抽選の競争率、なんと10倍!

 2019年6月19日に、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の楽曲をバンド&ピアノアレンジで収録したアルバム『Journeys: FINAL FANTASY XIV Arrangement Album』が発売。本アルバムの発売を記念して、完全招待制のミニライブが東京・北区のベースメントモンスターにて開催された。

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ピアノ&バンドアレンジアルバムは今回で3作目。制作陣はおなじみのメンバーで、ピアノアレンジと演奏はピアニストのKeikoさん、バンドアレンジは『FFXIV』のサウンドディレクター・祖堅正慶氏が率いるオフィシャルバンド“THE PRIMALS”が担当している。

 今回のミニライブには『FFXIV』のサービスアカウントを持っていれば申し込みが可能だったのだが(ただし、入場に際してはアルバムの持参が必要)、招待人数が280人という超プレミアムチケット状態。スクウェア・エニックスの関係者によると、その倍率はおよそ10倍だったとのこと。

 会場となったベースメントモンスターはスタンディングでも300人程度のキャパシティしかなく、そこに集まった約280人はすべて『FFXIV』のプレイヤー。ギチギチに詰め込まれた会場と、KeikoさんやTHE PRIMALSを超間近で見られるという興奮で熱気が充満し、会場の冷房は“最強”に設定されていたそうだが、効果はとても薄かった(開演前から暑かった)。

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さながらゲームに登場するダンジョンのような内装も相まって、会場へと続く通路を進むほどに自然と気持ちも昂っていく。

 なお、このミニライブの模様はニコニコ生放送で生中継され、アーカイブは2019年7月25日まで視聴可能。視聴予約していなかった場合でも、プレミアム会員に登録していれば期間内に限り視聴できる。

ニコニコ生放送
Journeys: FINAL FANTASY XIV アレンジアルバム発売記念SPイベント

とにかく近い! ライブハウスならではのダイレクトな出音

 開演前、前説で芸人のにしむらベイベーさんと、“アニー先輩”の愛称で知られるスクウェア・エニックスの白杉浩嗣氏が登場。ミニライブのMCも、にしむらさんが務めた。

 若干の緊張を見せつつも、笑いを交えたトークで会場を温めていたにしむらさん。「にしむらを知っているひとー?」、「にしむらを知らないひとー?」とオーディエンスに問いかけるも、両方「はーい」と答える人もいて、会場のノリは良好。

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にしむらベイベーさん(右)と白杉浩嗣氏(左)。オーディエンスとの掛け合いもバッチリ。

 MCのにしむらさんに呼び込まれ、ピアニストのKeikoさんが登場。ミニライブはピアノパートからスタートとなった。

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白のドレスで現れたKeikoさん。

 1曲目は『紅の夜更け 〜クガネ:夜〜』。ピアノは電子ピアノだったが、何より目の前で演奏しているという迫力、そしてKeikoさんの表情までもが表現として伝わってくる体験は格別。2曲目の『古傷 〜ギラバニア湖畔地帯:夜〜』も含めて、曲中で静と動の部分が現れるのだが、静の部分は思わず息を飲むほどの緊張感が会場を包み、動の部分ではKeikoさんのエモーショナルな演奏に圧倒されるなど、コンサートホールでは味わえないものとなっていた。

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本当に電子ピアノで演奏しているのかと疑いたくなるほどの感情豊かな音が会場を包み込む。

 ピアノパートのラストは『龍の尾 〜神龍討滅戦〜』。非常に音数が多く、冒頭からテンションMAXな曲だ。単にテンポは速いというだけでなく、フレーズの合間に挟み込まれる半音階の下り、激しいグリッサンド、複雑な拍子など、スリリングな演奏が続く。しかし、そこはアレンジを施したご本人というだけあり、見事に弾ききった。

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 後半はTHE PRIMALSによるバンドパート。THE PRIMALSは、ここのところファンフェスティバルの会場やZeppツアーといった、大型イベントホールやライブハウスなどでの演奏が続いていたのだが、今回のようなメンバーを間近で見られる小規模な会場は2016年9月のシークレットライブ以来だろうか。

 小規模なライブハウスの醍醐味は、やはりアンプからの出音が直接聴こえることだ。ドラムもPAを通る前の音がダイレクトに聴こえてくる。この臨場感ばかりは配信や円盤では伝えきれないので、当選した約280人のオーディエンスはとても貴重な体験をしたと言えるだろう。

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『FFXIV』サウンドディレクターの祖堅正慶氏。ギターとヴォーカルを担当。
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『FFXIV』のローカライズディレクター、マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏。バンドではヴォーカルを担当。
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ギターのGUNNさん。さまざまなレコーディングなどに参加するほか、バンド“DEPTH”としても活動中。
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ベースのイワイエイキチさん。バンド“チリヌルヲワカ”のほか、レコーディング、プロデュース、ライブサポートで活動中。
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ドラムのたちばな哲也さん。バンド“SPARKS GO GO”のほか、多数のアーティストのライブやバンドに参加している。GUNNさんとのソロユニット“ultraUB”としても活動中。

 THE PRIMALSの1曲目は『忘却の彼方 〜蛮神シヴァ討滅戦〜 (GUNN Vocals)』からスタート。ギターのGUNNさんがボーカルを披露した。

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 続いて『メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜』では、ヴォーカルとしてマイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏が登場。

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この演者とオーディエンスとの距離感。
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 2曲終わった時点で、演者もオーディエンスも汗だく。メンバーは口々に「もう(汗で)ビチョビチョ」とコメントしていた。

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フォックス氏に汗をぬぐってもらう祖堅氏。照明もLED化されていく中で、白熱灯のもとで演奏するのはひさびさとのこと。

 その後、『エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜』、『メタル:ブルートジャスティスモード 〜機工城アレキサンダー:律動編〜』とまだまだ火力を高めていく。

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『ブルートジャスティスモード』ときたら、もうお約束の祖堅氏のトランペット。こちらも、生音が聴き取れるほどだった。
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会場だけのアンコール! 「止まっとく?」

 生中継の配信も終わり、このままイベント終了と思われたが、祖堅氏がアンコールを示唆。「そういえば、止まってないよな。止まっとく?」と会場を煽る。そう、演奏された曲はもちろん『ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜』だ!

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会場に来た人だけが体験した、北区・王子の時間停止ギミック。
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 終演後にフォトセッションを実施。アルバム『Journeys: FINAL FANTASY XIV Arrangement Album』の宣伝を条件に、撮影が許可されていた。

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サイン入りの竜の眼が会場に投げ込まれた。
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 イベント自体は80分程度ではあったが、転換も考慮すると正味60分強という超凝縮されたライブだった。曲数は限られていたが、会場に来ることができた光の戦士たちは、大きな満足感を得られたのではないだろうか。そして、バンドはやっぱりライブハウスがいい、改めてそう思ってしまった。

 THE PRIMALSの今後の活動については、まだ明確なアナウンスはないが、メンバーのコメントからすると、ライブに対する欲求が高まっているようだ。2019年7月2日より、『FFXIV』の最新拡張パッケージである『漆黒のヴィランズ』が幕を開ける。そこで新たな音楽が紡がれ、またTHE PRIMALSによって別の領域を見せてくれることに期待しようではないか!

<セットリスト>
M1 Piano: 紅の夜更け 〜クガネ:夜〜
M2 Piano: 古傷 〜ギラバニア湖畔地帯:夜〜
M3 Piano: 龍の尾 〜神龍討滅戦〜
M4 Band: 忘却の彼方 〜蛮神シヴァ討滅戦〜 (GUNN Vocals)
M5 Band: メタル 〜機工城アレキサンダー:起動編〜
M6 Band: エスケープ 〜次元の狭間オメガ:アルファ編〜
M7 Band: メタル:ブルートジャスティスモード 〜機工城アレキサンダー:律動編〜

EN Band: ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜