Quake』で知られるゲームスタジオid SoftwareのファンがPCを持ち寄って集まったことに始まる。
QuakeConはその後id Softwareの公式イベントへと発展し、さらに近年は主催がidと同グループのベセスダ・ソフトワークスとなって、idタイトル以外も扱われる同パブリッシャーのプロモ施策に欠かせないイベントとなったが、目玉企画のひとつ“BYOC”にはその本来のスピリットが今も根付いている。
BYOCとは“Bring Your Own Computer”の略で、要は「自分のコンピューターもってこい」ということ。別の言い方ではLANパーティーとも呼ばれる。
QuakeConのもうひとつの顔は、毎年2000台を優に超えるゲーミングPCが持ち込まれ、会期中を通じて夜通しPCゲームを遊び倒す、北米最大級のLANパーティーなのだ。
日本でも“C4 LAN”などのイベントを通じて雰囲気を知っている人もいるかと思うが、BYOCでやっている事はみんなバラバラだ。
別にFPSに限らずレトロ系から最近のインディーゲームや大作系まであらゆるPCゲームが遊ばれていて、さらにプロジェクターまで持ち込んでアニメを流してる人もいれば、自慢の改造ケースの横で満面の笑みを浮かべてBAWLS(QuakeCon以外ではあまり見かけないエナジードリンク)をがぶ飲みしている人もいる。
あまりにも自由なので今年初参加の筆者はピザをコーラで流し込みつつノートPCで原稿を書いてみたのだが、みんな遊ぶのに忙しいので特に突っ込まれもしない。会場が巨大なので空気はぬるいが、居心地は結構いいなコレ……。
会期中にはBYOC会場限定のステージイベントの類もあって、『Doom II』や『QuakeWorld』などのクラシックなidタイトルの半公式対戦会や、スピードラン(タイムアタック)大会はもちろんのこと、深夜ノリならではのイベントもちらほら。
そんな中で面白かったのが“ダーティーキーボードコンテスト”、BYOC参加者の中で「我こそは」と思う汚いキーボードの持ち主がわざわざ自宅からブツを持ち寄って競う“汚キーボード選手権”だ。
審査するのは、id Softwareの重鎮としてスタジオを率いてきたティム・ウィリッツ氏や、ベセスダ・ソフトワークスのE3発表会などで冒頭に出てくるPR・マーケティング部門の超偉い人ピート・ハインズ氏ら、4人のジャッジ。悲鳴をあげたりマジにえづいたりしながら、汚れ具合や異物の侵入具合を鑑定していく。
優勝したのは、まさかの女性参加者。トップ3の入賞者は賞品として新品のゲーミングキーボードが貰えるので、司会が「よし、じゃあその汚物捨てようか!」と提案したのだが、「今日じゃないわ!」と去っていくまさかの展開に全員もうひと笑いしたのであった。アレ、持って帰るのかよ……。