世界的人気の本格ラリーゲーム最新作がついに日本上陸

 コードマスターズといえば、WRC(世界ラリー選手権)で、豪快な走りで多くのモータースポーツファンを魅了したコリン・マクレーの名を冠したタイトルや、F1(フォーミュラ1世界選手権)といった、実在レースシリーズのゲーム化を手掛けてきた、知る人ぞ知るレーシングシミュレーターの老舗会社。
 
 そんな同社が開発を手掛ける最新作『ダートラリー 2.0』が、ユービーアイソフトより発売が開始された。2015年にリリースされた『DiRT Rally』は欧州圏を始めとする海外で高評価を得ていたが、残念ながら国内では未発売だったため、同シリーズでは今作が待望の日本初登場となる。

 本作には、大自然の中にあるオフロードコースを高速で駈け抜けるモータースポーツの“ラリー”と、舗装路やダート路、ジャンプ台といったギミックが施されたクローズドコースで競い合うモータースポーツ競技“ラリークロス”のふたつの“ラリー”を収録。発売を前に本作をプレイする機会が得られたので、レースゲーム好きな筆者が『ダートラリー 2.0』で実際に走って感じた所感をお届けする。

人はなぜ、過酷なまでに速さを求めるのか! 古来より人類が追い求めるスピードを堪能せよ!!

 人は古来よりスピードに憧れを抱いているのか、まるでその先にある見えない快楽でも求めるかのように必死になってスピードを競い合ってきた。その追い求めるスピードのひとつがクルマであり、そのクルマを使って速さを競い合うものが、モータースポーツである。

 そんなクルマの速さをダイナミックに感じられるものとして、欧州圏を中心に人気を博している“ラリー”競技がある。その“ラリー”の迫力、醍醐味を楽しめるのが、この『ダートラリー 2.0』というわけだ。

 筆者はレースゲームが好きなだけでなく、モータースポーツやクルマそのものも好きで、これまでも数多のレースゲーム、レーシングシミュレーターをプレイしてきている。今回も発売を前に『ダートラリー 2.0』をプレイさせてもらえる機会を得られたので、こうしてプレイレビューを書かせてもらうことになったのだが、本作の魅力を伝えていく前に、ひとつ言っておきたいことがある。

 雨で濡れている路面や雪道では、クルマの運転(とくにステアリング、ペダル操作)は慎重に……と昔から言われているが、その過酷な状況下をハイスピードで駆け抜けるのだから、ラリーの運転は総じてレベルが高い=難しいものと言える。

 これはラリーの迫力や醍醐味を忠実に再現している本作においても言えることで、最初にきちんと断りを入れておくと、本作は相応の気合と集中力を持って挑まないと、きちんと走ることすらままならない、難度の高いシミュレーターとなっている。もちろん、用意されている各種アシスト機能を駆使することで、多少なりとも走りやすくすることはできるが、それでもダート路をハイスピードで駆け抜けるにはそれなりのテクニックが求められることになる。

 それなのに、なぜ『ダートラリー 2.0』をオススメできるのか。それは、悪路こそクルマのおもしろさを知ることのできる体験はないからだ。

荒れたダート路面や積雪路など、考え得る限りの悪路を走破できる体験ができるのも、『ダートラリー 2.0』ならでは。

 筆者は実際にクルマを運転することも好きで、これまでカートやクローズドサーキットなどでの走行経験も持っているが、クルマを操っていておもしろいと感じたことのひとつに、雪上での走行があげられる。

 雪道は、路面グリップが限りなく低い状態の超低μ路となっているため、FF車やFR車、4WDといったクルマの特性が如実に顔を覗かせ、なおかつ低速で豪快なドリフト走行も体験できるなど、クルマの動きを知るには、このうえない好シチュエーションといえるのだ。

 筆者が過去に参加した、自動車メーカーが主催する走行イベント“スノーチャレンジ”では、スロットル(アクセル)ワークでクルマの向きを変えるといった体験がいとも簡単にできたが、これは路面グリップが低い雪道ならではの出来事。スロットルでクルマ(の向きやスライド量)をコントロールするという、頭ではわかっていてもなかなか体験できなかった領域にいとも容易く導いてくれるのだ。

 ドライの舗装路でドリフト走行を行うとしたらそれなりの速度を出す必要があるところ、雪上では極低速で簡単にドリフトがくり出せる。オーバーステアやアンダーステアといった挙動や、ドライビングテクニックを学ぶには、これ以上ない最適な環境と言えるだろう。

※上記の雪道運転の所感は限られた状況下での体験であり、一般道での雪道の運転は交通ルールに則ったうえで、安全かつ慎重に行う必要があります。

こちらは以前、筆者が挑戦した“スノーチャレンジ”時の画像。見渡す限りの雪原で豪快にクルマを振り回す気持ちよさは、これまでに体験したことのない楽しさ。その楽しさと同様の体験を味わえるのが、今回紹介する『ダートラリー 2.0』だ。

 繰り返しになるが、本作はレースゲームとして難しい部類の作品ではあるが、それは本当に悪路をハイスピードで走ることの難しさがしっかりと反映されているということ。

 難しいからこそ、理想通りにマシンを操り、走れたときの達成感は大きなものになる。悪路での走行はきちんとした操作をしないとまともに走ってくれないという前提を踏まえたうえで、マシンを自由自在に操ることができれば、これほどまでに気持ちいい体験はないはずだ。

 本作には、ラリードライバーの成長を経験していける“キャリアモード”や、気軽に参加できる各種チャレンジなどを用意した“イベント”や、FIA世界ラリークロス選手権の迫力を体験できる“FIA WORLD RALLYCROSS CHAMPIONSHIP”、“タイムトライアル”といったさまざまなモードが用意されている。

 基本的には前述の“ラリー”と、“ラリークロス”を主軸にしたレースイベントで構成されているのだが、まずはこのふたつの見どころ、おもしろさを紹介する。

自然のままの過酷な環境化でマシンを意のままに操って豪快に振り回し、見るものを魅了する“ラリー”

 大自然の林道や市街地などにある公道をコースとし、一定区間の最速走行時間を競い合うモータースポーツ。舗装路(ターマック)だけでなく、未舗装路(グラベル)や砂利道、積雪など、あらゆる路面状況があり、またサーキットコースと異なりコース外の待避スペースも限りなく少ないことから、ひとつのミス=重篤な事故となってしまうなど、過酷極まりない競技ながら、その迫力から世界中に多くのファンが存在している。

 クローズドサーキットのように、コースを覚えての走行が極めて困難なことから、コースの先の状況をドライバーに指示するコ・ドライバーと呼ばれるナビゲーターが助手席に座っているのも、大きな特徴のひとつ。コ・ドライバーのペースノートの指示に従い、ドライバーは先の見えないコーナーに全力で飛び込んでいくことができるというわけだ。

“ラリー”の基本は、単独走行でのタイムアタック。走行するのは山間にある峠道といったコースで、コースのすぐ脇には樹木や岩といった障害物があったり、山肌や切り立った崖になっているなど、普通に走るだけでも過酷そのものなものばかり。そんな難コースを信じられないようなハイスピードで駈け抜けていくのが、ラリーの醍醐味だ。
“ラリー”の特徴のひとつが、コースの先の状況を読み上げてくれるコ・ドライバーの存在。実際のラリーでも、ペースノートを通じてドライバーをアシストしてくれるが、本作に置いてもコーナーまでの距離、向き、大きさや注意事項をつねに伝えてくれる。この指示に従い、先の見えないコーナーめがけて飛び込んでいくのだ。
限りなく市販車に近い、馴染みのある車両が使われているのも、ラリーの魅力のひとつ。こちらの車両は、スバルが“WRC”に勝つべく市場に送りだしたインプレッサWRXに、レース用の改良を施したグループAマシン。そのマシンバランスの良さから、1995年〜1997年にマニュファクチャラータイトルを3連覇している。

モンスターマシンがコース上でバトルする!? その迫力はまさにモータースポーツの格闘技、“ラリークロス”

 ラリーカーに限りなく近いマシンで、舗装路からダート路、ジャンプ台といったギミックが施されたクローズドコースで競い合うモータースポーツ競技。走行タイムで勝敗を競い合う“ラリー”では、一定間隔毎に競技車両がスタートするため、コース上でマシンどうしが直接抜きあいをすることはほとんどないが、“ラリークロス”の場合は複数台のマシンが同時にスタートし、直接的なバトルが行われる。“ラリー”とは異なり、コース上での優劣や勝敗がわかりやすい点が、“ラリークロス”最大の特徴というわけだ。

 1周が1km前後という比較的短めのコースを少ない周回で競い合うスプリントレースとなっているため、つねに激しいデッドヒートがくり広げられるが、そのバトルの迫力はまるでコース上の格闘技とも言えるほど。日本ではまだ馴染みが低い競技だが、北米・南米・欧州といった世界各国では近年、大きく人気を高めている新たなモータースポーツカテゴリーとなっている。

“ラリークロス”のコースの一部区間には、ジョーカーレーンと呼ばれる通常走行とは異なる別ルートが設置されている(上記画像で黄色いラインの部分が、ジョーカーレーン)。レース中は、このジョーカーレーンを通過する“ジョーカーラップ”を、必ずレース1回行わなければならないのだが、どのタイミングで通過するかによって順位が変動するなど、戦略性の高さを楽しむこともできる。
“ラリークロス”では、コ・ドライバーは乗車こそしないが、スポッターから無線を通じてレース中の状況や指示などが伝えられてくる。
複数台のマシンが一斉にスタートするだけあり、レースでの波乱は必死。
“ラリークロス”は舗装路と非舗装路が混在しているので、路面グリップの変化に注意しながら走る必要がある。ダート路面ではマシンが巻き上げる砂埃が凄まじく、後続車両は視界が悪くなるので運転に細心の注意が必要となる。

『ダートラリー 2.0』ってどんなレースゲーム? 実際に走ってみて感じた本作の特徴を紹介

 プレイレビューと言いながら、ここまで作品紹介を含む前置きがかなり長くなってしまったが、ここからは筆者が実際に『ダートラリー 2.0』の各種モードを走ってみて感じた点を紹介していく。ちなみに筆者のプレイ環境は、LogicoolのDRIVING FORCEレーシングホイール“G29”と、AKRacingのゲーミング座椅子“極坐”を使用。映像はプロジェクターで投影している。プロジェクター使用のため、厳密に言えば数フレームの遅延が発生しているが、1000分の1秒のタイムよりも、ドライビングフィールと迫力が楽しめることを優先して、レースゲームはもっぱらこの環境でプレイしている。その環境下において、実際に走ってみて感じた要点は以下のとおり。

  • マシン挙動や走行感はリアル志向のシミュレーター寄り
  • グラフィックやサウンドの質の高さ、完成度は高レベル
  • 2種類の異なるタイプの“ラリー”が楽しめる点は◎
  • ハンドル&ペダルコントローラでのプレイが断然オススメ

マシン挙動や走行感はリアル志向のシミュレーター寄り

 冒頭でも述べたように、本作はどちらかというと難しめ(に感じられる部類)のレーシングシミュレーターと言えるだろう。もちろん、これまで多く登場してきたレースゲームのようにバランスをゲーム寄りに調整し、手軽にダイナミックな走りを楽しむという手段もあるだろう。しかし、本作はリアル志向を追求した作品となっているため、自然と難度が高めになっているというわけだ。

 そんな中でうまく走るには、とにかく走り込むことが何よりというのは、本作に限ったことではない。ただ、ラリーの場合は予想以上にまともに走れない……といった状況になることも考えられるが、その理由の大半はオーバースピードであることが考えられる。ダート路でスムーズにコーナリングするには、減速、ステアリング動作ともに通常よりも早め&ゆっくりなアクションが求められる。その感覚を身につけ、コーナーを綺麗に走り抜けることができれば、何ものにも代え難いカタルシスが感じられるはずだ。

 練習走行をするにあたり、“ラリー”はスタート地点からゴール地点までの一定区間を走りきる競技のため、コースは周回路ではなく長距離の一本道となっている。とくに本物のラリーでは、コースそのものもレース毎に修正が行われるため、走り込んでコースを覚える……といったサーキット走行のセオリーが通用しない(そのために、コース状況を指示するコ・ドライバーが存在している)。

 しかし、“ラリークロス”では、一般的なサーキットレースのように周回路を規定数走る競技となっているため、走り込んでコースを習熟することができる。“ラリー”と“ラリークロス”では使用するクルマも走行するコースも違っているが、走らせ方の基本は共通する部分もあるので、まずはダート路面の特性をつかむために“ラリークロス”で走り込みをしてから、“ラリー”に挑んでみるのもいいだろう。

モンテカルロラリーは高低差が730mもある(山を登っていく)コースのため、スタート地点はドライ状態でも、ゴールに近づくにつれ積雪量が増えていく難コース。
スタート時点では、コース脇に少しだけ雪が残っている状況(写真左)だが、走行を続けていくとコースのそこかしこに雪面部分が顔を覗かせてくる。
最終的には、圧雪路&アイスバーンという、もっとも難度の高い路面状況に遭遇することに。ラリードライバーには、刻一刻と異なっていく路面状況への対応も求められるのだ。
気合を入れすぎてコーナーのギリギリを攻めていき、コースの外側に後輪を落としてしまった結果スピン。“ラリークロス”のコースは、舗装路と非舗装路部分のグリップ差が大きいので、このような状況にも陥りやすい。

グラフィックやサウンドの質の高さ、完成度は高レベル

 昨今のレーシングシミュレーターは、実車と見紛うグラフィックが再現されているが、本作も多分に洩れず、グラフィックは素晴らしいのひと言に尽きる。とくに、ダート路面を走行中に巻き上げる砂埃や、吹き付けてくる雨といった自然環境の再現度もかなりのもの(あまりに砂埃が多いため、コースによっては前走車がいると前が見えないほど!)。

 また、サウンド面においてもエンジン音はもちろんのこと、(コキッ、コキッという)小気味いいシフトチェンジの音から、加給圧を排出するブローオフ音、まるで銃声のようなミスファイアリングシステム音、巻き上げる砂利などがボディに打ち付ける環境音までが、ダートを攻めているという気分を嫌が応にも盛り上げてくれるサウンドを奏でてくれる。

 もちろん、ダート路を走ることによって徐々に汚れていくマシンの様子が見られたり、激しいクラッシュによりマシンがダメージを追っていく姿が再現される点も個人的には◎。

できるだけマシンはぶつけないほうがいいが、ダメージを負ったマシンが疾走していく姿を見るのも、ラリーの醍醐味のひとつ。オーバースピードでコーナーに侵入したり、判断を誤ったりすると即クラッシュなんて自体に陥ってしまう。
グラフィックが優れているということは、リプレイ画面を見ていて楽しいことにも繫がる。リプレイ中は自動でかっこいいカメラワークに切り換えてくれるが、任意に好きな視点にすることもできる。
登場するマシンもクラシカルなラリーカーから最新のモンスターマシンまで、バリエーション豊か。

2種類の異なるタイプの“ラリー”が楽しめる点は◎

 ラリー系の競技好きにはたまらない、本格的な“ラリー”コースと、近年人気が高まっている“ラリークロス”のふたつのモードを収録しているのも、本作の魅力のひとつ。過酷な大自然の中をひたすらストイックに走り込むと言ってもいい“ラリー”と、人工的に作られた舗装路・未舗装路混在のコースでライバルを出し抜いて勝利を目指す“ラリークロス”は、使用マシンや悪路といった状況こそ似ているものの、まったく異なるレースを楽しむことができるというわけだ。

 どちらのモードもタイムアタックは用意されているので、純粋に単独での走り込みも楽しめるが、それぞれのイベントレースでは、ラリードライバーとしてのキャリアを積みながらシーズンを戦っていく体験ができる。

 登場する車種も、ラリーの競技車両は市販車をベースに一定の改造を施したマシンが多いため、どこか馴染みのあるクルマが多いのも走って楽しいポイントだ。

 また、“FIA WORLD RALLYCROSS CHAMPIONSHIP”では、実在ドライバー&実際のマシンを駆って、FIA世界ラリークロス選手権に挑むモードとなっている。本物の“ラリークロス”と同じレースイベントが楽しめるのは、本作がFIA世界ラリークロス選手権公認ソフトだからにほかならない。

 “ラリークロス”は残念ながら日本では未開催のため、国内での認知度はまだまだといったところだが、レースの迫力とおもしろさから、今後ますます盛り上がってくるだろう(というより、こんなにおもしろいレースは早々ないので、個人的にもっと盛り上がって欲しい)。

“ラリー”のコースは、舗装路が多めの市街地っぽい雰囲気のものや、乾燥地帯の非舗装路が多いタイプ、積雪が見られるものなど、さまざまなタイプのコースが用意されている。また、同一コースでも途中で状況が様変わりするものもあるなど、都度異なる状況下に合わせて走り方をアジャストする必要があるのも、“ラリー”の難しさでもあり、おもしろさでもある。
“ラリークロス”のコースにも舗装区間、非舗装区間が設けられている。舗装区間ではできるだけグリップを心掛け、マシンを前に走らせるよう心掛けたほうが速く走れることが多いが、非舗装区間ではマシンの向きを早く変えるためにドリフトを活用するといった具合に、路面状況によって走らせかたを大きく変える必要があるのは、“ラリー”と同様だ。
“ラリークロス”には、かつてWRCで活躍した選手なども多く参戦しており、WRCで前人未踏の9連覇を達成した伝説的ドライバー、セバスチャン・ローブや、2003年にスバル・インプレッサでチャンピオンとなったペター・ソルベルグなど、ラリーファンにも馴染みのあるドライバーが活躍しているのも、うれしいポイント。とくにソルベルグは2014〜15年シーズンに、世界ラリークロス選手権でもシリーズチャンピオンを獲得するなど目覚ましい活躍を見せていたが、つい先日世界選手権からの引退を表明。ゲームでその雄姿が見られるのは、今作が最後かもしれない。

ハンドル&ペダルコントローラでのプレイが断然オススメ

 これは最初に述べた、本作の難しさとカタルシスにも通じることだが、『ダートラリー 2.0』を遊ぶなら、ぜひともハンドルコントローラを用意してもらいたい。もちろん、コーナリング時のクルマの挙動を安定させるスタビリティーコントロールや、タイヤの空転を押さえるトラクションコントロールなどといった、アシスト機能が充実しているので、ゲームパッドでも気持ちよく走る分には問題ない。しかし、過酷なコースでマシンをねじ伏せながら戦っているラリードライバー気分を味わうには、ハンドルコントローラを置いてほかにないと断言できる。

 前述のとおり、コースの大半が未舗装路となっており、そこを速く駈け抜けるには繊細なコントロールが求められることになる。コーナーでマシンのスライド量を調整したり、コーナリング中のステアリングの舵角を保持・調整する際、パッドとハンドル&ペダルのどちらがコントロール性が高く、調整しやすいかといえば、ハンドル&ペダルに軍配が上がるというのは、想像に難くないだろう。難コースをうまく走り抜けたときの気持ちよさが、本作の醍醐味のひとつとも言えるので、その気分を少しでも多く味わうためにも、ぜひともハンドルでのプレイをオススメしたいところだ。

 と、ここまでほぼ、手放しに近い状態で本作を褒めてきたが、最後にここはイマイチ……なポイントをいくつか紹介しよう。

 まず最初に、日本語でのスポッターコメントで「押し続けろ!」、「押せ」というものがよく聞かれるが、これは「プッシュしろ」のこと? 実際に自分がクルマで走っているときに無線を通じて指示を受けた経験は皆無なので、正確なところは計り知れないが、レース中継などを見ていると「プッシュ、プッシュ」などとよく聞くことから、「プッシュしろ」のままか、「もっと飛ばせ!」などのほうがいいのでは……と思ったことがひとつ。

 また、マシン選択画面に表示される駆動方式アイコン(?)のところ、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動ということは伝わるが、エンジン搭載位置がすべて同じなのはイマイチかも。ランチャストラトスやポルシェのように、ミッドシップやリヤエンジン搭載車もあるので、エンジンの位置まで再現されていればよかったのに。

 ただ、いずれのポイントもゲームのおもしろさをスポイルするものではない。むしろ、集中してレースに挑んでいるときにはまったく気にならないポイントだということは付け加えておきたい。

 それから、これは不満点というよりも要望になるのだが、もっと間口を拡げるためにコースガイド(走行ラインやブレーキングポイントといった表示)やマップ表示のようなものを用意してもよかったのではないだろうか。リアルを追求している点には反することになるが、レースゲームは身体でクルマの挙動が感じられないため、視覚面でのアシストがあると、より走りやすさに直結するはず。

 さらにもうひとつ。前作『DiRT Rally』(海外版)では、DLCとして“DiRT Rally-VR Update Edition”が配信されていたが、今作でもぜひ追加してもらいたい。VRとレースゲームの組み合わせは、実車でもゲームでも自分の着座位置は動かず、周りの景色が動くという環境が同じことからVR酔いがしにくく、実際にコックピットでヘルメットを装着した時とほぼ同じ視界で、コースの先読みもしやすいなど、とくに親和性が高いことがあげられる。ハンドルコントローラ+VRでのレースゲームは最高の体験がもたらされるので、ぜひ今回もVRエディションの追加配信に期待したいところだ。

 と、ここまで本作の魅力やおもしろさ、ちょっとだけイマイチなポイントを紹介してきたが、最後にまとめると『ダートラリー 2.0』は間違いなくおもしろい……というより気持ちいいレーシングシミュレーターと言える。もちろん、その気持ちよさを味わうために乗り越えなければならない壁はいくつかあるが、ダート路の走行はクルマのおもしろさを最大限に味わえるものなので、クルマの運転が好きな方にはすべからく体験してほしいところだ。

 クルマの運転がそこまで好きではないかも……という人には、まずネット動画で“ラリー”を検索して、一度見てもらいたい。“ラリー”に馴染みのない人からすると「こんな猛スピードで駈け抜けるなんて信じられない」、「クルマってこんな動きをするの!」と驚くはずだ。そして、それらの映像を見たうえでぜひとも本作に挑戦してもらえれば、“ラリー”競技のおもしろさと難しさを楽しんでもらえることだろう。

 実車でダートコースを走る場合は、マシンが受けるダメージも相当なもので、さらに言うとクラッシュによるマシン破損や怪我のリスクも考慮する必要がある。しかし、そんなリスクは気にする必要もなく、限界まで攻め込んだ走りを楽しめるというのも、『ダートラリー 2.0』の魅力と言える。

 トップラリードライバーのような走りは一朝一夕にできるものではないが、そこまでではなくともダートコースでマシンを意のままに操り、うまく駈け抜けることができたときには、それまでに体感したことのない気分が味わえるはずだ。