アベンジャーズやX-MEN、インヒューマン等々……夢のスーパーヒーロー競演が実現!
アメコミを代表する2大レーベルのうちのひとつ、マーベル・コミックス。同レーベルにて活躍するスーパーヒーローたちが一堂に会し、夢の競演をくり広げる共闘アクションゲーム『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』がいよいよ本日(2019年7月19日)、発売開始となった。
本作には、総勢30名以上のマーベルを代表するスーパーヒーローたちが参戦するだけでなく、ヒーローたちを悩ませる魅力溢れるヴィランたちも多数登場。宇宙規模の壮絶なバトルが展開する、アクションゲームとなっている。
今回、本作の発売を前に遊ばせてもらえる機会が得られたので、プレイインプレッションとともにその魅力をお伝えしようと思うのだが、マーベル系作品についていろいろと語ると長くなってしまうので、最初に結論をまとめて書かせてもらおうと思う。
有り体に言ってしまうと、マーベルシリーズのファンなら買い! というひと言に尽きる。マーベル作品というと、映画『アベンジャーズ』シリーズでおなじみのマーベル・シネマティック・ユニバース系作品(『アイアンマン』、『マイティ・ソー』、『ハルク』、『キャプテン・アメリカ』、『アントマン』、『スパイダーマン』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、『ドクター・ストレンジ』、『ブラックパンサー』など)は言うに及ばず、『X-MEN』(X-MENはチームなので、これまた多くのスーパーヒーローが存在)、『デッドプール』、『デアデビル』等々、枚挙に暇がないほど多くのスーパーヒーローたちが存在している。
映画『アベンジャーズ』は多くのヒーローが登場しながらも、X-MENやデッドプール、デアデビルといった個性的なヒーローの参戦は叶っていないが、『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』では、それらも含めた多くのヒーローたちが集まって壮大なアクションをくり広げてくれるというのだから、ファンにとってはテンションが高まらないはずがないだろう。
ただ、ファン以外にはオススメできないのかというと、決してそんなことはない。「ファンなら買い!」だけでレビューを終わらせてしまっては身も蓋もないので、もう少し詳しくゲームの内容について紹介していこう。
今回紹介する『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』は、2006年に第1作『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE』が登場し、2009年に『Marvel: Ultimate Alliance 2』が発売されており(『Marvel: Ultimate Alliance 2』は日本未発売)、今回はシリーズで3作目。
シリーズを通しての基本は、多数登場するヒーローの中から4人のチームを編成し、定められたミッションに立ち向かっていくアクションRPGとなっている。
ひとりで4人のヒーローを自由に切り替えながらプレイするシングルプレイのほか(プレイヤーキャラクター以外の3人はCPUキャラとしてサポートをしてくれる)、最大4人での共闘が楽しめるマルチプレイにも対応。
友だちどうしでニンテンドースイッチを持ち寄って遊ぶローカルプレイ以外に、1台のニンテンドースイッチに最大4つのJoy-Conをつなげて遊ぶおすそ分けプレイ、インターネット回線を使って世界中のプレイヤーと遊べるオンラインプレイに対応。とくに、ローカルプレイやおすそ分けプレイといったマルチプレイが気軽に楽しめるのは、ニンテンドースイッチならではの利点だ。
今回の試遊では、おもにシングルプレイを中心に遊ばせてもらったのだが、以下に該当する人たちには本作をとくにオススメしたい。
- 仲間といっしょにワイワイとアクションゲームを楽しみたい人
- とにかくアメコミヒーローが好きな人
- マーベル系の映画でスーパーヒーローに興味を持った人
ゲームとしてのバランス、完成度の面に関しては、アクションゲームの開発で名を馳せる開発部隊“Team NINJA”が制作を担当しているだけあって、各キャラクターの特徴を活かした攻撃や戦闘バランスなど、細かな部分まで非常に考慮されている点が感じられる。
アクションに関しての基本的な操作は弱攻撃、強攻撃、ジャンプ攻撃の3つをベースにしたシンプルなもの。そこに、ヒーロー毎の特徴をもったアビリティ攻撃と、ここいちばんのときの必殺技“エクストリーム”や、仲間との共闘技“アライアンスエクストリーム”といった攻撃法が加わることで、簡単操作ながらアメコミヒーローらしい超ド派手なバトルが楽しめるというわけだ。
シンプル操作でアメコミらしくド派手な展開が楽しめる!
ゲームの進行は、ステージごとに設定された最終目的地までたどり着き、そこに待ち構えるボスを倒すといった形で進行していく。ステージも、宇宙を漂流していたクリー・スペースシップ(地球を凌駕するテクノロジーを持つクリー人が所有する宇宙戦艦)に始まり、スーパーヴィランを収容する“ラフト刑務所”、スーパーヒーローたちの本拠地ともいえる“アベンジャーズタワー”、X-MENでミュータントたちを保護している施設“エグゼビア学院”といった、マーベル作品でおなじみの舞台が登場。各ステージには敵のみならず、さまざまな仕掛けも施されており、バラエティーに富んだ敵がプレイヤーの行く手を阻んでくることになる。
ゲーム開始時は前述のように『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のチームでスタートするが、ゲームが進行することで仲間となるヒーローたち(プレイアブルキャラクター)が増えていき、さまざまなチーム編成や育成が楽しめるようになってくる。登場ヒーローたちは、原作で登場した作品などによっていくつかの所属チームが決められており、チーム編成の際にこの所属チームが同じになることで、各種パラメータがアップするというチームボーナスが得られる点は、多数のヒーローが登場する本作の注目ポイントのひとつ。
聞き覚えがあるヒーローは言うに及ばず、聞いたことのないチームや本作オリジナルまで多彩なチームが登場するというのは、多くのヒーローを抱えるマーベル作品ならではといったところだろう。
最強のヒーローチームと最凶のヴィランたちによる宇宙の命運を賭けた戦いがここに始まる
本作は、マーベル作品のひとつ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のメンバーたちが、宇宙空間で特殊なエネルギー反応を受信したところからゲームがスタートする。エネルギーの発信源は、巨大な岩石群の中を漂流している巨大なクリー・スペースシップで、船内を探索していくうちに、強大な力を秘めた6つの宝石=インフィニティ・ストーンと、それを狙う組織と遭遇。
敵対組織とのインフィニティ・ストーンを巡る激しい戦闘が行われた直後、舞台はアメリカ・ニューヨークのイーストリバーに設けられた脱獄不能の刑務所“ラフト”に移り変わることに。
この“ラフト”は、マーベル作品に登場する悪役=ヴィランたちを収監する目的で作られたもので、『スパイダーマン』や『キャプテン・アメリカ』といった作品にも度々登場していることで、ファンにはおなじみの施設といえるだろう。
“ラフト”内では親愛なる隣人“スパイダーマン”が仲間に加わり、全身が砂でできている宿敵“サンドマン”が行く手を遮るという展開に。サンドマンとの激闘を終えると、“キャプテン・アメリカ”、“アイアンマン”、“ソー”、“ハルク”といった『アベンジャーズ』の中心メンバーらが合流。
宇宙全体に混乱を催す存在がインフィニティ・ストーンを狙っていることと、それに対抗すべくヒーローチーム“S.H.I.E.L.D.”が立ち上がったことが明かされ、やがて宇宙をも巻き込む壮大な戦いに巻き込まれていく……といった形で物語が展開していく。
ここで、序盤のストーリーラインをちょっとだけプレイバック。
『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』の魅力とは
本作のタイトルにある“アルティメット”は、究極・最高を、“アライアンス”は同盟・提携を表している。このことからもわかるように、この『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』は最強ヒーローたちが同盟を組み、最狂ヴィランたちの目論見に立ち向かうという、壮大な物語が展開していくことになる。
アメコミというと、一昔前は一部のコアなファンを除いて、日本人にはなじみのないキャラクターが多かったが、近年はCG技術の発展に伴い実写映像作品が多数登場。『X-MEN』、『スパイダーマン』を始め『キャプテン・アメリカ』、『アイアンマン』、『ハルク』など、映画のヒットに伴い日本でも人気が上昇していることは、アメコミに詳しくない人でも感じていることだろう。
とくに、多数のマーベル系作品が同じ世界観の中で展開していく“マーベル・シネマティック・ユニバース”は、2008年公開の映画『アイアンマン』より多数のヒーロー作品を毎年公開していき、2019年4月に全世界で公開された映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』が歴代興行収入2位という大ヒットを記録したことは記憶に新しいところだ。
これだけ多数のヒーローたちを要するマーベル作品はなぜ、ここまで人々を魅了するのか。
まずは、マーベル作品に登場するヒーローたちが完全無欠の英雄ではなく、等身大の悩みを抱えたキャラクターたちという点がひとつ。その個性や人間臭さがファンを魅了しているに違いない。
そしてもうひとつはずばり、“クロスオーバー”に尽きる。
クロスオーバーとは、異なる独立した作品が、それぞれのタイトルの垣根を越えて競演をするというもの。
国内で言うと、古いところでは『仮面ライダー』シリーズや『ウルトラマン』シリーズなどで、作品を超えた競演を見せてくれたり、『マジンガーZ対デビルマン』という、永井豪作品によるクロスオーバーも実現。近年では、『仮面ライダー』とスーパー戦隊シリーズが共闘を見せてくれたり、『名探偵コナン』と『ルパン三世』といった異色のコラボまで実現している。
このように、普段相まみえぬキャラクターどうしが同じ作品に登場するというのは、それだけでファンにはたまらない展開といえるだろう。
先述の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』も、10年来のスパンで展開してきた『アイアンマン』、『ソー』、『キャプテン・アメリカ』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、『スパイダーマン』シリーズといった作品群の世界観を共有し、それぞれの作品で深く描いたキャラクターたちが集まる集大成的作品として大ヒットを記録。
マーベル・コミックスの原作でも、1963年に結成されたヒーローチーム“アベンジャーズ”を皮切りに、さまざまなクロスオーバー作品が登場。以降もさまざまなクロスオーバー展開が成されているが、今回の『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』は、1991年に発表されたクロスオーバーエピソード『インフィニティ・ガントレット』をバックボーンにオリジナルストーリーが描かれている。
マーベルの最高傑作との呼び声も高い『インフィニティ・ガントレット』をベースにオリジナルストーリーを紡ぐのだから、おもしろくないはずがない!
『インフィニティ・ガントレット』は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』を始めとする映画『アベンジャーズ』シリーズのベースともなっており、宇宙に存在する6つのインフィニティ・ストーン(マインド:精神、リアリティ:現実、パワー:力、スペース:空間、タイム:時間、ソウル:魂の力を持つ魔宝石)を手に入れ、宇宙最強の力を我がものにせんとする暴君サノスと、その企みを阻止せんと立ち上がるヒーローたちの活躍を描いたクロスオーバー作品として、人気を博したエピソード。
2019年4月〜6月に公開された映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』も、この『インフィニティ・ガントレット』がベースとなっており、わずか2ヵ月間の上映で全世界興行収入が歴代2位の27億ドル超(約3000億円)と、桁違いのすごさを見せつけていることからも、同エピソードの人気の高さがうかがいしれるだろう。
マーベル・コミックスのクロスオーバー作品でも、個性豊かなヒーローたちが時にはぶつかり合いながら、でも力を合わせて強敵や難題に立ち向かう姿が見られる点が魅力のひとつと言えるが、この『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』では、そんなヒーローたちのガチのぶつかり合いと、各ヒーローたちによる相乗効果を気軽に体感することができる。
くり返しになってしまうが、本作は冒頭でも述べたようにマーベル・コミックスが好きな人はもちろん、マーベル・シネマティック・ユニバースを含むマーベル系の映像作品が好きな人には文句なしにオススメの作品だ。
映画界の歴史を塗り替えるほどの大ヒットを記録したマーベル・シネマティック・ユニバースは現在公開中の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をもっていったん終了となるが、シリーズを愛していた人にはゲームの中でさらなる展開を楽しんでもらえることだろう。
また、映画『アベンジャーズ』シリーズの流行に乗り遅れた人や、アメコミがちょっと気になっているという人、アメコミヒーロー作品になかなか触れる機会がない人にも、本作を機にマーベル作品や登場ヒーローに興味をもってもらい、映画やドラマ、コミックなどを見てもらうといった楽しみかたをしてもらう……といった楽しみかたもいいかもしれない。
マーベル・コミックスは1939年の発行開始から80年を迎えるが、いまも変わらぬ人気を誇っており世界中に多くのファンを抱えている。『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』は、多彩な展開を見せるマーベル作品の入り口としても最適な作品なので、少しでも気になるポイントがあれば、臆せずにこの世界に飛び込んでもらいたいところだ。