2019年6月11日~13日(現地時間)の期間、アメリカ・ロサンゼルスで開催されたE3 2019。本イベントにて2019年11月発売予定のNintendo Switchソフト『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピックTM』が出展された。現地では、本作のプロデューサーである、大橋宜哉氏にインタビューを実施。本作の魅力や、こだわりのポイント、日本でのオリンピック開催についてなどを訊いた。その内容をお届けしよう。

「本作を遊んで、東京2020オリンピックをより楽しんでほしい」『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピックTM』プロデューサー・大橋宜哉氏インタビュー【E3 2019】_01
本作のプロデューサーを務める大橋宜哉氏

――2020年、オリンピックが日本で開催されるということで、本作はシリーズで初めて、日本が舞台になりますが、その率直なお気持ちをお聞かせください。

大橋 自分が生きている間に自国開催はきっと、今後ないと思うので、この機会に自分の生まれた国で開催されるオリンピックのゲームを作れるということに、感動しています。そして、自国開催ということで、国内でのオリンピックへの関心や盛り上がりが、より大きいものになりますし、ふだんスポーツ中継を見ない方でも、オリンピックの中継を観る機会は増えると思うんです。それと同じように、いつもはスポーツゲームをやらない方でも、少しカジュアルなスポーツゲームとして本作を手に取っていただき、オリンピック本番に備えていただければと思います。

――日本での開催とのことで、従来のシリーズ作品と異なる部分や、こだわりなどはあるのでしょうか?

大橋 大きい点としては、今回の東京2020オリンピックで、実際に新しく追加された種目がいくつかあり、それを本作でも遊べるようにしています。たとえば、サーフィンやスケートボード、空手、スポーツクライミングですね。このゲームを通じて種目を知っていただければと思います。また、舞台が東京ですので、たとえばアーチェリーの会場の背景にはスカイツリーが建っていたりと、土地を感じられる要素もあります。

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――背景までこだわって作られているのですね。また、本作は、Nintendo Switchでの発売とのことで、従来の作品から遊びかたは変わっているのでしょうか。

大橋 シリーズ1作目の『マリオ&ソニック AT 北京オリンピックTM』では、ハードがWiiだったんです。当時はWiiリモコンを使って、体感で遊んでいただけるようにしていました。前作の『マリオ&ソニック AT リオオリンピックTM』では、よりスポーツゲームとして遊べるように、ボタンで操作できるようにしました。本作では、できるだけJoy-Conを使い、体感で楽しんでいただけるようにしつつ、全種目ボタン操作でも遊んでいただけるようになっています。また、Nintendo Switchということで、リビングのテレビでも、外に持ち歩いてでも遊べるので、さまざまなプレイヤーの方のプレイスタイルに合うようになっていると思います。

――お話を聞くなかでは、従来の作品のハイブリッドといった印象ですね。本作では、種目以外に新しい要素として追加されるものはあるのでしょうか。

大橋 じつはいままで、マリオたちは水泳などの水中競技でも、オーバーオールを着て参加していたんですよね。それが本作からは、各競技にあわせて、スポーツウェアを着るようになりました。たとえばサーフィンだと、ウェットスーツになります! 空手でも胴着を着ていますよ。ぜひご注目ください。

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――それは新しい試みですね! 服装を変えられた理由はあるのでしょうか。

大橋 キャラクターIP(知的財産)という面で、やはりオーバーオールなどの、おなじみの衣装は重要なんです。ただ、任天堂さんともご相談をさせていただき、やはり競技ごとに合わせるようにしましょうと、今回挑戦してみました。

――セガのソニック、任天堂のマリオ、そしてオリンピックと、どれもたいへんブランド力のあるIPですが、それらを組み合わせるにあたり、こだわっている部分や、苦労した点などはあるのでしょうか。

大橋 任天堂さんよりマリオファミリーをお借りしているので、大切に扱わせていただいています。オリンピックでは実際の会場の図面などをお借りし、なるべく再現できるようにしています。ただ、実際にはまだ建築ができていないものもあるので、本当に正しいのかどうかがわからないのが、難しいところですね(笑)。建築が出来あがっていく過程で、ゲームのグラフィックと近づいてくると安心します。実際に図面の変更などもよくありますので、そこも合わせるべく、修正をすることがあったり。

――それほど、クオリティーを保って再現されているのですね。

大橋 キャラクターの面でいうと、キャラクター数が20体程度おり、大きさもさまざまですので、全員が平等に闘えるように調整するところを重要視しています。大きさが違うと、キャラクターの1歩の大きさなども変わってくるんですよ。

――それは具体的には、どのように調整をされているのでしょうか?

大橋 たとえば、ソニックなら“足が速い”だったり、クッパなら“力持ち”など、キャラクターの個性を活かして調整していますね。“スピードは速いけどスタミナがない”だったり、“スピードは遅いけど、テクニックはある”など、違う部分で調整しつつ、あとはプレイヤーの方の腕次第で勝負になるようにと。

――なるほど! 東京2020オリンピック開催もあり、本作から『マリオ&ソニック』シリーズを始める方もいらっしゃると思うのですが、そんな方に向けてオススメのキャラクターや競技はありますか?

大橋 やはり、マリオはバランスのとれたキャラクターでオススメです。スピードを求める方は、ソニックをぜひ! 競技的には、本作から新しく種目に加わった新規競技を楽しんでいただきたいですね。スポーツクライミングなどは実際にやったことのある方も少ないと思いますし、ゲームの中で「こんなスポーツなんだ」と親しんでいただきたいです。

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――オリンピックの中継を見るときの予習にもなりそうです。ちなみに、今回はE3での出展とのことで、海外の方の反応はいかがでしょうか?

大橋 かなり限定的な話になってしまいますが、先日、ソニックファンでサイトを作られているという方が試遊に来てくれて、「空手でエミーがやられている姿を見たくない、だから勝つんだ!」とがんばって、勝っていましたよ(笑)。

――本タイトルに対し、日本と海外での反応の違いなどもあるのでしょうか。

大橋 海外の方は操作の手振りが大きい方が多かったので、Joy-Conの操作が難しそうでしたね。今回試遊されているのを見て、改めて勉強になりました。

――最後に本作を楽しみにしているファンの方へ、メッセージをお願いします。

大橋 日本の方にとっては自国開催ということで、日本中でオリンピックへの熱がドンドン上がっていくと思います。ふだんスポーツゲームを遊ばない方も、これを機に『マリオ&ソニック』シリーズを遊んでみてほしいですね。初めての方でも遊びやすく、かつスポーツゲームとしてもしっかりと遊んでいただけるようになっていますので、ぜひ本作を楽しんでいただきつつ、本番のオリンピックに備えていただければと思います!