2014年に配信開始され、ストーリーの進行とともにタイトルを変えながらメジャーアップデートを行ない、5年以上にわたって人気を博してきたスマホRPG『消滅都市』のフルリメイク作品『AFTERLOST - 消滅都市』が、2019年6月6日に正式サービスを開始した。

 本記事ではそのプレイレビューをお届けしていくのだが、まずはゲームの特徴から説明していこう。

『AFTERLOST - 消滅都市』公式サイト

 オリジナル版の『消滅都市』は“ドラマアクションRPG”と銘打って、“ドラマチックなストーリー展開”、“横スクロールのランアクション”、そして“育成要素”と歯応えあるゲーム性をウリにしていたが、本作ではより純粋にストーリーを楽しめるようにランアクション要素をカットし、ストーリー+セミオート進行のバトルと、システムがシンプルになっている。本作で初めて『消滅都市』をプレイするという人でも、操作面で困ることはないだろう。

ストーリー→ランアクション→バトルという原作の流れからランアクション要素がなくなり、アクションが苦手な人でも楽しみやすくなった。

 また、2019年4月から放送されているテレビアニメ版に合わせてキャラクターのイラストが一新され、表情の変化や揺れる髪など演出面も強化されており、アニメで『消滅都市』を知った人にはなじみやすいビジュアルに。

キャラクターのイラストやキャストもアニメ準拠になっているほか、演出もパワーアップしている。

 もうひとつの特徴として、ストーリーがヒロインであるユキ(声:花澤香菜)の視点から描かれる形となっている。そのため、オリジナル版とはまた違ったおもしろさが味わえる。

序盤はユキの一人称視点での心情や回想を織り交ぜながらゲームが進んでいき、水彩画タッチの美麗なスチルが挿入されることも。

見せかたが上手すぎるストーリーに注目!

 というわけで、ここからはプレイレビューをお届けする。なお、プレイは序盤の山場である、いわゆる“1度目の消滅”のロストに至るまで行っている。

 メインストーリーは序盤からずっとシリアスな展開が続く重めの内容となっている。最初の舞台は、運び屋の男タクヤと、消滅から唯一生還したと言われる少女ユキ、ふたりの主人公が軸になることで、ジュブナイルとハードボイルド、ふたつのノリが楽しめるのが特徴だ。

 また、登場人物たちがいずれもひと癖もふた癖もあるキャラクター揃いで、なかなかこちら(プレイヤー側)を安心させてくれないのが、本作のストーリーのニクいところ。そもそも、ヒロインのユキからしてタクヤに何か“隠しごと”をしているようなのだ。

依頼者であり、タクヤの最大の味方であるはずのユキやエイジたちだが、あからさまに“何か”を隠しているようで……。

 さらに、敵対する“謎の組織”もその名の通り謎だらけである。ユキの弟だという生意気な少年ソウマを始め、いったい何の目的でタクヤたちの行く手を阻むのか、その正体は何なのか、当たり前だがしばらく明かしてもらえない。

見た目からして怪しさ満点、謎の組織の構成員たち。でも名のあるキャラクターが皆クセが強すぎる。

 敵も味方も謎だらけ……という状況がこれ以上ない緊張感を生み出し、プレイヤーに「先が気になってしょうがない」という気持ちにさせる展開の巧さは、さすがのヒット作である。しかも、メインストーリーが進むにつれてユキは心を開いてどんどんかわいくなっていくし、ユミコはいじらしいし、ギークもいい味出してくるしで、声優陣のいい演技も相まってキャラクターにもハマってしまうこと間違いなしなのだ。

 さらにメインストーリーが進むと、“タマシイ”と呼ばれる、バトルに参加するユニットたちのエピソードなども盛り込まれた“サイドストーリー”も解放される。こちらのストーリーも力作揃いとなっているのだが、おかげでなかなか本編が進まないというジレンマも(笑)。

メインストーリーで特定のクエストをクリアーすると解放されるサイドストーリー。バトルでおなじみの“タマシイ”たちのさまざまなエピソードが楽しめるぞ。

 バトルでは、ランアクションがなくなり、こちらと敵が交互に攻撃し合うターン制のシンプルな構成に。オリジナル版『消滅都市』との最大の違いは“アクションが苦手な人でもパーティー編成や戦略次第でバトルに勝利できる”ことだろうか。なお、ランアクションでアドバンテージが手に入れられなくなったぶん、バトル全体のバランスも調整されているようだ。

 そしてガチャなどで手に入れた“タマシイ”の中から最大5体を選んでパーティーを編成し、さまざまな個性を持った敵と戦うことになる。バトルは基本的にはオートで進行し、プレイヤーはターゲットの選択やスキル発動などの指示を行う。

ほとんどのバトルは2~3フェイズで構成され、バトルによっては手強いボス敵が登場する。

 とくに重要なのが“属性の相性”。火は木に、水は火に、木は水に強く、光は闇に、闇は光に強い。どれだけ強いのかというと、ダメージが通常の2倍にもなるのである(ただし、こちらが受けるダメージは敵の属性には関係ない)。これを活用できるとできないとでは、大幅にバトルの難度が変わってくると言っても過言ではない。

バトルによっては、特定の属性の敵ばかり出現したりもするので、若干の能力差には目をつぶって有利な属性のタマシイを揃えることも重要となる。

 また、敵の中にはバフ、デバフを使ってくるのもいれば、ダメージが1しか与えられない堅い敵もいたりする。それに対して、こちらもスキルを活用したり、ターゲット変更をしてみるなど、敵の個性に対応した行動をひねり出す必要が出てくるのだ。とくに強敵相手ではスキルや“フィーバー”をどのタイミングで発動するかがカギとなる。限られた手段を、どう活用するか。シンプルながら、なかなか工夫しがいのあるシステムでおもしろい。

 ゲームが進むと、超強力な攻撃をくり出すために必要な“フィーバーゲージ”を溜めやすくなる“連撃”系のスキル持ちのタマシイを多めに編成するほうが有利になるなど、能力値だけにとらわれないパーティー構成も重要となる。奥が深い!

とくにボス戦で決め手クラスの重要な攻撃となる“フィーバー”。左上のゲージが100%を超えると発動可能となり、ゲージがなくなるまでのあいだ連続攻撃を叩き込める。

 RPGらしく、育成に関してはかなり充実している。各タマシイの強化、進化(レア度アップ)に加え、スキルやアビリティの強化など、成長要素が多めに用意されており、それに必要な専用素材を入手するための限定クエストも存在する。先の“サイドストーリー”や、それらを含めた“やり込み要素”が充実しているのも、さすがは5年も続く大作RPGのリメイク作品だ。

育成システムはやり込み要素のひとつということで、ゲームが進むと多岐に渡る育成方法が解禁されるようになる。序盤のうちはただひたすら“強化”でレベル上げをしていれば問題はない。
素材収集クエストも。ゲームに慣れてきたら入り浸ることになるかも……。

 好評を博した要素はほぼそのままに、見せかたを強化し、さらにアクションが苦手な人でも楽しめるように、ゲーム性をシンプルにシェイプアップした本作。テレビアニメ版を観て初めてプレイする人を念頭に置いたであろう、ていねいなシステム作りがされているなという印象で、誰にでもオススメしたい作品となった。

 アニメを観てやりたくなった人、有名だからちょっと気になるという人、声優が好きだからという人、いろんな動機があると思うが、安心してインストールしてみてほしい。