2019年6月1日~2日、京都市勧業館みやこめっせにて開催された、インディーゲームの祭典BitSummit 7 Spirits。PCゲームプラットフォームPLAYISMの運営と、コンシューマゲームパブリッシング事業を行うアクティブゲーミングメディアの企業ブースでは、クオリティー、話題性ともに充実した5タイトルが大々的に出展されていた。それらを会場でのインタビュー内容を中心に紹介する。

Necrobarista - ネクロバリスタ

 2019年8月8日に日本語ローカライズされたPC(Steam/PLAYISM)版のリリースが予定されている、3Dビジュアルノベル。コーヒーショップに訪れるさまざまな人間模様を描いた作品だ。会場には、オリジナル版開発チームROUTE 59のリードアーティスト・NGOC VU氏が訪れていた。
 NGOC氏に、本作の特徴的なビジュアル世界が成立した経緯について尋ねると、「結果的にこのスタイルになりました」と、意外な答えが返ってきた。当初は2Dグラフィックで彼女はキャラクターデザインを担当する予定だったが、立ち上げ時の4人のメンバーのひとりである3Dグラフィック担当者のやることがなくなってしまう……とのことから、急遽3Dでいくことになった……と、いかにもインディー開発らしいエピソードを披露した。
 ゲームの開発状況については現在、ギャラリー要素や探索系要素を充実させている段階とのこと。アクティブゲーミングメディアによる、カルチャライズを含めた言語ローカライズもほぼ完了しているとのことで、無事アナウンス通りにリリースされそうだ。

※『Necrobarista - ネクロバリスタ』公式サイト

『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_01
『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_02

アクションゲームツクールMV

 すでにSteamでアーリーアクセス版を配信中の、2Dアクションゲームコンストラクションソフト。今回の展示では、同ソフトで制作されたアクションゲーム4タイトルがプレイアブル展示されていた。
 その中の2タイトル『ヘックスハンター』と『Explorer Thief』は、今年3月に開催されたリミックス・ゲームジャムの優秀作品。『アクションゲームツクールMV』の無料体験版提供期間を記念して開催されたコンテストだが、プロデューサーの最上昇氏によれば、この時点で“ガチな作品”が多数寄せられたとのこと。2019年夏に予定されている製品版リリースに先がけ、ツクラ―たちの熱と技術力が高まっていることが証明された。
 BitSummit開催期間中にSteamでリリースされた『くまきゅあ(KUMACURE)』(開発・ドットゾ―ゲームズ)と、Steamにて近日リリース予定の『STEEL SWORD STORY』(開発・15bits RENEGADES)も出展され、『アクションゲームツクールMV』製ゲームのクオリティーの高さを存分にアピールしていた。

『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_03

※『くまきゅあ』Steamページ
※『Steel Sword Story』Steamページ

Everything

 世界に存在する何にでもなれてしまう斬新すぎるコンセプトが話題になった、デビット・オライリー氏制作の『Everything』。その日本語版が2019年秋、PC(Steam/PLAYISM)、 Nintendo Switch、プレイステーション4用ソフトとしてリリースされる。会場には複数の試遊マシンが設置させ、多くの来場者に摩訶不思議なゲーム体験を提供していた。
 デビット氏は来日していなかったが、アクティブゲーミングメディアの水谷俊次氏が、本作の特徴を説明。「“誰が買うねん”というタイトルですが(笑)、刺さる人には確実に刺さります。おそらくこれを日本語化しようとは、誰も思っていなかったと思います。ゲームの新しい表現スタイルを販売面で支援することは業界全体にとっても意義のあることですし、それこそがPLAYISMならではのラインアップでもあります」(水谷氏)

※『Everything』PLAYISMページ

『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_04
『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_05

OUTRIDER MAKO ~露払いマコの見習い帖~

 2020年にPC(Steam/PLAYISM)でのリリースが予定されている、見下ろし画面の2Dアクションゲーム。異形の者たちが跋扈する世界を舞台に、 主人の少女“マコ”が奮闘するという内容で、会場では、最初のボス戦までを楽しめるバージョンが展示されていた。
 開発者のあさまど氏によれば、本作は、GameMaker Studioでひとりでコツコツと作っているゲームとのこと。デザイン系の自営業に行き詰まりを感じたときにふとゲームを作ろうと思い立ち、ゲーム制作経験皆無、ドット絵時代のゲームへの特別な思い入れなしの状態で、いきなり作り始めたのだという。グラフィックの細密さは一目瞭然だが、あさまど氏のこだわりは、リアリティーの演出手法。「神々の世界だけど、要所要所で人間の社会にある小物が出てくるんです。その世界にあるのはおかしいことなのですが、ディティールにこだわって描いたそれらを舞台に組み込むことで、架空の世界にリアリティーを持たせることができるんです。プレイした方に、この世界に愛着を抱いていもらえたら、嬉しいですね」(あさまど氏)
 開発はまだまだこれから。今回出展した範囲を1ステージぶんとすると、全10ステージくらいのボリュームに仕上げることが目標……とのことで、続報に期待したい。

※『OUTRIDER MAKO ~露払いマコの見習い帖~』PLAYISMページ

『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_06

Orangeblood

 前述の水谷氏がSNSの投稿で開発中のスクリーンショットを見かけ「『RPGツクールMV』製ゲームのなかでずば抜けてセンスがよく、しかも中身がちゃんとRPGしている」と絶賛し、すぐにパブリッシングのコンタクトをとったという個人制作ゲーム。プラットフォームはPC(Steam/PLAYISM)で、リリース予定は 2019 年夏。

 作者のGRAYFAX氏はコンスタントにツクール製ゲームを作り続けてきたわけではなく、本作に取り掛かる以前は「最後に完成させたのは『シューティングツクール95』(※1998年にアスキーが発売したシューティングゲームコンストラクションソフト)ぶり」というほどのブランクがあったという。2015年の『RPGツクールMV』リリースを機に「絵ありきの世界観を多くの人に見せたい」との思いから、ソフトの使いかたを覚える期間を含めて3~4年の歳月をかけて、現在の完成間近の状態にまでこぎつけたのだそうだ。BGMはアクティブゲーミングメディアが担当、ゲーム部分は“世界に快適に浸れること”を第一としたオーソドックスなスタイル……とのことだが、影響を受けているゲームが『Borderlands』シリーズや『グランド・セフト・オート』シリーズといった自由度の高いバイオレンス系ということで、ハマる人には徹底的にハマれそうな内容になっている。

※『Orangeblood』Steamページ

『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_07
『ネクロバリスタ』から『Orangeblood』まで、ハイセンスなインディータイトルを探したければここだけチェックしていればいい⁉ PLAYISM珠玉のタイトルをお届け【BitSummit 7 Spirits】_08
ラーメン店店主風のポーズをノリノリで決めたGRAYFAX氏。