2019年6月1日~2日、京都市勧業館みやこめっせにて開催された、日本最大級のインディーゲームの祭典BitSummit 7 Spirits。初日のステージでは、ピクセルアートのインディーゲームを手がけたデベロッパーたちが、進行役のベン・ジャッド氏が投げかける質問に即し、自らのアートワークについて語った。

登壇者

David Lee(21c Ducks co.,Ltd.)[韓国]
クロノ・ソード

Paweł "panstasz" Koźmiński(panstasz)[ポーランド]
恐怖の世界:WORLD OF HORROR

Ben Laulan(Motion Twin)[フランス]
Dead Cells - Rise of the Giant

左からDavid Lee氏、Paweł Koźmiński氏、Ben Laulan氏。

――1画面のピクセルアートを作るのにどれくらい時間がかかるんでしょう?

David 数時間。まずメインキャラを作り、まわりのオブジェ、背景と描いていき、最後に組み合わせるというスタイルです。

Paweł 『恐怖の世界』は白黒だから簡単かって? 簡単じゃないですよ(笑)。1時間~1ヵ月。画面の内容によってだいぶ変わります。

――外部のピクセルアーティストを使うことはありますか?

Ben Motion Twinの場合、完全に社内のアーティストが描いています。マーケティング用の素材を作るときには、外部のアーティストを使うことがあります。

Paweł 企画、プログラミング、アート、すべてひとりでゲームを作っています。ついでにビールも飲んでいます(笑)。

David 音楽とアートは全部私がやっています。魂だから!(※なぜかここだけ日本語で回答)

David Lee氏。

――ピクセルアートを作るときに、どんなツールを使うんですか?

Paweł Microsoft ペイント。本当です。

David Photoshopです。ペイントは無料ですが、Photoshopは有料で、少し高級感を出せます(笑)。

Ben Photoshopベースでピクセルはキレイに描き出せますが、アニメーションの一部などは3Ds MAXというキャラモデリングソフトを使っています。『Dead Cells』はカメラがズームインしたりズームアウトしたりするピクセルアートゲームですが、どうやってエフェクトを付けているかというと、背景は完全にパララックスのスクローリングを使ってるんですが、キャラや敵は一部3Dを使っているんです。

――コンセプトアートからピクセルアートに起こすときの過程は、どんな感じでしょうか?

Paweł 作ったコンセプトアートをチラ見しながら、ペイントでピクセルアートを描いてます。

David 想像をベースに、コンセプトアートを起こさず、そのままピクセルアートを描いてます。一部の大きなキャラや大切なキャラについては、いったん3Dモデルを起こして、それをスプライト化、ピクセル化して、それを見ながらモデルを作るという感じです。

Ben Motion Twinでのプロセスは、もう少し込み入ったものです。たとえば敵を作るとしたら、どんな能力があってどんな攻撃をするのかなど、まず企画ベースで考えます。どんな敵かが決まったら、アーティストに色鉛筆でデッサンを描いてもらったり、Photoshopでデザインしてもらいます。それをもとに、3Ds MAXでごくシンプルなシェイプを組み合わせた3Dキャラを作り、アニメーションを付けて、最後に特製の自社ツールにかけると、ピクセルっぽく出力されるんです。
 このプロセスにはメリットがあり、2Dだとアニメーションの調整がたいへんなのですが、3Dベースだと調整しやすく、なめらかなアニメーションができるというわけです。
 もうひとつのメリットは、効率よくゲームが作れるということ。インディーはひとりで全部作ることもあり、効率が大事です。このプロセスだと、ひとりでも早くいろんなアートが作れるし、調整が効率化されるだけでもずいぶん助かります。

Ben Laulan氏。

――ピクセルアートはゲームのムード作りにどれだけ大事なんでしょう?

David 僕の場合、単純にピクセルアートがカッコいいから、また、カッコいいアクションをアピールしたいから使っています。

Ben ピクセルアートは以前、レトロゲームのイメージでしたが、もはやカテゴリーとして成り立っていると思います。ピクセルアートのおもしろいところは、いろいろと濁すというかごまかすことができること。たとえば、缶に白と赤で色を付けると、コカ・コーラに思わせることができる、みたいな。ユーザーの想像力を活かすことができるのは、ピクセルアートのメリットだと思います。

Paweł ホラーでは、見えないものが怖い。プレイヤーは、出てくるモンスターよりも怖いものを想像している可能性があります。Benさんがピクセルアートはプレイヤーの想像力を活かせるという話をしていましたよね。自分の想像力で自分の首を絞めるような恐怖感を、ピクセルアートがもたらせるのは素晴らしいです。

Paweł Koźmiński氏。

――残念ながらそろそろ時間となります。最後におひとりずつ、自分の作品をプレゼンしてください。

Paweł 自分のパッションを『恐怖の世界』というゲームにして、いろんな人がそのパッションを感じて喜んだり、怖がったりしている顔を見るのが嬉しいです。

David 『クロノ・ソード』の秘密を教えましょう。キャラもオブジェクトも背景もすべてピクセルで描いていますが、アニメーションは3Dです。2Dのピクセルアートと3Dのアニメーションデータを作って、自作ツールでそれらを組み合わせると、とてもリアルな動きをする2Dキャラができるんです。

Ben 昨年、東京ゲームショウに『Dead Cells』を出展しましたが、難しい顔をして分析しているような日本人がいました。普通の人じゃないだろうと思って話をしてみると、どうやら『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』のクリエイターのひとりだったらしいんです。彼から『Dead Cells』での体験がすごくよかったと言われ、誇りに思いました。

――有名なクリエイターに声をかけられると、すごく嬉しいし誇りに思いますよね。それがBitSummitのマジックだと思います。今日はどうもありがとうございました。