カナダのデベロッパーであるBehaviour Interactiveによる『Dead by Daylight』は、1対4の非対称のマルチプレイを特徴としたサバイバルホラーアクションゲームだ。殺人鬼(キラー)は、生存者(サバイバー)の全滅を、サバイバーはキラーの魔の手を逃れて脱出を目指すことになる。海外では2016年6月に配信を開始した同作は、その斬新なゲーム性と相まって話題を集めることに。日本国内では、2018年4月からプレイステーション4版もリリースされ、その人気に拍車をかけることとなった。
と、書いてきたが、じつは筆者は『Dead by Daylight』は未プレイだったりする。ホラー好きなのでとても気になるタイトルではあったのだが、何となく手をつけかねていたのだ(そんな経験、皆さんにもありますよね?)。そんな折、編集部から「『Dead by Daylight』のレビューをやらない?」というオファーをいただいた。どうやら、2019年6月20日に3gooから『Dead by Daylight サバイバーエディション』がリリースされるのに合わせての記事だという。これまで『Dead by Daylight』はすでにさんざん語られているので、“初めてのプレイ”というコンセプトから、筆者に声がかかったようだ。いままで『Dead by Daylight』を未プレイだったことを神に感謝しつつ、プレイステーション4のコントローラを手に取った次第。
限定版は貴重なアイテムが盛りだくさん。
レビューを始める前に、限定版の紹介を軽くしておこう。ゲームコンテンツとして収録されているのは、『Dead by Daylight』本編のほかに、2019年3月までに配信された全オリジナルチャプター8つ(映画テーマは除く)と追加アイテムという大ボリューム。ファンにとってうれしいのは、同梱されているグッズの数々だろう。編集部に限定版が届いたので、実際に中身を覗いてみた。
同梱アイテムで、初心者にうれしいのはガイドブック。こちら、開発元であるBehaviour Interactiveが日本のファンのために制作したもので、いちから『Dead by Daylight』を始めようというプレイヤーには(筆者のような)とても役立つスグレモノ。熱心なファンの方が気になりそうなのが、プレミアムピンズコレクション。ハイクオリティーのフィギュアなどでおなじみのGecco製作だけに、「ピンズだけほしい!」というファンも多いのでは。全31曲を収録したオリジナル・サウンドトラックも、ファンにはたまらない。
イドブックも大いに役立った。
果たして生き残れるのだろうか……
というわけで、さっそく『Dead by Daylight』をプレイ。まず筆者が感心したのがしっかりとしたチュートリアル。「え、そこ?」と思われるかもしれないが、初見のプレイヤーにとってチュートリアルから得られる情報や体験はやはり大事。本作のチュートリアルでは、サバイバーとキラーとで項目が分けられ、サバイバーでは発電機の修理方法やほかのサバイバーの傷の手当などを、キラーではサバイバーの追跡の仕方やひん死状態になったサバイバーをフックに吊るす方法などの基本的な操作方法を、実際にキャラクターを動かしながら学べる。ほかにも、初めて開く画面にもチュートリアルが出るので、非常に便利だ。もちろん、ヘルプは後からでも見られる。
生き残るためには準備が大事
ひと通りチュートリアルをチェックしたら、いざ実践へ。本作の大きな魅力のひとつは、キラーとサバイバーのどちらを選んでプレイするかで、プレイ感触が異なってくる点だろう。キラーとなってひとり殺人鬼としてサバイバーを追いかけるか、サバイバーとなって仲間と共闘するか……。実際のところ、性格やプレイスタイルによって、どちらを選ぶか、好みは分かれるような気がする。
筆者はしばし迷ったすえに、初プレイということでサバイバーを選択。初心者なので、ほかの仲間がサポートしてくれるかもしれないからね! そこでさらに頭を悩ませるのがサバイバーの中で誰を選ぶか。その際キモのひとつになると思われるのが“パーク”。各キャラクターはプレイ中に条件を満たすと効果を発動できる“パーク”という特殊能力を装備できる。たとえば、サバイバーでは一定時間速く走れるようになったり、キラーではサバイバーの位置を見つけやすくなったりするものもあるようだ。この効果をうまく使えば、当然のことプレイを有利に運べるわけで……。キャラクターは、それぞれ固有の“パーク”を持っているので、どのキャラクターを選ぶのかが非常に重要になるわけだ。まあ、キャラクターの個性と言えるだろう。
今回筆者が選んだのは、メグ・トーマスという女性のキャラクター。彼女は “全力疾走”という“パーク”を持っていて、それを使えば一定時間早く走ることができるようになる。最後まで生き残れる可能性がいちばん高いのでは……との判断だ。何よりも、“全力疾走”という言葉が、初心者にはぴったり!
キャラクターを選んだら、パークやアイテムなどの装備へ。キャラクターはそれぞれ固有の3つのパークを持っており、プレイに際してはその中からひとつを選ぶことになるのだが、ここは前述の通り、メグ・トーマスを選んだ理由となった“全力疾走”を選択。装備では、発電機を速く修理できるようになるアイテムの“工具箱”や、アイテムの効果を高める“アドオン”なども持てるようであるが、最初のプレイではまだ何も持っていないため、今回は手ぶらで準備を完了。
生き残りをかけたマッチを開始
準備を終えたらマッチを開始。バトルは、検索でマッチングした自分を含む4人のサバイバーとひとりのキラーで始まる。試合のステージはランダムで選ばれるようだ。
いざ、試合が開始されると、まわりに誰もおらずひとりぼっち。サバイバーの目的はステージにある7つの発電機のうち5つを修理して、出口の扉を通電させて開き、脱出することだ。もちろん発電機の場所はわからないので、探すことから始めないといけない。とはいえ、いつキラーに見つかるかと怖すぎて、なかなか前に進めない。
キラーに見つからないようにと、びくびくしながら必死に発電機を探すも、あっけなく遭遇! あっさり処刑されてしまうことに……。うーん、あっけなさすぎる。
初めてのマッチは何もできないまま終了。雰囲気を掴むこともなくあっけなく終わってしまった……。何もできなさ過ぎてほかのサバイバーの方にはとんだご迷惑をおかけしてしまいました。しかし、このままで終わるわけにはいかない。ということで、今度はどうせキラーに捕まってしまうなら、少しでも脱出に貢献しようと思い、大胆に行動することに。ところが、ほかのサバイバーとの経験の差か、なかなか発電機を発見することができない。もしくは、発見したと思っても修理が終わっている発電機ばかり。すべての発電機の修理が終わって、あとは脱出するという段になって、筆者が扉を開けることに成功。最後に本当にちょっとだけ役に立つことができたので、まあよしとしよう。
初の脱出を成功させた後は少しずつコツをつかんできて、発電機の修理や脱出ができるようになっていった。思いのほかキラーに出会わないことに気づいてからは、最初に比べ大胆に動き回れ、ほかのサバイバーと協力しながら脱出することができた。もちろん動き回る以上、キラーに遭遇してしまうこともままあるのだが、そのときに役に立ったのが操作キャラクターを選ぶ理由にもなったパーク“全力疾走”。一定時間早く走れるパークのおかげで、何度もキラーから逃走することができたのではなかろうか。
追う側としてキラーに挑戦
つぎにキラーとしてプレイしてみることに。どのキラーにするかで少し迷ったが、けっきょく“スピリット”で始めることにした。理由は幽霊みたいな見た目で、いちばん怖そうだと思ったから……。この“スピリット”、じつはチャプター“断絶した血脈”で登場した、日本人のキラー。図らずも日本人キラーを選んだのは、血がさせたというべきか……。
今回は、パークを気にすることなく見た目でキラーを選んだが、試合の準備を整えているときに“スピリット”が持つひとつのパークの効果が強いのでは……ということに気づいた。そのパークの名前は“怨恨”。効果はサバイバーに発電機を修理されるたびに、すべてのサバイバーの位置が3秒間わかるようになるというものだ。代わりに、オブセッション状態になっているひとりのサバイバーに4秒間オーラを見られるようになる。オーラを見られるというのがどれぐらいのデメリットになるのかわからなかったが、相手の位置を知ることができるのは大きいと思い、“怨恨”を選ぶことにした。
キラーは、サバイバーの脱出を阻止して処刑するのが目的。サバイバーのときはマッチが始まるまでキラーの姿を知ることはできなかったが、キラーでは試合の開始前にサバイバーの姿を確認できるようになっている。サバイバーの姿を確認し、準備を整えたところで戦いがスタート
キラーは発電機の位置がわかるので、それをもとにサバイバーの捜索を開始。サバイバーでプレイしていたときにはすぐにキラーに見つけられていたこともあって、隠れているサバイバーを簡単に見つけられると思っていたが、実際はそんなことはぜんぜんなくて、一切見つからない。筆者の対戦したキラーがとてもうまく見つけているだけだったようだ。
発電機を修理されたときに発動されるパークの効果を用いて、ようやく見つけたと思っても、巧みに逃げられて倒すこともおぼつかない。ただ、相手の位置を知ることができるパークの存在がとても大きいのは間違いない。
サバイバーが走って移動すると、通った場所には赤い傷のような“痕”が一定時間残り、それが隠れている場所を探すヒントになる。そのヒントと、装備している“パーク”の効果を利用しつつ、探索を開始。マッチの回数が増えていくにしたがって、筆者もだんだんとコツを掴み、サバイバーを見つけて攻撃できるようなっていった。
“スピリット”でキラーの動きかたに少し慣れてきたところで、ほかのキラーにも触ってみることにした。それぞれ特徴が違うが、筆者的には個人的にいちばんサバイバーを攻撃できたキラーは“トラッパー”。このキラーは、ステージ上にとらばさみを仕掛けてサバイバーの移動を妨害することができる。草むらなど足元が見えにくいステージでは、とくにとらばさみでサバイバーを捕まえることができた。決まったときは、爽快!
初心者でも入りやすいので気軽に楽しめる
というわけで、ハラハラどきどき楽しんだ『Dead by Daylight』。プレイし始めたときは、初心者だけに大丈夫かな……と少し心配だったのだけれど、基本は“鬼ごっこ”ということで、わかりやすいルールですぐになじめた。最初はただ逃げまわったりしていただけだったのが、徐々に慣れてくると、まあ何とも楽しいこと。サバイバーは、キラーから逃げる緊張感やスリルを味わえ、キラーは、サバイバーを見つけてフックに吊るすことで、得も言われぬ達成感が味わえる。
ひと粒で二度おいしいような本作だが、筆者はサバイバーでキラーから隠れながら脱出を目指すのが性格に合っていたみたいで、逃げるスリルが快感だった。個人的には追いかけるほうが好きなタイプかと思っていただけに少し意外。と、自分の思わぬ属性(?)を発見できたり……。何はともあれ、初心者でも入りやすい『Dead by Daylight』。まずは気軽に楽しんでみることをおすすめしたい。まあ、怖いですけども(笑)。